あるところに1人の少女がいた。
少女は幼い時から真っ白の部屋で育ってきた。
少女は一人ぼっちだった。しかしある時1人ではなくなった。弟ができた。名前はハドレット。龍族で全身が水色で小さくてとても可愛いかった。
少女とハドレットはモルモットだった。
苦しむ毎日。
少女の唯一の安らぎはハドレットと一緒にいることだ。
龍族の成長は早く、出会ってから数年だが初めてはあんなに小さかったのに今ではもう少女よりも大きくなっていた。
少女は実験が終わるとハドレットにもたれかかりながら歌を歌う。ハドレットもその歌を子守唄にして眠りにつく。互いに励まし合いながら苦しい日々を暮らしていた。
ある時
実験の結果が芳しくない少女に『透刃マイ』の適切があるとわかると大人たちは彼女を暗殺者にしようした。少女は暗殺の訓練が始まった。
ハドレットの姿はみるみる変わっていった。実験によるものだ。あの美しかったハドレット骨が見えるほどやせ細っていた。今にも死んでしまいそうだった。
少女の暗殺は続いた。そして周りからは始末屋と呼ばれるまでになった。
少女の仕事が増えた。情報収集である。そのために上からはアイドルをやるように言われた。アイドルとして接近すれば相手を油断して情報を引き出しやすくなる。
表はアイドル、裏では始末屋、それが私。
そして
唯一の家族で心の支えだった彼は私を裏切った。
◇ ◇ ◇
「ハドレット!待て!逃げるな!」
クーナは肩の傷を抑えながら叫んだ。
ハドレットは見向きもせずどこか消えていく。
「くっ!また逃げられるたか!」
クーナは荒ぶった気を落ち着かせて振り向く。
「それで、またあなたですか。」
すこしイラついた口調で振り向くと視線の先には白髪のアークスがいた。
「同じ者を標的にしているのだ。こうやって鉢合うのは必然だと思うけどね。」
「普通は私がいることにも気づかないはずなんですが。では私は任務に戻るのでこれで、」
「待て。」
クーナは傷ついた肩を抑えながらその場を立ち去ろうとするがシロウがそれを止める。
「その肩に傷の治療をさせてくれ。」
「こんなのどうってことないで…ってちょっと!!」
シロウは傷を気をつけながらクーナの華奢な体を持ち上げて近くの岩に座らせる。
「さぁ傷口を見せてくれ。」
クーナも諦めたのか。素直に従う。
シロウはどこから出したのか。消毒液、ガーゼと手早く傷口の処置を行っていく。
「質問しても?」
「ああ構わない」
「どうして私に構うのですか?」
「苦しんでいるに人を見るとほっておけなくてね。」
「わたしはあなたの仲間を殺したのですよ。憎くないのですか?」
「俺はそれでも目の前傷ついた君を助けたいと思ってしまったんだよ。」
「あなたは相当のお人好しですね。」
「よく言われるよ。こちらからも質問してもいい構わないか?」
「はい、わたしが答えれることなら」
「君とあの龍との関係について教えてくれ。」
「!!………それを聞いてどうするのですか?」
「いや何、少しでも君の力になれるかもしれないと思ったのでね。」
「あなたに出来ることは何もないと先日教えたはずですが。……いいでしょう、あなたの治療が終わるまで暇なので少し昔話をしましょう。」
クーナは少しずつ自分とハドレットのことを語り出した。
「---そして彼は私を裏切って、私を置いて、施設から逃げ出した。」
「………」
「同情は不要です。こんな仕事はもう慣れました。」
「彼が裏切った理由は知っているのか?」
「知りません!わかりませんよ!私はそこにはいなかった!」
少女の声を荒げるがすぐに元の口調に戻った。
「すみません、取り乱しました。……裏切者は裏切者です。ハドレットが裏切ったと、そう伝えられたから…私はその命令に従うだけです。」
「君はそれでもいいのか?」
「…………治療はもう終わったようですね。ではこれで失礼します。」
クーナは立ち上がり、そそくさと立ち去っていく。
シロウはその場で考え込んだ。
ハドレットはダークフォトンの侵食が進み、すでに手遅れであることは分かっている。早く楽にしてやるのが彼のためだ。
しかし何も知らないまま彼を殺して彼女の心は救われるのか。
◇ ◇ ◇
「やあ、久しぶりですね。シロウ君、今日はどうしたんだい?」
「アキさんは最近よく出現している暴走龍について何か知っていますか。」
シロウはまず情報を集めるために龍族に詳しい彼女を訪ねた。
「暴走龍かい…………そうだね。彼らはさしづめ龍族のアークスといったところだね。龍族がダーカーを倒すことはあるがそれはただ自分たちの住処を守るためだ。しかし彼はどこだろうとダーカーの居るところ現れる。ダーカーの殲滅が任務のアークスと同じだという事さ。」
「なるほど」
