鈴木悟分30%増量中   作:官兵衛

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第八章二編 神輿の御神体は光りながら転がる

 

 

 

 

 

 

 

「ううむ……? ところでセバス殿」

 

「はい ドラウディロン陛下、どうされましたか?」

 

「むっ ワシ…私のことはドラウと呼んでいただきたいと言っておるではないか」

そうドラウディロンが告げた瞬間、隣の宰相の持つ杖がドラウディロンの右脛に「ガッ」と当たる

 

「うがっ」

 

「おっと失礼。手を滑らせました。いけませんなあ~ 良く滑る杖と口には困ったものです」

 

「ぐぬぬ……」

 

「ははは お二人ともいつも仲がよろしいようで何よりで御座います」

 

「「どこがじゃ(ですか)!?」」

 セバスは情報局から上がってきた情報でこの2人は男女の仲であるという噂がある事を知っている。宰相は妻子持ちであり、君臣の道ならぬ恋……余り掘り下げない方が良いだろう。

 

「それで、如何されましたか?ドラウ女王陛下」

 

「なんじゃその何かに気を使ったかのような強引な話題の引き戻しは……ふむう しかしドラウか…ふふん まあ良かろう……で、じゃ。今日のセバス殿、いつもと違うような気がするのじゃが」

 

「と、言いますと?」

 

「なんというか、こう……普段より大きく見えるというか、妙な圧があると言うか……例えばレベルが一気に上がったとかそういう事は無かったか?」

 

「……いえ、特にそう云った事はありませんが」

 

「ふうむ おかしいのう 私も竜の端くれじゃから知覚能力には自信があるのじゃが……」

 

「その場合は私自身の強さだけでなく、装備品が替わったりなどでも圧の様な物の変化を捉えられるのですか?」

 

「うむ。余程のマジックアイテムを装備しているとなるとその人の本来の強さ以上のオーラに圧迫される感じがするのう」

 

「なるほど……失礼致しました。きっと私が主人よりお預かりしていた神器級(ゴッズ)アイテムのせいですね。これは武器や防具では無く医療系のアイテムなのですが、それでも圧力のような物をお感じになられるとは、流石伝説の竜神の血族のお方で御座いますね」

 

「ふふん そうじゃろそうじゃろ。まあ、セバス殿の言うとおり知覚能力というのは、そう云う「濃厚な力」にこそ反応するのでな。逆に言うと見てもいないのに武器か道具かなどが判断できる訳ではないが……まあくれぐれも高位の竜族を相手に強力なマジックアイテムなどを持って会いにいかぬことじゃな。嘘をついても通じないし、強力な武器を持っていても感知されて暗殺や騙し討ちは通じぬぞ?」

 

「これはお戯れを……」

 

「うむ。で、その神器級(ゴッズ)アイテムは何故持って来ておるのだ?」

 

「はい 陛下の国の民で病に苦しむ者がいるとお聞きしまして僭越ながら治療の手伝いになれば……と持ってまいりました」

 

「おお!それは有り難いのう!まったく何からなにまでお世話になってすまんのう」

 

「いえ 困っている人を助けるのは当たり前のことですから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 モモンガと守護者が揃う玉座の間にコツコツという足音をさせて、「失礼致します 「魔王作戦」終了の報告と仔細についての報告書をお届けに第七階層守護者デミウルゴス参上仕りました。」という声と共にデミウルゴスがやってくる。ちなみに彼が届けに来た報告書を後で読んだモモンガは、掃除道具のコロコロの様に光りながら床を転がりまくるのだが、現時点での彼にそれを知るよしは無い。

 

「うむ 御苦労であった」

 

「とんでもないことでございます、至高の御方のために尽す事こそ我が生き甲斐なれば」

 

「リ・エスティーゼ共和政府は上手く出来そうか?」

 

「はい 大丈夫です。順調に仕上がりつつあります」

 

「うむ お前達ならば安心して任せられるな」

 

「……勿体無き御言葉を有難うございます」

 

「……すみません モモンガ様。 深遠なるお考えに質問させて頂く事をお許し下さい」

 

