鈴木悟分30%増量中   作:官兵衛

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アルベド日記②「はじめから あるべど」

 

 

  

 

 

 

 

 

◯月☓日

 

 モモンガ様直々に『周辺地図の作成』の使命を頂きました。

 本来モモンガ様ほどの御方でしたら、この星の全てを薙ぎ倒すことなど造作もないこと……。それでいながら情報の大切さを説き、ナザリックの安全を第一に動かれるのは、不甲斐ない我々を守るために他なりません。

 ……余りにも慈悲深き御方。そして愛しい御方。ふうふう、モモンガ様のことを思うと体が熱くなってまいります。

 いけません。まずはその尊きお方から頂いた使命を成し遂げるために、ニグレド姉さんの居る第五階層に赴こうとしたところ、モモンガ様が「ニグレドのこの世界での能力を把握しておきたい」と仰り二人で第五階層へと向かいました。

 

 モモンガ様のリング・オブ・アインズ・ウール・ゴウンでの瞬間移動でしたが、先回より10%増しで密着してみましたがバレませんでした。これからも機会がある度にジワジワと密着度を増していこうと思います。10回目には一心同体になっておりますわね。

 私が少し寒そうにしていると、なんとモモンガ様がボックスより緋色のマントを取り出し「寒いだろう? これを使いなさい」と下賜して下されました。

 はふう……モモンガ様。良い男すぎます! 嬉しさの余り飛び上がってしまいました。そんな私を優しい目で見守ってくださりました。ああ……もう……モモンガ様。これ以上、私をどうするおつもりなのでしょうか……?

 

 

 

 

 

◯月☓日

 

 モモンガ様が突然「現地の村を救出に行く」と仰られました。

 デミウルゴスから報告があった小さき村に現地人同士の争いがあった模様です。

 どうしても同伴出……護衛として随伴したかったのですが、「ダメだ。お前には重要な任務を与える予定だ」と一蹴されました。残念であると同時に「重要な任務」を預けて頂くことにモモンガ様から信頼されている感じが伝わってきてお腹がキュンとなります。くふー。

 

 人間ごときに慈悲をお与えになられることに異論がない訳ではありませんが、モモンガ様の御心のままに行動することこそが守護者統括としての在り方でございます。

 

 ……ただ、セバスが少し嬉しそうなのが気になりました。

 いえ、異種族分け隔て無く博愛の心を持ち、そして弱者救済を是とされる「たっち・みー」様に創造されたセバスが人助けに向かえることに喜びがあるのは解りますが、まさかセバスからモモンガ様に提案があったとかではないわよねえ? だとすればいかなセバスでもモモンガ様の優しい御心に付け込むことは言語道断。守護者統括として一度話を聞いてみる必要があるわね。

 

 

 

 

 

◯月☓日

 

 昨日、モモンガ様が大量に仕入れられた現地人を有効活用するために事務処理。といっても気持ち悪いくらいに御機嫌なデミウルゴスが彼らをいろいろな場所へと連れて行った。きっと色んな形で現地人から情報を引き出すのでしょう。デミウルゴスがこんなに嬉しそうなのは初めてじゃないかしら? 

 後で、私が作成している地図の地名を現地名で聞き出さないといけないわね。固有名詞は統一しておいた方が後々便利ですし。

 

 

 

 

 

○月×日

 

 夜、各層を見回り、暗い食堂で日記を書き終えていると、突然モモンガ様が訪れになる。

 「アルベド? 部屋に帰らないのか?」とお尋ねになられたので、私室がないことをお伝えすると、「あ――――そっかあ!? タブラさん、妙なところで現実主義者だからなあ」と御頭をお抱えに成られた。そして、なんと私の自室を第九層の至高の御方の居住区に用意して下さりました。嗚呼……このベッドで、いつか私とモモンガ様が……と想像するとヨダレが止まりません。あら、体が熱くなってきましたわね……。うん、仕方ない仕方ない。これは仕方ない。不可抗力で御座いますわね。もぞもぞ。

