あたしと比企谷の友達Diary   作:ぶーちゃん☆

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日記6ページ目 少しずつ、ゆっくりと

 

 

 俺のことなど理解しているわけのない心配。勝手な気持ちの押し付け。いま折本が俺に対して向けている気持ちは正にこれらだ。

 ──何も分からないくせに、何も知らないくせに、理解したつもりになって勝手に心配なんてすんな、余計なお世話だ──以前の俺ならそう思っていたかもしれない。

 

 でも今の俺は昔に比べたら、多少なりとも折本という少女を知っている。

 偶然の再会を果たして、中学の頃とは違う今の俺で接することが出来てみて思った。折本は思ってたよりもずっと良い奴だ。

 そしてなにも考えてないただのバカかと思いきや、こいつは意外と色々と考えていたりもする。

 

 そんな折本が俺に気を遣って、敢えてぶっきらぼうに心配を寄せてくれている。……そりゃいくら捻くれている俺だって、こんなの気分が悪くなるわけがない。……むしろ、まぁなんつうか、ちょっとだけ嬉しいまである……かもしれないこともなくはない。

 どんだけ捻くれてんだよ。

 

 だったらまぁ、無駄な心配させちゃうのも悪いよな。

 だから俺は嘘を吐く。それが正しいかどうかなんて、雪ノ下や由比ヶ浜と関わる前の人間関係が希薄だった俺には分からないけれど、どうせ正解が分からないのならば、少しでもお互いに気が楽な方がいいはずだ。

 

「学校の様子? まぁ特に変わらんな。……あー、あれだ。女子に暴言吐いて泣かせたから、もうちょっとなんかあんのかと思ってたんだが、幸なんだか不幸なんだか元々の存在感の無さ故で、今までと変わらず存在を認知されずに居られてるわ。……むしろあれだけのことやって存在を認知されないとか、ちょっと悲しくなるまである」

 

 ……本当はそんなことは無い。

 ステルス機能常備のさすがの俺でも、今やかなりの有名人になってしまっている。

 教室に居れば、普段は俺のことなど視界の端にも入れてないような女子たちからの侮蔑と嘲笑の入り交じった粘つく視線の的だし、学年の廊下を歩いている時は、俺を見て笑いを堪えてる連中からの視線で針のムシロ状態だったりする。

 そういや一度下駄箱にゴミ入れられてたこともあったっけな。あ、あとあれだ。文化祭以来、川……川……川島さんが一切目を合わせてくれなかったり逃げ出したりする。なにそれ泣ける。

 ちなみに川越さんの件はさておき、他の件については夜ちょっとだけ枕を濡らしちゃったりしたのは誰にも内緒だ。

 

 しかしこれらはわざわざ折本に話すようなことではない。話す気なんかそもそもないが、仮に話したところで、こいつは無駄に気に病むだけだろう。

 

「へー、良かったじゃん」

 

 折本は未だマンガから目を離さないまま、そう気のない返事をする。

 

「まさか比企谷の存在感の無さがこんなとこで役に立つとはねー。ウケる」

 

「いやこれはマジでウケるわ」

 

 ヤバい。折本の笑いのツボに初めて同意しちゃった!

 

「……」

 

「……」

 

 そしてしばしの沈黙。

 話も終わったし、またラッキースケベに集中してるのかしらん? と、俺も読みかけの文庫本を開きかけた時、突如として折本ががばぁっと起き上がった。

 ちょ、ちょっと? びっくりしてビクンビクンしちゃうからやめてくださるかしら!?

 

「な、なんだよ、突然起き上がんなよ。……びっくりするわ」

 

 どっきどきの動悸を抑えて折本へと恨みがましい視線を送ったのだが、起き上がった折本の目は真剣そのもの。こないだの屋上で「……やっぱ全部解ってやってんじゃん」と問い詰めてきた時と同じような目で、真っ直ぐに俺を見つめてくる。

 

「……なんだよ」

 

「……べっつにー。なんでもない」

 

 嘘吐け。それがなんでもないってツラかよ。

 

「……ねぇ、比企谷」

 

「あん?」

 

「……こないだ比企谷言ってくれたじゃん? どうせ薄っぺらい関係なんだから無理して自分を押さえつけないで、その薄っぺらい中から一人でも二人でも長く付き合っていけるヤツ見つけりゃいいんじゃねぇの? とかなんとか」

 

「……い、言ったような言わなかったような」

 

 なにそれ! 俺ってばそんな恥ずかしいこと言ってたの!?

