何かがいる。
「白式・甲龍共に所属不明のISにロックされています!」
「所属不明だと?」
山田先生の警告に、千冬が疑問の声を出す。
爆煙から光が漏れる。白式が動いた。
レーザーが甲龍に向かう。白式が甲龍を押し、避けた。
「これは、ブルー・ティアーズのレーザービットより出力が上です!」
「なんですって! ブルー・ティアーズは第三世代型の武器ですわよ!」
山田先生の報告に、セシリアは金切り声を上げる。
爆煙が少しずつ晴れ、所属不明機の姿が見えた。
暗い灰色のIS。手が異常に長く、地面についている。
一夏がそのISに向かって叫ぶが、返答は一切ない。
「織斑君、凰さん! 今直ぐアリーナから脱出してください。すぐに制圧部隊が来ます」
山田先生が一夏と鈴に命令を下す。しかし、一夏は従わなかった。
「はい。でも皆が逃げるまで、食い止めます」
観客席に居た学生たちがまだ逃げていないことを、一夏は知っていた。山田先生が現状を把握するために操作した映像が、白式にも送られていた。
「確かに必要ですけど、いけません!」
「一夏さん!」
山田先生とセシリアがマイクに向かって叫ぶ。
箒はどうすれば良いのか分からず、視線を動かす。何も思い浮かばない。焦る。何も出来ないと頭で理解しているのに、もう一方で、何かできないかを探していた。
箒は千冬を見る。何かを確かめる様に、画面を見ている。一夏の命令無視に対して、何も言わなかったくらい、集中している。
箒も画面を見た。所属不明のISの全貌が映しだされている。
そのISは、首というものがなく肩と頭が一体化している。その頭にはむき出しのセンサーレンズが五つ不規則に並んでいて、不気味に見える。腕にはビーム砲 が肩の近くに一つ、手の甲の近くに一つ、左右に合計で四つあり、体全体に黄色のスラスター噴出口が散りばめられている。
「織斑君、凰さん! 聞いてます?!」
山田先生が、先程からずっと交信を続けている。一向に返事は帰ってこない。
「本人達がやると言っているのだ。やらせれば良い」
千冬がそんなことを言った。
「織斑先生! 何をのんきなことを言っているんですか!」
山田先生が怒る。千冬は「落ち着け」と山田先生を宥める。
箒はその千冬の態度に引っかかった。全力を持って、あのISを排除するべき必要があるはずだ。それをたった二人にやらせる。つまり、二人で対処可能だと考えている。所属不明のISなのに。
「先生! 私にISの使用許可を! すぐに出撃できます!」
セシリアが千冬に進言した。箒はそれならいけるのではと、千冬を見る。
「そうしたいところだが、遮断シールドが閉じている」
千冬が扉の施錠状況マップをセシリアにみせる。
「しかも扉が全てロックされて……あのISの仕業?」
セシリアがそう呟く。
しかし、戦闘を行いながらハッキングなど、可能なのだろうか。専用機を相手に片手間でハッキングする。しかもIS学園という高度なセキュリティに護られた場所を。
「そのようだ。……これでは、非難も救援もできない。三年の精鋭がシステムクラックを実行中だ。遮断シールドを解除できれば、すぐに部隊を突入させる」
千冬が腕を組みながら言う。いつもの千冬だ。
今もセシリアにブルー・ティアーズが邪魔になる理由を言って、突入部隊を諦めさせていた。
白式が所属不明機に突撃する。
しかし、それは簡単に躱された。瞬間的に回避する機動が速い。
白式の近接攻撃が、全く当たらない。
「一夏! ちゃんと狙いなさいよ!」
鈴が文句が管制室に響く。
焦っている。今ので四度も攻撃に失敗したのだ。エネルギーも心許無いだろう。
「何か作戦がなきゃ、こいつには勝てないわよ!」
鈴の声はほとんど悲鳴に近い。
「逃げたきゃ逃げてもいいぜ」
一夏のおどける声が響いた。
この状況でも諦めていない。未だに”勝てる”イメージを一夏は持っている。
その一言で鈴は安定した。
「誰が逃げるってぇ! 私は代表候補生よ! あんたこそ逃げたいんじゃないの!」
「俺も、逃げない。お前の背中くらいは守ってみせる」
強い。二人は一向に諦めない。エネルギー残量が無くなる寸前なのに、最後まで戦おうとしている。
箒はあの所属不明機について考えた。それしか出来ないし、何かが気になるのだ。所属不明のIS。第三世代型武器の威力を越える攻撃。千冬の言動。ハッキング能力。
「なぁ、鈴。あれって本当に人が乗っているのか?」
一夏のその言葉で閃き、箒は走りだした。
「篠ノ之さん! どうしましたの!」
「おい! 篠ノ之!」
箒は静止の言葉に振り返らず、急いだ。
姉さんだ。姉さんがいる!
