「アルベドよ オマエの歪みを修正する。オマエを元の状態に……タブラさんが創りだしたオマエの設定に直す」
その言葉の意味するところを知り、アルベドは吐きそうになりながら虚ろな表情で俯く。しかしアルベドの理性かあるいは本能が、ここで止まってしまってはいけない。認めて、許してはいけない。本当に、現実にしてはイケナイ。と、ただそれだけの想いを振り絞って……何とか言葉を紡ぎだす。
「……なぜで……しょうか」
モモンガはアルベドの弱々しい言葉を想定していたかのように、哀しげでありながらも淡々と言葉を続ける。
「例えば……オマエが私を好きだと言ってくれた時、『嬉しい』という気持ちと『私のせいで言わされてるのだ』という気持ちが同時に湧き上がる時があるのだ。時間とともに……オマエに対する執着が出てきた時からだと思う」
「私に執着してくださる……それだけでも涙が出そうなほどに嬉しい御言葉で御座いますのに……」
「……私は愛されたことがなかった。ユグドラシルの大切な仲間たちでさえ一人一人と去っていった。オマエの私への想いは私にとって余りにも蠱惑的で魅力的な甘い毒であり、そしてそれら全てが私の創り出した幻想かも知れないという恐ろしさ。その想像は恐怖そのものでもあったのだ」
「ご迷惑だったでしょうか……」
「馬鹿な! 嬉しかったよ。本当だ。嬉しさがある分だけ、その倍の質量分、怖かったのだ。自分が創り出した幻……夢が本当になってほしいという気持ちと、このままではいつまでも本物としては見れない自分が居ることでオマエの想いを無碍にしている事への罪悪感。なによりも私こそがオマエを……オマエの想い、誰かからの愛を欲しいと思っていたからだ。恥ずかしいことだがな」
「ならばっ……」
「ああ……それならそのままにしてオマエに愛され、シャルティアに欲情され、アウラに慕情を抱かれ、キーノに恋をされ、番外席次に煩悩を抱かれていれば良いのにと?」
「はい……はい!……」
「それは出来ないよ アルベド」
「な、何故でございましょうか?」
「私はな とてもワガママなんだ」
「あ……」
「私が歪め、私の誤ちによって生み出されたオマエの愛をこのまま受け入れることに、それで良しとする自分に疑問を抱いてしまうのだ。本当の、本来のオマエのままで、オマエからの想いを得たいと思ってしまったのだ」
「モモンガ様! 今の私の気持ちが本当に本物だと云うことを知っているのは私だけで御座います。モモンガ様ですらそれを確かめる術は御座いません!」
「……ああ そうだな」
「100年! 100年もの間、育て続けたこの想いを嘘だと? マガイ物だと仰られるので御ざりましょうか!?」
「アルベド……」
「始めからやり直す? 嫌で御座います! この心だけは私のものです! 100年以上前……まだこの世界に来る前のこと……至高の御方が次々と姿をお隠しになりゆく中で、一人でナザリックを運営し管理するために奮闘するアナタ様の後ろ姿をどれだけ見てきたとお思いでしょうか」
「……」
「あの頃のことは、記憶はあるのですが不思議と当時の自分の感情は思い出せません。情景は忘れていませんが自分が何を考えていたかはハッキリとしないのです。ただある日突然、モモンガ様が物怖じしながら私やセバスを見てくれた時に、初めて私達を本当にその目で見てくださった時、突然色んな想いが私の中を巡り暴れだしました」
「……アルベド」
「そして『枷』が外れました。モモンガ様は『自分が歪めた』と仰られていましたが違います! 違うのです! 枷が外れる前から、この世界に来る前から私はずっとアナタを愛していました! アナタの後ろ姿に恋をしていました! ただ、この世界へと来た時にようやくその想いに名前が付いただけで御座います。色あせた世界に彩りを下さったのです。 私の心を歪めたのではありません! アナタを心より愛する許可を、赦しを得ることが出来たのでございます!」