「どうしたアウラ? なんでも聞くが良い」

 アウラは聞いていいのか躊躇しながら質問する

 

「その……今回、あれだけ色々してあげたのに『アインズ・ウール・ゴウン』は人間たちを支配する事もなく、人間に支配させているんですよね?」

 

「ふむ……まあ そうだな」

 

「ええと…それってスゴく人間にとってだけ都合良いんじゃないんですか?なぜそこまで人間に優しくしたんですか?」

 

「そうだな…まあ リ・エスティーゼにしてもバハルス帝国にしてもそうなんだが、そもそもお前達は私に人間を支配してほしいと思っているのか?」

 周りの守護者を見渡す

 

「例えば、今現在ビーストマンやリザードマンなど異形種を統治しているコキュートスはどう思う?」

 

「モモンガ様ハ ナザリック ノ 偉大ナル支配者デアラセラレマス 人間ニトッテモ 良キ支配者トシテ君臨サレルデショウ」

その言葉にアウラやマーレがウンウンと可愛く頷いている

 

「ふーむ なるほど アルベドはどうか?」

 

「人間などという下等生物にモモンガ様に支配して頂く権利も価値も御座いません。彼らは彼らで好きにやってもらえば良いですし、邪魔な時は踏み潰せば宜しいですわ」

 

「セバスはどう考える?」

 

「いえ 私の意見などは……」

 

「構わぬ 一番お前が人間に触れ合う機会が多かったはずだ 忌憚のない意見と思いを語れ」

 

「…では僭越ながら…人間と云うものは儚きか弱き存在です このナザリックの一般メイド以外の者にとっては片手で用が足りるほどに。しかし人間の意志、想いは侮れません 自分よりも遥かに強き敵に立ち向かう姿や、我が子を守る時の母の強さなど一瞬の煌めきに目を奪われることがあります モモンガ様がリ・エスティーゼに施された厳しくも優しい件はその人間たちにとって最大の試金石になるのではないでしょうか?」

 

「うむ 今の守護者達の意見は全て尤もな意見であり思いである。だからこその私の行動と知るが良い。デミウルゴス、解りやすく説明してあげなさい」

 

「はっ では失礼ながら」とデミウルゴスが一歩前に出る

 

「ユグドラシルの頃とは違い、この新世界での人間をどう思ったかね?みんな」

 各守護者が苦笑いを浮かべる

 

「その通り。アインズ・ウール・ゴウンの敵であり第八階層まで攻め入り……まあ至高なる御方に返り討ちにされましたが、あれらほど手強い人間は現時点でこの世界には居ないようです。この世界の人間は我々にとって塵芥に等しく敵としての価値も殺すほどの価値も無い。この世界で我々が気をつけねばならないのは『ワイルドマジック』を使うツァインドルクスと、今も何処かに居るかも知れないプレイヤーと、新しく現れるかも知れないプレイヤーだけです」

 

 皆が一斉に頷く

 

「さて 皆さんに考えて頂きたいのは今までの我々の行動は彼らにどう見えているか?という事です」

 

「えーと‥ぼ、僕たちが気をつけなければイケナイ人たちから見たアインズ・ウール・ゴウンという事ですよね?」

 

「そうだね マーレ」

 

「突然異世界からやって来てリ・エスティーゼ王国を潰して、バハルス帝国も楽に潰した強い人たち……でありんすか?」

 

「そうでは無いな シャルティア。 そう思われないようにモモンガ様と我々は回りくどいやり方をしてきのだよ」

 

「リ・エスティーゼ王国、バハルス帝国、スレイン法国ノ戦力ノ均衡化ヲ図ッテ、バランスヲ トリ 好戦的ナ異形種ヲ抑エテ、結果的ニ平和ナ状況ヲ作リ出シタ」

 

「うん コキュートス その答えは実に良い。我々の行動の本質を突いていると言って良い。ただそれは結果としてそうなっている……という風に見て欲しいところであり、彼らに勢力の均衡をコントロールしているとは見えないで欲しい部分なのだよ。」

 

