「では行きましょうか」
『漆黒の剣』のリーダーであるペテル・モークの合図で各々が立ち上がる。
さっきまでンフィーレアはエンリの両親のお墓参りをし、モモンは村長と歓談。そしてユリは保母さんの様にネムと遊んでいた。
やはり、やまいこさん成分のせいか子供好きなんだなあ……とモモンガが微笑ましく思っていると、アウラからメッセージが入る。
『モモンガ様、いつでも森の賢王を誘い出せます』
ふむ 準備は万端のようだ。
「では薬草採取に森に入りましょう。」とンフィーレアがヤル気に満ち溢れた顔で皆を促し、冒険者達が籠などを片手に森へと向かう。
色々あったが、「薬草採取」こそが今回の本来の依頼であり、わざわざカルネ村まで来たのだし2チームへ支払う依頼料を考えれば、ここはキッチリと元は取っておきたいのは商人としてのアイデンティティのなせる業であろうか。
森に目を向ければ100メートル以上先にあり、うっそうと茂った森にぽっかりとした空間が空いていた。
ゴブリンに守られた村の人間たちが柵を作るため木を切った跡だが。巨大な魔獣がその顎を開いているようにも見える。
そんな場所で依頼人のンフィーレアによる最終チェックとレクチャーが「モモンガチーム」と「漆黒の剣」に為される。
「ではこれから森に入りますので、僕の警護をよろしくお願い致します。とは言っても森を少し入ったところから『森の賢王』の縄張りが広がっているために、それ以外のモンスターに襲われる可能性は普段通りであれば低いと思います。ただここへくる道中も妙にモンスター群に襲われましたし、何らかの異変が森に起こっている可能性もありますので、冒険者のみなさんに言うことではありませんが、警戒を新たに注意深く探索しましょう。」
先ほどまで「えんりひ~」と泣いていた少年はそこには居なかった。立て板に水のように段取りを説明していく薬屋のやり手の若大将が居た。
「もし、森の賢王なるモンスターが現れた時は、殿(しんがり)は私達が引き受けましょう。皆さんは先に逃げてくださって構いません。」
モモンガの自信溢れる言葉に全員が感嘆の息を漏らす。ここまでの道中の戦いぶり、そして彼から教えてもらった冒険譚を思い起こせばさもありなんであり、「さすが」の声があちこちから聞こえてくる。
そんな声を耳にする度に少しばかりむず痒い気もする。今までの人生で褒められたことが余り無かったための弊害だ。すぐ横にいるナーベラルの自慢気な態度が羨ましい。
「わかりました。ではその場合は私たちのチームでンフィーレアさんを守りながら森より脱出させて頂きます。モモンさんも無理なされずに。」
「はい、有難うございます。手に持て余すようでしたらすぐに逃げさせてもらいますよ。」
「あの……モモンさん」
言いよどんだンフィーレアが決心したように口を開く。
「もし森の賢王と対峙することになっても殺さずに追い払ってくれませんか?」
「……それは一体どうしてです?」
「はい、森の賢王がこの辺一体を縄張りにしているからこそ、これまで開拓村であるカルネ村はモンスターに襲われませんでした。もし森の賢王を倒してしまいますと‥‥」
「なるほど……」
しかし、すでに襲われたからこそエンリはゴブリンの角笛を吹いたんだよなあ‥‥それにあのユグドラシル製のゴブリン隊だと少々のモンスターならなんとかしてくれそうな気もするが‥‥まあ、ンフィーレアとは現地でポーションを作成するという目的のキーパーソンとして良い関係を築いていきたいしな。
「了解しました。今日の私のチームでしたら殺すことを前提にして戦わなくても何とかなると思います。難しいですが追い払う程度に留めておきましょう」
「ほぁ!」というルクルットの驚愕の声が聞こえる。
「では行きましょうか」
「「はい!」」