 

 

 

 

 

 

○月×日

 

 モモンガ様に与えて頂いた部屋は、至高の御方のための予備の部屋です。

 壁にはアインズ・ウール・ゴウンの旗が飾られておりましたが……その旗を乱暴に床に投げ捨てました。至高の御方々を愛されているモモンガ様がお知りになればお怒りに……お悲しみになるかも知れませんが、私にとって忠義を捧げ奉るのはモモンガ様だけ。アインズ・ウール・ゴウンですら、モモンガ様のためならば捨て去るのに躊躇は致しません。

 ここにはモモンガ様の御旗を飾りましょう。うふふ。

 

  

 

 

 

 

 

◯月☓日

 

 ゆ、ゆ、ゆ、ゆ、ゆりぃひぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!! (ペンの折れた跡)

 

 なんということかしらなんということかしらなんということかしら?!

 つるぺた星人(シャルティア)は良いのよ! 馬鹿だし! ヤツメウナギだし! 馬鹿だし! 変態だし! 馬鹿だし! あと馬鹿だし!

 

 でも、ユリ・アルファは違うわ! まず、モモンガ様と同じアンデッド。これは大きい。

 胸も大きい。ルックスは言わずもがな。清楚で控えめでいかにも男(童貞)受けしそうな……。

 いえ、別にモモンガ様が童貞と言っている訳ではないのよ? なぜか私のサキュバスレーダーがビンビンに反応はしてるのだけれども。

 

 ……まあ童貞が悪いとかそんなことはないの。むしろ美味しいというか……嬉しいというか……あら私ったら不敬ね。これはイケマセン。うふふ。

 

 ああ、もう。はじめは良かったのに……。モモンガ様の流々とした命令と、何よりも情報部長に私が立候補した時に「アルベドには、そばに居て欲しい」という御言葉! あれは当然、「いつもそばに居ろ」→「ずっとそばにいろ」→「オマエは私の物だ」→「我が妻となれ」という意味で遠回しで守護者達の前でのプロポーズであり、関白宣言であることは疑いようが無いわ。無いですとも!

 

 なのにぃ……ユリ・アルファとの情事とか……。うううううう。

 ……これはユリを模擬戦に誘い出して、レベル差を活かし、事故として撲殺するしか……。

 嗚呼……でも、それではユリに寵愛を注いでおられるモモンガ様が悲しまれてしまうわ……。なんという罪深い人なのかしらあの御方は。

 そういえば冒険者活動にも連れて行くと仰られていたし……。ナザリックの皆の居ない所で、ユリと組んずほぐれつ……あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!

 ……セバスに部下の監視を厳しくする様に通知しましょう。

 もしミラーで監視していて怪しさを感じたら野良シャルティアでも煽って飛び込ませれば良いわ。上手くすればユリとシャルティアを同時に始末出来ますものね。くふふ。

 

 

  

 

 

○月×日 

 

 そういえば情報総監としてパンドラズ・アクターが就任致しました。くうっ、モモンガ様に創っていただけるとは羨ましい……。少し嫉妬してしまいます。

 しかし、モモンガ様を造物主様に持つということは……恐らく彼も、アインズ・ウール・ゴウン(なに)よりもモモンガ様を崇拝し優先させる人物であるということ。つまり私と価値観を共有する者であります。慎重に接しなければなりません。

 

 

 

 

 

◯月☓日

 

 ふうふうふう……ちょっと廊下でシャルティアと殴り合ってきましたが、どうにも心が晴れません。

 くっ ルプスレギナが……ルプスレギナまで、モモンガ様に御寵愛を賜った……とのこと。

 どうやら、あの駄犬、しつけがなってないようねえ……。お手から始めた方が良いかしら。

 

 ふうふうふうふう……私に足りなくてプレアデスに有るもの……やはりメイド、もしくはメイド服しか考えられないわ。

 得意の裁縫で作るとしましょう。既製品だと羽根を出すところがないですしね。

 ……仕方がない。シャルティアの分も繕ってあげましょう。

 しかし、こう次々とプレアデスを食されるのは由々しき事態だわ。今は緊急事態だから仕方ないけど、安全を確保した時点で、モモンガ様の部屋付きメイドは元の一般メイドに戻すように取り計らいましょう。

 

 ああ、それと迷惑防止条例についても具申しなければ……。

 ふう……モモンガ様ぁ……私が居ますのにぃ……。

 

 

 

 

 

◯月☓日

 

 

 !!!

