あたしと比企谷の友達Diary   作:ぶーちゃん☆

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お待たせしました!
思いのほか長い物語になってしまいましたが、今回でようやく終了です。
そして……後書きにて重要なお知らせがっ……!



……しっかし、物語の〆ってのは、なぜにこうも文字数がかさむのか……(汗)




日記18ページ目 幸福感と喪失感

 

 

 

「あはは、あたしがかおりんとかウケる! じゃああたしはガハマちゃんて呼ぼっかなー」

 

「あたしガハマちゃん!?」

 

「ちょっとかおりさー、そこは普通に結衣ちゃんでよくない?」

 

「ち、千佳なんてっ……まっちー呼ばわりされてんじゃん……! ま、まっちー……まっちーとかっ……」

 

「……それは確かにアレかと思うけどー……」

 

「えー? まっちー可愛いと思うんだけどなー」

 

「やばい死ぬ! ガハマちゃんあだ名センス壊滅的すぎんだけどー」

 

「わ、わたしもそれは否定できないよ……」

 

「酷い!?」

 

「はぁ……あなた達、いつまでばか騒ぎしているつもりなのかしら……ここは公共の場所なのよ」

 

「ゆきのん相変わらず堅すぎウケる」

 

「あ、あなたにゆきのん呼ばわりされる謂われはないのだけれど!」

 

 

 えーと……君たちさぁ、どんだけ一瞬で馴染んでんだよ。何年来のお友達なのん? まぁもちろん雪ノ下は振り回されてるだけだが。

 

 どうしてこうなった……

 

 

× × ×

 

 

 俺は今、人生を悔やんでいる。

 まぁ確かに今までも恥の多い生涯を送ってはきましたよ。だが今はそんな人間的に失格なことを考えている余裕など無いほどには悔やんでいる。

 

 そりゃそうだろう。だって目の前には殺意の視線の雪ノ下と憤怒の視線の由比ヶ浜が仁王立ちしてるんだよ?

 くっそ……こんなことになるならちゃんと断っとけば良かったよぅ……

 

「あ、雪ノ下さんじゃーん。おひさー」

 

 そこでいきなりの援軍が雪ノ下に元気に声を掛け、ちらりと俺に視線を寄越すと、にひっと笑顔で軽くウインクする。愕然としている俺に助け船を出してくれたのだろうか?

 そういやこいつら面識あったっけな。

 

「……な!? あ、あなた確か折本さんと言ったわね」

 

 いきなり折本に声を掛けられた雪ノ下は、分かりやすいくらいに動揺して顔を引きつらせた。

 さすがは雪ノ下の天敵。ゆきのんをここまで動揺させるのなんて、なかなかのもんっすよ。

 

 てかこいつ、俺に罵声を浴びせてきた時点で折本の存在に気付かなかったのん?

 まぁ大方、小町とどこかに遊びに行ったはずの俺が、葉山と他校の女子と一緒にファミレスに居るという考えられない現状を目の当たりにして、そこまでの余裕がなかったってところか。

 

「あ、あなたまでこんなところでなにをしているのかしら。あと比企谷菌が感染るから、早くその男から離れなさい」

 

 もう比企谷菌については慣れたもんだからどうでもいいんだけど、それを言われて思い出した。

 ちょ、ちょっと折本さん? なんでそんなに近いんですかね……くっつかないでくださるかしら。柔らかくて温かくて良い匂いがしてドキドキしてしまうのだけれど!

 

「菌とかウケる! あ、でもある意味もう感染しちゃってるかもだから心配しなくてもいーよー」

 

 なにお前もう感染しちゃってたの?  それなのに平気なのん?

 折本が俺の知らないあいだに比企谷菌の抗体持ちになっていたことに些か驚いていると、俺と同じくその抗体持ち発言にギョッとしたらしきアホの子が騒ぎ始めた。

 

「ゆ、ゆきのん!? この子しってるの!?」

 

「……へ? あ、え、えぇ」

 

 と、どうやら雪ノ下までもが折本の発言に一瞬だけ動揺していたらしく、由比ヶ浜からの不意の質問に微かに取り乱しながらもなんとか答えを返す。

 

「そ、そこの男と文化祭を一緒に回っ……仕事をしていた時に、一度だけ会ったのよ。比企谷くんの中学の同級生だそうよ。あと、そちらの仲町さんも一緒に居たわね」

 

「ど、どもでーす……」

 

 突然自分に矢が飛んできた仲町がおどおどと怯えつつペコリと頭を下げる。

 まぁ氷の視線で射ぬいてくる雪ノ下を相手にする場合、普通の人だったら萎縮してこうなるよね。折本がちょっと異常なだけです。

 

「ヒッキーの中学のときの同級生……なんだ……」

 

「ヒッキー!? ぶふっ」

 

 あ、やばい。我らが折本さんがヒッキーに反応しちゃったよ。これめんどくさいヤツや。

 折本は突然吹き出すとお腹を抱えて笑いだした。痛い痛い。なんで俺の腕にもたれかかってきてバシバシ叩くんだよ。物理的にも痛いし、精神的にも超痛いから。主に雪ノ下と由比ヶ浜の視線が。

 

「あ、ごめんごめん。なんか比企谷がそう呼ばれてるのって超新鮮でさー。別に全然変な意味で笑ったんじゃないから」

 

 凄まじい形相で睨み付けてくる美少女二人の視線に気付いたのか、折本は無理やり笑いを引っ込めると、目尻に浮いた涙を拭いながら弁明する。俺をビシバシ殴ったことに対しての弁明は無いのん?