歩き出して、しばらく立ってからセバスが近づいて周りに聞こえないように話掛けてくる。
「よろしいのですか?そんな危険なモンスター相手にあの様な約束をされて」
「ん?大丈夫だ。森の賢王とはアウラの報告にあった『白くて丸いフサフサ』した奴の事だろ?」
「はい パンドラズアクター様からその様な情報通知書を頂いております」
「うむ 情報の共有が確立できている様で何よりだ。賢王はレベル30ほどらしいし、実はアウラを呼んであるから心配せずとも良い」
「アウラ様……でしたら万全で御座いますね」
「うむ それに、この森は将来的にはアウラの庭になる予定だからな。森の賢王を倒してしまったとしても問題ないしな。」
ある程度、森に分け入った地点でバレアレ薬品店の若旦那が立ち止まる。
「はい!では早速ですが、僕が今回採集しようとしている薬草はこんな形をした物です。皆さん、見つけたら教えて下さいね」と採集用のかばんからしなびた植物を取り出す。
「ほう。なるほど!ングナクの草であるか!」
なるほど、ドルイドのダインにとっては「なるほど~解る解る」的な一品なんだな。鉄オタの人が「キハ◯◯だ!」みたいな奴だ。オタクだから解るみたいなな。俺だって以前、会社の同僚の携帯電話の着信音が『ユグドラシル』のレアアイテムドロップ時の音楽だった瞬間、めちゃくちゃ喋りたかったからな!わかるわかる。テンション高くなるよな。
ちなみにこの薬草から一般的なポーションが作られるらしいのだが、自家培養した草より、自然に生えているものの方が効果が高いポーションが作れるらしい。……これはなかなか重要情報だな。よしパンドラズ(情報総監)行きだ。
ンフィーレアが色んなウンチクを語ってくれているのを聞いていると、やはりユグドラシルのポーションの作り方とは違う様だ。こちらの世界で作れるポーションか……うん やはり必要だな。希少なタレントと共に、ナザリックに有益な人物となるやも知れん。
『モモンガ様。そろそろ森の賢王は昼寝から覚めて森の巡回に出てしまう頃です。』
おっと 森の賢王を退治してモモンの名声を上げるのはアンダーカバー作成には重要な案件だからな。
『ではそろそろ仕掛けてくれ』
『はい!お任せ下さい!』
アウラは「毛皮だけでも欲しいなー」と考えながら賢王の洞窟を覗き込んで「ニヤリ」と笑った。
数分たった頃、急にルクルットが「?! こりゃやべえぞ!」とみんなに向かって叫ぶ。
すでにみんなの耳にも小さく「ドドドドドドドドドッ」という低音が聞こえてきた。
「モンスターですか?」とンフィーレアが聞く。
「こりゃあ普通のモンスターじゃねえ!重量感と云い、それでいて足音の回転数の速さと云いタダモンじゃねえよ!あった事はねえけど『森の賢王』じゃねえかって俺は思う!」
「なに!」
その瞬間、漆黒の剣のメンバーが固まる。
「……みなさん落ち着いて行きましょう。ルクルットさんの耳と勘を信じて行動しましょう」
「モモンさん……」
「では先程の打ち合わせ通り、漆黒の剣チームはンフィーレアさんと共に森を抜けて下さい」
「はい では勿体無いけど薬草はここに置いて行きましょう」とンフィーレアが告げる。
え?……それは確かに勿体無いな。みんなで頑張って集めたのに。
「いえ せっかくですし持って帰りましょう。では漆黒の剣の方々に薬草を背負ってもらい、セバス、ユリ、ナーベは彼らの護衛を頼む」
「えっ 一人で行かれるつもりですか!?」とペテルが叫ぶ。
「はい 大丈夫です。それに私の奥義(スキル)は周囲の味方をも巻き込むので、一人の方が楽な面もあるんです」
みんなの脳裏にモモンが村の前で見せたゴブリンを気絶させたシーンを思い出す。
「しかし……」
「そうです。一人はなりません」
と突然セバスの重厚な声が聞こえた。
えっ なんでだ? さっき段取りを話したのに?