 

 よっしゃぁああーーーーーー!!

 よっしゃああああああーーー!!

 うっしゃぁぁああああああー!!

 

 

 

 

 

 

◯月☓日

 

 ああもう……昨日は興奮しすぎて言葉になりませんでした。はしたない姿を見せてしまいました。でも仕方が無い。そう、仕方がないのです。

 

 モモンガ様の有り難い御言葉。それによる感動の渦に飲み込まれた私に、意地悪なあの御方は私を呼び寄せると……。

 ……ふう。

 ……今も思い出すと指が震えて書けません。

 その……モモンガ様が自ら私の左手をお取りになると、その美しい白磁の様な指で私の左手薬指に指輪を嵌めてくださったのです。

 もう一度言います。愛しきモモンガ様が私の左手薬指、ひ・だ・り・て・く・す・り・ゆ・び、に指輪を嵌めてくださったのです。

 

 解りますね? そうです。これは結婚式の儀式に他ならないのです。

 頭が真っ白になり、その後のことは余り覚えておりませんが、モモンガ様に抱き寄せられたような……モモンガ様が覆いかぶさってきたような気が致します。きっとそのまま初夜を取りおこなおうと為されたのでしょう。まあ、モモンガ様、エイトエッジアサシンやデミウルゴスが見ていますわ!? あ あ……でも、モモンガ様が求めて下さるのでしたら、私、私!

 ……気づいたときには何故かデミウルゴスが「月に一度はアルベドを抱きしめて頂きたい」という素敵な案をモモンガ様との間に締結していました。

 ……なんなのデミウルゴス。本当に有難う。賄賂代わりに、確保した人間(おもちゃ)を多目に第七階層に連れていくように調節しましょう。

 

 

 

 

 

 

◯月☓日

 

 デミウルゴスの云う「妻は夫の帰りを待ち家を守るもの」という言葉についてアウラ、シャルティアと考察する。

 シャルティアは「モモンガ様にとって、家ということはナザリックのことでありんすえ? ならナザリックを守るために最も重要な第一階層を守る私が妻ということでありんす」と妄言を吐いた。

 アウラは「ナザリックはみんなで守っているんだからそういう発言は止めなさいよ」と非難しつつ、「でも、そもそもモモンガ様が外に御出になられているのが良くないのは確かだよねー。私達だけで頑張って、モモンガ様にむしろ待っていて欲しいっていうかさー」と言った。なるほど。確かに。つまりモモンガ様は良妻として皆の帰りをナザリックで待っていて下さる……ふひっ なんでしょう。いまなにか背筋をゾクゾクとした物が走りました。いけないわ。

 

 

 

 

 

◯月☓日

 

 モモンガ様に命じられて宝物庫にアイテムを取りに向かいました。宝物庫に着くと、驚くことに部屋の中にタブラ様がおられた。なにこのサプライズ。そして、何故か少しの恐怖と怒りが私の中で芽生えた。今更なんだと、私たちだけの、私だけのモモンガ様で居て欲しいという嫉妬心から来たものだろうか、私は……私は、造物主であらせられるタブラ様を、今、ここで誰にも分からないうちに害そうという考えが脳裏を走った。おかしい。どうしてこんな事を一瞬でも考えたのでしょうか? 私はナザリックの忠実なる守護者統括であるはず。そのために生まれたはずですのに……鬱屈した思いでタブラ様を見ると、タブラ様が私を見て、「くるるー」と首を横に倒した。……!? 違う!? これはタブラ様では無い! 何者か……宝物庫…至高の御方への変身……パンドラズ・アクターね。うん、やはり殺そう。なにか腹立たしいのですもの。

