「キレア」
その人は私に笑いかける。
「でもね、知らない人に簡単に名前は教えちゃいけないよ。」
「ラプラスに何したの。」
少し困った顔を浮かべている。
「話がしたかったんだ。それだけだった。でも彼女が襲ってきた。」
『あのラプラスことだぁ、手加減なんかしなかったんだろぅ』
「そうなんだよね。」
傍らの黒い大きなポケモンを眺めながら言う。
「ロコンの言葉がわかるの?」
子供の様な無邪気な笑顔私に向けてきた。
「君と同じだ。」
ぞわっとした。
その言葉を聴いた途端目の前に立っているその人が恐ろしく感じた。
「あぁ、そうだラプラスなら大丈夫。今は気絶してるだけだから。」
「この島に何の用?」
「用事があって来たんだ。」
「だから何の?」
「君は本当に昔の僕にそっくりだ。」
話が噛み合わない。
風が吹きその人の緑の髪が揺れる。
笑っている。
友達を見つけたように笑っていた。
「君はこれから沢山の試練を乗り越えなければならない。さあ、予行練習だ。僕とポケモンバトルだ。」
「バトル?」
「そう、バトルに勝ったら何でも教えてあげるよ。」
バトル、なんてしたことがない。
『わ、私は無理よ!』
頭上でアゲハントがバタバタしている。
と、なると
『しゃっ、オレサマが相手になってやるぜぇ!』
勢いよくロコンが飛び出す。
「決まりだね。」
その言葉と同時に黒いポケモンが動き出す。
「手始めにー」
黒いポケモンの頭上に青白い光が集まる。
バチバチと音を立てている。
電気技か。
「10万ボルト。」
光の塊が細い線へと変わりロコンに向かっていく。
「よけて。」
『おうよ』
とっさに声が出た。
間一髪で10万ボルトをよけたが、直撃した砂浜には凹みが出来ていた。
『ちっ、砂地で足が取られちまう』
悔しそうに砂に足蹴りをする。
「キレア、君の番だ。攻撃の指示を出さないと。」
と、言われたところで
「ロコン、何使えるの?」
技を知らない。
『しらんっ!』
は?
『いやだって、バトルなんてしばらくしてなかったから忘れちまった!』
『あなた、それでバトルしようなんてよく思えたわね。』
アゲハントも呆れ気味だ。
じゃあ、どうすればいいのか。
『特攻だぜぇ!』
そう言うとロコンは一直線に突っ込んでいく。
「ちょっと、待って。」
私の声は届くこと無く、黒いポケモンのお腹に体当りをする。
が、
「それは攻撃ではないね。」
あの人は少し残念そうな顔をしてこちらを見ている。
「1度始めたバトルはきっちりしたいから。」
そう言うと、再び光が集まり始める。
まずい、また10万ボルトだ。
「ロコン、何かできないの?」
ロコンは黒いポケモンの左腕に噛み付いた。
「それも攻撃ではない。」
どうしようーー。