「最低でも誰か一人をお連れ下さい。もしもの事があるかも知れせんから」と有無を言わせぬ迫力でモモンガに迫る。くそう 急に執事としての仕事を‥‥‥。
うーむ セバス、ユリだと徒手空拳だから、手加減して森の賢王を生け捕りするのが楽そうだが‥‥‥むうう。
「わかった。ではナーベよ行くぞ」
「はいっ モモンg------さ--ん!」
……オマエ今、「様付け」だけじゃなく「モモンガ」って言おうとしただろ。
・・・・・・・・
危ない危ない喜びの余り「モモンガ様」と言ってしまいそうになったわ。誰にも気づかれなくて良かったけど。
ユリ姉様、セバス様、ごめんなさい。モモンガ様には『ナーベ』と愛称で呼ばれる程に良い関係を築けているの。と心のなかでガッツポーズをした。
ちなみにモモンガがナーベラルを選んだのは「ココに置いておくと一番問題を起こしそう」だからである。
あと、ガッツポーズは心の中だけでなく、実際に小さく「よし」とガッツポーズをしていたので、それを見たユリは残念な妹にちょっとアンニュイな気持ちになった。
それを見ていたルクルットが
「なあ やっぱりナーベちゃんとモモンさんは……」と言いかけた瞬間
「私をナーベと呼んでいいのはモモンさーーーんだけです!」と毅然と言い放った。
一同を「えっ?」という空気が包む。ちなみにモモンガも、その「えっ」という空気を発したチームに参加していた。
「……わあ うん まあ、解ったから うん。 ナーベちゃんはモモンさんの‥‥ということなんだな……」とルクルットが死んだ魚のような眼で呟く。
「はうあっ!? な、な、な、なにを言ってるのですか!モモンさーーんにはユリ姉さんという人が!」
「ふえっ?!ボ、ボク? いえっ!何故そこで「私」の名前が出てくるのですか!」
「みんなそう言っていますもの!ね!セバス様!」とナーベラルはセバスをキッと見る。
セバスは、鷹のような鋭い眼を、そっと逸らした。
えっ なにその反応?!とモモンガが驚いた瞬間、モモンガの肩を後ろからポンと叩いて、
「姉妹丼で‥‥‥あるな」とダインが良い顔と良い声で言った。
ちょ!?オマっ!? 信仰篤いドルイドが良い笑顔でナニ言ってるんだ!?歯を光らせてサムズアップするな!
あと、なんかニニャが「汚い物」を見るような眼でこっちを睨んでいるんだがっ
あんなに一晩語り明かして良い雰囲気になっていたのに!いや美少年相手に良い雰囲気とか何を言ってんだ俺は!違う!俺はセクハラ駄目上司でもBLさんでも無いんだ!
あっ 光った はふう‥‥‥。
「あの みなさん‥‥森の賢王が来ている緊急事態なんですが」
と一番年下の少年に冷静に諭される。
どどどどどどどどどっ と地面の揺れを感じる程に足音は確実に大きくなっていた。
「そうだ!こんな事をしている場合じゃないよな!な!な!?」
何故かいつもより大きな声で話すオーバーロードがそこには居た。
「では打ち合わせ通りにお願いします。ナーベ迎え撃つぞ」
「あ……は、はい!」
「セバス、ユリ、みんなを頼む」
「ハッ お任せ下さい」
「モモンさん。お気を付けて……」とペテルが心配そうな顔で言う
なんだろう……今、ペテルの優しさが一服の清涼剤の様だ……。
ナーベラルを連れて足音のする方へ、森の奥へと分け入っていく。
100メートルほど歩いて少し広い空き地に出る。
そしてアウラに『周囲に誰も居ないことを確かめた後、合流せよ』とメッセージを送る。
突如ナーベラルが剣を抜いて木の上を睨み付け、「曲者!」と叫んだ。
「曲者なんて、ヒドイなあ~ ナーベラルゥ」という声と供に、くるくると回転しながらアウラが目の前に着地する。どうやら始めから近くに居たらしい。
「お待たせ致しました!モモンガ様。」
最近、トブの森捜索で出きっきりのダークエルフの少女は邪気のない笑顔でニッコリと笑った。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ようやく森の外に出た漆黒の剣の一行とンフィーレアは人心地付くと、さっきまで自分たちが居た森の奥を振り返る。