 自分の名言(笑)をあとあと聞かされるのって死ぬほど恥ずかしいですよね。

 

「なに照れてんの?」

 

「照れてねーわ……」

 

 てか照れてんの分かってんならわざわざ言わなくてもいいですから。

 

「……比企谷にとってのあたしって、ぶっちゃけ今はまだ友達とまでは思えてないよね。言っちゃえば押し掛け女房ならぬ押し掛け友達だもんね」

 

「……んだよ、急に」

 

 すると折本はこちらにググッと迫ってくるとベッドの上に両手を突いて、床に座る俺の眼前へと詰め寄ってきた。

 

「……でも、あたしはね? この前言ってくれたみたいな長く付き合っていけるヤツに、比企谷がなってくれたらいいなって思ってる。割と真剣に」

 

「……そ、そうですか」

 

 あまりにも凄い勢いで迫ってきた折本に思わずたじろいでしまう。てか近い近い。

 そしてなんつう恥ずかしいセリフを言ってきやがんだよこいつ……リア充ってのは、こんなセリフ平気で吐けちゃう生き物なの?

 

 ……が、実はそうでもなかったらしく、言うだけ言った折本はハッと己の現状を理解し、四つんばいの状態からいそいそと元の位置へと戻って腰をおろす。

 そして若干赤らめた頬をポリポリと掻きながら居心地悪そうにたははと笑う。

 

「……あ、あはは〜、なんかあたしらしくないよね、こんなの……。な、なんかごめんね? あたしが一方的に思ってるだけなのに高らかに宣言しちゃってさ。あー、あっつい! ちょっと恥ずいんだけど、ウケる」

 

「あ、や……」

 

「んん! ま、まぁなにが言いたいのかと言うと、あたしはたぶんこれから比企谷に言いたいことズケズケ言っちゃうと思うからさ、……だからもし良かったら……比企谷もなんか色々と溜め込んじゃわないで、もし言いたいこととかあればあたしにも言えば? ってこと……!」

 

「……お前が俺に言いたいことズケズケ言うのなんて、昨日今日に始まったことじゃねぇだろ……」

 

「だ、だよねー。ま、まぁそれは置いといてー、…………別にさ、あたしに言ったからってなにがどうなるってもんでもないけど、それでもやっぱり言う相手とか相談できる相手が居るってだけでも、全然気が楽になると思うのよね……」

 

「……そうか」

 

「うん。だからまぁ、今すぐにとは言わないし、おいおいでもいいから、もし話して気が楽になるようなことがあんなら遠慮しないで言ってよね」

 

 ──無駄な心配させちゃうのも悪い、少しでもお互いに気が楽な方がいいはず……か。

 そんなちんけな考えこそ、このゴーイングマイウェイな自由人 折本かおりには余計なお世話だったのかも知れない。たぶんこいつは俺の現状をなんとなく解った上で、そしてそれを実際に聞いてしまったら気が重くなるってことも承知の上で、それでもこうやって少しは頼れと言ってくれているのだ。

 だったら俺は……

 

「……まぁ、その、なんだ……。おいおい、な」

 

 このデリカシー無く一気に距離を縮めて来ようとする迷惑で面倒くさい友達に、俺らしくゆっくりとマイペースに近づいていってみることにしよう。

 

「……ん。ま、よろしくー」

 

 所在なさげな右手でくしゅっとした緩いパーマを撫でながら、少し唇を尖らせてはにかむ折本は、なんというか……とても魅力的に思えた。さすが曲がりなりにも一度は好きになった女の子だぜ。

 

 だから俺はそんな素敵な女の子に一言言ってやりたい。

 

 ……ベッドの上であぐらはやめなさい? また見えちゃうからね? まぁ今回はちゃんとスカート押さえてるけども。残念!