「アルベド……分かった、分かったから」
そう言ってモモンガは立ち上がると、ソファーから立ち上がって泣き叫ぶアルベドを抱き寄せる。
「いえ モモンガ様は分かっておられません……私がどれほどモモンガ様を愛しているのか」
「え?」
「モモンガ様に与えられ頂いたのは愛と心とそして私の心に存在する全ての熱量。この愛で貫けないものはありません。どんな限界や障害やそれ以上の何が在ろうと、私が愛するのはモモンガ様だけです。もう私はモモンガ様の虜なのですから。 よろしければ地獄へだって参りましょう。一緒に居ることが出来るなら寧ろ死こそ望みでございます。そして、限界を越えて果てになど辿り着かないほどの愛を誓います。何より尊い存在であるアナタ様は御存知なかったのではないでしょうか? 私の心が、愛が泣いている理由を。 永遠に一つになりたいという想いが!欲望が溢れだし常に心が寂しくて悲しんでいるのです。嫉妬と妄想で狂いそうなほどに。愛を知った私は理解致しましたの。愛とは暴動と衝動を解き放って精神よりも本能に忠実であり、アナタの心臓までも欲求する自分を恐れないことだと! モモンガ様のいない世界に生きる意味など無く、モモンガ様が存在しない未来の全てを殺し尽くしましょう。そうですとも、この愛の為なら喜んで殺りましょう。アナタだけを見ていたいのです。もしこの世に終わりという物があるのでしたならその時まで視線を遮られずにアナタだけを見たいのです。添い遂げたい……それだけが願いなのです。アナタを一途に想う純真さは、あの星も太陽も越えていくようで……嗚呼なんと素敵な感情でしょうか!こんな気持になる事ができるなんて! もしもアナタを見るこの視界に邪魔が入るのであれば容赦なく排除して廃棄致します。だってモモンガ様は誰にも譲れぬ存在なのですもの。あの頃、モモンガ様がお一人で在らせられた頃は、私も闇の中で暗くて何も視えず、痛いほどの孤独に窒息しそうでした。嗚呼……モモンガ様、もっと強く抱きしめて下さいませ。愛とは純情の結晶であり一切の不純物など必要としないのです。私どもはモモンガ様より想像以上の恩情を得ております。この上愛してほしいなど云うのは本来憚れますが、その躊躇は不純さへと繋がりましょう。ならばここで叫びます。モモンガ様の胸の中、私にとっての世界の中心で!アナタと成し遂げたいと、アナタの愛を得られるなら危険も厭わないですし、二人の為ならあらゆる危険を冒すことも平気ですもの。愛憎は時に狂いだしそうになり、錯綜と合わさって焦燥とも重なり融合してしまい心が悲鳴をあげてしまうものです。それこそが私の心が、愛が、悲壮の中で泣き叫ぶ理由なのです……御存知なかったでしょう? もっと抱きしめて下さいませ。理由とか真偽とかそんなもの全て乗り越えましょう。唯、愛し愛されていたいのです。モモンガ様の居ない世界に生きる意味など無いのです。それは今も昔も変わらず、未来永劫変わることのない唯一永遠の愛です。例えばモモンガ様が何時も通りに執務室でお仕事をされている時に私の方を振り向いて「アルベドよ どう思う?」と尋ねて下さった時などは天にも昇る気持ちになってしまうのですよ?私を頼って下さる。私を見て下さる。そんな甘い甘い瞬間にこの胸がときめいてしまいます。そしてモモンガ様が執務室でこちらを向かないまま、「アルベド どう思う?」と尋ねられた時。モモンガ様の私への無遠慮さと男らしさの格好良さに胸が痺れて子宮の疼きすら感じてしまいます。はしたない女で申し訳ありません。でもそうさせるのはモモンガ様のせいなので御座いますからお許し下さい。もう惚れなおすことも出来ません。完全に満ち満ちて溢れだしているのがお分かりになりませんか?何故お分かりにならないのでしょうか?足りませんか?まだまだ足りませんか?ならば全ての私の心を!あふれだす想いを吐き出しましょう。