 てか変な意味ってなんだよ。引きこもりな俺にはお似合いなあだ名という意味ってことですかそうですよね。

 

「あはは! やー、あの比企谷がこんな可愛い女子に愛情込めてニックネーム付けられるようになるなんてねー。ま、かなりアレなセンスだけどね。比企谷マジで青春してんじゃんウケる」

 

 どうやらヒッキーという呼び方に愛情を感じたらしい。

 え? どう考えても蔑称でしょ?

 

「あ、あああ愛情なんてあるわけないし! てかアレなセンスってなんだし!」

 

 折本の謎解釈により、由比ヶ浜が顔を真っ赤に染めて怒りだす。

 俺に愛情なんて言われたら、そりゃ怒るよね。

 

「ぷっ、ま、いいや。えっと……たぶん由比ヶ浜さん、ですよね? 比企谷から聞いてるんだ。なんか比企谷と雪ノ下さんと一緒に奉仕活動してるっていう。あたしは折本かおりです。よろしくー」

 

「……え? あ、うん。よ、よろしく」

 

 やっぱ折本ってすげぇな。相変わらずのコミュ力モンスターっぷりを見せ付けて、このカオスな空間を一瞬でまとめあげてしまった。敵に回したらウザいやつだが、味方につけると頼もしいやつだぜ。ウザいけど。

 どうせならこのまま有耶無耶になってくんねぇかなー……

 

 

「……自己紹介はもういいでしょう? さて比企谷くん。そろそろ私たちに嘘を吐いてまで部活をサボタージュした言い訳を聞かせていただこうかしら。……事と次第によっては……」

 

 ひぃっ! 有耶無耶になんてなりませんでした!

 やめてよゆきのん! 大切な部員が気を失いかけているよ?

 

 ……でもまぁ折本が時間稼ぎをしてくれたおかげで多少なりとも落ち着けた。助かった、さすがは俺の友達だ。

 ま、とりあえずはなんとかしてみますかね。大丈夫だ、嘘は吐いてないんだからな、嘘は。

 

「あ〜……っと、雪ノ下さん、これは違うんだ。なんというか……比企谷が俺に付き合ってくれたというか……」

 

 と、そこでここまで黙りを決め込んでいた葉山が、未だ固まっている俺を見兼ねたのか突然加勢してきた。

 まぁ別に葉山の助けとかいらないんだけど、葉山がなんとかしてくれるってんならそれはそれで楽だしいいか。

 

「少し黙っていて貰えないかしら葉山くん。私はそこの男に聞いているのであって、あなたには何一つ聞いていないのだけれど」

 

「は、ははっ……」

 

 っておいおい葉山さん、一瞬で撃沈すんなら最初から出てこないでくれませんかね……お前って実は豆腐メンタルだったりするの? いや、まぁ確かに今の雪ノ下の睨みは超恐かったけどさ。セリフのあとにギンッて擬音が付いてたレベル。

 でも確かに恐かったけれども、せっかく落ち着いて弁明しようかと思ってたのに、お前の無惨な撃沈っぷりにまたビビっちゃっただろうが。

 

「お、落ち着け雪ノ下。べ、別に俺は嘘などちゅいてないりょ」

 

 ね、ビビっちゃったでしょう? マジ葉山このやろう。お前の余計なお節介のせいで恥かいちゃったじゃねぇか。

 

「嘘を吐いていない? あなたはこの状況を前にして堂々とそれを言えるのね。ふふふ、面白いわ。ならば聞いてあげましょうか、あなたの下らない戯れ言とやらを」

 

 やだ! なんて素敵な笑顔で人を殺せるんでしょ、この子。危うく昇天しちゃうとこだったわ。

 でもお迎えに来てくれる天使が小町と戸塚だったら喜んで昇天しちゃう!

 

 だが残念ながら無神論者な俺のもとに天使がお迎えに来てくれることなどあるはずもなく、一旦雪ノ下たちには席に着いてもらって、現世に未練を残す俺は目の前の死神に経緯を説明するのだった。

 

 

 

 

「…………なるほど。……で?」

 

「で? とは……?」

 

「言いたいことはそれだけかしら」

 

「……はひっ」

 

 あっれ〜……? 駄目でしたかねぇ……嘘はひとつも吐いてないと思うんですが。

 こめかみを押さえて首を横に振る死神のんを恐る恐る見ながら、俺の説明のどこに間違いがあったのかを考える。

 

「まったく……呆れた男ね、あなたは。あれだけの大口を叩いたのだから、もっとマシな言い訳でもあるのかと思っていたら、本当にただの下らない屁理屈じゃない」

 

 あれだけの大口→別に俺は嘘などちゅいてないりょ

 

 そんなに大口だったかな? 俺には大口どころか小物臭しか感じないんだけど。

 

「ばっかお前、屁理屈も理屈のうちだろ」

 

「……そういうところが屁理屈だと言っているのだけれど……?」

 

 ひっ! だからその目はやめてよぅ! ホント心臓が機能停止しちゃいますってば!