 ガッカリしちゃうのかよ。

 

 

× × ×

 

 

 お互いになんとなく照れくさくなった俺たちは、黙って読書に時間を興じることにした。やだよね、こういうむず痒い空気って。

 

 しかしそのまま読書(と言っても折本のはちょっとHなマンガだけどね☆)を続けていたのだが、……んー、なんつうか、こいついつ帰るんだろう。

 まぁまぁいい時間だと思うんだけど。早く帰ってくんねーかな。

 

「……なぁ、折本」

 

「んー?」

 

「お前いつ帰んの?」

 

「ストレート過ぎウケる! ちょっとはオブラートに包めばいいのに」

 

「……お前が言いたいことズケズケ言えっつったんじゃねぇか……」

 

「そこはほら、TPOに合わせてさ」

 

 難しいな! 人間関係。

 そもそも時と場所と場合をわきまえて言葉を選んでいたら、それズケズケと違うと思います。

 

「まぁそろそろ帰んないとお母さんに怒られちゃいそうだし、仕方ないからそろそろ帰ろっかなー」

 

 仕方なくかよ。

 そんなことを言いつつも、折本はベッドの上で両手両足を伸ばしてゴロゴロ転がっている。お前くつろぎすぎだろ。

 

「やー、なんかさー、比企谷んち居心地良くってさー、許されるならこのまま寝ちゃいたい気分」

 

「……許されません」

 

「ちぇーっ」

 

 いやマジでそのまま寝られたら、さすがの紳士で無害なヘタレ八幡だってどうなるか分かんねぇからな?

 襲っちゃうぞー、こいつー!

 

「……へへっ、なんかあたしって、意外と比企谷とこうしてまったりしてんのって結構好きかもー」

 

「……」

 

 こ、この女っ……だからこういう女は嫌いなんだよ!

 そうやって本人は特になんとも思ってない何気ない一言で勘違いさせて、一体どれだけの被害者(過去の俺含む)を血祭りにあげれば気が済むんだ……! サバサバ系ってマジ恐い。

 

 

「たっだいまー! お兄ちゃんごめーん! 遅くなっちゃったけど、お兄ちゃんのことが大好きな小町が只今無事帰還しましたー! あ、今の小町的にポイ……」

 

「……」

 

「……」

 

 なんということでしょう。ベッドで転がってる折本と、そんな折本の心ない一言で若干頬が熱くなっている俺に、バターンと派手な音を立てて部屋の扉を開けて入ってきたマイエンジェルがエンカウントしちゃいました。

 折本のことで頭がいっぱいになりすぎていたとはいえ、こうしてたら小町が帰ってきちゃうってことくらい気付いとけよ、俺……

 

 やべぇ……これ超めんどくさいやつだ。今は三竦みの如く固まっちゃってる俺たちだが、ひとたび小町が動き出せばこの場がどうなるかくらい想像に難くない。

 まるで芸能リポーターのように目をピカッと光らせて、マイク(具現化系)片手に突撃リポートしてくる未来が容易に想像出来る。

 

 ここここういう場合ってなんて言い訳すりゃいいのん!? こんなシチュエーション体験したこと無いから八幡分かんない!

 そもそも言い訳って言っちゃってる時点で落ち着け俺。

 

「……ど、どうもどうも、兄がいつもお世話になっておりまーす」

 

「い、いいえー、こちらこそー。あ、お邪魔してまーす」

 

「いえいえ、どうぞごゆっくりー」

 

 しかし俺の想像とは違い、ペコペコとお辞儀をしながら当たり障りの無い定型文のような挨拶を折本と交わした小町は、パタンと扉を閉めて出ていってしまった。

 

 はて、なんだろうか。余りにも小町らしくない。

 そりゃうだつの上がらない兄がいきなり部屋に女を連れ込んでいたらああなっちゃうのは普通の反応なのかも知れないが、それにしてもあの小町にしては余りにもよそよそしくはないか?

