銀色の鎮守府   作:霜ーヌ。氷室

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 本作品は、オリ主、ハーレム、台本形式の要素を含みます。
 苦手で無い方は、どうぞお進みください。
 感想、批評、批判をお待ちしています。

 本作品はArcadia様にも投稿しています。


1・春は出会いの季節っぽい

『雨のち銀』

 

女性キャスター『次のニュースです。神存島に置かれる鎮守府がもうすぐ正式に稼働すると、大本営から発表されました』

男性キャスター『神存島は二十年近く前に深海棲艦に強襲された島でしたね』

女性キャスター『はい、その後防衛は付近の鎮守府が担当していたのですが、長く残っていた傷痕も癒えた今、新たな門出を迎えるあの島に着任する提督と艦娘に幸福がある様に祈らせていただきます』

男性キャスター『暁の水平線が見えるよう、晴れ晴れとした門出になるといいですね』

女性キャスター『ではこの鎮守府の行き先をコメンテーターの……』

夕立「全然晴れ晴れとしてないっぽい! 新しい提督さんを迎えに来たら通り雨なんてついてないっぽい」

コメンテーター『……とですが、それは新たな魔性の海の出現を……』

夕立「うえぇ、ずぶ濡れ」

コメンテーター『……昨今の深海棲艦の動きを……』

夕立「提督さん、傘持っててくれるかなぁ? 通り雨だからすぐ止むだろうけど、出来れば早くお風呂入りたいよぉ」

???「ちょっとそこの君」

夕立「ふぇ?」

???「ずぶ濡れじゃない、こっちいらっしゃい」

夕立(うわぁ、綺麗な銀髪)

???「風邪ひいちゃうよ? ほら早く」

夕立「は、はい!」

???→銀髪さん「先にこのハンカチで拭いてて、今タオル出すから」

夕立「いえ、そんな、こんな真っ白なハンカチなんて申し訳ないです」

銀髪さん「そんな物を惜しんで女の子に風邪をひかせたら、私が母さん達に怒られちゃうの。だから使って、ね?」

夕立「じゃあ、その……お言葉に甘えます」

銀髪さん「はい、甘えてください……と、タオルは、あったあった」

夕立「うー、柔軟剤のいい匂い」

銀髪さん「顔に押し付けると安心し過ぎて眠くなるんだよね」

夕立「分かりますっぽい」

銀髪さん「ぽい?」

夕立「あっ、その……あまり経験無くって。そういえばご旅行ですか?」

銀髪さん「ん?」

夕立「その、あまり地元の人って感じがしなくって、荷物もそんなに無いから旅行かなって」

銀髪さん「半分はご名答。本土から来たんだよ、こっちに暫く住む為にね。荷物は先に送っておいたの」

夕立「ああ、なるほど。お仕事……ううん、進学ですか? でも、入学式はもう終わっちゃったし」

銀髪さん「お仕事の方だよ……ここで会ったのも何かの縁ってことで」

夕立「ぽい?」

銀髪さん「この度、神存島鎮守府に着任する事になりました新人提督です。未熟な身ですが、艦娘の皆と一緒に一生懸命頑張りますのでどうぞご贔屓に」

夕立「え?」

銀髪さん「あ、ご贔屓には違ったかな」

夕立「て……提督さん?」

銀髪さん「あー、やっぱり信じられないよね。私も一ヶ月前には信じなかったよ」

夕立(このお姉さんが夕立の提督さん!? なんか一歩目から迷惑かけちゃったっぽい!)

銀髪さん「あはは……あ、雨止んだね。本当に、急に来て急に去ってく奴だよね。じゃあ、私は人を待ってるからこれで……」

夕立「あ、あの!」

銀髪さん「はい?」

 

夕立「白露型駆逐艦の4番艦、夕立です……その、貴方の初期艦です!」

 

