ポケモン「絵描き」の旅【未完】   作:yourphone

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そろそろ~起きてよ、主人公~

起きた。けど、やっぱりまだまぶたさえも動かせない。

 

そういえばなんか、おっそろしく恐ろしい夢を見た気がするんだけど…………なんだっけ?

まぁ恐ろしい夢なんだから思い出せない方がいいか。

 

……んー、静かだ。機械の音しかしない。つまんないなぁ。

 

あの時は、タマゴの中に居たときはどうしたんだっけ。

確か―――

 

『ここは、カゴメタウンです』

 

そうだったね、二番さん。久し振り……かな?

 

『ブールさんが倒れてから二週間。その間一度も思い出してもらえなかったので、ええ、久し振りであってます』

 

……怒ってるの? ごめんね?

 

『いいえ、システム(わ た し)に感情はありません』

 

そうなの? そのわりにはポケッターとかで感情豊かなポケートしてるけど。

 

『見せかけです』

 

あっさりと断定するね。まぁ、そういうことにしておいてあげるよ。

 

……で、ねぇ。二番さん。俺は何時になったら動けるようになるの?

 

『動くことは可能です』

 

え、そうなの!?

 

『肉体的な損傷はほぼ完治しています。ただ、(しばら)く寝ていたのでなまっているでしょう』

 

そっか。……じゃあ、なんで、動けないの?

 

『肉体に原因は存在しません。故に、精神的なものだと考えられます』

 

精神、的な?

 

『例えば。動くのが怖い、現実が辛い、目覚めたくないといった理由で目覚める事を()()()()()、といったものです』

 

ふぅん。……あれ、いやでもこれって俺の事だよね?

別に動くのは怖くないし、現実はすごく楽しいし、目覚めたくないなんて思ってないんだけど。

 

『人は、何か認めたくない事柄があるとき、目をそらすことがあります』

 

………それってつまり、俺が何かを認めたくないから、目をそらしてるってこと?

 

『そうです』

 

ムムム……ちょっと酷いんじゃない? 俺がそんなにメンタル弱いと思われてたなんて。怒るよ?

 

『いえ、仕方無いでしょう。むしろブールさんだからこそ、まだこうして喋ることが出来るのですから』

 

……ん? 褒められた? 褒めるのか貶してるのかどっちかにしてよ。混乱しちゃうじゃん。

 

『グレーキュレム』

 

………グレーキュレムが、どうかしたの? 確かもう居なくなったって言ってたけど。

 

『えぇ。ですが、ブールさん。貴方は恐れています。またあのグレーキュレムに襲われてしまうのではないかと』

 

そんなわけないじゃん。いっかいたおしたんだよ?

 

『ですが、その代償として……死にかけました』

 

………べつに、こっちにくるときにいっかいしんでるし。

 

『そうです。ブールさんの元居た世界のことは全く分かりません。が、人間はこの世界とほぼ同じように進化しているでしょう。………ならば。怖くない訳無いでしょう』

 

なにが?

 

『死ぬのがです』

 

………。

 

『神からインストールされた『貴方』の情報によると、かなり高い場所から飛び降りた、とあります。飛び降りる直前、怖く感じなかったのですか? もしこの世界……ポケモンの世界に行けなかったら、と考えなかったのですか?』

 

……。

 

『……貴方には答える義務があります。黙秘は有り得ません』

 

………確かに、二番さんに感情なんて無いね。

 

『…………』

 

……怖かったよ。あぁ、怖かった! 死ぬんだよ! 死ぬんだよ!?

怖くない訳無い! 死ぬのが怖くないなんて、そんなの、人間じゃないよ! 俺は人間だもん!

それに考えたさ! あれは本当にお告げだったのか!? ただのリアルな夢だったんじゃないか!? ずっとずっと考え続けたさ!

お父さんは優しかった! お母さんも優しかった! もしかしたらもうすぐ弟か妹が産まれていたかもしれない!

友達も居たよ! ポケモン以外にも楽しいことはあったさ! 本当にこの世界を捨てていいのかなんて、毎晩のように考えた!

 

でも、それでも、この世界に来た!

そして、来れて良かったと思う! 無駄死にとか、そういう意味じゃなくて、メイコさんレナさんそういちろうお父さんシリルお母さんカラキリクルケンハッサンギィカペティレイカ他にも沢山! 皆に会えて良かった、そう思えたんだよ!

 

『…………』

 

グレーキュレムは、それを奪っていこうとした!

だから許せない。あんな『みちづれ』なんかじゃなくて、もっと殴ってやりたい!

 

でも。…だけど……そう……だからこそ、怖い。怖いよ。

『みちづれ』でようやく。本当にギリギリの所で、何回も奇跡が起きて、それで『みちづれ』なんて狡い勝ち方をして、それで()()()()勝てた。

 

次、現れたら勝てない。絶対。

 

だから怖い。居なくなったってだけじゃ怖すぎる。

また出てきたら? 今度は俺は確実に殺される。

痛いんだよ。熱いんだよ。冷たいし大きいし、それでやっぱり、痛いんだよ。

俺だけじゃない。レナさんは凍らされた。メイコさんは燃やされた。ハッサンたちは電撃で倒れた。

……死ぬのは、怖い。誰であろうと、怖いんだよ!

もっとこの世界を楽しみたいよ! 色んなポケモンに出会いたいよ! お父さんやお母さんやお兄ちゃんたちお姉ちゃんたちとも全然喋れて無い! メイコさんにも追い付いてない! レナさんともっとバトルしたい!

 

『…………』

 

………………ねぇ。ポケモンの世界は、もっと楽しいものじゃなかったの? 少し悲しいこともあって、苦しいこともあって、それでも最後は笑えるような、それがポケモンなんじゃないの?

 

『…………』

 

うぅん、そんなの、俺の勝手な思い込みだよね。

 

―――少し。熱くなりすぎた、ね。動いてないのに、疲れちゃった。

 

おやすみ、二番さん――

 

『寝るんじゃないわよこの、この、このあほがぁ!』

 

!?

 

『起きてるんでしょ? 生きてるんでしょ!? だったらあたしが無理矢理引きずり出してやるわ! レナ、あんたも手伝いなさい!』

『は、はい!』

 

え、ちょ、メイコさん!? な、どうして!?

 

『私は貴方の特権二番。つい先日のアップデートでポケエルの通話機能も追加されました』

 

はいぃ!? つまり、つまり、さっきの全部!?

 

『はい。「二番さんに感情なんて~」の辺りから全部です』

 

…………。恥ずかしい。恥ずかしくて死にそう。いやむしろ殺せ! 今こそ出番なんだよグレーキュレム! うわっ、ちょ、誰かに持ち上げられた! まだ体動かせない……ちょ、どこ触ってるの尻尾は、そこの部分はくすぐったいからやめて~!

た、たすけ、助けて二番さん!

 

『私に感情はありませんので』

 

やっぱり怒ってる!?




2526文字です。
シリアスになるかと思ったか? 投稿者にそんな能力は無い!
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