「しかし彼らはダーカー因子を浄化する術を持っていない。龍族たちは皆屈強だがそのうちダーカー因子に侵食されダーカーになるだろう。暴走龍たちがダーカーだけでなく近くにいるアークスなどに危害を加えていることが証拠だよ、
「そうですか。ありがとうございます。」
それからしばらく経ってから
「やぁ久しぶりだね。、あんたも大変だねぇ」
「いえいえ、このように監視対象に接触して危険性がないか調査し、報告が私の仕事の一つなんでね」
「おやいいのかい
「今さらでしょう」
「それもそうか。そうだ先ほどシロウ君が私に暴走龍について聞いてきたよ。」
「そうですか。アキさんは龍族について詳しいですからね。よい判断でしょう。」
「期待はありがたいんだがね。」
「それをなぜ私に?」
「なにただの世間話さ。」
◇ ◇ ◇
アキと別れたあとも情報を探したが一向に見つからず数日が過ぎた。
シロウはどうしたものかと考えながら市街地を歩いていた。
龍族ということで自分の知る中で一番彼らに詳しそうなアキさんのもとに向かったが有益な情報は得られなかった。ほとんどがデータベースに載っているものだ。
「お久しぶりです、シロウさん」
歩いているシロウに声をかける一人の男性がいた。
この男こそシロウが思いついた人物であるカスラだ。
「お久しぶりですカスラさん。」
この男は何を考えているか読めない。何等かの目的のために動いてるのはわかるがそれがわからない。初めて会った時からそう感じている。敵か味方かわからない。信用していいものか。
「そう警戒しないでください。私これでも結構高い地位にいるんですよ。」
「ええ知ってますよ。なんせ六防均衡ですからね」
「マザーシップにある研究所にも出入りしていて、暴走龍の実験の資料も閲覧したことがあります。」
「!!」
今ままでそっけない対応していたシロウの反応が変わったことをカスラは見逃さなかった。シロウはしまったという顔をした。
「やはりそうですか。」
「秘密を探る俺を処分しに来たか?」
シロウが身構える。
「いえいえ、そんなことはしませんよ。それにあなたが探っているのを上は知りません。」
「ではなぜ?」
「アキさんに頼まれましてね。」
「あんたが人に頼まれてだけで動くとは思えないが。何が目的だ。」
「えぇ、ただ人に頼まれただけでこんなことはしません。
あなたにここで貸しを作っておこうと思いまして。アキさんもそれを見越して私に頼んだでしょう。」
「わかった、話を聞こう。」
その後カスラは語った。
ハドレットの廃棄処分が決まっていたこと
クーナが次の実験対象となっていたこと
◇ ◇ ◇
『みんなー!今日はありがとう!』
私が手を振るとファンのみんなが声援を上げて答えてくれる。
その声援を背に私はステージを後にする。
廊下を歩き、用意された控え室に入る。
衣装から私服に着替え、ソファーに座り込む。
クーナは数日前のことを思い出していた。
「なんであの時、あの人にあんなに話してしまったんだろう。」
するとコンコンっとドアを叩く音がした。
「マネージャーさん?ちょっと待ってくださいね〜」
マネージャーと思いドア開けるとマネージャーはいなかった。
そこにいたのは白髪で褐色の肌の男がいた。
「あれ?ファンの人かな。こんなところまで来てくれるのは嬉しいけど、ここは関係者以外立ち入り禁止なんだよ。あたしに会いたかったらライブに来てね!それなら私は大歓迎だから、ほら、見つかる前に早く!」
彼とあったことが有るのは始末屋の時だけのはずだからこのまま他人のふりを続ければ……
しかしエミヤは笑みを浮かべながら、
「始末屋とアイドル、本当の君はどっちなんだ。」
「気づいていたのですか」
「その隠している肩の傷もそうだが、何より見た目は変えられても声は変えられないからな。」
「あの時ですか。外では歌うものではないですね。早く入って下さい。誰かに見られたら困りまよ。」
「『話題沸騰のアイドルがスキャンダル!』ということか、アイドルも大変だな。」
「この場を見られたら大変なのはあなたですよ。私結構ファンから愛されているから。帰り道背中に気をつけてね。」
「おっとそれは大変だな」
二人は部屋に入り、向かい合わせに座る。
「それで何か用ですか?」
「ハドレットについての情報を手に入れたんでな。それを教えに来た。」
「っ!!」
シロウはカスラから得た情報をクーナに教えた。
話を聞き終わるころにはクーナの表情は張り詰めたものから驚きの表情へ変わっていた。
「そんな……じゃもしかしてハドレットは私を守るために…」
「ああ、おそらくな。」
「どうして……そこまで…」
「弟なんてそんなものだ。大切な姉のためなら命だろうと厭わない。たとえ裏切り者の汚名を被ってもだ。」
