ある初夏の日の昼下がり。まだそれ程まで日差しも強くない中幻想郷にある博麗神社では、宴会の準備が進められていた。
魔「よう、霊夢。宴会の準備手伝いに来たぜ。」
霊「あら、魔理沙。生憎だけど今回は人手は要らないわ。」
どういう事なんだ?と聞こうとした魔理沙は神社の奥で忙しく動いている藍と橙を発見し少し戸惑った。
魔「ありゃどういう事だ?」
霊「今回の宴会は紫が主催なのよ。私は場所を貸すだけ。」
魔「そうすれば苦労せずにタダ酒やタダ飯にありつけるって訳か。」
霊「ショバ代もね。」
霊夢は微笑みながら親指と人差し指を擦り合わせて言い放った。
魔「末恐ろしいやつだな。でもところで一体紫は何の為にこんな事を」
霊「私も詳しい事は分からないけど、兎に角面子を集めたいらしいわ。だから今日の酒肴もいつも以上に用意しているし、ほらお酒も
こんなに豪華よ。」
魔「うわっ!それ、『時雨鬼酒』じゃないか!!あれだろ?地底の鬼が年に一度だけ醸す超貴重なやつじゃないか!!」
霊「もう、ここまで来ると嬉しいより先に怪しいわね。」
藍「あのー、その事なのだが。」
見ると仕事を終えた藍が霊夢の後ろに立っていた
魔「おぉ、どうしたんだ?」
藍「実は紫様にお2人には先に話しておくように言われたんだが。私も詳しくは知らされていない、だから推測混じりになるが話させてもらって良いか?」
そして藍は自分が紫から聞いた事とたまたま自分が見てしまった事などからの推測を交えた自分なりの仮説を霊夢と魔理沙に話した。
幾ら推測混じりの確証のない話とはいえ、それは異論を寄せ付けぬ程筋が通っていてなおかつ、驚愕的な話であった。
霊「面倒な事になりそうね。」
魔「面倒な事になりそうだな。」
2人は口を揃えて言ったが、少なくとも表情と声色は正反対だった。
日が落ちて辺りも暗くなり始めた頃から少しずつ宴会の面子も集まり始め、30分もすれば博麗神社は何時もより賑やかなだけのいつも通りの宴会会場と化していた。ある1角を除いて。
霊「さっき藍から聞いたわ。一体全体どういうつもりなの?」
紫「焦らないの。後で全員に向けて話すわ。」
霊「で、でも...」
紫「今は宴会を楽しみなさい。折角珍しいお酒もあるんだから。」
紫はそれだけ言うと席を移動してしまった。しかし霊夢は紫が話の大きさの割にのんびりとしたのをみて、少なからず心配の度合いは低くなっていた。
心配していた霊夢もいつもの様に宴会を楽しんでいると不意に紫が立ち上がり話をし始めた。
紫「みんな、一旦宴会を中断して話を聞いて頂戴。」
その一言で酒の入って気が大きくなっている妖怪や鬼を黙らせることが出来るのは、やはり大妖怪としての彼女の実力があってのことだろう。
紫「実は数日後に幻想郷の結界を緩める事にしたわ。」
一瞬で会場にざわめきが生じた。結界は幻想郷が幻想郷であるために必要不可欠なものであって皆が動揺するのは当然の反応だった。
萃「何故そんなことをするんだ?今のままで十分だろ。」
紫「あなたは、確かに十分かも知れない。
でもね外の世界には今の幻想郷より素晴らしいものもいっぱいあるわ。腐っても私は賢者で幻想郷が好きだから幻想郷の皆には少しでも良い暮らしをしてもらいたいのよ。」
萃「気持ち悪いな、もしやお前別人?」
紫「失礼ね!」
西幽「でも結界を緩めるって事は幻想郷の妖怪が外の世界に出てしまう事も考えられるでしょ?冥界の霊たちが冥界の外に出たり、」
さ「地底の怨霊が地上に出現するのとは訳が違うわ。」
紫「えぇ、そうね。だから対策も講じてあるわ。今の幻想郷の者では解決出来ない事態が発生するかも知れない。だから解決出来る物を者を作ったのよ。」
魔「作ったどういう事なんだ?」
永「ここから先は私が説明しています。私はある薬を開発しそれを適合する人間に服用させました。」
霊「それが紫の言ってる奴ね。で、その薬って何なの?」
永「実態を持つものにはDNAと言うその個体の情報を司るものがあるんだけど、その薬はそれを人に植え付けることが出来るの。」
優「分かりやすく言うと、例えば妖夢さんののDNAを使ってその薬を作ると服用者は、剣術に長けた者になるということです。それ以外にも文のDNAを使えば風を操れるようになるだけでなく、カラスとの意思疎通や鴉天狗並の飛行速度も手に入れる事が出来ます。」
霊「(最初のは別に妖夢じゃなくて良くね?)」
文「(なんで私呼び捨てなのに妖夢さんはさん付け?)」
妖「(みょーん(恥))」
魔「ところでそいつには誰のDHAを植え付けたんだ?」
永「DNAね。ここにいる全員よ。」
えぇ〜!?と再び会場がどよめきに包まれた
永「一つの個体に全ての程度の能力や特性が集まった方が都合が良いのよ。ただし全てを100%植え付けるのは無理だから本人の7割程度だけどね。」
正「ちょっと待て、そんな奴が私みたいな言動を取ったら大変な事になるんじゃないのか?」
霊「なんであんたがそんな心配してんのよ。でも確かに一理あるわね。」
永「念の為本人に知られてはいけないから詳しくは言えないけど対策は取ってあるわ。じゃあそろそろ本人を呼ぶわね。」
そういって半ば強引に話を終わらせると、迷いの竹林に向かって矢を放った。どうやらそれが合図のようだ。
すると10秒程送れて地響きが鳴り、神社の境内に砂埃がたった。そしてその中から現れた人間は少年の姿だった。
いかがでしたか?幻想郷の少年用心棒。2年くらい構想していたシリーズなので辻褄が合わないみたいな事はないと思いますが、文才はまるでないので温かい目で読んで下さると助かります。
また、キャラを書き分けれる自信がないのでト書きをつけさせていただきます。また幽々子と幽香や小傘と小鈴のように頭文字の漢字が被るキャラは苗字の頭文字も表記してなるべく分かりやすくなるように心掛けたいと思います。
因みに作中に出てきたお酒の名前は魂音泉さんの楽曲のタイトルをもじったものとなっています。ごめんなさい。
それでは次回も宜しくお願いします。