原作最終回その後のレッドさんをザックリ妄想したもの。イエローのキャラが変わってる&ご都合主義な設定追加が問題無いよってお方どうぞ。

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サンレッドその後

「おい、ヴァンプ。なんか食わせろー」

玄関の扉を開くなり敵であるはずの悪の組織フロシャイム川崎支部のアジトへと堂々と立ち入る。まっすぐに廊下を歩き居間へ向かうと、すっかり定位置になっているちゃぶ台の前に座り込む。するとまるで待ってましたと言わんばかりにヴァンプ将軍が食器の乗ったお盆を持って居間に入ってくる。

「はいはい。お待ちしてましたよレッドさん」

手慣れた手つきで食器をレッドの前に配置していく悪の組織の将軍。今日の献立は唐揚げ定食である。見た目も味も店を出したら毎日行列ができてしまうレベルだろう。

「お、今日はずいぶんと用意がいいじゃねぇか」

そういいつつ早速箸に手を伸ばすレッド。レッドが食べている間ヴァンプは茶をすすりながらテレビをみている。その光景はもはや熟年夫婦を思わせる奇妙なものである。

「ふう。食った食った。ごちそーさん」

「はい、お粗末様でした」

「今日の唐揚げはなかなか良かったな。鶏肉がいい感じに柔らかかった」

その言葉にやや興奮気味に答えるヴァンプ。

「流石レッドさん。近くのスーパーでいいモモ肉が特売してたんでついつい買いすぎちゃったんですよ。レッドさんももうすぐ来る頃だと思ったんでどうせなら食べてもらおうと思って」

「ここにしょっちゅう来てる俺がいうのも何だがそれでいいのかよお前・・・」

「いつものことなんでもう慣れたといいますか」

「ま、こっちとしては別にいいんだがな」

食事が済んだためもう帰ろうと立ち上がるとヴァンプが思い出したように話し出す。

「そういえばレッドさん、かよこさんと結婚なさったのにここに来てていいんですか?またこないだみたいな喧嘩しないでくださいよ。あの時はおめでたな空気になりましたけどあの後キングフロシャイム様に怒られちゃったんですよ私」

痛いところを突かれたらしく言われたとたん明らかな動揺を見せ始める。

「う、うっせーな!お前にはカンケーねぇだろうが」

「何言ってるんですかレッドさん。お二人の今の関係は私たち無しじゃなかったものじゃないですか。大体お二人が喧嘩するととばっちり食らうのはいつも私たちなんですからね」

普段温厚な悪の組織の将軍が珍しく声を大にしてレッドに食ってかかる。言われていることが図星なだけに思わず言葉に詰まってしまう普段はチンピラのような正義の味方。

「だ、黙って聞いてりゃこの野郎・・・もういい帰る!」

「あ!逃げるんですかレッドさん!ヒーローがそれでいいんですか!」

「悪の組織のおめーが人の家事情心配してんじゃねぇ!」

分が悪くなったため捨て台詞を吐きながらアジトから逃げるように出ていく。

「クソッ。あいつ余計なことを言いやがって・・・」

先ほどヴァンプに言われたことが気になってしまい自宅に帰りずらくなったレッドは行き場もなくただ前に歩いているだけだった。しばらく歩いていると前方からぬいぐるみ型怪人ウサコッツが飛んでくる。レッドを見つけたウサコッツは一直線にレッドのもとへやってくる。

「レッドだ!何してんの?」

「おー、ウサか。ヴァンプのとこで飯食ってきたんだよ」

「へー、そうなんだ。じゃあ今日はもう暇なんでしょ?ちょうど暇してたから遊んでよ」

「お前の中で俺の予定は飯食うことしかないのかよ・・・。ま、別にいいけどよ」

「やったー!じゃあ公園にいこー。この時間ならあいつらもいないから安心して遊べるよ」

「あの悪ガキどもか・・・。お前怪人なのに子供を傷つけられないとかめんどくせぇ作られ方してるよな」

そのままたわいもない会話をしつつ公園へと向かう。ウサは特等席のレッドの頭の上に乗っかっている。公園につくなり砂場へと飛んでいくウサから離れベンチに座るレッド。ブランコや滑り台などではでは親子で遊びに来ている人たちもいる。楽し気に触れあっている親子の姿を見て小さくため息をつく。ウサコッツの様子が気になり砂場の方に顔を向けるとちょうどこっちに向かってきていた。

