インフィニット・ストラトス ワールド・オブ・イフ 作:ラ・ピュセル
戦闘は膠着状態に陥っていた。無人機達は高速飛行をしながら射撃が可能なカスタマイズをしてあるらしく、一方的に攻撃をしている。威力は低いものの、それが10機分で雨のようにくるため、無視できない。ヴィクターもスピードで言えば充分に追いつける速さを出せるが、他の機体が牽制するように攻撃して、射程距離まで近づかせないようにしている。
「マズいな、このままだとジリ貧でこっちがやられるぞ」
敵に意識を向けたまま、ヴィクターが話す。
「相手が無人機という時点で、こちらは不利な状況だというのにここまでとはな」
「どういうことだ?」
「無人機には二つの利点がある。まず操縦者がいない分、操縦者の保護の為のエネルギーを攻撃に回せること。二つ目も似たようなものだが、操縦者がいらない為、人体の構造を無視した動作ができることだ」
「道理でこちらの攻撃が当たらない訳だ。人の動きでは回避できなくとも、それを無視した動作ができるなら回避性能は大幅に上昇するからな」
ラウラもレールカノンで牽制しながら同意してくる。
「じゃあどうしたらいいんだよ!?」
「ひとつ策がある。恐らくはそれで勝つことはできるだろう」
ヴィクターは冷静にそう答えた。
「ただ準備に1分掛かる。その上準備中は全く動けなくなる。そんな行動をすれば速攻で標的にされる」
「つまり1分間時間を稼げば勝てるのね?」
楯無さんの発言にヴィクターは頷く。
「準備が完了したら一夏にも手伝ってもらう。一夏はできるだけ消耗しないようにしてくれ」
「了解。それじゃあ行くぞ、皆!」
同時にヴィクターも準備を始める。全身が光って、少しずつ形を変えていく。
もちろん無人機達もそれを無視するわけなく、一斉ににヴィクターへ攻撃しようと動き出す。
「やらせるか!」
こちらも射撃武装で牽制していく。阻止しきれなかった射撃は、雪羅のシールドで防御し時間を稼いでいった。
そして1分が経とうとした時、黄金獅子がより一層輝き準備が整ったことを告げる。光が収まりそこに現れたのは、完全にライオンの姿となった黄金獅子の姿であった。
「ヴィクター、その姿は!?」
「なに、自分の骨格や肉体組織を作り替えただけだ。心臓にコアを埋め込んだ結果、私の体も黄金獅子の部品として扱うことができるんだよ」
骨格を作り替えるって、簡単に言うけどとんでもないことをしてるぞ!?
「背中に乗れ、一夏!さっさと片付けるぞ」
「わ、わかった」
言われた通り背中に乗ると足が固定される。
「一夏、お前は目の前に来た奴を零落白夜で斬っていけ。私がこのままあいつらに接近する。かなり無茶な動きをするが我慢してくれ」
「大丈夫だ、とにかく攻撃に集中すればいいんだな?」
「ああ。よし、行くぞ」
ヴィクターの掛け声に合わせて、とんでもない速さで飛び出す。金色の獅子に跨がった白い騎士が空を駆けていく。