銀髪さん「貴方、が?」

夕立「はい! お待たせしてしまった上に色々ご迷惑をおかけしてしまい申し訳ありません!」

銀髪さん「ちょっと、その……落ち着こう、ね?」

夕立「は、はいぃ」

銀髪さん「そっかぁ、貴方が夕立ちゃんか。直接会うのとテレビや雑誌とじゃ印象が違うね」

夕立「テレビなんかに出る様な子とは練度が違い過ぎますから……あたしはまだまだ新米ですし」

銀髪さん「私だって新米提督だよ? これから一緒に頑張って行こう」

夕立「は、はい! これからも色々迷惑かけちゃうと思うけど、その、よろしくお願いします」

銀髪さん「はい、よろしくね。それじゃあ鎮守府に案内して……の前に、はい」

夕立「ぽい?」

銀髪さん「一応洗濯してあるやつだから、良かったら使って」

夕立「上着……」

銀髪さん「ごめんね、もう四月だからそんなに厚くないけど、無いよりはマシだろうから」

夕立「あ、ありがとうございます……ぽい」

銀髪さん「じゃあ改めて、行こうか」

夕立「はい!」

 

女性キャスター『最後になりますが。新しい提督さんと艦娘さん、どうか健やかに。暁の水平線に勝利を刻んでくださいね』

 

 

『ようこそ鎮守府へ』

 

夕立「うぅー、雨が上がったと思ったら今度はお日様がー、春の天気も安定しないっぽい」

銀髪さん「たしかにね、でもお風呂入って暖まらないとダメだよ」

夕立「大丈夫です。今度は汗を流したいですから」

銀髪さん「あっはっは、女の子だね」

夕立「そりゃもう。お姉さんも一緒に入りますか?」

銀髪さん「お姉さん?」

夕立「あっ、すいません提督さん」

銀髪さん「いやいや、怒ったわけじゃないから、気にしないで」

夕立(あれ? そういえば、渡された指令だと提督さんって確か……)

銀髪さん「夕立ちゃん、鎮守府ってあれ?」

夕立「え? あっはいそうです。最寄りのバス停から徒歩十五分なのが難点の、私達の鎮守府です」

銀髪さん「そうか、ここが……お、門が見えてきたね」

夕立「はい……提督さん、ちょっとストップ」

銀髪さん「え?」

夕立「いいから、夕立がいいって言うまでストップして下さい」

銀髪さん「はい……行っちゃった」

夕立「いーいですよ」

銀髪さん「ああ、なるほど」

夕立「せーの」

 

夕立・大淀・明石「ようこそ鎮守府へ」

 

銀髪さん「はい、よろしくお願いします」

 

 

『びっくり仰天っぽい』

 

大淀「改めまして、デスクワークの補佐を担当させていただきます大淀です」

明石「同じく、修理や開発の補佐を担当する明石です。大本営から色々有用な物を仕入れる権限も持っていますので、お入り用の際は是非私まで」

銀髪さん「こちらこそ、これからよろしくお願いします……ここが司令室か」

大淀「ええ、他の施設は手続きが終わったら夕立さんに案内して貰ってくださいね」

明石「率直に言わせて頂きますが、提督という仕事はテレビや漫画等で描写される様な華々しいものばかりではありません。脅す様で申し訳ありません、しかし地味で辛く思った様に進まない任務に挫けてしまわれては困るのです。提督とは、多くの艦娘の、そして護らなければならない人々の生命に責任を持つ立場なのですから」

銀髪さん「……もし、その覚悟が無い。と言えば止められるんですか?」

大淀「勿論、『提督』というのは貴重な才能ですし、我々も手放すのは惜しいです。しかし、今明石が言った様に生命を背負う立場。それに不適格だと私達二人が判断すれば、大本営にそう報告します」

明石「貴方は本来なら高校一年生という立場で青春を謳歌していい年齢です」

大淀「その立場を投げ捨て、剣林弾雨の道を進む覚悟はおありですか?」

銀髪さん「…………正直、覚悟なんてまだ分かりません。口でそう言ったところで青二才の戯言に過ぎないでしょう」

大淀「…………」

明石「…………」

銀髪さん「ですが、幼い頃から憧れを反古にもしたくないし、裏切りたくもありません」

夕立「…………」

銀髪さん「こんな子供っぽい考えですが、それでも私は夢見た水平線に向かって羽ばたきたい……私は、提督にならせて下さい……いえ。

 

 提督になります」

 

