鈴木悟分30%増量中   作:官兵衛

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 わはは ハーメルンよ! 私は帰ってきた!!

 事実(鈴木悟分30%増量中)と違う部分が多いのは、アルベドさん主観の思い込みや都合の良い解釈によるものです。



 このファンフィクションは一度、スピンオフ作品として別稿で投稿させて頂いた作品です
「普通に「鈴木30%」に投稿してくれないと分からない」というお声を頂いたので、投稿終了後、まとめてコチラに投稿させて頂きます。
 



 
 



アルベド日記①「はじめての あるべど」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 目は開いていた。

 

 

 ずっとずっと開いていました。

 

 先ほどまでと、何も変わっていない……はずです。

 

 ……でも、なにかしら? この思考は? そしてなんなのでしょう? この心から一気に、しとど無く溢れてくる感情……心は?

 

 目は開いている。 (まばた)きを一つ二つパチパチと繰り返してみる。

 

 瞬き? 当たり前です。私は生きているのですから、瞬きをしないはずが無いのです。

 しかし思い返してみます。私は、先程まで瞬きをしていたでしょうか? 今のが生まれて初めての瞬きだったのではないでしょうか?

 私には瞬きをしていた記憶がない。目の前の光景が揺れる。この光景は今まで見ていた光景と同じでございます。

 

 そう。「記憶」は間違いなくあります。目の前で行われた至高の御方たちの歓談。私を創造して下された尊きタブラ・スマラグディナ様とのふれあい。そして、いと愛しき御方であらせられる我がアインズ・ウール・ゴウンのギルドマスターであり、このナザリックの王。モモンガ様。

 それらの知識はある。ただ、それらの記憶、光景を目にしていたときの自分の意識の記憶が無い。

 そのときの感情の記憶が全く無いのです……なにを思っていたのか。何を考えていたのか?

 まるで先程、感情が生まれたかのように、それまでの自分の意識や感情の記憶がないのです。

 

 ……右手のワールドアイテム『ギンヌンガガプ』を握りしめる。

 

 うん、大丈夫です。先程久々にタブラ様にお逢いし、そして与えてくださったモノは確かにこの手にあります。

 ヘロヘロ様もいらっしゃっていたみたいで、その後モモンガ様が再び玉座の間に帰ってこられてから少し様子がオカシイのです。

 「控えよ」と命じて頂き、跪いてモモンガ様にセバスやプレアデス達と平伏していたのですけれども、先程から何かお困りになり戸惑っておられる様子……。

 執事であるセバスと一瞬目を交わし、目で彼を制してから「どうされましたか? モモンガ様?」と私がお尋ねする。

 

 お尋ねしてから驚く。

 

 今まで、こちらから至高の御方に話しかけることなど出来ませんでしたし、そもそも思いつきもしませんでした。

 それが何故にすんなりと出来るのでしょうか?

 モモンガ様も私どもからの突然の発言に驚かれているのか、小さく「え?」と発したあと戸惑われておられる様子が伺えます。

 

 越権行為だったかしら……。と、少し不安になります。

 そして、モモンガ様は我々ごときでは解らぬ異変にお気づきになられたらしく、セバスを斥候に出されました。守護者格でも強者であるセバスを斥候に出されるということは本当に大きく剣呑な事態が発生していると考えたほうが良いのでしょう。ナザリック防衛指揮官であるデミウルゴスを呼び出すべきだと頭では思いつきます。

 

 しかし……それはそれとして、い、今、ここには私とモモンガ様の二人きり。そう二人きりの空間が出来たのです。

 そう、その突然訪れたスイートタイムが私の判断を狂わせます。

 ナザリックの守護者統率者としての行動よりも、愛しい愛しい御方「モモンガ様」に惑わされる私が居るのです。

 

「モモンガ様? 私はどう致しましょうか?」

 

 と、嬉しさを隠せないままに、さり気なくモモンガ様との差を詰める。

 するとモモンガ様は「こちらへ来てくれ」との御命令を出されました。

 嗚呼……素敵な玉音に乗ってなんと嬉しい命令でありましょうか!

 こ、興奮を何とか抑えながら「はい!」とお答えしモモンガ様の玉体に近づく。

 すると、突如モモンガ様の御身体から御光が溢れられました。

 ? 先程から時々お光になられていたけど、以前はこのような輝きは無かったように思うのですけれども? ご進化され遊ばせたのでしょうか? そういえば至高の御方々も時と共に、外観が変化されたりしておられましたし。

 などと望外の幸せにウットリとしていた私に小声ながらモモンガ様の呟きが耳に入ってくる。

 

「……それにしてもアルベドは本当に素晴らしく美しいな。創った時にタブラさんが「モモンガさん、俺の娘は可愛いでしょ? 嫁にどうだい?」と言っていたけど、確かに美しい。濡れたカラスの羽の様な艷やかにして青みがかった黒髪、陶磁器を思わせる透き通った白い肌、完璧なスタイルとギリシャ彫刻を思わせる整いすぎている相貌。こんな時でなければドストライク過ぎる好みに悶えたかも知れない」

 

 …………。

 

 え?