 私が戦闘態勢に入ろうとしたら宝物庫の奥から「待つがよいアルベドよ」という愛しい御方の声が聞こえてきた。モモンガ様がワタワタと現れた。何でも、パンドラズ・アクターの能力で検証しておきたいことがあったらしいとのことです。ふう。良かった。危うくギンヌンガガプを抜いてしまうところでしたわ。

 

 

 

 

 

◯月☓日

 

 昨夜からウキウキとして、私の居ない外界へと向かわれるモモンガ様に複雑な気持ちが溢れます。

 アウラも言っていたけど、冒険ってそんなに楽しいのかしら? モモンガ様、ご安心下さい。この妻たるアルベドが、しっかり見張って……見守らせて頂きます。もし危険な出会いや不貞があるようでしたら、良いタイミングで狂犬(シャルティア)を放ちますからね。

 

 

 

 

 

 

○月×日

 

 裁縫の技術を生かしてモモンガ様を模した抱き枕が完成しました。

 うん。我ながら素晴らしい出来で御座います。

 ……タブラ様は何故、私にこの様な技術をお与えになられたのでしょう?

 はい。それはモモンガ様が仰っておられた通り、私をモモンガ様の良き妻として侍るようにとお考えになられたのでしょう。……つまり私は至高の御方々、公認の嫁と言えるでしょう。うんうん。さすが至高の御方々で御座います。

 

 

 

 

 

 

◯月☓日

 

 モモンガ様が黒騎士モモンとして冒険に御出になられた。くふん。ユリやナーベラルが羨ましい羨ましい羨ましい。突如、同行するチームが居て、男4人組だとお聞きしましたけど……この子……女よね? 男性の振りしてるけど女よね? モモンガ様がお気づきにならない訳がないのにメッセージでは男四人だと仰られていた……むむ。妻に隠し事。浮気の予感。しかも夜にモモンガ様と二人きりで語らっていた……怪しい。

 

 

 

 

 

◯月☓日

 

 モモンガ様を監視中、カルネ村に入ろうとされた直前にゴブリンの集団を発見。モモンガ様にお伝えする。この豚どもモモンガ様を襲おうとしていた。許せない。許さない。潰す殺す裂く煮込んでやりたい。モモンガ様に私かシャルティアに向かわせて下さいとお願いするも一蹴される。くふん。

 それらの一騒動の後に、ンフィーレアがカルネ村の少女に慰められていた。……ふむ 女の子が男の頭を撫でる……ありかも知れない。

 わ、私が帰ってきた旦那様の頭を胸に抱いて、「よしよし頑張りましたね……」と……良い……。 いえ不敬だわ!? 不敬よ! わたし!

 

 

 

 

 

○月×日

 

 モモンガ様が外出されているなかで寂しさを紛らわせるため、モモンガ様の部屋のベッドの中に潜り込む。なんとか頑張ってモモンガ様の香りを追いかける。ついでに私の臭い着け(マーキング)も出来る。一石二鳥でございます。

 思わずもぞもぞとしながらユリやルプスレギナの痕跡を捜してしまう。毛とか臭いとか無いかしら……くんくんくんくん。

 

 

 

 

 

 

◯月☓日

 

 今夜でモモンガ様のこの世界での初めての冒険も終わり……とモモンガ様をミラーで監視……お見守りしておりましたら、姉さんから異変を告げる報告がありました。

 捜索の末にエ・ランテルの大墓地で、事件に関わりの有りそうな集団を発見。モモンガ様にご報告したら「ふむ やはりな」と仰っておられた。さすがモモンガ様……全てお見通しだったのですね? 更に現地でも謎が多いスレイン法国の元特殊部隊の者をお捕らえになられる。本当にさすがモモンガ様! サスモモ! サスモモ! もしやンフィーレアという者に近づいたのも、初めから彼を餌として現地の重要な証言者を釣り上げるためだったのではないでしょうか? 全てのマジックアイテムが使えるだけの少年に近づいた理由に、疑問を抱いていたのですが、納得の結果です。素晴らしい。デミウルゴスにも聞かせてあげましょう。