大淀「はい、確かに。本日、今この時を持って貴方はこの鎮守府の提督となり」

明石「私達は貴方の艦娘となりました」

大淀・明石「これから、末長くよろしくお願いします」

銀髪さん→銀髪提督「はい、こちらこそ」

 

 

夕立「ぷはぁ、息が詰まったっぽい」

明石「いやぁ、夕立ちゃんはまだマシだよ。私ら悪役やらなきゃいけなかったし」

大淀「やり方は先輩の大淀と明石に聞いてましたけど、実際やるとなると緊張しますね」

銀髪提督「えーと、その、ご迷惑をおかけしまして」

大淀「いえいえ、決まりごとですから」

明石「それに提督。さっきは脅かしましたけど、剣林弾雨の道なんて艦娘と深海棲艦が現れ始めた七十年前の話です。油断していいわけではありませんが、付近の鎮守府と連携も取れますし、お休みもちゃんとあります。そこまで緊張しなくていいですよ」

銀髪提督「あ、はい」

大淀「それと、私と明石さんは執務補佐……いえ、提督が未成年なので執務代行の為に先行配備された艦娘です」

明石「なんで、まだ艤装もちゃんとしてませんよ。実質戦える艦娘は夕立ちゃん一人だけ。とりあえず落ち着いて、明日建造にチャレンジしましょうか」

銀髪提督「了解です」

大淀「さて。夕立ちゃん、提督に鎮守府を案内してくれますか?」

夕立「はい、分かりました」

銀髪提督「あ、その前に夕立ちゃんをお風呂に行かせちゃっていいですか? さっき雨に濡れちゃって」

大淀「はい、構いませんよ」

夕立「それじゃあ夕立、ちょっとお風呂に……あ、そうだ」

明石「ん?」

夕立「大淀さん、貰った指令に間違いがあったっぽい」

大淀「間違いですか?」

夕立「ほら、着任するのは男性の提督だって」

銀髪提督「あ、やっぱり」

明石「大淀、伝えて無かったの?」

大淀「その、正直半信半疑だったというか」

夕立「ぽい?」

大淀「まさか、本当にその格好で来るとは」

銀髪提督「私もまさか許可が降りるとは」

明石「能力主義で来る者拒まずなところがありますからね」

夕立「ちょっと、皆だけ納得しないで! 夕立だけ仲間外れっぽい」

銀髪提督「ごめんごめん、夕立ちゃん、この指令間違ってないよ。私は男だから」

夕立「あー、なるほどー」

明石「提督もお風呂入っちゃいます? この鎮守府のは天然の温泉ですよ」

銀髪提督「え、そうなんですか」

大淀「そうなんです。それと、間宮さんが歓迎用の料理を作ってくれているので、それまでに鎮守府を見てまわって下さいね」

銀髪提督「分かりました」

 

夕立「って、ちょっと待つっぽい!!」

 

明石「何? 夕立ちゃん」

夕立「いやいやいやいや、なんで普通に進んでるの? 男? へ?」

銀髪提督「似合ってる?」

大淀「かなり」

明石「あらかじめ言われてなかったら気付かなかったですね」

夕立「似合ってるけど、違和感無いけど、なんでそんな……女装とかしてりゅっぽい!?」

銀髪提督「趣味かな。あと噛んだよ」

夕立「趣味で通したの、大本営ぃっ!!」

銀髪提督「通ったんだよね、びっくり」

大淀「変におおらかなんですよね、大本営」

夕立「もう、騒いでる夕立がバカみたい」

銀髪提督「いいリアクションだったよ」

夕立(うぅ、あたしのドキドキを帰してよ……あれ? 男の子なんだからむしろ健全になったの? あれ?)

銀髪提督「そうだ、正式に提督になったので、目標を聞いて貰っていいですか?」

夕立「目標?」

銀髪提督「うん、私はね……」

夕立「私は?」

 

銀髪提督「鎮守府でハーレムを作るのが目標なの。一号さんは夕立ちゃんね」

 

夕立「は?」

大淀「まあ」

明石「おお」

夕立「はぁあああああああああああああああああああああああああっ!?」

銀髪提督「これから本当によろしくね、末長く」

 

 

 

夕立『これが、あたしと提督さんの少女マンガみたいに甘酸っぱくて、最低な発言で締め括られた出会いでした』

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