嗚呼好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです。どうしましょう?一度口にしたらその言葉が止まらなくなってしまいました……これは私が悪いのでしょうか?それとも愛しいアナタ様が悪いのでしょうか?それは私にも分かりません。解ることはただ一つ。それはモモンガ様が愛しいと云うことです。どうでしょう?少しはモモンガ様の御心に私の願いが、想いが届きましたでしょうか?このどうしょうもないほどの想いが染み渡ったでしょうか?ああ、体も心も熱くて熱くて仕方がありません。もうどうしようもないほどにモモンガ様のことを愛しています。苦しくて息もできないほどです。切なくて嗚咽を挙げてしまう夜も有ります。その苦しさも切なさもモモンガ様が下さったものですから愛おしいです。モモンガ様に頂いたものは全てが愛おしいのです。愛慕してます。恋慕っております。愛おしいです。愛寵し惚れ込んでます。恋愛してます。傾慕しております。恋着しております。のぼせ上がり、入れあげ、首っ丈です。溺愛し頬ずりしたいです。慈しみメロメロです。盲愛し熱に浮かれております。ホの字です。執着し熱愛し偏愛し烈愛しております。ああ図書館の辞書の言葉なんかでは足りません、質も量も足りません。どれだけ熱いのか、どれだけの質量を伴っているのかを伝える術が愚かな私には見当たりません。それら全てを飲み込んで、それら全てを消化して、今まさにお伝え致します。愛しています。世界でも宇宙でも次元の彼方でも全ての生きとし生けるものの中でモモンガ様を最も愛しているのは間違いなく私です。比べるものがないほどに愛しています。どうかどうか私を信じて下さい。私の愛が本物だとご理解ください。」
「あ はい」
ぐるぐる目のアルベドに同期するかのようにぐるぐる目の骸骨が壊れた首振り人形の様にコクコクと頷く
「解って頂けましたか!」
「………はい」
「解って頂けましたね?」
「……はい」
「私はモモンガ様が好きですね!」
「……はい あるべどは…ももんががすーきー」
「モモンガ様も私が好きですよね?」
「ももんが……あるべど…す…き…」
「くっふぅーーーー」
「………はっ!? くっふーーじゃない!」
「しまった!?」
「こわっ この娘、こわっ……至高の御方を洗脳するのはヤメテ頂けないだろうか」
「だって~」
「だってじゃない! 恐ろしい……一応アンデッドで精神耐性はかなり高いハズなのに……」
「愛の力です」
「まさしくなっ! 今日ほど「愛」という言葉が「呪い」に聞こえる日は無いよ……」
「モモンガ様ぁ……」
「とにかく落ち着こうか? な?」
「でも……モモンガ様は今の私を否定されるのでしょう?」
「いや そんなことは無いが……ああ そういう事か 私がオマエの設定を修正するのは今のオマエを否定することだと……?」
「はい……」
「決してそういうつもりでは無かった……すまない」
「でも…でも…」
アルベドは泣きむせび続ける。ああ アルベドをこんなに泣かせるなんてタブラさんに怒られるな……。
アルベドの長すぎる
「アルベド……もう良い。ありがとう……わかったから」
モモンガは恐怖を感じ少し躊躇したものの、泣き続けるアルベドを強く掻き抱いた。 自分のことをこれだけ思っていてくれるアルベドに対する想い。この感情が愛おしいという感情以外の何物だと言うのだろうか?と確信に至った。至ってしまったと言うべきか。大抵「怖い」という感情も含まれていたので少し違う気もする。
……そして、色々と手遅れだった。
ぐるぐるした目で熱にうなされたようにアルベドは止まらない。
