東京・渋谷
ブロロロロン
猛烈な排気音を出してBMWは繁華街の袋小路の一角にある「ラーメンはなまる」の前で止まった。
「おい!だれだよ、こんなトコまで外車乗り付けてくヤツはよ!冷やかしだったらすぐ帰んな」
店主のミンさんの声がラーメン屋の中から響く。
「あの車、四代目・・・のじゃないですよね?」
すると、車からヒロさんが降りてきた、顔は今まで見たこともないほど暗かった。男は反対側に回って助手席のドアを開け若い女を連れ出した。
ほぼ同時に僕のケータイからコロラドブルドッグのギターリフが流れ出す。
「もしもし」
「僕だ、すぐにヒロとその女を事務所に案内したまえ。話はそこからだ」
僕の名前は藤島鳴海、都内のM高校へ通う高校生でワケあってこのラーメン屋のビルにある探偵事務所で探偵助手として働いている。
僕はヒロさんに向かって首を縦に振ると二人を先導して事務所に案内した。
NEET探偵事務所 It is only the NEET thing to do
ビルの3階にその探偵事務所はある。ヒロさんは僕に合図をする。
ドアを開け、二人を中へ案内する。
まず目につくのは9つのモニターだとデスクトップ型の。その前にパジャマ姿で座っている11歳くらいの少女がこのNEET探偵事務所のニート探偵、アリスである。
「ナルミ、ドクペを3つ持って来たまえ」
僕は部屋のキッチンにある冷蔵庫から赤い毒々しい色をした炭酸飲料の缶を3つ持ってきた。
「で?ヒロ、依頼はなんだい?」
アリスはドクペを一口飲んで訊く。
「依頼人は僕じゃないよ」
ヒロさんはサラリと言った。
「私です。」
「君は、池袋駅東口繁華街のキャバクラ『アフロディテ』で働く佐藤梓だね。確か源氏名はアズサと言ったな。」
「この子何?」
その女は驚愕の表情をしていた。
「僕は死者の代弁者、ニート探偵だ。必要ならこの事務所からあらゆる情報を集めることも可能だ。必要なら依頼を聞こう。」
「あの報酬とかは?」
「それは僕が持つよ。いつもお世話になっているし、いいよねアリス?」
「依頼を聞こう。」
パジャマ姿の少女はこう言った。
「最近池袋で襲撃事件が多発しているの。」
「襲撃ってどんな?」
僕はとっさに訊いてしまった。
「私も良くは知らないんだけど、ネットの掲示板を通じて知ったの」
「ダラーズだね。確か掲示板上でリーダーが警告を発していたと聞いている」
女はうなずき、話を続けた。
「その投稿があった晚に事件が起きたの」
「事件?」
「私の働いているキャバクラが襲撃されたの」
「キャバクラに襲撃!?何の為に?というか誰が?」
僕は思わず声を上げる
「それから?」
「結局、私と他の仲間は逃げ出したんだけど・・・店に放火させられちゃって」
「犯人の様相は?」
「中国人かな?しゃべっているのが日本語じゃなかった」
そこまで言ってアリスはモニター群に向かって指示を出した。
「ヒロ、彼女を自宅までエスコートしろ。アズサ、君は自宅で待機していてくれ」
「もしもし、テツかい?池袋のキャバクラ『アフロディテ』襲撃事件に関する情報を集めてくれ。」
「四代目かい?平坂組を総動員して池袋のチャイニーズマフィアを調べあげてくれ」
「ナルミと少佐も池袋に向かってくれ」
今度は僕たちに向かって言った。
ニート探偵団は再び動き出した。