 いつもの小町なら誰であろうと物怖じせずにあれこれ話し掛けるはずなのに、あれじゃまるで人見知りな女の子じゃねぇかよ。

 

「あー、ビックリしたぁ! 今の妹ちゃんだよねー、超見覚えある。相変わらず可愛くて比企谷に似てなさすぎてウケるんだけど」

 

「アホか。もし小町が俺に似てたら可哀想すぎだろ。ウケるどころかあんなに可愛く育ってくれたことを神に感謝さえするわ」

 

「なに? 比企谷ってシスコンだっけ? ウケる! いやー、なんか変な体勢のところ見られちゃったよね。変な女って思われちゃったかな」

 

 そりゃ男子のベッドの上で女子がゴロゴロ転がってりゃ、なんだこいつって思われるわ。だが、

 

「安心しろ。思われちゃったかどうこう以前に変な女だから」

 

「ひどっ!?」

 

 

 ま、さすがの小町でも、この状況で突然あれこれ話し掛けてくるってのもおかしな話だもんな。それこそTPOをわきまえたってヤツなんだろう。

 折本を帰らせてから二人になった時にでも、それはもう凄い勢いでガンガンに攻めてくるんだろうな。……あー、すげぇめんどくさそう……

 

 

× × ×

 

 

「じゃね、比企谷。今日は突然押し掛けちゃってごめんね」

 

「あら、あなたにも申し訳ないと思える心があったのね。意外だわ」

 

「なにそれ雪ノ下さんの物まね!? なんか微妙に似ててキモいんだけど!」

 

 渾身のゆきのんジョークでからからと笑う折本を眺めつつ、俺たちは玄関前で別れの挨拶を済ます。

 

「本当に送らなくてもいいのか?」

 

「だいじょぶだいじょぶ。夜だしさすがに歩きだったら恐いけど、あたしにはコレがあるからさ」

 

 折本はそう言ってママチャリのサドルをぽんぽんと叩く。

 

「そうか。じゃ、まぁ気を付けて帰れよ」

 

「……」

 

 え? なんでそんな鳩が豆鉄砲食らったような顔してんの?

 

「へー、いっがーい! 比企谷でもそんな気遣い出来るんだー」

 

 ……でもってなんだよでもって。

 

「……ま、一応……一応友達だからな」

 

「ぶっ! 一応を強調しすぎウケる」

 

 うっせ……結構恥ずかしいんだよ、友達って言うの。

 

「あ、そだ! 今度いつ遊ぶ? また比企谷んち来てもいい? 比企谷がよければ、どっか遊びにいくんでもあたしんちでもいいけど。……あ、でもあたしんちに来るんなら事前に言っといてねー。スカートじゃなくてパンツにしとかなきゃだから」

 

 ぐっ……こいつマジで引っ張んな……しつこすぎだろ……なにそのニヤけた笑顔、腹立つわ。

 ……や、ちょっと待て。まず俺が女子んちになんか行けるわけがねーだろうが……

 

「……あー、そうだ。どこ行く以前に、しばらく俺忙しいから無理」

 

「えー? なんでー?」

 

「いや、ちょっとな。俺いま体育祭運営委員やってんだわ。んでそれがまた結構こじれてて、ちょっと大変なんだよ」

 

 俺のその言葉に、折本は顔をしかめる。

 いや、別にそんな不服そうな顔する必要なくない?

 

「……は? マジで……? てか体育祭運営とかって、普通運動部とかの仕事じゃないの? 比企谷、運動部なんか入ってないよね……?」

 

「ん? ああ、運営委員っつっても首脳部側なんだよ」

 

「はぁ? なに? 比企谷って生徒会とかだったりすんの!?」

 

「ちげーし。ちょっと部活で助っ人みたいな形でな」

 

「……じゃあやっぱどっか部活入ってんだ。なにしてんの?」

 

 ……たぶんここで奉仕部とか言ったら「奉仕! ウケる!」とか言って、また話が長くなんだろうなー、やだなー、めんどいなー。

 

「……いやまぁもう時間も時間だし、そこら辺はまた今度な」

 

「……そ」

 

 その提案を一応聞き入れてくれはしたものの、どうやらまだ納得はいってないようで、折本は相変わらず眉をひそめたままだ。

 

