ナザリックの支配者で在るモモンガは
「では守護者は外に出て仕事に取り掛かるものは、よくよく気をつけるよう。またそれら守護者が居なくなるため、ナザリックの守備はシャルティアとコキュートスにかかっている。階層守護者は二人だけになるが、お前達二人の強者であればやり遂げると信じてるぞ。 そしてデミウルゴスとアルベドで能く協議してナザリックの防衛体制を見なおして、シャルティア、コキュートスの2名で防衛ラインが機能する様に整備しておくように。では守護者たちよ。よろしく頼むぞ」と告げると、恐らくリング・オブ・アインズ・ウール・ゴウンを作動させ、一瞬にして姿を隠した。
去りゆく主人に長めの「忠誠の儀」を行い見送っていた、アルベド、セバス、シャルティア、コキュートス、アウラ、マーレ、デミウルゴスの7名は名残を惜しむかのように、至福の時間を噛み締めながら顔を上げる。
妙に緊張した空気の中で、「ふうわあー」と溜めていた息を吐いてマーレが口を開く
「それにしても緊張もしたけど、モモンガ様があんな風にボク達の事を想っていてくださったなんて……ぐすっ」と涙ぐむ。
「41人の至高の御方の中で、唯一最後まで残ってくださっていた御方です。いと慈悲深き御方だとは常々感じ入ってはおりましたが、まさか、我々を至高の方々と同じ様に大切に想っていて下さっていたとは、身に余る幸せ……この御恩に報いるためにも粉骨砕身の働きが必要ですね」と、感動に震える指を隠すかのように眼鏡を押さえつつ、デミウルゴスが続ける。
「ええ、それになによりもナザリックを至高の御方が帰還された時のために、一人でお守りになられていたモモンガ様にとって、この地は特別な場所であるはず……なのに私ども下僕を守るために、ナザリックを汚すことを
「我々ノ事ヲ 「必要デアル」ト、言葉ニシテ仰ッテ下サッタ事ハ、何物ニモ代エガタイ喜ビデアル」
とコキュートスが4本の腕で腕組みし、何度も繰り返し頷きながら話す。
「何だかワタシ、すっごいヤル気が出ちゃった! ねえアルベド~ デミウルゴスは用事があるけど、私とマーレは、もう頂いた任務に向かって良いんでしょー?」と上気した赤い顔を隠そうともせず、ニコニコしながらアウラがアルベドに尋ねる。
「そうねえ…… ただ、あなたはまだ76歳の子供だと云うのを忘れてはイケないわよ? モモンガ様が仰っていた様に、この世界では私達には想像のつかない様な強い魔物が潜んでいる可能性もあるのだから、決して無茶はダメよ? あなたに何かあったらモモンガ様が哀しまれるわよ」
「もお~ そうやってすぐアルベドは、お母さんぶるんだから! 大丈夫、モモンガ様を哀しませたりは絶対にしないから」と拗ねたようにアウラが答える。
「そうだよ~お姉ちゃん! あんなにお優しいモモンガ様を哀しませたりしちゃダメだよ?」
「マーレまで!?」
「だって さっきも、お姉ちゃんだけモモンガ様手ずからお水を頂いたり、一番に頭を撫でられたりズルいよぅ」
「エヘヘヘヘ モモンガ様はワタシにだけ少し優しい気がするんだよね~」とアウラは恥ずかしそうに照れる。
「……アウラ あなたはまだ76歳の子供だと云うのを忘れてはイケないわよ?」と黒い翼をワサワサとしながらアルベドがハイライトの無くなった目で忠告する。
「さっき聞いたセリフと一字一句同じなのに、込められている感情が違いすぎる!?」
母の裏切りにアウラは、女の恐ろしさを知った。
「……ところで 先程からシャルティアが
「……実は、さっきモモンガ様の「オマエは私の宝物だ」という御言葉を頂いてから、少々下着がマズイことになってありんす……」と上気した顔でエロ吸血姫が答えた。
「……ああ」と気まずい空気が守護者達に広がる中、アルベドが怒声を上げる。
「このビッチ! モモンガ様の御言葉でナニしてるのよ!」
「まだシてないでありんす! 大口ゴリラ!」
「するつもり満々じゃない! ヤツメウナギ」
「ふふん わたしは先ほどモモンガ様に抱きしめてもらったでありんすえ」
「あれはあなたが飛び込んだからモモンガ様が受け止めてくれたんじゃない!」
「ふふ~ん 負けゴリラの遠吠えでありんすか」
「……ふ、ふふふふふふふふ」
「どうしたでありんすか?悔しくて頭がおかしくなったの? アルベドオ?」
「これは大切な想い出として誰にも話さないでおこうと思っていたのだけれども……」
「なんでありんすか? その可哀想な子を見る勝ち誇った顔は!?」
「実は私、モモンガ様と「B」まで済ませたの……」
事実ではある。
「なあっ?!」
「とても……とても長い間、私の「豊満な」胸を激しく、優しく、タップリとお揉みになられたわあ……」ウットリ
「な…な…な…!」
「愛しい御方に攻められ続けて 私、その、はしたない事に胸だけで、そのね……解るでしょ?」
「」
「どうしたのシャルティア?」
「」
「はっ 死、死んでる!?」
「死んでないわよ! いやむしろもう死んでるわよ! 死んで……ヴァンパイアってそこの所どういう扱いなのでありんしょうか……」
「知らないわよ」
「とにかく! そんな色言をチビすけの前で言うんじゃないであり…んす?」
「……アウラを含めて誰も居ないのだけれども」
「……」
「……」
「……じゃ 私いくから」
「あ うん わたしも行くでありんす…… あの人たち、私達の扱い方が酷い気がするでありんす……」
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