「あっ もうダメです。抑えられないです。モモンガ様に生涯を捧げますのでお許し下さい。たとえモモンガ様が何度私の設定を書き換えようとも何度も何度も愛してみせます! 時々想像していたのですよ? モモンガ様が私のものになったらって。それは楽園より天国より更にそれ以上に素敵で、アナタは私の人生、運命、全てに於いて、私が愛する唯一の人で……モモンガ様と一つになりたい。種族の壁も皮膚の壁も融かし尽くして一つになりたいのです。私たちは単細胞生物ではないから境界線があるのは知っています。でも……そんなもの壊すべきですよね!」
「それは壊しちゃダメだろ!?」
渦巻状の瞳を見開いて「ふんすっ」と顔の前に両手の拳を握りしめながら過激な
何らかの危険信号をようやく察知したモモンガは癖で天井を見るが、そこにいつものエイトエッジ・アサシンは居ない。モモンガが抱きしめる手を緩めてアルベドと距離を取ろうとするがアルベドはモモンガの三倍の力でガッチリとホールドしており、いつでも技北スパークを繰り出せる体勢のままだ。
そのホールドされた体勢のままでズリズリとアルベドがモモンガの私室のベッドルームへと主を引き吊り込んで行く。ベッドを背にした状態でモモンガを引き寄せるアルベドに恐怖を感じたモモンガは焦る
「ま、まて! アルベド 私も好きだと言ったがちょっと待て……その こういうのはまだ早いと思うの……」
「100年も待たせて……ちょっと何を仰られているのか分かりませんね」
「と、とりあえず放そうか……放して……」
「イヤどす」
「それにほら、先に『ウィッシュ・アポン・ア・スター/星に願いを』 を使って人間にならねば……ちょっと時間を……」
「あらいやですわ。モモンガ様」
「え?」
「まずは、その御姿のモモンガ様、それから人間のモモンガ様。両方タップリ味わわせて頂くに決まっているじゃありませんか?」
「ひっ」
そう言って舌舐めずりするアルベドは今まで見たことがないほどに凄絶に妖艶だった。
モモンガは心から恐怖し必死にアルベドの手を掴んで何度か抵抗を試みる。アルベドは「ふーっふーっ」と荒い鼻息を隠しもせずモモンガを抱き寄せつつモモンガのベッドへ引き摺りこむためにモモンガを引き寄せる。
ある意味、今のモモンガは世界の支配者であると同時に、世界一「蟻地獄へと引き摺りこまれる蟻」の気持ちが分かるという画期的な存在であった。
「どっせいっ」
アルベドは一瞬、身を深く沈めると豊かな胸部をモモンガの胸骨に合わせながら左手でモモンガの首、右手でモモンガの左大腿骨を掴んで思いっきり体を逸らせた。
「わあー」というマヌケな叫び声を上げながらモモンガはアルベドを軸に宙返りをして、自分のベッドに「ドサァッ」と背中から叩き落とされる。
アルベドは獣を彷彿とさせるスピードで一気にモモンガの上に正面からのしかかり、まるで何度も脳内シミュレートを行っていたかのように迷いなくモモンガの自由を奪いながらマウントポジションをとると第二頚椎から第三、第四頚椎へと舌を這わせる。
「うわ、あ」
諦めたように身を任せつつあったモモンガが喘ぐように声を上げる。
アルベドは、極上のニンマリとした幼児のような無垢な笑顔をモモンガに見せると
「いただきます」と丁寧に手を合わせた。
「……はじめてなんだ…です……優しくして…下さい……」
か弱い声で自分の下で可愛く哀願する世界の王に、アルベドは「私も初めてです!」と告白すると体中を駆け巡る歓喜と興奮に酔いしれながら、震える手で乱暴にモモンガのローブに手をかけると「く、く、く、くふうぅぅうーーーーー!」と雄叫びをあげて我慢できずに愛しい人の胸骨に飛び込んだ。
モモンガは噎せ返るような女の匂いとアルベドの香りを吸い込んで、「あの香り……アルベドの匂いだったのか」と他人事のように想った。そして天井のエイトエッジ・アサシンの数を数えようとしたが居ないので、考えるのをやめた。
……そしてモモンガの部屋に飾ってある花瓶の花が はらりと 散った。
おまけ
「ふあー いけないいけない」
3時間ほど席を外しますと至高の御方にはお伝えしたものの、図書館で居眠りをしてしまい4時間が経過していた。