 

「……まぁ、確かに言いたいことは理解したわ。葉山くんを紹介して欲しいと言う仲町さんのお願いで、仲町さんの親友である折本さんから頼まれた……と」

 

「そうそう、そーゆーことー!」

 

「お、おう……それに関して言えば、文化祭んときにお前も聞いたから知ってんだろ」

 

「そうね。記憶しているわ。……で、一時は断りはしたものの、折本さんから小町さんにお願いされて、その小町さんの命令で仕方なく紹介することになった……と」

 

「そうそれー」

 

「そうだ。今回のことは小町たっての希望でもある。なんかこういう機会は、俺の今後の人格形成に役立つはずだから行ってこいってな」

 

「人格形成とかウケる!」

 

 雪ノ下に説明する為とはいえ、なんかちょっと言ってて泣いちゃいそうだよお兄ちゃん。

 愛する実妹に人格形成の心配されちゃってる時点でもうね。

 

「小町のお願いによっての外出なわけだし、俺は小町と行くとは言ってない。つまり俺は嘘を吐いてはいない」

 

「ヤバい比企谷天才!」

 

 フハハハハ! どうだ、この完璧なロジックは! 一部の隙もないわ! 敗北を知りたい。

 

「はぁ……だから下らないと言っているのよ。あなたあのとき確か私の質問にこう答えていたわよね。『なんだか良く分かんねぇけど』、と」

 

 よ、良く覚えておいでで……

 

「ふふっ、良く分からない? 今のあなたはこんなにもスラスラと言い訳ができるくらいに屁理屈を捏ねているというのに、あの時点でこの外出の概要が良く分からなかったとでも言うのかしら?」

 

「ぐぅ……」

 

「隠したい真実を誤魔化す為に、こちらからの質問をのらりくらりと躱して、敢えて真相を黙っている時点で、それは嘘でしょう?」

 

「ウケる!」

 

 瞬殺で敗北を知れましたありがとうございます。

 てかさっきから合いの手がうるせぇんだが。

 

「……まったく……はぁ、まぁいいでしょう。下らない戯れ言ではあったけれど、確かに理屈は通っているし、小町さんがそう言うということは、これがあなたの為になると考えた故の行動なのでしょうから、その一点のみは尊重しましょう。……なので、小町さんに免じて、今回部活をサボタージュしたことは不問にしましょう」

 

 え、いいの? マジで? 俺てっきり処刑とかされちゃうのかと思ってたわ。

 

「お、おう」

 

 助かった……と、気持ちが弛緩しかけていると、不意に雪ノ下が少しだけ寂しそうに目を伏せる。

 

 

「……でも、今後はもうこのようなことは許さないわ。……確かに部活を欠席する理由がこういった理由であれば、私も由比ヶ浜さんもいい顔はしなかったかもしれない。それでも……嘘など吐かずにちゃんと説明してもらえないかしら……私達は一応、ぶ、部活仲間なのだから……」

 

「そうだよヒッキー……! こういうの、なんかやだ……あたしもちゃんと言って欲しい……!」

 

 

 

『そんな適当な嘘吐いてその場をやりすごすのって、本物の友達なの……?』

 

 

 

 いつかの小町の言葉が頭を過る。

 あの時は折本に対しての痛い言葉だったわけだが……そうだよな。こいつらは友達では無いとはいえ、それなりに長いこと共に時間を過ごしてきた大切な部活仲間だ。

 適当な嘘を吐いてその場をやりすごされたら、誰だって気分がいいものじゃない。逆の立場だったら、たぶん俺も失望し、そして自己嫌悪に陥っていたはずだ。

 だからあの時、俺はこいつらに対して罪悪感を抱いたのだ。

 

「……そうだな……すまん。これからはなるべくちゃんと話すわ」

 

「ヒッキーが素直に謝った!?」

 

 なんだこれ? 素直に謝っちゃうとか、マジで俺らしくないだろ。今までの俺だったらなんだかんだと理屈を捏ねて、どこまでも素直になれなかったっつうのにな。

 

「えへへ、うん! じゃああたしも今回は許したげる。約束だよ、ヒッキー!」

 

「なるべくと逃げ道を作っておくところが実にあなたらしいのだけれど、ふふふ、また今回と同じようなことをしたらそれなりの罰を与えるから覚悟しておきなさい」

 

 罰とか恐ぇえよ。

 

 でもま、こうやって素直に謝れるってのも、そう悪いもんじゃないのかもな。少なくとも、こいつらのこの笑顔を見てるとそう思えてくる。

 

 やれやれ、俺も随分と丸くなっちゃったもんですね。それもこれも、隣に居る最近できたばかりの友達のおかげだろうか?

