「激獣ライガー拳、だと!?」
マキリカが驚愕の声を上げるがそれも一瞬。
「ならば聞くが、お前の放っているそれには臨気が混ざってる。貴様、臨獣殿ではないのか?」
『ほう、オレの不在の間に随分デカイ口を叩くようになったな、マキリカ』
「なっ!?この声は…」
その声はその場にいないはずの人物。それはマスタートライアングルが戦った臨獣殿元首領の声。
「なあ、お前勝手に出てきて大丈夫なのか、理央?」
『理央!?』
その場にいた全員が驚いた。
理央、臨獣殿元首領で臨獣ライオン拳使い。一時は幻獣拳を使っていたが、最期はジャン達にリンギを全て託してロンにぶつかっていったと聞いていた。
では、その理央が何故一夏の中に…?
「理央、お主も最期は激獣拳使いとして認められたのじゃろう」
その疑問を解決したのは年老いたネコの姿の七拳聖の1人、マスターシャーフーだった。
『久しいな、マスターシャーフー。どうやらオレの魂は激気魂になってコイツに宿ったようだ。目覚めたのはドイツでコイツが殺されかかっていた時だ』
「オマエら!俺を差し置いて勝手に話を進めるとは、許さん!!」
マキリカが怒臨気を刃にして飛ばしてくる。すると、
「バエ以上に五月蝿いカマキリだな。激獣ライガー拳、ゲキワザ!!」
一夏がライオンを模した構えをとる。なつめやシャーフーにはそれがかつての理央がリンギを放つ姿に見えていた。
「
赤いライガーが吼える。ただそれだけで怒臨気による攻撃はかき消される。
「なぁ!?バカな…!!こんな事が…」
「マキリカ、冥土の土産にいいものを見せてやる」
一夏の周りを激気が包み込む。すると、その隙間から僅かながらに臨気が見え隠れしていた。
「激獣ライガー拳秘伝ゲキワザ『
刹那、一夏の周りの激気が全て臨気に変わっていった。
「過激気でも、紫激気でも、ましてや臨気でもない。獣拳使いの一つの真髄『
今度は虎の構え。これはジャンのゲキワザの構えだ。
「
臨激気で作られたライガーはマキリカに食らいつくとそれを振り回し、強靭な前脚でそれを八つ裂きにした。こればかりはなつめや蘭、簪は目を伏せていた。
「激獣拳に目覚めたは良いが、これはこれで問題じゃのう」
シャーフーはやれやれと言わんばかりに一夏達をスクラッチ社に連れ帰った。
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『えぇぇぇぇ!?一夏が理央の臨獣拳を受け継いでる!?』
「でも、リンギだって正しい事に使えば大丈夫だろ?」
レツとラン、シャーフー以外の七拳聖は驚いていたが、ジャンの正論により思いとどまる。
確かに技に罪はない。リンギを正しい事に使うなら有益だろうし、逆にゲキワザを悪しき事に使うならそれを正さねばならない。
要は使い手が技の善悪を決める。
ジャンはそれを言いたいのだろう。問題はそこではない。
激気と臨気、双方の性質を持つ『臨激気』。
ライガー拳の使い手の一夏が見出した恐らく獣拳の境地の一つ。激獣拳だろうと臨獣拳だろうと使える究極の気。
「恐らく、理央の激気魂がジャンの激気と触れ合ったことで一夏にライガーという異端の拳が生まれたのではないか?」
それがシャーフーの導き出した答えだった。その翌日から(受験戦争のこともあり)一夏には獣拳禁止のお触れが出たのは言うまでもない。
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それから2ヶ月が経った藍越学園試験会場。
「なあ、一夏!これ、どうなってんだ!?」
「そんなの俺が聞きたいですよ!」
結論を言おう。
男であるにも関わらず、一夏とジャンがISを動かしてしまった。
「あぁー!もう、頭ウジャンウジャンだー!!」
翌日の新聞の見出しが
『2人の男性IS操縦者が現れた!!』
と書かれていたのは言うまでもない。
簪が空気…。でも出番はあるから大丈夫(震え声)