ある晩春の昼手前。時期の割に暑い外の世界のとあるアパートの1室で中学生の少年は何をする訳でも無く布団の上でゴロゴロしていた。
?「あー暇だなぁ。」
休みの日な為学校に行くでも友達と遊ぶでもなく、ただただ退屈そうに時間を持て余していた。
?「なんか無いかなぁ。」
紫「あら、無いこともないわよ。」
少年は声がした方を向き、10秒程沈黙した後、言葉にならない声で叫んだ。
紫「あらあら、可愛いわね。」
?「え、え、ちょっ、まっ、えぇぇぇ⁉︎八雲紫⁉︎え、実在すんの⁉︎ってかスキマ⁉︎どうなってんの⁉︎」
紫「聞きたいことは沢山あるでしょうけど、まずは話を聞いて頂戴。」
紫の真剣な面持ちに少年は紫の方に改めて向き直った。しかし依然として手足は震えていた。
紫「まず、あなたの名前は伊織縁斗、15歳。間違いないわね?」
縁「はい。」
紫「あなたは病気にかかったことがない。あってるわね?」
縁「あってます。」
紫「ふむ.....じゃあついでに聞くわ。スポーツ経験はあるかしら?」
縁「はい。剣道とサッカーはやってました。」
紫「合格よ。」
縁「ほぇ?」
紫は今企んでる計画の事を縁斗に話した。言わずもがな縁斗は驚いていた。
縁「話は分かりました。っていうか幻想郷って実在するんですね。」
紫「一般に実在してるなんておもわれてたらそもそも存在出来ないもの。」
縁「そりゃそうですね。で、さっきの計画と俺がどう関係あるんですか?」
紫「それに関しては、私は説明出来ないから...」
そういうと紫は再びスキマを開き、誰かを呼んだ。スキマから出てきたのは、もちろん例の薬の製作者である永琳だった。
縁「うわっ!えーりんだ!」
永「あら、やっぱり紫の言ってた通り知ってるのね。」
縁「( ゚∀゚)o彡゜えーりん!えーりん!」
永「折角の適合者なのに殺すのは残念ね。」
縁「すいません。冗談です。ごめんなさい殺さないで下さい。」
永「冗談に決まってるじゃない。」
縁「色々情報知ってるだけにめちゃくちゃ怖いんですよ。これでも俺東方好きなんですから。」
永「東方?」
紫「その辺は今度説明するわ。」
縁「ところで、さっき適合者って言ってましたけど、どういう事ですか?」
永「では、端的に言うわ。貴方には永遠亭に入院して、この薬を1ヶ月服用して、幻想郷の用心棒になって貰うわ。もちろん、貴方が同意すればの話よ。」
縁「幻想郷の用心棒?ってかどんな薬なんですか?」
永琳と紫は薬の概要と縁斗に果たして貰いたい役目を話した。
縁「しかし、なんで俺なんですか?他にも居そうなもんじゃないですか。」
永「適合する人としない人がいるのよ。適合者の遺伝子型だと同時にまぶたが片方一重で片方二重になるのよ。」
縁「なるほど。確かに俺のまぶたはそうです。」
永「それに、1度も病気にかかったことがない位の健康体じゃないと薬の副作用に耐えきれないわ。」
紫「それでいて、幻想郷の事にそれなりに詳しい方が都合が良いわ。だから貴方に白羽の矢がたったのよ。」
永「もちろん貴方には貴方の生活があるのだから断ってくれても構わないわ。副作用はインフルエンザなんかよりよっぽど辛いわ。それに確実に効果が出る訳では無いし、最悪の場合死ぬ事だって考えられるわ。それでもこの話を受けてくれるかしら?」
縁斗はしばらく黙り込んだ。今まで普通に生活していた彼からすれば話が突飛過ぎてすぐには理解が追いつけなかった。
5分程沈黙が続いていたが彼がその沈黙を破った。
縁「分かりました。その話受けさせて頂きます。」
永「本当に良いのね?」
縁「はい。構いません。丁度今の生活に嫌気がさしてきてたところです。それにリスクがあるとは言え、幻想郷の役に立てるなら喜んで受け入れます。」
紫「...じゃあ早速荷物をまとめたら幻想郷へ行くわよ。」
縁「分かりました。」
縁「ってな訳で1ヶ月程前に幻想入りした伊織縁斗です。」