 どこまでも素直に真っ直ぐ突っ込んでくる誰かさんと友達付き合いしているうちに、いつのまにか毒されてしまったのかもしれない。

 

 あれ? 良くも悪くも俺ってばかなり折本色に染められちゃってない? 俺のアイデンティティーどこ行っちゃったのん?

 ま、気分は悪くないし別に構わないけどな……と、苦笑を浮かべ隣の誰かさんにちらりと視線をやると……

 

「……むぅ」

 

 なんかつまらなそうにぷくっと頬っぺた膨らませてんだけど。なにそれ可愛い。

 

「ちょっと比企谷さぁ、あたしを挟んで勝手にいい雰囲気で盛り上がんないでくんない? 全っ然ウケないんですけど」

 

「え、なんで怒ってんの?」

 

「……は? 別に怒ってないんだけどー。なに言ってんの?」

 

 いやいや怒ってんだろ。まぁせっかく遊びにきたのに、自分をないがしろにされて勝手に盛り上がられたらそりゃ怒るか。

 なんだよ、このままイイハナシダナーで終わんのかと思ってたのにまだ一悶着あるのん?

 

「ま、比企谷なんかもういいや」

 

 どうも、なんかです。

 そんな、なんかな俺からつーんと顔を背けると、折本は雪ノ下たちに実にこいつらしい提案を投げ掛けた。

 

「それよりも雪ノ下さんと由比ヶ浜さん! せっかくこうして縁があったわけだし、あたし達も友達になんない? あたし他の学校にも友達欲しかったんだよねー。総武には比企谷しか友達居ないし」

 

「は?」

 

「へ?」

 

 出ました! 折本の伝家の宝刀、友達100人出来るかな。お前どんだけ友達欲してんだよ。

 

「まぁ誰かさんのせいで、今までみたいに浅くて広い交友関係にはあんま興味なくなっちゃったんだけどさ、でも雪ノ下さん達なら友達になりたいかなー。……だって、比企谷がこんなにも気を許してるんだもん」

 

 ちょ、ちょっと折本さん……? 君いきなりなに言ってんの?

 

「ひひっ、あたし比企谷のこと結構信頼してんだよねー。その比企谷がこんなにも気を許してるんだもん。二人とも絶対いい人じゃん? だったらしょーもない浅い付き合いにならなそうだし! ど?」

 

 ど? じゃねぇよ……さっき比企谷なんかもういいやって言ってませんでしたっけ……なんでお前の友達作戦で俺が被害受けなきゃなんねぇんだよ……超恥ずかしいんですけど。

 

「……あら、あなた随分とその男を買っているのね。ただの知り合いだとばかり思っていたけれど、まさか友達などと宣うとは思わなかったわ? ……かなりの悪趣味と言わざるを得ないわね」

 

「そ、そうだよ! ヒッキーなんてキモいし暗いし捻くれてるし……あとキモいし!」

 

 ……だからボキャブラリーをだな……

 てか君たち、なんでそんなに必死で俺を貶すのん? そこまで嫌いなのかしら。

 

「ぷっ、そっかそっか。比企谷もかなり素直じゃないけど、雪ノ下さん達もかなりのもんなんだねー」

 

「ど、どういう意味かしら」

 

「意味わかんないし!」

 

「ま、それなら今はそれでもいいや。でもさ、なんだかんだ言ったって雪ノ下さん達だってあたしとおんなじで、ちゃんと比企谷のいいとこ分かってて、ちゃんと比企谷を信頼してるから、こうやって仲良くつるんでるんでしょ? じゃなかったらこんな捻くれててどうしようもない奴となんて一緒に居れないもんねー」

 

「わ、私は比企谷くんが所属する部活の長として仕方なく付き合っているだけなのだけれど……! このまま謂われのない中傷を続けるようであれば告訴も辞さないわよ」

 

「ほんっと意味わかんない! あ、あたしがヒッキーなんか、し、信頼してるわけないし……!」

 

 ……なにこの公開処刑。

 あ、あのー、そういうのは本人の居ないところでやってもらえないでしょうか……? 俺、今夜毛布に包まって悶え苦しんじゃうよ?

 おい葉山、笑ってんじゃねぇよ。

 

「あはは! 顔真っ赤にして必死すぎウケる! やっぱ雪ノ下さんも由比ヶ浜さんも超面白い。ねっ、あたしたちも友達になろうよ」

 

「ごめんなさい、絶対にいや」

 

「あたし折本さん苦手かも!」

 

「即決で断られちった、ウケる!」

 

 

× × ×

 

 

 と、こうして折本の友達作戦はあえなく失敗したはずなのだが、その直後からは仲町も加わってあっさりと仲良くなっちゃったんですよね、この人たち。意味わからん。

 

 まぁ元々折本も由比ヶ浜も他人との距離の縮め方は半端無いし、なによりどっちも良い奴だ。この二人なら良い出会い方さえすれば、一瞬で馴染んでしまってもなんら不思議ではない。