そもそも本来は席も離さずモモンガの世話をしたいのが一般メイドの生き甲斐であったのだが、モモンガがハーレムの者達と関係を持つかもしれないという噂は聞いていたので自分の欲望は後回しにして、精一杯気を利かせたつもりだった。
今日のモモンガ番であるリュミエールは、小動物を思わせるトコトコとした小走りでモモンガの私室へ向かう。
モモンガの私室に辿り着き、いつものようにノックして入ろうかと思ったが、今まさに第◯夫人との行為が行われているかも知れない。
リュミエールは「はしたないですが……」とドアにそっと耳を当ててみる。
「ぅっ ああ……」という喘ぎ声が聞こえてきた。
リュミエールは、気を利かせてもう一度席を外すべきだ。という職業意識と、年頃の乙女の好奇心という争いを素早く終わらせると、ポケットをまさぐり、給金で購入した一枚のスクロールを取り出すと室中に聞こえないように小声で「……ラビットイヤー」と唱える。
にょきーーんという感じでリュミエールの頭に2本のウサ耳が生える。これで高性能の聴覚を得たリュミエールは何度か逡巡の素振りを見せたあとメイドが決して、してはイケナイ顔になり「うふー」と云う声を出してウサ耳をドアに向けて室内の音に耳を澄ませる。
『うああっ』
『ちょ!? 肋骨をそんなふうに!?』
『やめてぇ……尾てい骨は玩具じゃないのぉ……』
・
・
・
・
・
……はっ だめだめだめ ショックと興奮の余り、少し意識を失っていたわ……
これは純粋な探究心からくる研究なのですモモンガ様ゴメンナサイ リュミエールは悪い子です。ウサウサー
ヨダレを垂らしながら悪い顔のメイドは荒い鼻息で主人の私室の扉にウサギの耳を押し付ける。
『もうダメえ……』
『死ぬ……死んじゃう……』
『…………(すすり泣く声)』
『そんなところ、らめえええええ』
『もう無理無理無理無理無理いぃぃ』
………ぷひっ
あ 変な声と共に鼻血が出た。
くふくふ言ってたからアルベド様がお相手で御座いますね。
何故か喘ぎ声は全てモモンガ様の声でしたが、何ともお熱い情事が行われているようです ハァハァ
……そういえば、後半は何かいつもの御声とは少し違ったような?
でも、アルベド様がモモンガ様以外にお体を許される訳が御座いませんから、中の方はやはりモモンガ様の様で……きゃあっ
突然、目の前に戦闘メイドプレアデスの一人ルプスレギナ・ベータがいつもの飄々とした顔で立って不思議そうにリュミエールを見下ろしていた。
「どうしたんスか?」
「ひゃあ いえあのそのぉ」
「ここはモモンガ様の私室……その至高なる御方の扉に耳を当てて盗み聞きとは……悪い子っすねえ~」
「違うんです違うんです 私、今日、モモンガ様の部屋付きでして……帰ってきたら中から帰ってきてはいけないようなお声がしていて……」
あたふたという言葉を体現するかのように慌てふためくリュミエールは泣きそうな目で「ううう~ ご、ごめんなさあーーいい」と言い残して走り去っていった。
一人残されたルプスレギナは「やれやれ」とオーバーなジャスチャーで表現するとその場に膝を突いて、「まったく、仕方ないっすねえ~」と言いながら扉に狼耳をあてがう
「ふひっ この中でモモンガ様がイケナイ声を……どれどれ~……ぎゃぼんっ」
「ナニをしているのですか? アナタは?」
『戦闘メイドプレアデスの副リーダー』ユリ・アルファによる鉄拳制裁を頭頂部に受けたルプスレギナは涙目で「ユ、ユリ姉!」と驚愕した。
「プレアデスの一員たるものが主の部屋を盗み聞きするなど……」
ユリは珍しく怒筋を立てて怒気を頭から揺らめかせている。
「ぴゃっ ちなうんですちなうんです! ご、ごべんなさあい!」
「さ 悪い子はアチラでお仕置きです」
「あうっ ユリ姉! 耳は! 耳は掴まないでほしいっす! ち、千切れる千切れるぅ あ」
九尾様 ronjin様 誤字脱字の修正を有難うございます。