ISが所属不明で気付くべきだった。ISコアは全て割り振られている。所属不明なんてあり得ない。千冬もそれに気づいたから、あの二人に任せたのだ。姉さんならハッキングも可能だ。姉さんがあれを作ったんだ。
箒は走る。隔壁の降りた場所は通気口を壊し、そこを通る。目指すは、ピット。あそこなら、ISが出入りできるはずだ。
姉さんに会いたい。姉さんの声を聞きたい。箒は高鳴る心臓を抑え、走った。
最後の通気口を抜ける。カタパルトが見える。外の光が差し込んでいる。止まらず走り続けた。
爆発は止んでいる。攻撃の音や機動の音も無い。遅かったのかと箒は焦る。射出口の端まできたとき、まだ三機が揃っていて安堵した。
「姉さん! 私はここだ! 声を聞きたい!」
箒は大声で叫んだ。息を切らしながらも、アリーナに声を響き渡らせた。
そして所属不明機が、箒に砲口を向けた。
「えっ?」
箒は予想していなかった。攻撃されるはずがないと思っていた。
あれは姉さん以外にあり得ない。それが狙っている。どういうことだ。なぜ砲口を向けられている。砲口の奥が光っている。これからどうなるんだろうか。あれは私を狙っているのか。攻撃されるのか。ISの攻撃だ。生身で受けたら死ぬだろう。姉さんに殺されるのか。
姉さんがそれを望むのなら、それも良いかもしれない。
きっと、ねえさんにとって、私は邪魔者だったんだ。だから。
白式が今まで見たこともない速さで、所属不明機に突っ込む。
所属不明機の片腕を切り裂いた。
が、もう一方の手で殴られ、地面にぶつかる。
箒は何が何だか分からなくなった。一夏が狙われている。あの優しい一夏が。箒の孤独な生活に、会話をもたらした友達が。優しい姉の手によって、攻撃を受けようとしている。
なぜそんなことをするんだろうか。姉さんは一夏のことを、気に入っていたんじゃないのか。姉さんはいったいどうしたのだろうか。
一夏が攻撃される。箒はそれを口をだらしなく開けて見ていた。
レーザーが所属不明機に降り注ぐ。
ブルー・ティアーズが競技場に浮かんでいた。すでに敵をロックしている。
ブルー・ティアーズのレーザーライフルが、所属不明機を撃ち抜く。
所属不明機は抵抗無く倒れ、土煙が上がる。
終わった。
箒は生きている。自分は死んでも仕方がないとおもったが、生きている。
箒は呆然と競技場を見る。
此方を向いていた砲口は、今はない。もしかして、狙われたと思ったが、偶然こっちを向いたのだろうか。そうだ。何かの間違いなんだ。そうに違いない。
箒は「そうだ。きっと、そうだ」と呟き続ける。息は荒く、視線は競技場を彷徨う。白式が立ち上がるのを見て、それに注目する。
一夏も大丈夫だった。良かったと、箒は安堵する。
無事だ。さっきの攻撃は間違いなんだ。姉さんがそんなことするはずない。
「一夏! まだあいつ動いてる!」
鈴の声が聞こえた。
白式が光に包まれる。
爆発。
死んだ。箒はそう思った。黒煙が晴れ、白式と所属不明機が倒れ、動かないのを見て、その思いは強くなった。
甲龍が白式に近づく。白式が強制解除され、一夏が地面に落ちた。箒はそれを見て思い出した。
絶対防御。全てのISに搭載されている、あらゆる攻撃を受け止めるシールドだ。シールドエネルギーを極端に消耗することから、操縦者の命に関わる緊急時、救命措置を必要とする場合以外発動しない。白式が展開されていたから、絶対防御が発動しているはずだ。