 これが良い出会いなのかどうかは知らんけど、よっぽど酷い出会い方でもなければ、こいつらは当たり前のようにこうやって友達になれるのだろう。

 

 雪ノ下は……まぁ言うまでもなく押しにすこぶる弱い奴だからな。ソースは言うまでもない。

 押しの強さはアホの子以上の折本さん。真っ直ぐ純粋に攻められれば即落ちしちゃうのは自明の理。天敵の名は伊達じゃない。

 嫌よ嫌よも好きのうち、なんだかんだでいつの間にか陥落しちゃうんだろうな。なにせゆきのんってば、初めの頃は由比ヶ浜にも超厳しかったもんね。

 

 ということは、いつの日か折本と仲町までもが入り乱れた、めくるめくゆるゆりの世界の幕が開くなんて未来もありえるのかもしれん。オラわくわくすっぞ。

 

 

 そんなこんなで折本たちは女子トークとやらで大いに盛り上がり、男子たちは──まぁ俺と葉山しかいないけど、そんな楽しげな様子を半ば呆れつつ苦笑いを浮かべて眺めているうちに、気付けばなかなか良い時間になってしまっていた。

 

「やばっ、もうこんな時間じゃん! つい盛り上がりすぎちゃった」

 

「ヤバい! ママに連絡入れとくの忘れてたー! ゆきのーん、今夜泊まっていい!? ゆきのんちに居るって言っとけばママ怒んないからさー」

 

「ええ、別に構わないわよ」

 

「雪乃ちゃんと結衣ちゃんてどんだけ仲良いの!? ウケるんですけど」

 

 いずれ君もその世界に加わる日が来るんじゃないんですかねぇ? なんてことを思いながら、俺達は世話になったサイゼをあとにして駅へと向かうのだった。

 あ、それはそうと呼び方は雪乃ちゃんと結衣ちゃんで落ち着いたんですね。仲がよろしいようでなによりです。

 

「じゃあねー、千佳ー」「ばいばいまっちー」「さようなら」「仲町さん、今日はありがとう。楽しかったよ」

 

「ばいばーい! えと……また遊ぼうねっ」

 

 駅へと到着するとそれぞれ帰路へと着く。どうやら仲町はモノレールらしく、別れの挨拶もほどほどに、ひとりモノレールの改札へと向かっていった。

 仲町と別れて俺達もJRの改札へと……あ、そういや俺今日チャリで来てたんだっけ。

 

「あ、比企谷ー。どうせ地元同じなんだし一緒に帰ろうよ」

 

 改札へと向かう一行をぼーっと眺めていると、不意に折本から同伴帰宅のお誘いが掛かる。

 ……え? なんでゆきのんとガハマさんはそんなに睨んでるん?

 

「ああ悪い。そういや俺、千葉までチャリで来てたんだったわ」

 

「マジで? じゃあむしろちょうどいいや。一緒に帰ろうぜー」

 

 ん? なんだ、折本もチャリで来てたのか。まぁこいつもチャリ通だとか言ってたし、趣味がロードってくらいだから、チャリに乗んの好きなんだろうな。

 でも『むしろちょうどいいや』の意味が良く分からん。

 

「ああ、お前もチャリなのか。……チッ、じゃあしゃーないから一緒に帰っか」

 

「舌打ちとか酷くない!? ま、いいけどねー」

 

 にししっと笑顔で言うと、折本は俺の方にてけてけと寄ってくる。

 いや、だからさぁ……なんでゆきのん達そんなに睨んでくるん……? あれなの? 俺が送り狼とかにでもなっちゃうんじゃね? とかって通報する機会でも窺ってるの?

 大丈夫。狼どころかチワワです。女子との二人っきりでの帰宅なんて、緊張しすぎて潤々ぷるぷるしちゃうまである。だからその携帯をしまいなさい。

 

「じゃあねー、葉山くん! 今日はホントありがと。楽しかったよー」

 

「はは、こちらこそ楽しかったよ」

 

「じゃあねー、雪乃ちゃん結衣ちゃん! これからもよろしくー」

 

「ええ。でもあなたと友達になった覚えはないのだけれど。ふふ、さようなら。……ついでに比企谷くんもさようなら」

 

「……別にわざわざついでとか言わんでもいいから。……じゃあな」

 

「ばいばいかおりーん。ヒッキーもまた来週ー!」

 

「おう。またな」

 

 

 

 ──と、まさかの招かれざる珍客二人を含めたダブルデート(笑)は、こうしてなんとか無事に幕を下ろしたのだった。

 うん、超疲れた。やっぱり慣れないことはするもんじゃないね。家最強説はやはり揺るがない。

 

 

× × ×

 

 

 あっれー……? つい今しがた、無事に終えたばっかじゃなかったっけ……?

 俺は駅前の駐輪場にて、俺のチャリの荷台に跨ってサドルをポンポン叩く女の子を前に愕然としています。

 

「ほら比企谷ー、早く乗んなよー」

 

「いやなんでだよ。お前のチャリはどうした」

 

「あたしの? 今日は学校に停めっぱなしに決まってんじゃん」

 

 いやいや、決まってるってどういうことだってばよ。君もチャリで来たから一緒に帰ることになったんじゃないの?