「レッドー。ちょっと来てー」

「おー、なんかできたのか。よっこらしょと」

「レッドなんかおっさんみたいだよ」

「うっせ。まだ俺はそんな歳じゃねぇよ。んなことよりなんかできたんだろ?見せてみろよ」

「あ、そうだった。なかなかの力作だよ」

そして砂場に向かうとそこにはレッド、かよこ、ウサコッツの顔が並んでいる。顔の輪郭は砂で盛られ立体的になっており、目などのパーツは砂を窪ませて描いている。レッドとかよこの間にウサコッツがいる構図になっていた。

「お前こんな器用なことがことができるやつだったか?」

「失礼だな。ボクの本気を出せばこのくらいできるよ」

「お前ら対決の時に本気出せよ」

「なんだとー!ボクはいつだってレッドを殺すのに本気だよ!」

「そういうことにしといてやるよ。しかしなんでこれ作ったんだ?」

さっきまでレッドにからかわれていたことをすっかり忘れ得意げに解説を始める。

「えっとねー、これはボクがレッドと戦ってるんだよ。かよこさんはそれを見てるんだ」

「顔だけじゃそんなことわかんねぇよ。しかもなんでその場面でかよこは笑ってんだよ。どっちかっていうとこれじゃあまるでお前が俺らのかぞ・・・いや、やっぱりなんでもねぇわ」

「えっ、今なんて言おうとしたの?教えてよレッド」

「なんでもねぇって言っただろ。それよりそろそろ帰るわ俺」

「えー?まだ公園に来てちょっとしかたってないじゃん。暇なんじゃなかったの」

「うるせーな。用事を思い出したんだよ。アジト帰ってカーメンたちに遊んでもらえ」

「ちぇー。つまんないの。ならボクも帰ろー」

公園を後にしたレッドは帰るとは言ったもののその足は自宅へ向かうことはなく気づけば多摩川沿いを歩いていた。それに気づいたのは目の前からレッドの名を呼ぶ声が聞こえてからだった。

「レッドはん久しぶりやな。こんなところでなにぼけーっとして歩いてんねん」

「ああ・・・イエローか。てか相変わらずだなアンタも」

それはかつての仲間であったウェザーイエローだった。

「つーかヒーローやめたのになんでまだマスクしてるんだよ」

「ああ、これ被ってるとお客さんのウケがええんや。それよりレッドさん結婚したんやってなぁ。驚いたわぁ」

「なっ、なんでアンタがソレ知ってんだよ!誰から聞いた!」

「ヴァンプはんや。仕事で近くまで来たもんやからついさっき挨拶に行ったらソレ教えてもらったんや。せやからお祝いも兼ねて久々に飲みに誘おう思ってな。ここで会えるなんてグッドタイミングやな。新婚早々で奥さんには悪いけどこれから一杯いこうや、な?」