早「あれ?でも15歳ですよね?その割には小さく無いですか?」
永「それは薬の副作用よ。」
縁「まぁ、もともと童顔じゃああったから違和感は無いと思います。」
霊「ところでさっき話に出てきた東方ってなんなの?」
紫「まぁ、簡単に言えば幻想郷での異変がゲームになって、それを元にした色んな作品群の事よ。だから幻想郷の知名度はそれなりにあるようだけど、実在してるなんて思ってる人は居ないわ。」
霊「なるほどそれなら安心ね。」
魔「ところでどこに住んでるんだ?」
縁「.....どこだろう?今までは永遠亭に入院してただけだし。」
レミ「住むところ無いなら紅魔館に来て良いわよ。」
なんとレミリアが突然紅魔館へ招待した。
縁「え?良いんですか?」
レミ「もちろん条件付きよ。小悪魔、ちょっと来なさい。」
小悪「はい。なんでしょう?」
レミ「小悪魔と戦って勝ったらうちに住んで良いわ。もちろん朝昼晩3食ついてるわ。問題無いでしょう咲夜。」
咲夜はレミリアの横で静かに頷いた。
小悪「お嬢様〜絶対勝てませんよ〜。」
レミ「別に負けても良いわ。彼の実力が見たいだけだから。だからこそ全力で戦いなさい。」
小悪「はい!!」
突如境内で始まった縁斗対小悪魔の戦い。やはり宴会に喧嘩は付き物である。
縁「幾ら姿形が小さいとは言え、そんじょそこらの妖怪よりよっぽど強いですから、手加減しないで下さいね。」
小悪「もちろん。」
こうして、幻想郷の住人が見守る中戦いの火蓋が切って落とされた瞬間小悪魔は縁斗の腹に強烈な蹴りを食らわせた。
小悪「あれ?こんなもんなんですか!?」
これは皮肉でも挑発でも無い純粋な小悪魔の意見だった。そして、大半の傍観者もそう思っただろう。
縁「ふぅ、あービックリした。」
しかし当の本人はダメージなど全くないようで、ケロッとしていた。
小悪「効いてない!?これでも美鈴さんに武術教わってたから自信はあったのに。」
縁「まぁ、悪くは無いですけど、肉体強化魔法使ってましたからダメージはありませんでした。」
レミ「もう能力を使いこなしているわね。」
縁「ではこちらからも行かせて貰いますね。」
そういって縁斗が1歩踏み出した次の瞬間には小悪魔は彼の腕と足で体を固定され自由に動けない状況になっていた。
小悪「なっ!?」
縁「では早速ですが、勝たせて頂きますね。」
そのまま縁斗は容赦なく小悪魔にバックドロップを食らわせた。その圧倒的な試合に幻想郷住人から甲高い歓声が上がり縁斗は気恥しいそうにしながら倒れた小悪魔に手を差し伸べた。
縁「大丈夫でしたか?ごめんなさい力加減忘れて思いっ切りやってしまいました。」
小悪「いえ、大丈夫ですよ。妖精や妖怪の類いは回復が早いですから。」
さっきまで気迫のあった縁斗だったがこうしてみると、悪戯したのがバレて親に怒られているあどけない少年のような可愛らしさもあった。
レミ「では決まりね。」
そういうとレミリアは縁斗の前に歩み出て手を差し出した。
縁「よろしくお願いします。」
縁斗はその手を握りレミリアの目を真っ直ぐに見て言った。
レミ「さて、咲夜。そろそろ引き上げるわよ。」
咲「かしこまりました。」
美「フラン様帰りますよ。」
フ「はーい。」
チ「あたい達もそろそろ帰ろう。」
大「そうだね。」
西幽「妖夢〜そろそろ帰るわよ。」
妖「はい。分かりました。」
そして博麗神社は霊夢以外誰も居なくなってしまった。
霊「もう、何よ〜!誰か片付け手伝ってよ〜。」
いかがでしたか?
少年というよりショタな感じはしますが伊織縁斗がこのシリーズの主人公としていきます。
主人公補正がかかりすぎている気はしますがその分バトルシーンは圧倒的に縁斗が不利な状態でなおかつ割合少なめでやっていきたいと思います。
また彼の過去も必要があれば明かしていきたいと思っています。
次回からは1話完結的にやっていく予定です。
それでは次回もよろしくお願いします!