 

「だったらなんで電車で帰んねぇんだよ……」

 

 顔をヒクつかせて質問する俺にあっけらかんと返ってきた答えは……

 

「だって電車賃タダになるし、こっちの方が効率的じゃない? どうせ方向一緒なんだしー」

 

 こんなんである。フリーダム過ぎだろ。

 ……そしてその効率は俺には一切適用されないんだけど……

 

「はーやーくー」

 

 先程までポンポンと叩かれていた俺のサドルが、バシバシゲシゲシへと次第に変化してきた折本からの攻撃に悲鳴をあげる。

 やめて! そんなに激しくされたらわたし壊れちゃうよぉ!

 

 なにこれ……マジで折本と二人乗りして帰んなきゃなんないの? 難易度高すぎない? 超恥ずかしいんだけど。

 しかし折本のサドルへの攻撃はさらに苛烈さを増すばかり。たぶんこれ、もう他に選択肢ねぇな……

 

 

「……お前ってホント自由な」

 

 恨みがましく半目で睨めつけながらも、仕方がないので渋々とサドルに跨る。

 っべー、これ夜で良かったわ! 昔好きだった女子と二人乗りとか、たぶん顔真っ赤になっちゃってんだろ俺。

 

「ヤバい比企谷耳まで真っ赤になってやんの! ちょっとやましい事とか考えすぎなんじゃないのー?」

 

「」

 

 やだバレバレじゃないですか! 誰だよ暗いから安心とか言ったやつ! どうやら駐輪場の灯りに照らされて丸見えの模様です。

 

「……うっせ、赤くなんてなってねーよ。ちょっと暑いだけだ」

 

「こんだけ寒いのにそれは無理があるって比企谷」

 

 なんでそこだけすげぇ冷静に普通のトーンでツッコんでくんの……? ぐぬぬっ……やだもう帰りたい!

 

「……もう行くぞ。ちゃんと掴まってろ」

 

「ほーい」

 

 そして折本は俺の言い付け通りにしっかりと掴まる。俺の体に腕を回して。

 

「ちょっと……? なんで抱きついてくんの……?」

 

「は? 比企谷がちゃんと掴まれって言ったんじゃん。てかチャリに乗るから掴まっただけなのに、それを抱きつくとか、比企谷ってやっぱやましい事ばっか考えてんじゃないのー? ちょーウケる」

 

 いやこれ完全に抱きつかれてるんですが。だって背中に押し付けられてる二つの柔らかいのが超気持ち良いんですもん。

 あれじゃないの? 友達とチャリの二人乗りする時って、荷台とかサドルの根元に掴まって、あんま体に触れないものじゃないの? 小町としか乗ったことないから知りませんけども。

 

 しかしもうこうなってしまっては、たぶんなにを言ってもウケるで返されてしまうのは目に見えている。なんなら童貞ウケるかもしれない。

 語尾が童貞ウケるって女子高生はさすがにちょっと嫌ですね。

 

 なのでもう気にしないことにしよう。俺は全神経を背中へと回し、黙ってチャリを漕ぎだすのだった。

 神経を背中に集中しちゃうのかよ、超気にしちゃってんじゃん。

 

 

× × ×

 

 

 むにむにむにゅむにゅ。

 

 駐輪場を抜けて地元への帰路を進む俺達の間には、不思議と会話がない。

 折本なら帰ってる最中もぺちゃくちゃと話しかけてくるもんかと思ってたが、今日はなぜか大人しく荷台に乗っている。疲れちゃったのかな。

 おのずと辺りに響く音は、すれ違う車のエンジン音とキコキコと鳴るペダルの音、そしてむにむにむにゅむにゅのみ。いやそれ音じゃないし。

 

 

 最初は背中に感じる柔らかさにドキドキしっぱなしだった俺の心臓も、ずっと感じていればさすがに慣れてくる。いや嘘ですずっと気持ちくてドキドキしっぱなしなんです。

 とはいえ、ほんの少し……ほんの少〜しくらいは余裕も出てくるってもんだ。

 

「……あー、これどこら辺まで行けばいいんだ……?」

 

 別に折本との間に会話が一切無いのが気まずいわけではない。なんなら意外に悪くないまである。

 それでもそろそろ地元に着く頃だし、どこまで送ればいいのかくらいは聞かないとな。

 

「ん? うちまで送ってくれると助かるんだけど大丈夫?」

 

 うひぃ、く、くすぐってぇ……!

 折本の奴が俺にガッツリ抱きついてる以上、もちろん顔も背中に押しつけられている。

 そんな状態で喋るもんだから、制服越しに折本の熱い吐息が背中をくすぐって、なんともむず痒い。

 

「……まぁ大丈夫だ」

 

「ラッキー! ま、比企谷にはうちの場所も知っといてもらいたかったしちょうどいいよねー」

 

 ……いや、実は折本んち知ってるんですよね、絶対言わないけど。

 なんで中学生男子って好きな子の家を探し出してしまうん? 完全にストーカーですやん。マジであの頃の俺を殺してやりたい。

 

「……了解した。んじゃそろそろナビしてくんね?」

 

「おっけー。あ、次のかど右ね」

 

 で、そのまま真っ直ぐ行ってみっつめの信号を左なんだよね、知ってる知ってるー!