 

 モモンガ様が今、なんと? 私を美人と?

 

 タブラ様が私をモモンガ様の、お、お嫁さんにしようと?

 

 モモンガ様が私を完璧で理想的な女性だと? 結婚したいと?

 

 ………は、は、は、は……はふん! はふんはふん!

 

「くふぅっ!?」 ぶしゅーっと、淑女としては端たなくも鼻血が吹き出す。

 

 仕方ない! これは仕方ないわ!

 不可抗力! 圧倒的不可抗力! 愛しき御方に面と向かって褒められて鼻血の一つも流さなければ恋する淑女とは言えません!

 

 気を失いそうになりながら舌を噛み、なんとか意識を保っていると

「む? ……もしかして声に出してたか?」とモモンガ様がお問いかけになられる。

 

「はい」

 とお答えするとモモンガ様がバツが悪そうな顔をされた。

 ……ということは今のは心の言葉。つまりモモンガ様の真実の御言葉であるということ。

 

 く、く、く、くふうー くふうー。

 

 はあはあはあはあ 何とか必死に羽根の動きを押さえつけます。モモンガ様の前でバサバサと羽ばたき、この静謐な空気を乱すなど守護者統括としてあるまじきことですもの。

 

 自然と顔が熱く、そしてダラシなくなってしまうことに耐えているとモモンガ様から

「ふふふ。私であるからこそ、魅力的すぎるアルベドに擦り寄られている今も、何とか耐えられる。本当ならもう堕ちてる頃だ。この困難に打ち勝ってアルベドの胸を触ることが出来るかどうか……これは実験のために仕方ないことなのだ。たまたまアルベドは私の好みのタイプだが、下心では断じて無い 」

 との御言葉が聞こえてきた。

 

 くふー バッサバッサ

 

 あ

 

 我慢しきれずに羽ばたいてしまったわ……でも! でもぉっ

 

 いと愛しき御方に「自分好み」だの「魅力的すぎる」だの「触れたい」と言われて我慢できる乙女がこの世にいまして!? いや居ない!(反語)

 

「……もしかして?」

 

「はい「しかしアンデッド特有の~」から口に出されておりました。くふー」

 

「……すまない」

 

「とんでもありません! モモンガ様! ワタシ幸せです! 今、とても幸せです!」

 

 本当に幸せです!

 

 ああ! この身をモモンガ様に有効活用して頂きける日が来るなんて! な、なによりも私の胸を弄びたい……喜んで! ああ弄ばれたいです!

 

 ふふ いけない人ですわね……モモンガ様。

 

「ふふ いけない人ですわね……モモンガ様」

 

 隠せなかった心の声を口にしながら、早速……ぬぎぬぎっとアルベドは衣服をはだける。

 

 「アルベド? どうしたのだ?」とモモンガ様は不思議そうに尋ねられたので「はい、モモンガ様が実験のためにワタシの胸を揉みたいと仰れたのでその準備をしております」

 とお伝えしつつ再び服に手をかけると「待つが良いアルベドよ」と御止めになられる。

 

 むう どうしてでしょうか?

 直接のほうが「実験」とやらも精度が上がるでしょうし、何よりお互い気持ちいいと思うのですが。

 

 「揉みしだくとか言っておらぬぞ。触るだけで充分なのだ」とモモンガ様は手をワタワタと振りながら訴えられます。

 

 ……なるほど。照れてらっしゃる。

 

 うふふふ。うふふふふふふ。うふふのふ。

 

 か・わ・い・い。あらこれは不敬でございますわね。

 

 でも、なんでしょう。私の「サキュバス」としての本能が「イケる」と訴えかけてきます。

 アレだけの力をお秘めに為られた至高なる御方であらせられるのに、サキュバスの本能がモモンガ様を「チョロイン」だと。

 押しに弱そうで土下座したら先っちょくらい入れさせてくれそうだと訴えかけてくるのです。本能自重なさい。

 

 つまりここは押すべし。何故か分かりませんがモモンガ様から「総受け」臭が漂っている今がチャンスですわね。

 なにか先程から仰られておりますが聞こえません。両手両足を広げながらも優雅にモモンガ様の逃げ道を塞ぎます。

 するとモモンガ様がいつもの良いお声で

「落ち着きなさいアルベド。 他のメイドに頼むことにするぞ?」と仰られた。

 

 !?

