VRMMORPGで死神に挑む……それで、レベルって何?   作:ディアズ・R

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ちょっとご都合主義っぽいけど、今更だよね?
暇潰しにどうぞ~


アップデート第二弾らしい。

「椿!アップデートしたらしいぜ!」

「?」

「名も無き英雄の伝説だよ!」

「?」

「……死神」

「あぁ」

「なんでだよ!?」

 

こうして椿は、ゲームがアップデートされることを知った。

家にてやることをやって、やっとゲームを起動する椿。

ログインして最初に確認するのは、武器が増えたかどうか。

アップデート内容は未だに公開されてないので、自身で探すのが一番早いのだ。

というわけで、桜はギルドに向かう。

何時もの様にNPCのアイリが話しかける。

 

「こんにちは、桜さん」

「あ、こんにちは、アイリさん」

「……ちょっとこちらに」

 

桜はアイリに手を掴まれ、ギルドの一室に連れて行かれる。

男性プレイヤー達の悲鳴がギルドに響いた。

ちなみに、今回のアイリの行動はイベントでもある。

一定以上の好感度がある場合、公開されてないアップデート内容をこっそり教えてくれるのだ。

 

「ここなら誰にも聞かれません。それで、今回のアップデート内容聞きますか?」

「是非」

「えっとですね、新武器の追加、新エリア及び新フィールド及び新ダンジョンの追加、紋章機能の追加、隠しステータスに努力値の追加、アビリティーの派生の追加、これだけですね」

「隠しステータスの努力値って何?」

 

普通なら新しい機能である紋章機能について聞くのだが、生憎桜は普通ではない。

そして、努力というのが好きな桜であることから、努力値が気になるのは必然ともいえる。

 

「努力値はですね……他の人には言わないでくださいね」

 

こそこそと桜の耳元に小声で囁くアイリ。

そんなアイリに小さく頷く桜。

 

「それぞれのステータスにあった行動をすることでステータスが上がるんです」

「つまり?」

「アタックを上げたいなら武器を振ったり、何かを殴ったりすればステータスが上がるんです。ただ、一定以上の数値になるとより高度な行動をしなければなりません。たとえば、アタックを木を殴ることで100にしたとします。101以上にするには木ではなく鉄を殴らなければならなくなります。251以上では鋼鉄、501以上では銀といった風に徐々に上げるための難易度が上がっていくんです。痛覚はなくても、衝撃はありますので大抵の人はそんな方法をとることはないですね。こんな感じの説明ですが、わかりましたか?」

「えぇ、大体わかりました。でも、アタック100の人が銀を殴ったらどうなるんですか?」

「ダメージを受けます。ステータスの値にあった順番通りに行動しなければ何の変化もえられません。それと、この方法でステータスを上げるのはあんまりお勧めできません。ステータスを1上げるだけでもかなりの時間がかかりますから。アタック10の人が木を殴って11にするのだって100回ほど殴らなければなりませんからね」

「大変そうだね。まあ、程々にやるよ」

「そうしてください。他には何かありますか?」

「いや、特にないかな?そうだ、新しい武器取得クエスト」

「フフ、ちゃんと用意してありますよ♪今回はですね―――」

 

ただイベントで会話しただけの桜とアイリだが、何故かアイリの好感度が上がっていたりする。

今回のイベントが起きる前より、距離が近づいていた。

個室からにこやかに談笑しながら出てきた桜とアイリを見た男性プレイヤーは、イケメンリア充爆発しろ(#^Д^)というスレで大いに盛り上がったとか。

 

 

 

◇◇◇◇◇

◇◇◇◇◇

◇◇◇◇◇

◇◇◇◇◇

◇◇◇◇◇

 

 

 

桜はアップデートで追加された十字戟を振り回しながら、ラッテスの遠距離攻撃と魔法攻撃を完璧に防いで魅せる。

この状況は、桜が隠しステータスの努力値で、ガードとレジストを上げる為の特訓だったりする。

ラッテスと戦うことができるのは、アイリと同じで一定以上の友好度(異性キャラは好感度、同性キャラは友好度)があるとイベントとして戦闘をすることができるようになる。

なんだかんだで、いままでただ逃げていただけだったのだ。

まあ、そんなラッテスも本気ではないとはいえ、レベル1の相手にこうも完璧に防がれるのは予想外だった。

ましてや、魔法と物理の同時攻撃の筈なのに無傷なのである。

もはや桜のリアルチートっぷりは笑うしかない。

 

「何故だ!?何故当たらない!?」

「防いでるからな」

「疲れたからやめていいか!!」

「あと一分……と6000秒」

「鬼か!?」

 

そんなこんなでラッテスとの特訓終了。

ステータスがどうなったのか確認せず、死神に向かっていく桜。

平常運転である。

十数分後、死に戻ってきた桜は、見慣れた景色が少し変わっていることに気が付く。

それは、賑わう広場から隠れるようにして建つボロボロの店だった。

看板があり、とても読みにくい字で刻印屋と書かれてあった。

桜はその文字を数秒ジッと見つめ、店の中に入る。

 

「クヒヒ、いらっしゃい」

 

出迎えたのは目の下に隈があり、唇が少し紫っぽくなっていて、髪が長くて貞○の様な感じになっている女性NPCだった。

店の雰囲気と合わせると、間違いなく妖怪に見える。

桜はホラーより黒いGが苦手なので、特に反応もせず店番の女性に近づく。

 

「刻印屋と外の看板にありましたが、ここはどんなお店なんですか?」

「ケヒ、紋章を刻印するお店だよ。身体に刻印することで、いろいろ効果が出るの。私じゃ、身体以外に刻印できないけど、上手い人がやれば武器や防具にも刻印できるんじゃない?」