 ……マジで殺したい昔の俺。

 

 

 折本の家に近付けば近付くほど己の黒歴史と正面から向き合わねばならず、悶々とチャリを漕いでいる内にあっという間にご到着。

 ……あっぶね、折本に指示される前に停まっちゃうとこだったわ……

 

「ここあたしんちだから、ちゃんと覚えといてね」

 

 そう言って荷台から降りる折本。

 ヤバい……背中の柔らかいのが離れていくのが寂しくてたまらないよぅ! ってのは冗談で、折本の体温、折本の香りが離れていってしまったことに、なぜだか無性に喪失感を覚えてしまった。

 

「……まぁ、なるべく忘れないように検討しとくわ」

 

「忘れんなっつーの」

 

 ぺしっと優しいチョップを繰り出した折本が優しく笑う。

 忘れるわけないんだけどね。

 

 

 ──ふぅ、これで今日のダブルデートも、今度こそようやく終了だ。

 最初はあれだけ嫌だったこの外出も、なんだか待ち合わせたのが随分と前に感じてしまうほど本当に色々あったが……うん。まぁ、なんつーか……

 

「あのさ、比企谷」

 

 と、そこで俺の思考を遮るように折本が声を掛けてきた。

 

「……おう」

 

「今日はマジであんがとね。雪乃ちゃんとかと遭遇しちゃったのは予想外だったけど、超楽しかった。ホント比企谷のおかげ」

 

「……そうか。まぁ別に俺はなんにもしてないけども、それはなによりだ」

 

「ひひっ、で?」

 

「で? とは」

 

「比企谷はどうだった?」

 

 どうだった……か。これ、今さら言うまでもあんのかねぇ。

 でも、目の前でいたずらっ子のようににひひっと答えを待っているこいつには、ちゃんと答えないと話が進まないんだよなぁ。あー、めんどくせぇ。

 

 だから俺は先ほど遮られた思考の続きを口に出してみることにした。

 なんかこそばゆいからホントは言いたくないんだけどね。こんなサービス、滅多にしないんだからね!

 

「……ま、思ってたよりは、悪くなかったかもな」

 

 やだ八幡てば素直じゃないわねぇ!

 

「あはは、なにそれ捻くれすぎウケる! 比企谷ってホント素直じゃないよねー」

 

「……うっせ」

 

 これでもかなり精一杯なんすよ! 頑張っちゃってるほうなんすよ! リア充の人にはそれが分からんのですよ!

 

「超照れてんのウケる」

 

「……ウケないから」

 

 もうやだよこいつ……少しくらい照れてても軽くスルーしてくれよぅ……

 

「じゃあ、そろそろ帰るわ。いい加減帰んないと小町が心配しちゃうからな」

 

 てかあんまり遅くなりすぎると違う意味でめんどくさそうだもんね、あの子。

 絶対ニマニマして「むふふ、なんなら今日はお泊まりでも良かったんだよお兄ちゃん!」とかいやらしく言いそう。

 うわ……想像だけでもめんどくせぇ……と、早く帰る決意を固めて踵を返すと、

 

「比企谷……!」

 

 折本がさっきまでとは違うトーンで俺を呼び止める。

 なんだ? と不思議に思い振り向くと、そこには折本らしからぬ佇まいで、気まずそうに苦笑いしている儚げな少女が立っていた。

 

「どうした」

 

「あの、さ」

 

「あん?」

 

「……あたし、もしかしたら……なんだけどさー」

 

「お、おう」

 

 しかし、そこまで言って折本は「あ、あはは〜……」と口をつぐむ。

 どうしたのだろうか。なんだか本当にこいつらしくない。

 

「マジでどうした」

 

「や、やー……もしかしたらー……なんだけどー……あ、あはは」

 

 すると折本はすーはーすーはーと深呼吸を始め、意を決したかのように真剣な表情でこう宣言したのだった。

 

 

「……あ、あたし……! もしかしたらちょっとお腹空いちゃったかもー……!」

 

「あんなに食ったのに!? ……じゃあ早く家入れよ……」

 

「だよねー! んじゃちょっと小腹満たしてこよっかな。……じゃねー、またあとでメールすっかんねー」

 

 

 そう言うと折本は手をぶんぶん振って、そそくさと自宅に逃げ込んで行ってしまった。

 なぁ、それってわざわざ報告しなくても良くない? 最後までホント分かんない奴だわ。

 

「……ま、折本だししゃーねぇな」

 

 そう口元を弛めて独りごちる俺は、頭をガシガシ掻きながら、ようやく愛しの我が家へとチャリを進ませるのだった。

 

 

 

 

※※※※※

 

 

 

「ただいまー」

 

「おかえりなさ〜い。随分遅かったわねぇ。たっぷり楽しめたの?」

 