「六大神や八欲王などと同じように移転してきたAOGは「この世界」での秩序を乱したりしない理性的で弁えを知る勢力である……と思われたいわけよね? デミウルゴス」

 

「その通りですアルベド。モモンという騎士をAOGの一部として付け加えるのであれば、腐り堕ちて内乱が起こりそうな『リ・エスティーゼ王国』を民主政治という聞き心地の良い政策で無血革命を促し、更に市民を悪魔の群れから救い、侵略戦争を犯してきた『バハルス帝国』から『エ・ランテル』を守り、『竜王国』をビーストマンから守った。そして今、人類の敵である魔王『ヤルダバオト』を駆逐した。それが我々アインズ・ウール・ゴウンの業績です」

 

「す、すごく良いように言ってるでありんすね‥‥‥。」

 

「この様な素晴らしいギルドに敵対しようという者が現れたら、その者こそ悪では無いでしょうか?」

 

「ぬけぬけと良く言うよねぇ」とアウラが苦笑しながら言う

 

「ええ 言うのですよ抜け抜けとね? アウラ 我々は彼らに最大限の注意を払わねば為りません ワイルドマジックがどれだけの魔法なのか、どの様な効果を持つワールドアイテムを所持しているのか解らない限りは彼らによってモモンガ様に危害が加えられる可能性を捨て切れないからです」

 

 --モモンガに危害が加えられる--

 

 そうデミウルゴスが口にした瞬間、玉座の間の温度が5度は上昇したようにデミウルゴスは感じた。

 守護者統括を始めとして守護者全員が体中から凄まじい怒気の様なナニかを、噴出している

 それが「彼ら」に向けての物なのか、不敬な事を口にした自分に対しての物か 背中に冷たい物を感じながら「アルベドはコチラ側の人間なのにズルい‥‥」と思った。

 デミウルゴスは額に一汗かきながらも表面上は涼しい顔で眼鏡を人差し指でクイッと上げて話を続ける

 

「ではコキュートスやアウラ、マーレ、そしてシャルティアもかな?我々の支配者であらせられるモモンガ様が人間種も支配するべきだと考えているのは?そしてアルベドは人間ごときがモモンガ様に支配してもらえるのは烏滸がましいと言い、セバスは人間の事は人間に任せてみては?と そうだね?」

 

 守護者が一斉に頷く

 

「リ・エスティーゼに民主政権を設立し、バハルス帝国も全ての権利を擁したままのこの状態で、我々は内政も外交も不介入という盟約は、セバスの言う『人間の事は人間に任せる』という意見と合致していないかね?」

 

「はっ まさしく彼らの権利を尊重し慈悲深き盟約かと思われます」

 

「人間ごときを一々モモンガ様が支配しないというアルベドの思い通りでもあると思うのだが」

 

「ええ そうね」

 

「それでいてコントロールするのは我々アインズ・ウール・ゴウンです。これは間接的な支配と言えないかい?」

 

「コントロールって? だって全部人間の自由にやれるんでしょ?」とアウラが不服そうに言う

 

「盟約国同士では戦争が出来ません。最低限の敵は敢えて残しますが、いずれ周りが盟約国ばかりになれば強制的に戦争のない世の中になり、尚且つ彼らの想定外の量の穀物を安く提供します。盟約国の農業が廃れて立ちゆかなく成るほどにね。それは彼らの国の食料自給率が極端に下がり、食料を供給する我々に依存しなければ国が成り立たなくなる事に繋がります。 つまり『平和』と『食料』と『経済』の大部分を我々が握りつつも人々は幸せに暮らして行くことでしょう。素晴らしいことですね。 『彼ら』ツァインドルクスやプレイヤー達が文句を付ける事の出来ないほどの平和と秩序と豊かさに恵まれた世界を実現しつつ、モモンガ様は彼らを支配するのでは無く、一歩下がられた上で高みに昇り、神の視点で人間種や亜人や全ての異形種に限らず、森や山や大地、海など、生けとし生ける者全ての、まさしく この星の『神』と成られる事を選ばれたのです」 

 

 へぇー そうなんだ すごいなー 神様だって と他人事のように聞いていたモモンガだがデミウルゴスの言葉が浸透してくるにつれて全身から汗が吹き出す様な感覚に陥りながら煌々と輝き出す。

 

 周りでは守護者が「なるほど素晴らしい!」と言わんばかりに拍手しながら羨望の眼差しでモモンガを見つめてくる

 

 え?