 

 帰ってきたナーベラルとユリは大活躍ということもあって、誇らしい顔をしていた。むうー。

 シャルティアも地味な働きをモモンガ様に褒められたらしく、わざわざ私の部屋にまで来て自慢していった。く、悔しい。でも、モモンガ様に玩具として与えられて嬉しいのは分かるけど、人間の女性の死体をヌイグルミの様に片手でズリズリと引きずりながら歩くのはどうかと思うの。……ちょっと削れていたわよ?

 

 

 

 

 

 

 

 

◯月☓日

 

 デミウルゴスと共にモモンガ様に執務室に呼ばれた私たちは、今まで至高の御方から語られたことのなかった世界の秘密について教えて頂きました。それはもう大変な内容で、何度もデミウルゴスと「これは私達ごときが聞いて良い話なのでしょうか?」と不安の中で互いに目を合わせました。「りある」というモモンガ様や至高の御方が住まう世界。

 我々が創造され暮らし戦っていた「ユグドラシル」という世界。

 そして、何らかの理由でナザリックがまるごと転移された、この「新しい世界」。

 これらアカシックレコードに繋がるお話をして頂けたことは勿論、驚きとともにモモンガ様の信頼を身にしみて感じることが出来て、何とも言えないほどの感動をデミウルゴスと共にしました。そんな私達に更に叩き込むかのように「おまえたちを頼りにしている」という有難すぎる御言葉……くふう。

 

 退出後、デミウルゴスが「他の至高の御方が死に物狂いで『りある』にて抗っている中で、モモンガ様は我々を守るため『ユグドラシル』に毎日参じて下さりました。私は思うのです。モモンガ様が『ユグドラシル』に、あの時おられなかったとしたらモモンガ様は『この世界』へと転移されることはなかったのではないかと! 我々が不甲斐ないせいで、本来なら我々ナザリックの下僕だけが転移していたはずであるのに、慈悲深きモモンガ様であったからこそ、あの瞬間に我々と共にあり、そして巻き添えする様な形で飛ばされておしまいになり、そして今なお私達を守るために自ら先頭に立っておられる! それを思うと、私はこの身が何千、何万回切り裂かれようともモモンガ様への御恩へ報いねばと決意を新たにするのです!」

 

 そう絞り出す様に話すデミウルゴスの声は震え、途中から滂沱のごとく涙を流していた。デミウルゴスこそ忠臣。それに比べて私はどうでしょう。

 今の私が忠義を尽くすのはモモンガ様にだけで御座います。至高の御方、いわんやタブラ様ですら!

 

 私には記憶がある。至高の御方が、私たちとモモンガ様を見捨てるかのように次々と姿を見せなくなっていく様を! 何人もの御方がモモンガ様に別れを告げる様を! そして唯一モモンガ様がお一人でナザリックに残って運営し、我々を支配し、守り続けて下さっていた記憶がハッキリとあるのです。

 あの日から一気に動き始め、体中に広がった私の感情はモモンガ様を愛するとともに、愛するが故に、彼らを許すことが出来ないでいるのです。

 

 

 

 

 

 

○月☓日

 

 シャルティアが私の部屋にコソコソとやって来た。

 何か用が有るのかと聞くと、私が作ってあげたメイド服を申し訳なさそうに出して「クレマンティーヌに着せて激しいプレイをしていたら破れてしまったでありんすえ。次はもう少し頑丈にして欲しいでありんす」とのたまった。取りあえず殴った。

 

 

 

 

 

 

◯月☓日

 

