この話は『サクラ舞う空』のifルートであり、パワポケ11の紫杏ルートの後の話です。
※この話では、アルペジオは桜空と再開出来ず、桜空に思いが届かなかったと思っています。なので完全にアルペジオ×紫杏ルートとなってます。
紫「……ここは……?」
私は神条紫杏。ジャジメント日本の会長であり、ツナミグループの会長……だった。過去形なのは、私がたった今死んだからだ。フフフ、呆気ない最期だったよ。それはそうと、ここは何処だ?いわゆる……あの世というものだろうか?
紫「そうか……本当に死んだんだな……私……。」
フフフ、思えば私の人生は最悪だったな。周りから認められず、周りに受ける人物像を作り、私を殺した。今もそうだ。これは『私』の言葉であって、『神条紫杏』の言葉じゃない。この後に及んで私はこんなキャラクターを演じ続けてる。本当に救えない。哀れだ、自分でもそう思う。そうか……神条紫杏は、『とっくに死んでいたんだ』。今死んだのは神条紫杏が演じる役(キャラクター)の1人。ジャジメントの会長としての神条紫杏。皆の憧れの的である神条紫杏。数え切れない神条紫杏がいる。その中のたった1人が死んだだけ……。だから未だに私は演じ続けてる。……あれ?……じゃあ私はなんでここに……?死んでないはずの私はなんでここに……?そもそも殺されたのは本当に『ジャジメントの会長としての神条紫杏』なのか……?じゃあ私は……誰なんだ……?どんな神条紫杏なんだ……?そもそも……私は、神条紫杏なのか……?私は……私の……名前は……なんだったっけ……?わからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイ…………………………。
?「お前は、他の誰でもない、神条紫杏だろ?」
…………誰かの声が聞こえる。懐かしい声……明るくて、どこかおちゃらけていて、けれど安心できる……私の大好きな声……。この声は…………。
?「アル……ぺジオ……?」
アル「久しぶりだな紫杏!元気してた?」
?「紫……杏……?」
アル「おいおい、自分の名前も忘れちまったのかよ。」
そう言ってアルペジオはあの懐かしい笑みを浮かべる。わからない……アルペジオの事はよく覚えているのに……私は私の名前を思い出せない……。そもそも……。
?「なんで……ここに……?」
アル「……あれからちょっと色々あってね苦笑」
あれから……?…………その時、私は自分の名前より先に、あの日の出来事を思い出してしまった。
?「ッ!わ、私……私は……お前になんてことを……!い、いや、そもそもあの日の私は私だったのか……?わからない……わからない……。」
アル「お、落ち着けよ(汗) 別に気にしてないよ。お前を変えられなかったのは俺なんだから。」
?「ち、違う……!あれは……あれは…………な、名前が……思い出せない……。」
アル「だーかーらー、お前神条紫杏だろ!しーあーん!」
?「わ、わからないんだ…………私は、余りにも沢山の人を、演じてしまったんだ……。もう思い出せないんだ…………助けて……アルペジオ……。」
アル「…………紫杏。」
?「えっ?あっ……。」(ナデナデ
アル「落ち着いてよく考えてみろよ。自分の名前。まだ、お前の名前は死んでないはずだぞ?」
?「ど、どうしてわかるんだ?」
アル「…………だって、紫杏は俺の事を覚えてただろ?俺と話したりしてた時の紫杏は、紛れもない本物の紫杏だったはずだぞ?」
?「お前と一緒にいた頃の……私……?」
私は、思い出してみる。あの頃の私達を……。
?「…………アルペジオは、何時も問題ばかり起こしてたな。」
アル「い、いや、それは思い出さなくてもいいんじゃないかな?(震え声)」
?「それで……私が何時も怒って……。けど何時も私はお前に言いくるめられて……。ついには私のプライベートにまで関与してきたな。」
アル「えっ?何のこと?」
?「…………あの日、お前が病院に連れていった女は私だ。」
アル「えー!そーなのぉ!?知らんかった!!」
?「(ムッ」
アル「あっ、いや、続けて(汗)」
?「……けど、私が周りに理解されないような悩みや……辛い思いをしてる時……何時も助けてくれたのは……アルペジオだった。沢山励まされた……今みたいに頭を撫でられて……恥ずかしくても嬉しくて……。そのうち私は……お前に心を開いたんだ……。本当の私を……知ってほしかったんだ……!」
アル「…………。」
?「本当の私は……誰かの助けがないと、何も出来なくて!何時も周りの期待を裏切って!周りの人の評価を恐れて逃げて!でも……誰にも頼ろうとしない弱虫で……取り柄もない……。それが本当の私…………本物の…………『神条紫杏』。」
アル「……やっと思い出せたんだな。」
そう言ってアルペジオは笑った。私は……神条紫杏……死によって『役(キャラクター)』を降板した……本物の私。
アル「……なあ、紫杏。」
紫「なに……?」
アル「どうだ?『台本』を置いた気分は?」
紫「………なにもかも……無くなっちゃったみたい……。」
アル「なにもなくはないだろ?どんなに些細な事でもいいんだ。今のお前には、何がある?」
紫「………………アルペジオがいる。」
アル「ぶふっ!ほんとにちっぽけな事だな笑」
紫「ちっぽけじゃない。私にとっては、これ以上のものは何もない。」
アル「それは光栄だな笑」
紫「本当の私に、大切な事を教えてくれたのは、他の誰でもない、アルペジオだから。だから私はもう、演劇からは手を引くよ。決まった役はいらない。台本もいらない。ここからは私の、私自身のアドリブ。」
アル「……それでいいんだよ紫杏。もう、自分を押し殺さなくたっていいんだよ。」
紫「うん。だから……これで私の演劇は終わり………………じゃない。」
アル「えっ!?お前この後に及んでまだ演じるの!?」
紫「違うわよ(汗) ……演劇の終わりは、ハッピーエンドで締めくくるって決まってるのよ。」
そうして私はアルペジオにキスをする。そう、これでこそハッピーエンド。私の演劇の集大成。私の思いの全てが詰まった締めくくり。
アル「…………ったく、盛大なハッピーエンドにしやがって!こいつめ!」(コツン
紫「ちょっ、ちょっと!何するのよ!」
アル「不意打ちは卑怯だろうか!!」
紫「じゃあ不意打ちじゃなければいいってこと?」
アル「…………ま、そうだな。」
紫「ふふっ、死んだからって自由になれると思ったら大間違いよ。絶対にアルペジオから離れないから!まだカーテンコールが残ってるんだから!」
アル「……ハハハ、随分と長いカーテンコールだこと。いいぜ、最後まで付き合ってやるよ。」
紫「……うん…!」
私が押し殺してきた日数は、思い出は、とても多かった。けれど、それもこれから埋めていけばいい。アルペジオとなら……出来る気がする……いや、絶対に出来るから……。さあ、長い長い、カーテンコールの始まりの時。この先には、きっと明るい未来が待っているから。
またシリアス物を書いてしまった。前回のはビターチックな終わり方だったから、今回は純粋にハッピーエンドにしました。