「んー、まぁまぁかな」

 

「ふふ、良かったねぇ。あ、もう遅いからとっととお風呂入っちゃいなさいよ?」

 

「はーい。でも結構疲れたから、部屋でちょっとだけ寝っころがってくる」

 

 お母さんに帰宅の挨拶を済ませたあたしは、自室へと伸びる階段をトントンと勢いよく上っていく。

 なんだろ、結構激しく上ってるってのに、このトントンって音、今のあたしの鼓動とおんなじリズムでやんの。

 

 ドアを開けたあたしは、そのままの勢いで制服のままベッドへダイブ。皺になっちゃうかもだけど、明日お母さんにアイロンかけてもらえばいいや。ちょー疲れた〜……

 

「うあ〜……マジ疲れたぁ、もうこのまま寝たいよ〜……ひひっ」

 

 疲れた疲れたとぶつぶつ言いながらも、あたしの口元はなんて正直者なんだろうか。口から出る言葉とは真逆の反応を示してる。

 

 

 ああ〜! 今日はマジで楽しかったぁ! 映画もショッピングも食事もマジ最高!

 それに葉山くんともちゃんと話せたし、まさかの奉仕部メンバーとの遭遇もマジでウケた! 超満足っ。

 

 雪乃ちゃんは知ってたけど、結衣ちゃんもホント超いい子! あんな子たちが傍に居んなら、あたしの心配なんて余計なことなのかもねー。

 比企谷ってあれでよく自分はぼっちだなんて言えるよな〜。超幸せもんじゃん。

 

 

「……幸せもん……かぁ」

 

 確かに比企谷は幸せもんだよ。あんな素敵な子たちに大切に思われてるんだから。……そして、比企谷もあの子たちを大切に思ってる。

 

「ヤバいなぁ……」

 

 そう。あたしはあのとき感じてしまった。あたしを挟んでいい雰囲気になってた比企谷と雪乃ちゃんたちを見たときに感じてしまったのだ。たぶん、いままでの人生で初めて感じてしまった醜い感情を。

 

「……あれってたぶん……嫉妬、だよねー……ウケる」

 

 うそうそ……全っ然ウケない。あんなに心がモヤモヤしたのは初めてだ。

 文化祭とか体育祭のときの、比企谷のこと心配してたときとのモヤモヤとはまた違うモヤモヤ。

 なんていうか、羨ましいなんて思っちゃった。悔しいだなんて思っちゃった。

 

 

 帰りの二人乗りだって、ホントはあんなに抱きつくつもりなんてなかった。

 ちょっと悪戯心で胸を押し当ててみたら、あいつ超キョドっちゃって愛いーなぁとか思っちゃって、面白いからそのままわざと抱きついてただけなのに、いつの間にかあいつの体温と匂いが心地好くなっちゃって、ついつい最後までそのままでいちゃったんだよね。

 ぶっちゃけ、あのままずっと走ってたかったし、家に着いちゃったのがすごい残念だった。

 なんでもないような顔して笑ってたけど、実は比企谷から離れた時は、もっと熱を感じてたかったな……匂い嗅いでたかったな……なーんて、まるで乙女みたいな思考も過っちゃったりしたりね。

 

 

 ──今まであんま考えないようにしてたけど、変に意識しちゃわないように気持ちを無理やり誤魔化してたけど……もう、これは認めざるを得ないのかな……

 

 

 

「……比企谷ー、あたし……もしかしたらあんたに恋とかしちゃってんのかも知んないね、ぷっ、ウケる」

 

 

 

続く

 






というわけでようやくダブルデート編の〆となりましたがありがとうございました!

あん?修羅場じゃねぇじゃねーかよ!と感じてしまった皆々様、誠にスミマセン(^^;)
今回の遭遇は、実は修羅場を書きたかったわけではなくて、折本と奉仕部女子(特にガハマさん)は出会い方さえ違えば友達になれたよね、ってとこを書きたかっただけなのです。
特典小説二巻にて折本が「友達になれるかなーと思ったんだけど……あたし、あんま好かれてないのかもね」なんて寂しそうな笑顔で言ってて可哀想だったんで、じゃあいい感じでの出会いにさせちゃおう!とね♪

ま、次に向けて顔合わせをさせときたかったってのもあるんですけども。



そしてここで重要なお知らせ!
今回で終わるかと思った?残念!もうちっとだけ続くんじゃ。

お知らせというのは、次回から始まる修学旅行編が、この『友達Diary』の最終章になります!ってお知らせです。
以前から「この作品はどこまでやりますか?」ってご質問を幾つかいただいていたので、この場を借りて明言しとこうかと思いまして(^ω^)

18話目にしてようやく自身の気持ちを認められた折本かおりが、修学旅行でどんな行動を起こすのか!?乞うご期待です☆
もしかしたら次回の更新は少し遅くなるかもしれませんが(苦笑)



注)ちなみに今回の中学生八幡のストーカー未遂事件(笑)は、特典小説二巻にて八幡が自分で言ってた内容なので、作者が中学時代に変態行為をしていたという告白ではありませんw


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