 

つまるところ、この店はアップデートと同時に追加された店で、新機能である紋章を刻印してくれる店なのである。

紋章とは、動物の絵やゲーム内の神々の絵を刻印することでステータスを上昇させたり、アビリティー枠を追加出来たり、いろいろと補助的な役割を持っている。

ここの店は追加アビリティーである【紋章刻印LV2】程度の刻印しかできないので、両手の甲のみ刻印が可能である。

アビリティーのレベルが上がれば、足だったり背中だったり額だったりに刻印ができるようになる。

というわけで、刻印してもらおうとする桜。

 

「クヒッ!お金無いんじゃないの?」

「むぅ、確かに持ってないな」

 

お金は基本、エリーゼとタマさん相手に全部使っているのである。

少し考え、一つだけ思いついた。

自分では役に立たない、でもお金に出来る物を桜は持っている。

そう【大海の王衣】である。

なんとなくレアなのだと感じていたので、フレンに売りつけることにした桜。

広場にフレンを呼び、交渉を始める。

 

「買う?買わない?」

「フッそんなの決まっているだろ?買うだ!!」

「じゃあ、いくら持ってる?」

「ん?えっと、275万とちょっとだな」

「じゃあそれで」

「……ぇ?」

 

そして、桜は275万ちょっとの金額を手に入れた。

あの装備をNPC店に売ると500万Lはするので、フレンはかなり得をしたともいえる。

雰囲気的には追剥にあったような感じで、泣きながらフィールドへ走って行ったが。

刻印屋に戻り、刻印してもらうことに。

 

「クヒャ、何がいい?基本100万Lだけど、モノによっては100万L以上だよ~ケヒャヒャ」

 

この店で刻印できるのは、【獲得経験値・小】【熟練度上昇率・小】【アタックアップ・小】【ガードアップ・小】【マジックアップ・小】【レジストアップ・小】【スピードアップ・小】【ラックアップ・小】【ヘイト率上昇・小】【ステルス率上昇・小】これらが100万Lで刻印可能。

【ステップ準備短縮】【ジャンプ力強化】【眼力強化】【盗み成功率上昇・小】こっちが150万Lである。

【アビリティー枠+1追加】こちらは500万Lだ。

150万Lで刻印可能なのは、刻印しようとしているプレイヤーの所持アビリティー次第のアビリティー紋章というものである。

そして、桜が選んだのは【熟練度上昇・小】と【ステップ準備短縮】の二つだ。

【熟練度上昇・小】は兎の紋章で、【ステップ準備短縮】は靴マークの紋章だった。

【ステップ準備短縮】は、その名前の通りアビリティーの【~ステップ】の溜めを短くする紋章で、桜の場合は三秒の溜めを一秒にしてくれる。

これで桜は、高速戦闘が可能になった。

 

「アヒャ!まいどあり~クヒヒ」

 

そして桜は、死神へと向かっていった。

 

 

 

◇◇◇◇◇

◇◇◇◇◇

◇◇◇◇◇

◇◇◇◇◇

◇◇◇◇◇

 

 

 

桜が刻印屋から出て死神へと直行して戦闘を始めたころ、刻印屋の前に数人のプレイヤーがいた。

 

「あの死神狂いがここから出てきたんだよな……この看板なんて書いてあんだ?」

「さぁ?汚すぎて読めないな」

「さっさと入ろうぞ」

 

アッシュ、殿、赤褌こそが男の証の三人である。

三人が店に入り、我先にと顔を青くしながら店から這い出てきた。

 

「ななななななななななんで○子が!?」

「おおおおおおおおお落ち着け!?テレビから離れるんだ!?」

「こここここここここ殺される!?呪い殺される!?」

 

それを見たプレイヤーの一人、邪鬼眼ことレミエール・|S(セラフィム)・|K(カオス)・ルシフェルが刻印屋へと向かう。

 

「フッ悪霊など我の聖魔の力にて消滅してくれようぞ!!」

 

扉を開けて中に入り、全力で逃げだした。

 

「無理無理無理無理無理!?なにあれ!?なんなのあれ!?いやぁぁぁぁぁ!!!」

 

中二病な役作りすら忘れ去り、恐怖に負けた一人の女性プレイヤーとして泣きながら走り去っていった。

刻印屋の店主が、あまりにもホラー過ぎて刻印屋で紋章を手に入れられることを知る者はあまりいない。

というか、今のところ桜以外知らない。

広場の影の貞○として怪談扱いの刻印屋だった。




今日のGM

「そうだ……それでいいんだアイリ……くく、クハハハハハ!!」
「お前大丈夫か?」
「許可無く勝手に機能追加するから、五徹を命じられるんだよ」
「……五日も寝れないなんて……まだ死にたくないっすよ~」
「にしても、相変わらずのチートっぷりだな、桜君」
「スゲェな……てか、まだレベル一なのか?」
「彼にレベルはいらないっすよ、偉い人にはわからんのです」
「いや、まあ、お前よりは上だけど」
「あ、紋章手に入れた」
「え!?マジっすか!?」
「金が無かったみたいだな……おいおい、マジかよ」
「【大海の王衣】売ったぞ。しかも半額ぐらいで」
「さすが、さすが桜君!俺達にできないことを平然とやってのける!そこにしびれる、あこがれるぅ!!」
「ハマったのか、ジョ○ョ」
「ハマったんだな、ジョ○ョ」
「めっちゃ面白かったっす」
「「だよな!」」
「あんた達、休憩時間とっくに終わってるんだけど?」
「「「……あ」」」
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