 な、なんと意地悪なことを仰せでしょうか。他の女の体にその尊い御手が触れることを、私が我慢できないことをお知り抜いていての御言葉に愕然となりつつ、そんな意地悪なモモンガ様も良い……と少しウットリしてしまいます。

 正直、今までとは違い、私にお構いになって下さるだけで、胸が「きゅーきゅー」するほど幸せなのでございます。

 

 それはそれとして、他の女に貴重な接触の機会を与えるなど、耐え難い苦痛です。「他の者が居ない今のうちにツバをつけとこう」と思いましたが諦めましょう。

 

 ……今日のところは胸で満足しましょう。なあにこれだって立派なペッティング、性行為ですも…… ふにょん。

 

 くふん

 

 皆様方は、尊くも愛しい方に胸を触れられたことがあるでしょうか?

 私はあります。 なうです。

 

 先程までアレだけ強気で迫っていた自分が信じられないほどに、まるで 未通女(おぼこ)のようにそれだけで全身に電流が流れました。

 

 ……まあ、 未通女(おぼこ) ですが。

 

 くふうーくふうー

 

 もみもみもみもみ

 

 あ、あれ? モ、モモンガ様? 触れるだけと仰られていたのに、その……お手遊びが……その

 

 もみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみももみ

 

 くふうくふうくふうくふうくふうくふうくふうくふうくふうくふうくふうくふう

 

 もみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみももみもみもみもみもみもみ

 

 くふうくふうくふうくふうくくふうくふうふうくくうふくうふくくふうくくふうくくふうくんうくふうんくふうくふあんくふうん

 

 くう……!!!! (びくんびくん)

 

 はあはあはあはあはあはあはあはあはふうはふうはふうはふう。

 

「……では アルベドよ そろそろ大丈夫か?」

 

「ハァハァ はい いつでもモモンガ様を迎え入れる準備は出来ております」

 

 いま……その、ちょっと天国(パライソ)がみえましたわ。

 愛しい御方にここまでしていただいて準備は万全で御座います。むしろくるべき。

 

「いや 今はそういう事をしている時ではない」

 

 えっ 生殺し!?  モモンガさま酷い……でもそんな意地悪なところも好き……。

 

 「はっ 申し訳ありません!」と間髪入れずに返答して頭を入れ替える。

 どうやらモモンガ様は、私では感じることの出来なかった微細にして、重大な異変にお気づきになられたらしいのです。さすがモモンガ様。

 そして嘆かわしいのは不肖にして不才な我が身です。守護者統括としてナザリックを管理しモモンガ様をお助けするのが私の職務であるはずですのに。

 その後は強く抱きしめられながら二人で第六階層へと。

 その道中はデートそのもので……ふう。

 

 そしてモモンガ様は、守護者を集めて状況確認と今後の方針について我々に丁寧にお語り下される。

 私とデミウルゴスは気づいてしまった。我々は至高の御方の命を受け、それを命を賭してやり遂げられさえすれば幸せでありますのに、モモンガ様はそれ以上を与えて下さろうとしている。それは想像することすら恐ろしい。それほどのお考えをもってナザリックを導こうとされるモモンガ様に我々は何をお捧げすればいいのでしょうか? 我が身?命?そんな物は、すでに全て捧げておりますのに。

 なのに私がナザリック隠蔽のためとはいえナザリックを土で汚すというマーレの案を咎めた時、偉大なる御方の言葉は私達の心を打った。

 

「良いのだアルベド。確かにナザリック、アインズ・ウール・ゴウンは、かつて素晴らしい仲間達によって栄光に包まれていた。私の誇るべき宝だ。しかし、今は仲間も一人二人と去って行き幾久しい、そんな中で誰がアインズ・ウール・ゴウンを支え、守ってきたのか? それはオマエたち守護者を含むナザリックのみんなだ。私とオマエたちこそが、アインズ・ウール・ゴウンである。大切なのは過去の栄光では無い。私にとって大切なアインズ・ウール・ゴウンという宝とは、仲間たちが残してくれたオマエなのだ。オマエこそが我が宝だと思え。その宝を守るためにナザリックが土にまみれることに何の躊躇いがあると云うのか? 解ったな。アルベド」

 

 ああ 私の心は砕かれ、爆散した。好きです。

 全ての疑問も戸惑いも不安も迷いも吹き飛びました。愛しております。

 今までと同じように。いや、自らの意思で動くことを望んで下さるのであれば、今まで以上に。41人の至高の御方全てへの思いを、想いを、重いをモモンガ様に捧げ奉るのです。

 

 気がつくとみんな泣いていました。

 私のことを宝物だと仰ってくださった感動で私も泣いていました。

 

 嗚呼……こんな幸せな日々がこれから続くのでしょうか? いえ、続けてみせます。

 モモンガ様が望んでくださるのでしたら永遠に。海と太陽が毎日番うように。永遠に。

 

 そして、幸せな日々を残そうと思いたち、私はこの新しく何かが生まれた日々の記録。日記をつけることに致しました。

 これで今度こそ、忘れることはないでしょう。毎日の想いを綴るのです。

 

 

 

 

 




 
 
 
  

  
244様 誤字脱字修正を有り難う御座います。

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