怪我は負っているかもしれないが、命だけは助かっているはずだ。
同時に競技場へ多数の打鉄が勢い良く入ってきた。
一夏は甲龍に抱っこされ、ピットへと向かってくる。
所属不明機は打鉄によって、手際良く回収されている。
甲龍は箒の頭上を越えて、ピットへ入っていった。箒はそれを見送る。鈴は真剣な表情で、通り過ぎた。
「篠ノ之さん! あなた、無茶しすぎですわ!」
箒が振り返ると、ブルー・ティアーズがいた。
「ちょっと! 聞いてますの!」
「あ、ああ」
セシリアが箒に指を刺しながら怒る。
「一夏さんがいなければ、あなた! 死ぬ可能性だって有ったんですわよ!」
セシリアのその一言で、箒は目の前が暗くなった。
どんなに思い込もうとしても、事実は変わらない。箒は分かっていた。自分が死にかけたことに気づいていた。だけれども、もう一方で、姉に嫌われていない、狙われるはずないと思いたかった。
だが結果は、姉に殺されかけた。それを受け入れている心と、それを拒絶している心が、箒には有った。どちらも姉に嫌われたくない思いから湧き出た感情だった。
「篠ノ之さん! しっかりしなさい! 今は、一夏さんの所へ行きますわよ!」
セシリアはそう言うと、箒の頭上を通り過ぎた。箒は何も考えられず、セシリアの言う通りにした。
ピットの入り口で、一夏が救急搬送用のベッドに乗せられているところだった。
セシリアと鈴はすでにISを解除している。
「一夏、今から学園で精密検査するって」
鈴が一夏を見送りながら、心配した声で言った。白衣を着た人達が、一夏のベッドを動かし、扉をくぐる。
「すまない。……私の所為、だ」
箒は自分のしたことが分かっていた。ただ壊して、喚いて、そして一夏と鈴の邪魔をした。姉がいると思って、姉に会えると思って、思うがままに行動した結果がこれだ。中学の頃から、何一つ変わっていないと後悔する。
「はぁ? アンタの所為? 何、自惚れてんの?」
鈴が振り返り、眉を上げながら箒を睨んだ。そんな反応されると思わず、箒は困惑した。
「アンタが何したっていうのよ。アンタはただ訳の分からない事を叫んで、アレに狙われただけじゃない。一夏のことに、全く関わっていないわ」
鈴は箒を見上げ、腕を組む。箒は「しかし」と声を上げるが、鈴に反論された。
「しかしもかかしもない! あれは一夏が悪いわ。敵の真ん前で余所見するなんて。その後も突っ込むし! 射線を避けてから攻撃すれば良いのに! 相手はレーザーなのよ、レーザー! きっと攻撃される前に、突っ込んで倒そうとでも考えたんでしょ、あの馬鹿は!」
鈴は思っていたことをぶちまけるように、喚き立てた。力強く喋ったからか、肩で息をしている。
「一夏さん、精密検査なんて大丈夫でしょうか? ああ、心配ですわ!」
セシリアが鈴を無視して、そんな事を言う。
「大丈夫でしょ。一夏は寝てるだけだったし」
鈴は横目でセシリアを見ながら、ぶっきらぼうに言う。
「ね、寝てる? ですが、さっき精密検査と」
「男性操縦者だからでしょ。丁度良いじゃない。世界中の研究者が一夏のことに興味津々だし」
セシリアは鈴の言葉に口を開ている。しかし、顔を引き締め、鈴に詰め寄った。
「鈴さん! あなた、騙しましたね! あんな声で精密検査と言われれば、誰だって心配しますわ!」
セシリアが腰に片手を置き、もう一方の手で鈴を指差す。鈴はかぶりを振ってセシリアに言い返した。
