待っていた夜は 作:厨二患者第138号
「お世話になりました。ジダンさん、どうかご達者で」
「最後まで律儀な奴よなぁ、お前さんは。今まで数多の弟子を取ってきたが、お前さんほど師匠孝行な弟子もいなかったぞ」
『物知りジダン』と出会ってから早半年が経った。
俺は彼から魔術を教わりつつ、剣の指導も受けた。ジダンさんは恐ろしく強く、最初の内は手も足も出なかったのは良い思い出である。その時に、俺には剣の才はないと何度も面と向かって言われたときはかなり堪えたが。
そのため、今でも剣の実力だけで彼を倒せるかと言われれば首を傾げざる負えない。だが、ソレとは逆に魔術の腕はジダンさん曰くそれなりに非凡らしいので、影の国へ向かう事を許されたという訳だ。
因みにジダンさんは元は影の国出身者で、彼の国の女王スカサハから武術の教えを受けたらしい。スカサハとは先にも述べた通り俺の目指す国である影の国の現女王であり、更には神殺しを為した規格外の人間(?)である。道理でその弟子であるジダンさんも強いわけだ。
彼女は今も見込みのある人間がいればその人間を弟子にして、武術及び魔術の英才教育をするらしい。話によればケルト神話の大英雄クー・フーリンもスカサハから武術や魔術の教えを受けたらしい。
ジダンさんに興味があれば教えを乞うてみろと冗談めかして言われたが、そもそも影の国に到達できるかどうかが鬼門なのでその話は後回しとなった。
「いえ、これ位は当然の事です。ですから、どうか体をご自愛ください」
「ははは、儂もまだ現役じゃよ。戦があれば迷わず突っ込む。もとより儂は情報屋なんぞより傭兵といった方が正しいからな」
――――――理不尽に生きて、理不尽に死ぬ。
それは彼の口癖だった。そして実際その通りだと思った。
俺の生きていた時代は何と優しく、温い世界だったことか。『国境なき医師団』に在籍して、この世の残酷さについては人一倍知っているつもりになっていた。
そのことが今は恥ずかしい。本当に残酷な環境に置かれている者は、自身が残酷な環境にいるなどと認識できる訳ないというのに。
だからジダンさんの言葉は酷く的を射た、救いのない言葉だと思った。
「……それでも、やっぱりジダンさんには死んでほしくありません。俺は……」
「それ以上口にせんで良い。儂の様な狂人には何を言ってもしようがない。お前さんの優しさは、本当に救いを求める民に向けてやればよいのだ」
自分を狂人と語るのに、一体どれだけの思いが込められているというのか。俺には計り知れないが、少なくとも一種の誇りの様なモノがあるのは分かる。
そしてそれは俺には一生理解できない代物だとも思った。
「……分かりました。でもジダンさん、甘いと言われるかもしれませんが、そこまで言うんだったら戦場でも生きて帰ってくださいね?」
「……優しいのう。儂はそれを甘さとは言わんよ」
ジダンさんは一度驚いたような顔をして、その後すぐにいつもの優しい表情に戻って微笑んだ。それが面白くて、しかしこれが恐らく最後の会話なのだと思うと悲しくなってきた。
何と言っていいか分からなくなってなってきた俺に見かねてか、ジダンさんは俺から目を反らして背けた。
「話が過ぎたな。これ以上は別れが惜しくなる」
――――――彼の声が、若干上ずって聞こえたのは果たして気のせいか。
「……ええ、そうですね。再三失礼、どうかご達者で」
「応、お前さんも行けると良いな、影の国」
それを確かめる術は最早なかった。
主人公は『ルーン魔術:D』を覚えた!!
UBWで槍ニキがルーン魔術を使うとき、しっかりその用途に則った文字を刻んでいて感動したしじみです。
ところで、今イベントで大蓮花の獲得量が増える鯖の殆どが☆四ばかりでかなりしんどいです。
おかげでメドゥーサちゃんが活躍できるのでいいのですが、流石に効率が悪いっすねw