 デミウルゴスがパンドラズ・アクターからの提案書を執務室に持ってきて検討。

 王国のラナー姫が面白い人物であるとしてデミウルゴスが接触することになった。きっとモモンガ様の『トモダチ作戦』において良い働きをすることでしょう。

 モモンガ様に「ラナー姫は、リ・エスティーゼという腐りつつある果実を潰さずに捕獲する、良き農婦となるでしょう」と提案する。モモンガ様は少しご考察の後、「う、うむ 私もそう思っていたところだ。さすがデミウルゴスとアルベドだな」と仰って下さり、下拵えの許可を頂いた。女同士である私の方が良いかとも思ったけれど、「妻は家を守るもの」を実践するためにデミウルゴスに任せることに致しました。

 

 

 

 

 

◯月☓日

 

 コキュートスがまさかのリザードマンに敗北。

 といってもコキュートス自身は現地に向かっておらず、ただ指揮官として遠隔指示をしていただけですが。デミウルゴスが言っていた通り、モモンガ様としては勝てばそれで良いし、負ければコキュートスがそこから何かを学んでくれるだろうという思いがあられたのでしょう。我々守護者を更に高みへと導いて下さる至高の御方に感謝の念がひたすら募ります。ああ、モモンガ様。あなた様はどこまで私たちに愛をお与えになって下さりますのでしょうか!?

 ところで、デミウルゴスがモモンガ様にお出しした椅子がゴツゴツしていたので、私が座布団となり、モモンガ様に私の上に座って頂きたかったのですが、シャルティアが「私も!」と後出しで入り込んできたせいでモモンガ様に座って頂けなかった。あの変態……許すまじ。あとアウラにスゴイ目で見られた。……まあ、その、子供にはまだ早いわよね。うん。

 

 

 

 

 

 

◯月☓日

 

 ソリュシャンからの報告書が届く。セバスが張り切っているらしい。何故人間にそこまで肩入れできるのか分かりませんが、それらは『たっち・みー』様より受け継いだセバスの生き様。決して否定すべきでは無い。それは分かっているのですが、全てのナザリックはモモンガ様のみに忠誠を捧げることこそが望ましい……と考えてしまうのは私が狂ってしまったからかしら?

 

 

 

 

 

◯月×日

 

「目薬」という物を手に入れました。 

 図書館で使い方を調べると「目に使うポーション。応用として、酒の席で同席の異性の酒に入れる。もしくは嘘泣きのアイテムとして」と書いてるもののモモンガ様はお酒をお飲みにならない……しかし、嘘泣き……なるほど涙は古来より女のリーサルウェポンと申します。くふふ。

 

 

 

 

 

○月×日

 

 こきゅーとすうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!

 

 上手くいきそうでしたのに!? 上手くいきそうでしたのにぃいい!

 

 ふう。その後、セバスからメッセージが来て、ついに私が護衛としてモモンガ様とデー、セバス邸へ向かうと、ツアレと申す者がニニャという娘の姉であることが判明致しました。偶然とは凄い物で御座いますね。……いえ、もしかするとモモンガ様は初めから気づいておられたのかも?

 しかしその後ツアレを奪われることにより、初めてと言って宜しいほどモモンガ様がお怒りになられました。

「デミウルゴス、アルベド、パンドラズ・アクターよ。私の信頼するナザリックの頭脳たる3人で、『ツアレを無事奪還する』『八本指に思い知らせる』『漆黒の名前を高める』『今後の作戦の下地作り』を兼ねた作戦を考えよ」と命じて下さりました。この時点で三人の考えは一致しております。これは前々から提案し下拵えをしていた例の作戦『ゲヘナ』を実行せよということを暗に示唆されたわけで御座います。

 

 ――――結果として、このタイミングでの作戦実行により、完璧な成果を挙げました。さすがモモンガ様で御座います。国庫を襲った事により、ナザリックは潤い、リ・エスティーゼは痩せ細る。そして雪崩のように連鎖して起こる王国の崩壊……。すべてがモモンガ様の読み通りでございます。

 

 

 

 

 

 

 




 



ニドラー様、244様 誤字脱字修正を有難うございます。
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