待っていた夜は 作:厨二患者第138号
第2話
輪廻転生という言葉をご存じだろうか。
死んだモノの魂がこの世に舞い戻り、また何かしらの形で地上に命をもって生まれ落ちる事である。
この
仏教的に言えば転生をした先の人生は前世でいかに善行、或いは悪行を積んだかで変わる。
例えば悪行を積み重ねた者は畜生として生まれ、その最後も悲惨な物になる。
逆に善行をしたものには人間として生まれ、然るべき幸せな人生が待っているという。
人間で生まれる事が幸せかどうかは兎も角、転生とはそういうものだ。
少なくとも俺の知識の中ではそうなっている。
さて、ではなぜそんな話をするのか。
まぁ脳みそがサル並みのド低能でもわかるだろう。
次に目を開けた時、そこに広がっていたのは俺の知らない天井だったのだ。
その天井は石造建築なのだとすぐに分かる程度には塗装も何もされていない。
しかもかなり古い建物なのか、清掃が行き届いておらず天井の隅には蜘蛛の巣が大胆に張り巡っている。
明らかに現代日本に住む俺の家ではない。
そもそも俺の住んでいる家はこんなオンボロ石造建築物ではなく、鉄筋コンクリートでできた超現代チックなアパルトメントの一室である。
しかし、事実として俺はこの古い建物で寝転がっている。
最初に頭にチラついたのは誘拐の二文字。
最近は世界全体で治安が悪くなりつつあるこのご時世。
日本人である俺でも、テロや戦争などの流血沙汰とはもはや完全に無縁と言いきれないのが現実だ。
どこか違法な組織に誘拐された。
あまり考えたくないが、そうだとすればこの状況にも説明がつく。
だが心当たりがない。
裏社会の恐い人たちに喧嘩なんて売ったことなんてないし、ましてやそんな度胸もない。
経歴も目立ったものがある訳でなし。
俺はそこらへんで酒飲んで上司の愚痴を漏らしているような社会人だ。
もっと有体に言えば一般人だ。
勉学や知識には多少の自信はあるものの、それも全国的に見ればたかが知れている。
誰かに誘拐されるような理由が俺にあるようには思えない。
とすると、これは無差別な誘拐だという事になるのだろうが……
「あ?」
そんな疑問が吹き飛ぶくらい、俺は新たな違和感を覚えた。
掌がまるで赤ん坊のような小さな椛型だったのだ。
握ろうとしてもうまく力が入らず、拳を作ることもままならない。
おかしい。
俺の手はこんな小さくない。
これではまるで……
嫌な予想をしながら、手の事はとりあえず忘れて、俺は周りを確認しようと起き上がろうとした。
だが、案の定というべきか手と同じく足の膂力も貧弱だったようだ。
何故か短い俺の足は体重を支えきれず、起き上がることは叶わなかった。
嫌な予感が現実になりつつあることに焦る。
他にも何か出来ないかと試行錯誤を繰り返した。
しかし、本当に、文字通り、何もできなかった。
しいて言うのなら、甲高い声で泣き叫ぶことのみ。
認めざる得ない。
――――――俺、
今回短い上に急展開で申し訳ありません。
次回はもうちょい文章量を増やしますよっと。