 

 誰が神様ですって?

 

 なにかの冗談だよな?! 

 

 わあ…守護者達、良い顔しているなあ……お前達の神輿は成層圏に突入して燃え尽きそうな勢いなんだが…… 俺、火に弱いしな

 

 竜とプレイヤーを警戒して静かに潜行しながら動く事を徹底したのは事実だし、パワーバランスを図って秩序を保とうとしたのも事実だが……『大きな国』だと敵対した時にやっかいだし、かと言って小さい国々が争っていてもらっても困る。彼らは我々にとっての良き貿易相手なのだ。彼らの安全を我々が守ってやり、不平不満は程々に政府にブツケてもらえば良い。しかも飢える心配が無い民衆の不満など、テロやクーデターを起こすほどの政情不安へとは繋がらないハズだからな。リ・エスティーゼ王国はあのまま続けば反乱分子による内戦へと繋がっていただろうし、共和政府への移行という落とし所は我ながら良く出来ている。これでバハルス帝国などでの不逞の徒も『リ・エスティーゼ共和国』に逃げ込めば良いだけで、帝国内で爆弾を抱える危険性が減るハズだ。ジルクニフはもう少し我々に感謝してくれても良いよな。

 あんまり人間社会に関わらないように一歩下がって俯瞰で世界を見守ろうとは思ってたけど ないわー 『神』は ないわー

 

 まあ 神様は兎も角として、いつ現れるか解らないプレイヤーやツァインドルクスへの配慮が為された状態で人間たちの秩序を保ちつつ、彼らをコントロールするという目標は達成しつつあるのは確かだ。ちゃんとみんなを慰労しないとな。経営本の『良い社長。悪い社長』にも書かれていたことだ。

 

 モモンガは輝く身体を落ち着かせて玉座から立ち上がると守護者に話しかける。

 

「素晴らしいぞデミウルゴス。一連の行動原理から私の考えを良く読み取っている。まあ神などになろうとは思ってはいないがな」

 

「畏れ多くもお褒めに与り恐悦至極に存じ上げます」

 

 デミウルゴスが感動に打ち震える。

 

「プレイヤーやツァインドルクスという審判者に観測された時に、彼らが「良き者」なら何も手出しが出来ないほどの平和と秩序と豊かさに満ちた世界を見せつけて敵対する事の愚を知らしめよう。 彼らが「悪しき者」で秩序を破壊する者ならば全力で排除する。 昔言った私のワガママを覚えているか? プレイヤーを殺すというのは実は私にとって勇気と決断の要る事なのだと。それはプレイヤーとは、私が所属していた異世界である『リアル』の世界においては同種族として共に生きる仲間でもあるのだ。同族殺しというのは実に気が重い お前達もそうだろう?」

 

「イエ モモンガ様ノ御ンタメナレバ 例エ同族デモ友人デモ斬リ伏セマショウゾ」

 と、コキュートスが武人らしく答える。

 よりによって希少種族だ。いやお前は同族を大切にしてくれ……と思いながらモモンガは続ける。

 

「そう私も至高の41人のためなら躊躇なく いや 少しは悩み苦しむが実行出来ただろう。 しかし 今は彼らは居ない 私は私のために同族であるプレイヤーを殺すのか……そう悩んで居たのだ。 しかし 今は違う。 殺せるとも 私にはオマエ達がいる 掛け替えのないナザリックの者達が居る。 お前達のためならば『神』では無く『鬼』にでもなろう」

 

 ……もう死の王だけどな…と小さく呟いて恥ずかしさから守護者に背を向け後ろを向くと、ビクンビクンッとなっているアルベドが目に入り、慌ててもう一度ローブを「バサッ」とさせながら勢い良く振り返り告げる。守護者達から見れば急に主人が格好いいことを言った瞬間ターンして一回転するという良くわからない映像だった。