「いいじゃない、心配すれば! それに擦り傷とかあったし、治療が必要なのは変わらないわ!」
「ふう、そうですわね。それでは私は一夏さんの看病をしますので、これで」
セシリアはそう挨拶をして、この場を離れようとする。それに鈴が食って掛かった。
「何、言ってんのよ! それは幼馴染である私の役目よ!」
「わ、私も一夏が心配だ」
箒は一夏に会いたかった。それに今は、この二人と一緒にいたかった。この二人が一夏を取り合っているのを見ていると、何も考えなくて済むからだ。箒は今、頭を働かせたく無かった。
「分かりましたわ。三人で会いに行く。これで良いですわね、抜け駆け禁止ですわよ」
セシリアが微笑みながら、そう提案する。鈴も笑いながらそれに賛成した。箒も頷くが、この約束は守られなさそうだと感じた。
「ほう、教師に報告もせず、どこへ行こうというんだ?」
扉が開き、千冬がピットに入ってきた。
「お、織斑先生……」
セシリアと鈴はたじろいでいる。箒も居心地が悪かった。
「凰、命令無視したことを忘れているのか? 指導する」
「げっ!」
鈴が体全体で拒否した。
「篠ノ之。なんの準備もせず、いたずらに身を晒したな。徹底的に指導する」
「……はい」
箒は自分のしたことを千冬に言われ、再認識した。
「オルコット。お前の報告も必要だ。ついでに指導してやる」
「な、なんでですの!」
セシリアの悲鳴がピットに響いた。
◇
夕方に一夏は目覚めた。三人で会う約束はあっさりと破られたが、箒は二人の心情が分かったので、それほど気にしなかった。一夏は彼女達のお見舞いよりも、 千冬に説教されるのではないかと気にしていた。いくら千冬でも、起きて直ぐに説教するわけないだろうと四人で結論づけた。その代わりにセシリアと鈴が、千冬の指導の怖さをつらつらと語った。
今はもう日は暮れ、一夏と箒は寮に戻っている。
箒は窓側のベッドを占領しているので、窓のブラインドの操作は、箒の役割だ。箒はブラインドを操作する紐を持ちながら、窓を見る。部屋の光が窓に反射し、箒の浮かない顔が写っていた。
所属不明機の砲口に狙われた場面を何度も思い出す。その度に箒は考える。姉さんの邪魔になるくらいなら、死ぬべきではないのか。姉さんに邪魔に思われながら、死にたくないと。姉さんともっと一緒にいたいと。
「どうしたんだよ、箒。さっきからため息ついて」
一夏が心配そうに声をかけてくる。箒はブラインドを下げ、一夏の方へ振り向いた。ベッドに座っている一夏が、不思議そうに箒を見ている。
「……一夏はなんで、私なんかに構ってくれるのだ?」
「はぁ?」
箒はうつむきながら、言葉を吐いた。それに対して一夏はいぶかしげな声を出した。
「だから! なんで私に話しかけてくるんだ! 私は直ぐに手は出る! 殴る! 竹刀を振り回す! 会話は出来ない! 友達もいない! そんななのに、なんで、一夏は優しく話しかけてしてくれるんだ」
箒は頭を掻き毟りながら、今まで貯めこんできた疑問を吐く。箒の態度に一夏は驚いている。何を言っているんだ私は、と箒は思いながら、自らを抑えきれない。
聞きたいのだ。一夏の思いを。
一緒に同じ部屋にいることで、箒が一夏に殴りかかることは何度も有った。それにもかかわらず、一夏は箒に挨拶し、食事に誘い、放課後に一緒に訓練をし、部屋では昔のことや、その日の出来事を話す。