「ヴァンプの野郎・・・。後でシバく。まぁいいわ、行こうぜイエロー」

「おっしゃ!決まりやな!ほな早速いこか」

そのまま多摩川をあとにしふたりは居酒屋へと向かった。乾杯をした後は近況の話や昔話で盛り上がり落ち着きを見せ始めた頃。

「いやぁしかしあの暴君のようなレッドはんが結婚するとはなぁ。ほんま人生何があるかわからへんわ」

「おい。誰が暴君だよ。正義の味方が悪の組織を懲らしめて何が悪いんだよ。大体アンタも極悪レスラーみたいなことばっかりやってたじゃねぇか」

「そんなことあったかな?歳のせいか思い出せへんわ」

「都合がいい脳みそしてんな・・・つってもあいつが酔った勢いで言い出したんだよ」

「なんやその言い方やとレッドはんが押し切られたみたいやなぁ。暴君も惚れた女には弱かったちゅうことやな」

「うっせ!そんなんじゃねーよ」

イエローから顔を背ける。

「ほななんやねん。好きではい言うたんやろ?今くらい素直に認めぇや」

「どうでもいいだろんなこと。特に話すことねぇよ」

声色を先ほどより低くしこの話は終わりだというように手をひらつかせる。その様子を見てイエローも声を小さくし尋ねる。

「まさかやと思うけどレッドはん、嫁はんにそういうの言うたことないんか?」

「・・・しつけぇぞ」

明らかに機嫌の悪そうな態度のレッドにイエローは深くため息をつく。

「それは無いでレッドはん。嫁はんに言わすだけ言わしてそっちは何も無しかいな。・・・こんなん言いたくないけどほんまに嫁はん好きなんか?」

「・・・」

「・・・ヒーロー以前に男としてどうなんやそれ。大体ヴァンプはんは悪の組織とは思えんほどおとなしいからヒーローとしての活動もほとんどまともにやってへのやないのか?」

「んなことは・・・ねぇ、よ。あいつらが悪さしないようにアジトとかいってみたりしてんだよ」

普段のレッドとは打って変わってぼそぼそとしゃべり、最後の方は周りの喧騒にかき消され聞こえなくなっていた。

「そうか。せやけどそれも一日中ってわけやないやろ。家ではなにしてるんや」

「一応、家事、とかやってるよ」

言い訳じみたその言い方にイエローは嘲るように鼻を鳴らす。

「なんやそれ。ただのヒモやないかい」

直後、レッドの手に握られたジョッキが音をたてて砕け散る。中身が漏れ出し手と机の上を

濡らしているがそれには目もくれず拳を固めたまま小さく震わしている。

「それ以上はアンタでも許さねぇぞ」

「まぁ落ち着けや。久々に飲んだ事やし、今度は久々にやりあうのも悪くないんちゃうか」

「上等だ。表出ろや」

「そうこんとな」

二人が店の外に出るとイエローは人差し指を軽く屈曲させ挑発する。その動作を合図にレッドは一気に間合いを詰めて顔面に向けて拳を繰り出す。フロシャイムの中でもトップクラスの強さを持つ怪人でも一撃でダウンさせる鉄拳であるが、イエローはそれを手のひらで受け止めていた。

「ヒーローのパンチがただのサラリーマンに止めれてしもうたわ。引退した方がええんとちゃうか?」

「何がただのサラリーマンだよこの野郎!」

即座にもう片方の拳を放つが今度はいなされてしまいレッドの体制が少し崩れるが瞬時に体を回転させ回し蹴りを放つ。鞭のようなしなりを持った一撃はイエローのビール腹に直撃した。これには流石のイエローも少しよろめいたがレッドが足を引っ込める寸前に足に掴み掛りそのまま肩に担ぎ背負い投げのような動きでレッドを顔面から地面に叩きつけた。そして起き上がれせる暇も与えずレッドを組み伏せてしまう。プロレス技を得意とするイエローに技をかけられてしまうとレッドですら容易に抜け出すことはできない。

「ほんまにどうしたんよレッドはん。もしかして平和ボケでもしてもうたんか?」

「なわけねーだろ。アンタヒーローやってる時より強くなってんじゃねーのか?」

「はっはっは!そこは経験の差ってやつやな」

「なんだよそれ・・・」

「ま、ちょいとはしゃぎすぎしもうたな。場所変えてはなそか」

レッドも頭が冷えたのか、おとなしく従うことにしたようだ。居酒屋を後にした二人はいつもの公園にやってきていた。

「・・・レッドはんのことやからどうせ恥ずかしゅうて自分の思てること言えんだけなんやろうけど、それ嫁はんの方からしたらなかなかつらいもんやと思うで。彼女の気持ちとか考えたことあるか?」

「考えてるつもりだよ。だからこっちも気ぃ遣って・・・」

「そこや、そこ。結婚までした相手になに他人行儀な気を遣ってんねん。それも言うことなんも言わんままで。相手の気持ちを考えてへん気づかいなんてしても不安にさせるだけやぞ。それともあれか?自分を養ってくれる女なら誰でもええってやつか」