 

「これで計画は次の段階へと移る……だが、次は相手の反応待ちゆえ、まずは各自ゆっくりと疲れを取り休暇に入るが良い。では私は執務室へ戻る。セバスには報告の詳細で確かめたい事があるので執務室に来るように」

 

 そう言うとリング・オブ・アインズ・ウール・ゴウンを起動させて一瞬で瞬間移動し、セバスも「では失礼致します」と急いで玉座の間より退出する。

 

 ビクンビクンッとしている守護者統括とシャルティア、そして守護者各位は感動に震えながらモモンガの言葉を反芻しては身が震えて中々立ち上がる事が出来なかった。

 

「ももんがさまぁ‥‥」と泣きむせぶ弟を置いてアウラが復活した。ダメなお姉さん達はあえて視界に入れないようにしながら気になっていたことをデミウルゴスに聞いてみることにした

 

「ふう……あのさあデミウルゴス?」

 

「どうしましたか?アウラ」

 

「ぷれいやーとかツァインドルクスとか 気をつけないといけない奴らがいるのは解ったんだけど、アインズ・ウール・ゴウンとしての戦力増強の件は大丈夫なの?あとデミウルゴス、すっごいノリノリで仕事してるけど、人間たちが幸せに暮らすのって悪魔的にどうなの?」

 

「情報総監からの情報から推察するに、正直ナザリックは現時点でプレイヤーの団体が襲ってこようとも十分耐えられる程の強さがあります。そして、カッツェ平野や彼らが未開拓の土地にアンデッドを労働力として広大な農場を作る予定です。そのための大灌漑事業ももう始まります。そうして収穫される穀物は1/3はナザリックのエクスチェンジボックスによってユグドラシル金貨へと変換されてナザリックの運用資金になります もちろん盟約国からの3~5%の国家予算もエクスチェンジBOXによってユグドラシル金貨に変換致します」

 

「でも 3~5%とか、そんなに少なくて良いんでありんすか?30%とか吹っかけても貰えそうでありんすえ?」と復活したシャルティアが口を挟む

 

「国家予算の半分前後を占めていた軍事費が本当に不要だと気づいた時に、数%支払うだけで安全と平和が守られる‥‥そんな状態になれば、いずれ起こるのは文化の発展と精神の退廃だろうね。 しかも我々が格安で食料を提供するから飢えたりしなくなる訳だしね。飢えを知らず、戦争やモンスターの恐怖に曝されることもなく、そして我々の格安穀物で農家はやって行けないから第一次産業は廃れ第二次産業と第三次産業が自動的に頭角を現すだろうね。そしてそれは退廃的な社会に拍車をかける事になるでしょう」

 

 復活したはずのシャルティアが白目のまま固まっている

 

「ん、うん‥‥つまりね アーチデビルの御馳走とも言えるべき『人間の堕落』がこれから世界規模で起こるのかと思えば失礼ながら涎が出るほど楽しみな環境が整えられているわけです」

 

「そ、それは」とマーレが驚いた様な声を出す

 

「そう 然しながら慈悲深きモモンガ様は人間にチャンスを与えられた。一つはジルクニフという有能な皇帝をそのまま残したこと。もう1つは民主政治という炎をリ・エスティーゼに灯したこと バハルス帝国はジルクニフの間は大丈夫でしょう。彼は野心も覇気もありますからね。対外戦争をしかけながら帝国を導くでしょう 我々を最大限利用した気になりながらね。せいぜい気持ち良く版図を広げて我々の代わりに統治して頂ければ良いのです。こちらの判断で周囲を盟約国で固めるまでは御自由に。ただ「リ・エスティーゼ」の民権政治はどうなるか分かりません。急遽、学校などを設置して子供の教育は始めさせますが、『衆愚政治』という言葉がある通り、彼ら市民が自分たちの楽な方に都合のいい方にと政治を運営しだすのは、まあ数十年後になるか分かりませんが、時間の問題でしょうね。民主主義とは個人では無く民衆という本来雑多な群れを一個の生き物としてみる考え方であり、その生き物は、みんなが思う以上に感情的な性質を持っています。……本当に私は彼らの行く末が楽しみで仕方がないのですよ」