なぜそんなに優しくなれるのか。どうやって相手を許しているのか。どのように諦めずに相手に接するのか。
「なんでって言われてもなぁ。箒は俺と話すのは嫌なのか?」
「嫌じゃない! 嬉しい! でもおかしいだろう!」
箒は顔を上げ、大声で否定する。一夏は笑った。
「そうだな。最初は、同じ篠ノ之道場の同門だから、世話を焼こうって思ったんだ。箒のおばさんたちにも、良くしてもらったし」
一夏は懐かしそうに声で、ゆっくりと言葉を紡ぐ。
「同じ寮の部屋になって、驚いた。昔の箒は、喋る方だったのに、今じゃ全然、喋んないからな。よく殴ってくるし、友達が俺しかいない、なんて言われるとは思わなかったよ」
箒はこの前の夜を思い出し、顔を隠す。しかし、一夏の言葉をしっかりと聞いていた。一夏もそれが分かっているのか、話を続ける。
「けど、昔と変わらないところもあった。クラスメイトには優しいし、ちょっとしたことで一喜一憂するし、髪型は一緒だし、なんだかんだ言いながら俺の訓練に付き合ってくれるし、千冬姉の事が未だに苦手だし、束さんのことが大好きだって事も、よく分かった」
そんなに見られているとは、箒は思っていなかった。恥ずかしさと嬉しさが、入り混じってしまう。
「変わったけど変わんないなぁ、って思ったんだよ。箒は自分のことを駄目な奴だって思ってるかもしれないけど、そうじゃないぜ。ちょっと、臆病になっただけだ」
箒は鼻をすする。自分が涙目になっているのが分かる。
「だから、友達作りの師匠になってくれって言われたときは、面食らったけど、昔の元気な箒みたいで、嬉しかった。だから俺もやってやろうって思ったんだよ」
箒は顔を上げた。不細工になっていると思われる表情で、一夏に言う。
「……私は、お前に暴力を振るったんだぞ。当たらなかったから良かったものの、入院するくらいのことをやったんだ」
それを聞いても一夏の表情は変わらなかった。笑顔でなんでもなさそうに、箒に言う。
「そりゃ、偶に殴ったり、竹刀を振るったりしてくるけどさ、初日と比べてそれも少なくなったし、俺は未だに怪我してない。なにより箒と一緒にいると、俺の気が楽だからな」
箒は感情が爆発しそうになった。それを抑え一夏の前に移動する。一夏の顔をしっかり見ながら、口を開いた。
「一夏、ありがとう。お前がいてくれて、本当に良かった」
言い終わり、箒は頭を下げた。
「そんな暗くなるなって。俺はいつでもお前の味方だ」
一夏は箒の頭を撫でる。一夏への恐怖は全く無くなっていた。箒は姉によく撫でられた事を思い出した。
箒は急に寂しくなり、一夏に抱きついた。一夏のベッドに二人で倒れる。
箒は静かに泣いた。嬉しくて、寂しくて、怖くて、色々な感情が入り混じり、泣く以外出来なかった。一夏が変わらず頭を撫でてくれるので、それに甘えることにした。
しばらく経ち、落ち着いた後に、箒は一夏へお礼を言った。服を汚した事も謝った。一夏はそれを笑い飛ばしながら、「気にするな」と言ってくれた。
箒は自分のベッドに入り、布団を被った。
様々な悩みがあるが、箒は少しスッキリした。そして、ある事を思いついた。
姉さんと話をしよう。会って、なんでこんな事をしたのか話し合いたい。一夏が話してくれたように、姉さんの思いを知りたい。
箒は心に決めた。今はまだ会いに行く勇気が無いが、姉の研究の邪魔をしてでも、必ず会いに行こうと思った。