ニニャが心配そうに「大丈夫ですかね?モモンさん……」と呟く。
ペテルが「そうですよ!セバスさん。私たちは大丈夫ですから早くモモンさんの加勢に向かって下さい!」とモモンチームの2人に言う。
しかし、セバスとユリの反応は今一だ。互いに眼を合わすと「ご心配頂きありがとうございます。モモン様は大丈夫ですので御安心下さい」と自信ありげに語る
ええ‥‥‥という空気が『漆黒の剣』に流れるが、もしモモンさんがあの奥義を使っている最中なら、むしろ我々は邪魔にしかならないことを思い出した。
とりあえず背負っていた薬草を荷馬車に積み込み、モモンさんが敗退して『森の賢王』が襲いかかってきた場合に、ンフィーレアさんだけでも逃してモモンさんを救出に行けるように装備のチェックをする。
そんな彼らの姿をセバスは好々爺の様に目を細めながら見守る。
「こういう人間の良さを知らないのは勿体ないですよね。」と小声で呟くと「そうですわね」と隣のユリが同意する。
半刻もしない時に突然ルクルットが「何か来るぜ!」と叫びながら弓を番える。
みんなが矢の先の森の方を見るとゆっくりと黒い鎧のモモンが現れた。
「なんだルクルット、脅かすなよ。モモンさんじゃないか! 無事だったんですね?良かった」とペテルが剣をしまう。
「いや その後ろだ!」とルクルットが矢を番えたまま緊張した面持ちで吐き捨てる。
その声に全員が目を凝らすと、モモンのすぐ後ろに巨大な魔獣が姿を現した。
「うおおおおおお?!も、森の賢王か!」とペテルが剣を再び抜き去り立ち塞がる。
モモンガには、ただのジャンガリアンハムスターであり威厳も恐怖も何も感じないが、冒険者として依頼主を守ろうとする姿は立派だと思った。なので「大丈夫ですので落ち着いて下さい。魔獣は私の支配下にありますので」と言うと安全性を伝えるかの様に森の賢王の体を撫で撫でと撫で回した。
――――いいなあ――――とナーベラルとユリは思った。
「まさに殿のおっしゃる通りでござるよ!この森の賢王、殿に仕え共に道を歩む所存。殿に誓って、決して皆様に迷惑を掛けたりはしないでござるよ!」と高らかに宣言した。
「こ、これが森の賢王!すごい!なんて立派な魔獣なんだ!」
え?と思ってモモンガはニニャの反応に驚く。
「いや これが森の賢王とは‥‥‥その名もむべなるかなである!こうしているだけでもその強大な力を感じるのである」
「え?」
「すげえなあモモンさん そりゃナーベ……ラルちゃんやユリさんを物にするだけの事あるぜ!」
「え? いや本当に色々と、え?」
みんなに誉められて、照れるというか、もう一度『森の賢王』を見る。
『超巨大ジャンガリアンハムスター』……それ以外の感想をモモンガは持たない。
「……みなさん、このまん丸の黒くてクリクリとした瞳、可愛いと思いませんか?」
「えっモモンさん その深遠なる知性を湛えた眼を可愛いって思うんですか!?」
(‥‥‥思うけど)
「このふさふさした毛並みもツヤツヤで愛らしいですし……」
「いやはや参りましたな。モモン氏には!これだけの魔獣を愛らしいとは流石で有る」
「いや でも声も可愛いですよ?」
「もう!殿!さっきから誉め過ぎでござるよう~~」とハムスケと名付けられたばかりの森の賢王は羞恥に顔を短い手で覆ってゴロンゴロンと転がった。地鳴りがした。
あとナーベラルが「むう」という顔でハムスケを見ていた。やだ怖い
「おお もう完全に賢王を手なづけてしまわれましたね モモンさん」
「懐いているようですし……連れて行かれるんですか?」
「ええ ここまで懐かれるとは想定外でしたが、置いていくのも可哀想ですので……」
すると不安そうな顔をしていたンフィーレアがおずおずと
「あの、その 森の賢王を森から連れ出してしまったら、エン……カルネ村に森のモンスターが襲いかかったりしませんか?」と尋ねた。
――――今 エンリって言おうとしたな と全員が思った――――