 

「でも お優しいモモンガ様は人間の可能性も また「尊い」 と考えておられるのよね」

 

 アルベドが愛しい人が目の前に居るかの様にウットリと話す。

 そしてある意味それ以上にウットリとした満面の笑顔でデミウルゴスが語る

 

「そうです まさに神のごとき視点と御心で、この星の全てを見つめておられます」

 

 

 

 

 

 

 

 やめてえええー

 

 

と、モモンガがその場に居たら泣き叫んだだろうが、モモンガは今、毎日の日課であるアンデッドの作成に興じていた。一緒にいるのは図書館のエルダーリッチを初めとして、アンデッドによるプランテーション計画を思いついた時からアンデッド制作力向上のためにナザリックでユグドラシル金貨による課金もして、エルダーリッチを増産。50名を超すアンデッド作製部隊を作った。モモンガだけでも月産1000体は可能であるが、巨大なプランテーションによる経済面と食料面で行く行くは世界を牛耳ることを考えているのでアンデッドはいくらでも欲しい所なのである。そしてさらにゴーレムも作製する。灌漑事業に必要なのは大きくて力強いゴーレムだ。巨大農場を実現させ稼動させるには豊富な水と農作物の運搬のための運河である。リアルの世界で環境破壊しつくされた社会に身をおいていたモモンガは慎重に地形や自然を考慮しながらそれらのラインの構築を進めていく。もちろんこれらはアルベドやデミウルゴスはもちろん、アウラが拾ってきた森の精霊であるピニスンなどを交えて相談して決定される。専門家の意見は大切だ。今思えばザイトルクワエもケイ・セケ・コゥク辺りで支配下に置けば森の番人にちょうど良かったのかもな?

 

 それにしてもエ・ランテルに続いてカッツェ平野で2万近い良質な死体を手に入れられたのは有り難かった。これからはアインズ・ウール・ゴウンの盟約国に「死罪判決の出た犯罪者をアインズ・ウール・ゴウン送りにすること」という約定を突きつけるつもりだ。それでも足りないようなら遺族から死体を買い取るサービスを始めても良い。適価であれば貧乏な家からの供給が見込めるしな。……なら先に『肉体はただの魂の入れ物であり、死んだ後の魂の救済と遺体とは無関係である』という宗教学者の見解と、『亡き後も遺骸による労働は死者の霊魂の格を上げる事に繋がる』などと云う教会総長の言葉でも流布しておくか……。

 リ・エスティーゼ王国……もう共和国になるのか……に、ちょうど良い人材は居たかな? バハルス帝国は約定だけ送れば嫌そうな顔をしながらジルクニフが自分で考えて頑張るだろう。直接支配していた場合の我々へ出るハズだった国民の不満もジルクニフが一身で引き受けてくれるので非常に楽だな。後継者も彼と彼の選んだ人間に育てられ教育されるならそれなりの皇帝になるだろう……問題はやはり三代目か四代目辺りかな? バハルス帝国を保てなくなったら政体の変更もやむなしだが、民主国家・君主制国家帝国・宗教国家と云う相容れない三すくみが一番バランスを取るのが楽だと思ってはいるのだが、まあ、困ったら三首脳に丸投げしよう。

 

 しかし……初め俺が作ったアンデッドをやたら「モモンガ様の創造物であるから」などと特別扱いしてたんだよな‥‥あいつら まあ確かに俺が作ったアンデッドの方が魔力の違いからか耐久力に優れていたりと頑丈なのは確かだから、区別して作業に当たらせた方が効率的ではあるが、守護者の次くらいの「格」にしようとしていたのには参った。あんなもの普通のアンデッドのリーダー程度で良いのにな

 

 

 

 ……計画は順調だ。準備も万端だ。後は待つのみ 

 

   さてさて どちらが先に動いてくれるかな? 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 











代理石様、244様、ゆっくりしていきやがれ様、b-hawk様 誤字脱字、文法間違いなどの修正をして頂き有難うございました
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