「……あのさ」

 

 すると折本は遠慮がちに問い掛けてくる。とてもとても気を遣った様子で。

 

「……あたしにはよく分かんないけど、それって……今度は大丈夫なの? ほら、文化祭んとき、あんなことあったし」

 

 

 ──ああ、そうか。なんで運営委員と言った途端にこんなにしかめっ面になんのかと思ったら、こいつは心配してくれたわけだ。あの惨状を目の当たりにしてしまったから。

 

 大丈夫だ、問題ない。そう口から出掛けたのだが、先ほどの部屋でのやり取りを思い出す。

 

『おいおいでもいいから、もし話して気が楽になるようなことがあんなら遠慮しないで言ってよね』

 

 

 さっきあんな顔させちゃったばっかだし、ここで早くも嘘なんか吐いたって、たぶんすぐにバレてさらに余計な気を遣わせてしまうんだろう。

 だったらまぁ、ちょっとくらいは俺の本当と本音を織り交ぜていこうか。……そう、少しずつ、ゆっくりと。

 

「ま、結構厳しい状態ではあるな。運営委員長が相模だし」

 

「は!? なんで!? また相模さんと関わってんの?」

 

「……まぁ成り行きでな」

 

 折本は心からの呆れた眼差しで俺を見つめ、深く深く溜め息を吐く。

 

「はぁぁ〜……なんなの? 比企谷ってどんだけお人好しなの? もしくはドM?」

 

「……どっちも違うから。ただ仕事ってだけだ」

 

 

 ていうか女の子がドMとか言うんじゃありません!

 

「……じゃあ、さ。ヤバくなったら、またなんか無茶苦茶すんの……?」

 

「……いや、今回はもう前みたいな真似はしねぇよ。てか俺が悪者になってどうにかなる段階は過ぎちゃってるし」

 

「……じゃあ前よりよっぽどヤバいじゃん」

 

 冷たい! 視線が冷たいよ!

 

「だからまぁ、今回は首脳部全体でやれることをやるしか無いって状態だから、少なくとも前みたいなことにはならん」

 

「……そっか。……ま、比企谷がそう言うなら信じる。でも無茶はしないでよね」

 

「ああ。……その、ありがとな」

 

「ぶっ! 比企谷が素直にありがとうとか言うのも逆に面白いよね!」

 

 ……ほっとけ。

 

 ようやくご機嫌を直した折本は、こいつらしくけらけらと笑いながら、チャリを漕ぎつつ手をぶんぶん振ってフラフラと帰っていった。ちゃんとハンドル握って、ちゃんと前を向いて運転しなさいね?

 

「じゃーねー! 遊ぶのは体育祭が終わるまで我慢するけど、メールとか電話はちゃんとするからねー。出なかったらまた校門で待ってっからー」

 

「……それは勘弁しろよ」

 

 最後まで自由人溢れる折本のセリフに、どうしようもなく苦笑と呟きが込み上げてくるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 さて……折本も見送ったことだし、それでは本日最後の難関が待ち受けているであろう我が家のリビングに向かうとしましょうか。

 ホント折本が絡むと心が休まる暇がないなぁ……

 

 

 

 ──リビングにはやはり小町が待っていた。

 ニコニコと満面の笑顔でソファーに腰掛けるマイエンジェル。

 

「お兄ちゃん、そこに座って」

 

 でも、でもね? そんな極上スマイルエンジェルが「そこに座って」と指差している場所は、愛する妹の隣、ではなく……冷たいフローリングでした。

 

 あっれー? 正座? お兄ちゃん、床に直に正座なのん?

 

 

 

続く

 






今回もありがとうございました!


なんか再会したばっかなのに折本が八幡と友達になりた過ぎに見えちゃうかもしれませんが、作者としては、中学時代から見方が変わって戸惑っていた直後にあの場面(屋上)に出くわした折本の気持ちは、偶然「本物が欲しい」発言を聞いてしまったいろはす並みか、それ以上の気持ちの変化があったんじゃないかなー?とか思ってます。


ではではまた次回お会いしましょう(^^)/




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