「カルネ村というのは……あの村でござるな」
「はい」
「最近、急に森の勢力バランスが崩れてしまったでござるよ。何かに追われるかのように色んな生物の大移動があったりで。正直、拙者が居てもいなくても、もう森は安全とは言えないで御座るな」
「そ、そんな……」
(……ふむ 森に異変か……あれ? それってアウラのせいじゃ……)
思い当たる節があるモモンガは流れない冷や汗を感じた。
「モ、モモンさん」と震える声でンフィーレアが話し始めた。
「えっ あ……はい、なんでしょう?」
一瞬思いっきり動揺したもののなんとか態勢を整えてモモンガは鷹揚に返事をする。
すぅと息を吸ったンフィーレアは決断をし終えたのか大きな声でモモンに嘆願した。
「僕をモモンさんのチームに入れてはくれませんか!」
「ほう?」
「ぼ、僕には薬学の知識しかありませんが、少しは役に立てます!荷物持ちでもなんでもします!」
「……」モモンガは少年の長い前髪から覗く眩しい瞳を見て、黙って少年の言葉を待つ
「お願いします。モモンさん達の強さに触れたいんです。わずかでも掴みたいんです!」
少年の双眸から涙が静かに零れ落ちる。
「お願いします。チームに入れて下さい。学びたいんです!その強さを!魔法を!助けたいんです!守りたいんです!エンリを‥‥‥」
最後、小さくなりゆく叫びの中で口にした想い人の名前に込められた切なる願いにセバスやユリは心を動かされた。
『漆黒の剣』は話の成り行きを固唾を呑んで見守っている。断られたら自分たちが少しでも手助けしてやりたい。そう思いながらモモンの判断を待つ。
ずっと黙って少年の言葉を聞いていたモモンガは「ふっ ふふふふふふふふ」と静かに笑い出した。
……やはり一笑にふされるか、とンフィーレアは俯く。
「ははははははっ‥‥‥失礼 ンフィーレアさん。あなたの決意を笑ったのではありません」
「え?」
「私が思っていた何倍も強く鮮烈な想いに中てられた様です。先にお伝えしますが、私のチームには入れることは出来ません」
「……はい」
「それはあなたの能力の問題ではなく、我々のチーム……ギルドとしての掟の問題ですのでお気にされないように。……ただ、協力者としてならどうでしょうか?」
「え?協力者?」
「ええ、先日、この国で、私の国のポーションを作りたい。という話をしましたよね?あれはバレアレ薬品店にポーションを提供して、それをンフィーレアさんに解析して頂くというものでした」
「は、はい」
「しかし それはそれで情報の漏洩などから、その薬の専売特許を持つ私の国へ迷惑がかかる可能性もありますし、どうでしょう。我々のもとで赤いポーションを研究開発して頂くというのは?人には向き不向きが有ります。想い人のために、そこまで自分を投げ打てる優しい君がモンスターと矛を交えるなんて間違っていると思います」
「つ、つまり、どういう事でしょう?」
モモンガはヘルムを脱いで南方人に多いという黒髪黄肌の顔を見せて芝居がかった口調でンフィーレアに話しだす。
「私たちは、このカルネ村と縁がありますから場所の提供も容易にしてもらえますし、ポーションの材料となる薬草も、このカルネ村で豊富に採れる。そして君の想い人もカルネ村に居る‥‥‥。ああ、どこかに、薬学の才能に恵まれた人がカルネ村に住んでポーションの研究開発をしてくれないかなあー もしそんな大切な協力者がカルネ村に居るのなら、私たちは何としてもカルネ村をあらゆる災厄から守らざるを得ないなあー‥‥‥‥と云う訳ですが、どうです?」
そう言うと モモンさんはニカッと笑った。
おまけ
ニカッ
ユリ&ナーベ「「はうっ モモンガ様!そこでその笑顔は擬態と知っていても反則です」」
・・・・・・・・・・
ニグレド『ちょっと!? ペストーニャ!早く来てちょうだい! ミラーを見ていた妹が急に鼻血を吹き出しながら倒れたの!?ええ!そうよ!なんか凄い良い笑顔で‥‥え?ほっとけワン? ちょっとペス!ペスゥー!?』