「なわけねぇだろうが!適当なことぬかすんじゃねぇよ!かよこ以上のやつなんてどこにもいねぇんだよ!」

思わず自分の口にしたことの意味を理解した瞬間、レッドはイエローから背を向けた。そんなレッドを見てイエローは呆れたようにため息を吐く。

「やーっと口にしおったか。どんだけめんどくさいこ゚とさせるねん。そういうとこは昔から変わらんなぁ」

「なっ、てめっ!はめやがったな!」

「・・・しかも今更気づくとか遅すぎやわ。鈍感にもほどがあるっちゅーねん」

「うるせぇな!もういいだろうがよ。俺は帰るぞ」

「最後に一つだけ。別に感謝の言葉とかだけでもええねん。レッドはんが思ってる事なんか一つだけでも伝えたりや。・・・それじゃあこっちもそろそろ帰りますわ。なかなか今日は楽しかったで。ほな、さいなら」

「お、おう・・・」

レッドの返事を待たずしてイエローはさっと身を翻し、その場から去っていった。

 

自宅に戻るとすでにかよこは帰宅しており、夕食の支度をしていた。

「帰ったぞ」

「あら、おかえりなさい。今日はちょっと遅かったわね・・・ってどうしたのそれ?服ボロボロじゃないの。ヴァンプさんとの対決?」

「ああ、まぁそんなところだ」

「何それはっきりしないわね・・・。ま、怪我は無さそうだしいっか。それじゃあ先にお風呂入っちゃって。出てくるころにはちょうどご飯出来てると思うから」

自分の格好を深く追及されるのではと内心穏やかではなかったレッドだったがわりとあっさり流されたのでほっと胸を撫で下ろしていた。風呂に入った後はイエローとの喧嘩でまた空腹を感じていたため、かよこと共に夕食を食べることにした。そして夕食を食べ終わりかよこが風呂から出てきた時のこと。

「はぁー。さっぱりしたわ。やっぱりお風呂はいいもんねぇ」

「あのさ。話があんだけど」

「なに、どうしたの?そんなに改まっちゃって」

「いや、なんつーか、その・・・」

いつもと違い視線を彷徨わせ、そわそわとしている。そんな様子のレッドにかよこも思わず身構える。

「なんなのよ。早く言っちゃってよ。気になるじゃないの」

「あーと、だな。・・・いつもありがとな。その、いろいろと」

「え?」

突然のことにかよこも驚きを隠せず、固まってしまう。

「これから先のこと考えたらさ、今迄みたいにお前ひとりに色々押し付けたままだと悪いっつーかさ。・・・だから、俺もこれからできること増やしてよ、少しでもお前に楽させてやれたらなって思ってんだ。俺たちもうさ・・・家族、なんだからよ」

ほとんどうつむいており、声も普段より小さめであったが、確かな決意を感じさせる空気を纏っていた。レッドが顔を上げるとそこには瞳に涙を浮かべ呆然としているかよこの姿があり、彼はそっと彼女を抱きしめる。

「あんたって本当に、バカで不器用よね」

「なっ、おまっ・・・」

「でも、私はそんなあんたに惹かれちゃったのよね」

「・・・」

「あんたはさ、世界の平和を守るヒーローなんだから、もっと堂々としててよね。そんなんじゃ不安になっちゃうでしょ」

「う、うるせー。んなこと言われなくても分かってるよ。俺に任しとけ」

「うん。頼りにしてるわね、私のヒーロー」

 

 

 

後日。

「あ、レッドさーん!こっちですよ早く早く!」

「そんなにでけー声出さなくてもわかるっての」

「かよこさんこんにちは。今日はお花見楽しみましょうねぇ」

「お招きしていただいてありがとう、ヴァンプさん。わぁ、すっごい綺麗な料理!食べるのもったいなくなってくるわね」

「ありがとう、そういってもらえて嬉しいよー。でも腕によりをかけて作ったから遠慮せず沢山食べてね」

「呼んでおいて俺はガン無視かよ・・・」

「ほらあんたも拗ねてないで頂きましょうよ。はい、あーん!」

「ちょっ、おまっ、やめろこんなところで!」

「あー、レッドさん照れてる。素直じゃないですねー」

「レッド照れてるー」

「おめーらは黙って食ってろ!」

 

天体戦士サンレッド

これは神奈川県川崎市で繰り広げられる善と悪の壮絶な戦いの物語である―。

 


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