「うぅ…ハドレット…ごめんね。あんたは私を裏切ってなかった……なのに私は何も知らないで…」
クーナの瞳から涙が溢れ出した。
シロウは泣いているクーナを静かに見守った。
部屋にはクーナのすすり泣く声だけが響いていた。
「飲みたまえ、少しは落ち着く。」
シロウは控え室にあった紅茶を淹れて泣きやんだ私の前に差し出した。
クーナは紅茶を一口飲んだ。
「……美味しい。」
控え室に添えつけてある紅茶は何度か飲んだことがある。しかしここまで美味しいかったことはない。紅茶の葉が入った袋を見たがいつもと同じものだ。
「うむ。それは良かった。このようなものでも淹れ方一つで美味しく出来るが。……足りないな。今度マイルームに飲みに来てくれ。美味しい紅茶を振る舞うよ。」
「始末屋を自分の部屋に誘うなんてあなたやっぱりおかしな人ですね。」
「いやなに、俺の淹れた紅茶がこと程度だと思われることが癪でな。伝えることは伝えたし、そろそろ行くとしよう。」
シロウは立ち上がりドアに向かい歩いていく。
ドアノブに手を掛けると止まりシロウは聞いてきた。
「君はこれからどうするんだ?」
私は……
「ハドレットを追うわ。任務だからじゃない。バカな弟を助ける救うために」
「そうか」
それだけを言うとシロウは部屋から出て行った。
ハドレット、待ってなさい。あなたは私を救ってくれた。今度は私があなたを救う番よ。
クーナの決意は固まった。
◇ ◇ ◇
数日後、また暴走龍が現れたという報告が舞い降りた。
場所は最悪。アークスシップの市街地。
偶然近くにいたシロウは市民の避難誘導をしていた。
その最中、確認したツノに黄色いバンダナを巻いた暴走龍の姿を見た。ハドレットである。
避難誘導が終わるとシロウはハドレットを追いかけた。
その先には
始末屋の姿のクーナがいた。
「あなたもここに?」
「近くにいたもんでな。君もか」
「ええ、わたしも今日ここでライブがある予定だったので近くまできてました。」
「クーナ、先ほどハドレットの姿を確認した。」
「えぇ私も姿を確認しましたが、すぐに転移してしまいました。」
「転移先がわかればいいんだが」
シロウは辺りを見渡す。
ハドレットが暴れたあとがそこら中に残っている。
特にスピーカーの周りが目立って破壊されている。
「スピーカー……」
「スピーカーがどうしたのですか?」
「もしかしたら君を探しているのかもしれない。彼は君の歌が好きだったと言っていたな。」
「ええ、そうですが。」
「もしかしたら君の歌を求めて彷徨っているのかもしれない。」
「そんなことありえ……いやでも…」
「むやみやたらに探すよりはましだ」
「そうですね。それならば彼の目的地は……」
「一番君の歌が流れている…」
「「スフィアアリーナ!!」」
シロウとクーナはライブが行われる予定だったアリーナに向かって走り出した。
◇ ◇ ◇
アリーナの前の広場まで来るとクーナの歌声が聴こえてくる。アリーナの巨大なディスプレイから宣伝用のクーナが歌う姿が大音量で流されている。
そして暴走龍の咆哮が響いていた。
「やはりここか」
「ハドレット……」
いち早くハドレットの元へ向かうためクーナは速度を上げる。
しかしシロウはその場で立ち止まり後ろを向いた。
クーナも立ち止まり後ろを振り返るとそこには複数の黒い霧が発生しており、そこから次々とダーカーが現れてくる。 10から20体はいるだろう
「先にいけ、俺はこいつらの相手をしてから行く。」
クーナは頷き、再び走り出した。
シロウは自らの後ろの地面に大量の剣を投影しバリケードのように突き刺す。
そして1本自ら手の中に投影し、ダーカーの群れに向ける。
「ダーカーども、ここから先は行き止まりだ。1匹たりとも通れると思うなよ」
「ハドレット!!」
シロウの足止めの間、クーナはハドレットの元にたどり着いていた。
しかしハドレットはすでに空間転移を行おうとしていた。
そこにクーナは叫ぶ
「ハドレット!あんたはいつも秘密主義で身勝手で……だから私も勝手にするわ!身勝手にあんたを救うわ!待ってなさい!ハドレット!」
ハドレットは黒い霧の中消えていく。
その後クーナは外に戻った。アリーナの前の広場につくと、そこにはダーカーの姿はなくダーカーが倒された後に残る特有の黒い粒子が漂っていた。
その中心には1人の男が佇んでいた。
男はこちらに気づくと歩み寄ってくる。
「この短時間であの数を1人で片付けてしまうなんて」
「それよりどうなったのだ?」
「それに関してだけど。あなた、私の為に何か出来ること無いかって言っていたわよね?」
「ああ。」
「じゃ、最高のステージの準備よろしく!」
連日投稿
結構の省略
クーナの過去は捏造
これからもいろいろ変えて行きます。