改造手術を受け始めてからおよそ1年がたとうとしている頃
柊夜は見た目にもわかるほどの変化が、
柊華は見た目ではわからないが凄まじい変化が起きていた。
かなり前に “実験重要度”が高かった成人男性のモルモットは別室に移動され “実験重要度”が低い2人は同じ部屋にいた。
しかし、
「どうして私たちはここから出られないんだろう。」
柚華は疑問だった。
最後に改造手術を受けたのは二ヶ月前。
前までは一週間に二回から三回のペースで手術をしていたのに何故突然少なくなるのか。
少なくなるくらいなら 開放されてもいいのに、と。
脳内改造を主にされてきた為、頭脳は東大生にも負けないくらいだが、一方で生まれてからずっと研究室から出ていないうえに人と関わる機会が少ないからか人の心情や細かい会話などが理解できないでいたのだ。
「考えても仕方が無いか。」
“諦める” “逆らわない” の二つの事を幼い頃から教えられ続けた柊華は自分でも気が付かぬうちに考えることを諦めていた ────────
「俺はどうしたいんだろう。」
柊夜は考えていた。
肉体改造をされ、その際埋め込まれた触手がどうしたいか聞いてきたのだ。
物心ついた時には研究室に居て世界を知らない柊夜にはどうすればいいのかが全くわからなかった。
何が正しくて何が間違えかもわからない。
全て研究室の人に従っていたから自分で何をすればいいかなんてわからない。
それでも麻酔薬のせいで意識が朦朧とする中答えた。
「俺は ──────── 」
その答えが触手に届いたのか届かなかったのかはわからないが、答えた後触手を埋め込まれたところの痛みが徐々に消えていった。
その時だった
メインの研究室の方から大きな爆発音が聞こえ
2人と霧月彩芽が居る部屋の仕切りのガラスも割れたのは。
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気が付くと柊夜と柊華は見知らぬ部屋に居た。
「目が覚めてすぐの所 申し訳ない。防衛庁の烏間という者だ。ここからの話は全て国家機密であることを理解いただきたい。」
2人とも混乱した状態だったが お構い無し、というように烏間と名乗った男は続けた。
「まず、君らがモルモットとして人体実験を受けた施設に居た成人男性のモルモット…存在くらいは知ってるはずだがそいつが月を7割爆破した。物心ついてからずっと施設に居たということで月がどんなものかわからないかもしれないが、それに関しては後で自分で調べてくれ。
…で、その爆破したモルモット…ここでは超生物と呼ぶが超生物はほっとくと来年3月には地球を爆破する。
しかしそれまで私立椚ヶ丘中学校3年E組の担任ならやってもいいと言った。理由はわからないが、政府もやむ無く了承した。生徒に危害を加えないという契約のもとな。
生徒には奴の暗殺をしてもらう。
そして、ここからが本題だが
君たちにも奴を暗殺してほしい!
というのも我々防衛庁も一般生徒に奴が殺せるとは思っていない。
その為 転入生としてあの教室に暗殺者を送り込む予定だ。
君たち双子と、触手改造を受けた別の少年、人工知能。
君たちには 転入生暗殺者 という身分を隠したうえで彼ら一般生徒が3年生になると同時にクラスに入ってもらう。
柊夜くんといったか?君は触手を隠して暗殺をするように。
今なら確実に殺せるというチャンスまで温存しておけ。
柊華さんは 人工知能にも負けない知能を存分に使い、奴を狙って欲しい。
それから君たちには椚ヶ丘中学校の近くに一軒家を与える。
既に生活に必要なものはそこ全て用意してある。
わからないことがあればここまで連絡してくれ。
ここに俺の連絡先と君たちの家の場所が書いてある。
あ、それから始業式は明後日だ。 」
そう言い、1枚の紙を手渡すと烏間は部屋をあとにした。
「わからないことだらけなんだけど……」
そう呟いた柊華の声は誰の耳にも入らなかった。