三皇五帝物語   作:永遠の十四歳

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ここだけの話。

オリキャラの名前が決まっていない…


炎帝

季節は春。新しい季節の始まり―。

 

「クラス分けもう見た?」

「見た!見た!」

「三人一緒のクラス!」

 

『いえーい!』

 

高町ヴィヴィオ、コロナ・ティミル、リオ・ウェズリーの三人が集まり、

St.ヒルデ魔法学院初等科・中等科棟の前でそんな会話がされていた。

 

新学年になった後の一番最初のイベント、クラス分け。これから一年間を同じ教室で過ごす仲間として仲のいい友達がいるというのはやはりうれしいものだ。だから、うれしさのあまりハイタッチしてしまうのも、大きな声を出してしまって周りからほほえましく思われるのも仕方のないことだろう。

 

「じゃあ教室に行こう!」

「そのあとの集会早く終わるといいね」

「そうだね」

 

そう言って、三人は初等科棟の中へ歩いていく。

 

ちょうど同じころ、一人の少年が高等科棟の中へとはいって行った。

 

 

 

新学期始まりのあいさつが終わり、記念写真を撮り終わって。

ヴィヴィオたち三人は図書館へとやってきた。

 

席に座って本を読みながら、会話する。会話の内容はメールの内容だとか、ヴィヴィオはまだ自分用のデバイスを持っていないだとかそんなもの。こんな何でもない会話が楽しいのはやはり、友達が一緒だからだろうか。

 

そんな楽しい空気が少し変わったのは、借りる本を決めている最中にヴィヴィオの言った言葉が発端だった。

 

「そういえばリオ」

「ん?」

「今度の休みの予定はどう?一緒にストライクアーツの練習できそう?」

 

次の休みのストライクアーツの練習にヴィヴィオはリオを誘っていた。

答えは―

 

「もちろん!」

 

笑顔とともに一言で返された。

 

「そっか!」

「やったね!」

 

ヴィヴィオとコロナにも笑顔が広がり―、

 

 

「そういえば、お兄さんは来るの?誘ってみるって言ってたよね?」

 

 

―コロナのその一言でリオの笑顔が固まった。

そして、しばらくそのままフリーズしていた。

 

「リオ…?」

「どうしたの…?」

 

さすがに心配になった二人が声をかけるとようやくリオは動き出し、

 

「あ、ご、ごめん。何の話だったっけ?」

「え……」

「いや、だから…。今度の練習にお兄さんは来るのかって…」

「来るよ」

 

即答。今度は即答であった。

相変わらず笑顔のままだが、喜びの感情は表れていない。無感情の笑顔という何とも奇妙な表情を浮かべていた。

 

「そ、そうなんだ」

「よ、よかった来てくれるんだ」

 

友達の変わりように若干気押されながらヴィヴィオとコロナは返事を返す。

 

「うん。その日はちょうど予定もないから来るって。それと―」

 

リオは真剣な顔になりながら続けた。

 

「兄妹じゃなくて従兄ね。従兄」

 

先ほどとは違う圧力を感じながら二人は首を縦に振る。

 

「でも、二人とも」

 

今度は少し気遣わしげな表情を浮かべて、リオは二人に訪ねた。

 

「ほんとに会うの…?今ならまだキャンセルもできるけど…」

「えー!せっかく来てくれるんだから会ってみたいよ!」

「そうだよ!だって――」

 

ああ、その先は言わないでヴィヴィオ。なんて言うかわかっているけど。リオはそう思った。

いや、リオとてなぜヴィヴィオとコロナが自分の従兄(ここ重要)に会いたがるのか分かっている。分かっているが…。素直に合わせてあげようと思えないのは従兄のことをよく知っているからだ。この純粋な友達をいろいろと外れているあの従兄と合わせるのは気が引けるし、聞くとヴィヴィオたちの先生も来るという。ヴィヴィオたちの先生に変人と思われないか心配だった。従兄が変人と思われようが構わないが、自分も同じように見られるのは御免だった。ヴィヴィオ達の先生とも仲良くしていたいのだ。

 

(はぁ…。なんでこんな心配しなきゃいけないんだろ…?)

 

リオは窓の外を見る。雲一つない青い空に浮かぶ太陽は元気出せよ、と言っているようだった。

 

(なんでアイツは…)

 

 

「三皇を倒した五帝の一人なんでしょ!お話してみたいもん!」

「そうそう!どんな人か気になるしね!」

 

 

(三皇に勝っちゃったんだろう…)

 

楽しそうな会話をしている友人を前に憂鬱な気分になるリオだった。

 

 

 

St.ヒルデ魔法学院高等科でもHRが終わり、教室に残っている生徒は少なくなっていた。そんな中、教室のすみの机に座っている男子生徒がデバイスで通信を行っていた。

 

「なんだ。おまえは来ないのか?いい運動になると思うぞ?」

『行くわけないでしょ。あったこともない年下の子とのスパーなんて』

「安心しろ。俺も従妹の友人とその先生とやらとには会ったことはない」

『それでも、従妹さんがいるんでしょうが…。どちらにしろその日は用事があるから無理』

「デートか?」

『そうだけど?』

「ふむ…。ならばこれ以上誘うわけにもいかんな…」

 

黒髪の少年は残念そうな声を出す。通信相手は苦笑しているようだった。

 

『ま、今度予定があった時ということで』

「クハハ!そうしておこう」

 

黒髪の少年は笑うと

 

「ではまたな、戦友。今度は俺とデートしてくれよ」

 

通信相手は返事をせず一方的に通信を切った。一見すれば失礼な行為だが、黒髪の少年は全く気にした様子もなく笑い飛ばすと席を立つ。

しかしすぐに声をかけられた。

 

「タンドラちょっとまてくれ」

「うん?」

 

見れば委員長となった男子生徒が立っていた。

 

「このプリント記入して提出だってさ。期限は一週間」

「わかった。一週間だな?」

「ああ。頼むよ」

「それにしても大変だな委員長」

「今日だけじゃ女子の委員長が決まらなかったからな」

 

男子委員長は渋い表情を見せる。

 

「必要ないだろう」

「え?」

「必要ないだろう、女子の委員長は」

「何言ってんだよ…」

「おまえとは中等科から同じクラスだからな。人柄も能力も知っているが、おまえなら一人で十分やっていけるだろう」

「いやいや。委員長は男女一人ずつだからな?」

「そんな決まりきった型や常識などぶち壊せ。あとはそうする行動だけだ」

 

相変わらずだなぁと委員長は思う。こういう型破りというか常識外れを生きがいにしているような奴だった。そんな奴だが不思議と嫌いになれなかった。

 

「まぁ、アドバイスとして受け取っておくよ。それと――」

 

委員長は笑いながら言った。

 

「今年のインターミドル頑張れよ、炎帝。応援してるから」

「ああ、ありがとう。だが俺は試合で完全燃焼できればそれでいい」

 

そう答えるともらったプリントを差し出した。

 

「はい?」

「記入は終わった。提出済みにしておいてくれ」

 

そういうと今度こそカバンを持って教室を出る。

足は自然と速足に、口には笑みが浮かんでいた。それもそのはず、これから完全燃焼できた相手と試合ができるのだ。そのための障害は叩き潰す。容赦しない。それは試合でも、プリントでも変わらない。そして、今日の試合でも完全燃焼できるに違いない。そう思いながら約束の場所へと向かうのだった。

 

 

 

残された委員長の手には渡されたプリントが握られていた。

渡されたプリントの名前欄には以外にもきれいな字で名前が書いてあった。

 

「シン・タンドラ」

 

 




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