闇魂「やみたま」   作:ピかるの低利

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太陽万歳!!!!




生まれる場所を間違えた。不器用な自分

 

 

 

ちょうど僕も他の皆と同等にほんの少しの大人への階段を上る、成長期の頃・・・僕はその頃に事故に遭った。

 

と、言ってもただの車と車が衝突するような交通事故ではない。

 

埋められたのだ、生きたままコンクリートと土が生み出す暗闇の世界に。

 

当時自分達が住んでいる街には小学校という建物は街の外れにそれも一つしかなかくそれにより親が送迎できない子供たちは小学校から出される送迎バスに乗る他通う手段が無かった。

 

 

まぁそれ事態には特に問題は無かった。

だが、道のりに一つ問題があったのだ、それが今回の重要なポイント、 街の外れに向かうにはトンネルを通る他無かった。それがポイント

 

要は『トンネルが脆すぎたのだ』

 

いつ壊れてもおかしくはないトンネルだった

 

あとはお察しの通り僕は嫌、僕らは埋められたのだ。

いま考えれば運も悪かったのだろう、それもかなり

嫌汚さすほど。

 

もろん小学生の柔な体じゃ密閉され空気もなく夜は凍るように冷たく、朝はサウナのように蒸し暑い

そんな過酷な状況じゃ何日も持たなかった。

 

僕以外は

 

最初天井が地面に落ちてきた時に運転手と前の方に座っていた子供、計三人が死んだ。

即死だった

 

その次の日には夜の寒さによって泣いていた子供が五人

 

その次の日には必死に外に出ようと足掻いていた子供が暑さのため力尽き三人

 

その次の日には怪我による衰弱により二人

 

少しずつ、少しずつ

 

僕はその小さな命が消えていくのをこの目で看取っていた...。

 

 

 

 

 

「何でこんくらいもできんのよ、君は」

 

「...すみません。」

 

またいつもの流れだ

 

「紙にでも書き留めないと成長なんてできないよ。」

 

それはずっとやっている毎日かかさず。

 

「本当に困ったやつだよ。こんなんじゃ仕事任せるのも無理があるってもんよ?」

 

「すみません」

 

バカの一つ覚えみたいに。僕は...。

 

「ハァ....。もう時間だから帰りなさい。」

 

「.....はい」

 

「すみません」しかって言えない。

 

「お疲れ様です。」

 

一人仕事帰りの暗い夜道を歩く僕は何処か覚束無い足取りでまるで亡者が、さ迷うかのようで帰路についていた。

 

 

 

....気分をまぎらわしたいな。

 

ふとそう思い、携帯にイヤホンを取り付け耳に挿すと片手で手慣れたようにお気に入りの音楽を流す。

 

「♪~♪♪~♪」

 

流れ出るメロディに脳が水にゆっくりと浸かるように支配されていき心を踊らす。

 

目をつむると夜風が気持ちよく当たりそれがさらに自分の思いを加速させる。

 

....また怒られてしまったな。 向いてないのは、解ってるんだがな。

 

 

「ハァ。」

 

...土木とかの方が向いてるのも解ってる。むしろ天職だと言うことも。

 

でも

 

 

「諦めたくないな。」

 

そうこう、考えている間にどうやら家のドアまで着いていたらしく慌ててドアを開けた。

 

「っと。ただいま~」

 

元気のよい声が家中に木霊するも肝心な声は帰ってこず辺りは直ぐ様静寂へと誘われる。

 

「....誰もいないか。 まぁ当たり前だけと」

 

そんな言葉を残しながら家へと上がり真っ暗な部屋の電気を灯す

 

酷くさっぱりとしたリビングが露になり辺りを見渡し何か変わったことがないか調べるが特に見つからずソファーに腰を掛けた

 

.....他人が見たらこの部屋は綺麗と言うだろうけど

 

「僕はそう思わないな。」

 

この部屋は何もないだけそれこそ自分と同じように跡形もなく燃え尽きた灰のように空虚なだけだ。

 

趣味も個性もないただの生活するための場所ただそれだけ。

 

「飯にするか。」

 

少し腰掛けていると急に小腹がすき始めてきたもんで帰りにあらかじめコンビニで買っておいた弁当を温めそれを口に運ぶ。

 

「うま。」

 

その味は個性もなくまさに万人受けする味で、自分が作るよりかは幾分も増なことがイラつく味だった。

 

「うま、うま。」

 

 

 

 

 

「食べた~」

 

食事を終え自分のすぐ目の前にあるテレビの電源をつけ画面に映し出される動画を目に焼き付けた。

 

 

「あれ?そういえば今何時だっけ」

 

ふと時間が気になり時計を見ると短い針が9を指し長い針が5を指している

 

「ヤバ。ロードショーやってるやん!」

 

急いでチャンネルを変えた

 

「うわ、もうやってるよ。」

 

しかし間に合う訳もなく映画はちょうど中盤に差し掛かろうとしたところで全くストーリーが解らない

 

.....ダメだ話が全然わかんないや

 

 

急に自分の中で覚めていく感覚がしてテレビを消す

 

 

 

「風呂 入るか」

 

 

 

 

 

体を一通り流し終えゆっくりと湯船に浸かる

「ふぅ~」

湯船のお湯は暖かくとても気持ちのいいもので思わず声が出てしまう。

 

...今日も生き延びたな

 

上を見上げてまた馬鹿みたいなことを思い、そして声となり口から虫の羽音のように吐き出された。

 

湯船に長く浸かっていると不意に目が重たくなって意識が沈んでいく、まるで燃え落ちるかのようにゆっくりとゆっくりと

 

 

僕はそれに身が水面に浮くかのように任せた。

 

 

 

 

 

 

ヒュオオー

 

....何だ?肌寒いな。

 

しばらく寝ていたのだろう体に妙な寒気を感じ僕は目を覚まし未だ眠りについている自身の目を覚まさせるために何度も瞼を開閉させる

 

ようやく意識が安定し始めると同時に頭に驚愕が走る

 

「っな!?」

 

...閉じ込められた!?

 

自身の周りには四方八方壁で覆われており完全に身動きのとれない状況、

 

「ぐっ!開かない」

 

再度足で蹴破るように力をいれるとほんの少しだけ目の前の壁がずれ光が差し込んできた

 

「よし!」

 

そこに指をねじ込むように刺し入れ力一杯に開いた方向に力をいれ目の前の壁を取り払い、それと同時に今まで暗闇にいたせいか直視できないほどの光源が目に入り思わず目を閉じてしまう。

 

 

そんな状態でも耳はちゃんと機能するようで耳を澄ませると

...これは風?

 

まるで透き通るような風の音

 

時間が経つにつれて目がなれていくのが感覚でわかり少しずつ目を開いていく

 

そして、僕は驚愕する。

 

「っな!?」

 

辺りは自分の知る場所とは全く相違点の見つからないと言う事に、家と言う安全な心安らぐ空間でもなく、ましてや町といった人が集まる集落でもない。

 

まさに

 

孤独

 

それが似合う、そんな世界だった。

 

 

(契約 始まりの火を守護する者 により主なき世界に召喚されました。)

 

 


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