【ラブライブ μ's物語 Vol.1】Can't stop lovin'you! ~花陽ちゃんへの愛が止まらない~ 作:スターダイヤモンド
「♪は~るばる来たにゃ!成田へ~!」
「成田はそんなに遠くじゃなかったよ。むしろ、これからの方が長いんだから」
「すごいね!色んなお店があるにゃ!」
「そうだけど…凛ちゃん、はしゃぎ過ぎだよぅ」
「だって、凛、初めての飛行機なんだもん!テンション上がるにゃ~!!」
「花陽も初めてだよ」
「2年生になれば、修学旅行が沖縄だから乗れる…と思ってたけど、一足早く飛行機デビュー!しかもニューヨーク!!凛、スクールアイドルやってて良かったぁ!これも、かよちんのお陰にゃ!」
「違うよ。凛ちゃんが一生懸命頑張ってきた、ご褒美だよ!」
「うん、そうだね。かよちんも…みんなも!!ねぇ、もっと見て廻ろうよ!ラーメン屋さんも、いっぱいあるにゃ!」
「あははは…そこまでの時間はないよ…ぴゃあ!凛ちゃん、引っ張らないでぇ!…あっ!希ちゃんと絵里ちゃんと…亜里沙ちゃんだ」
「凛ちゃん、花陽ちゃん!おはようさん!」
「おはよう!」
「おはようにゃ!」
「おはようございます」
「凛先輩!花陽先輩!おはようございます!」
「亜里沙ちゃん、おはよう!お姉ちゃんのお見送り?」
「はい!」
「私は来なくてもいい…って言ったんだけど…」
「アメリカに行くのは初めてですから」
「絵里ちゃん、アメリカに行ったことなかったの?」
「そうね…だから、あんまり英語は期待しないでね!」
「にゃ?期待してたのにゃ…」
「大丈夫!話せなくても、日本語で押しきれば、なんとか通じるんよ!会話は気合いやから」
「そういうもの?」
花陽と凛は顔を見合わせた。
「ふふふ…」
絵里と亜里沙が、それを見て笑う。
「あ、あの…これ…交通安全のお守りです!」
亜里沙が持っていたバッグから、それを取り出すと、2人に手渡した。
「凛たちに?」
「はい!全員分ありますから…。ライブ、頑張ってくださいね!」
「ありがとう!大事にしまっておくね!」
「希パワーがた~っぷり注入されてる限定品やからね!」
「はい!頂きましたぁ!」
凛と花陽は、お守りを両手で持つと、希を崇めるようにお辞儀をした。
「あれ、にこちゃんがいないにゃ?」
「にこっちなら、あそこで家族写真撮ってるよ」
5人の視線の先には、にこと母親と、3妹弟の姿。
…はい、ポーズ!…
「にっこにっこに~!!」
「仲良し親子にゃ!」
「羨ましい…」
「希?」
「ううん、なんでもない…それより、真姫ちゃんは?」
「もうすぐ、来ると思うけど…『パパが車で送ってくれるから』って…」
「だから別行動にゃ」
「さすがの真姫ちゃんも、ひとりで海外は初めてらしく、お父さんがすごく心配してたみたいで」
「真姫ちゃんはファザコンやね、きっと」
「わかるにゃ~!」
「私がどうかした?」
「にゃ~!!ま、真姫ちゃん!い、いつの間に!」
「まだかな?…って話してたところやけど」
「そうにゃ、そうにゃ!」
「ふ~ん…。早めに着いたから、お茶してたの」
「よ、余裕にゃ…」
「…で、2年生は?」
「それが…まだ…」
絵里は少し不安げな顔をした。
「大丈夫だよ、海未ちゃんがいるし」
「花陽、今回はその海未が心配なのよ」
「あ…」
「異常な程、拒否反応示してたものね」
真姫は絵里の言葉に同意した。
「なにかトラウマがあるんやろうか…。沖縄には普通に行ったんやろ?」
「多分…」
「なら、飛行機が苦手ってわけではなさそうやね…」
「海未ちゃん、早く、早く!」
「ことり、走らないでください!」
「だって、海未ちゃんが遅いから…」
「アメリカですよ!アメリカ!ことりのように忘れ物をしたら、取り返しのつかないことになるのですよ!念には念を…は、当然のことです!」
「だから、あれは夢の中の話で…」
「ことりは本当に大丈夫なのですか?パスポート、チケット…ちゃんと持ったのですか?…」
「うん、大丈夫だよ!」
「あ、来たにゃ!お~い、海未ちゃん!ことりちゃん!こっちにゃ~!」
「はぁ…はぁ…遅くなりました…」
「いや…まだ大丈夫やけど…」
「穂乃果が遅刻したの?」
「ううん、絵里ちゃん…海未ちゃんが何回も忘れ物がないか、チェックしてて…」
「はい、すみません…ですが、皆さんに迷惑は掛けられませんので…」
「いいんよ。時間に間に合えば」
「…で、ことりの脇に抱えてるのは、なに?」
写真撮影を終えて合流したにこが、不思議そうな顔をして訊く。
「えっ?これ…枕だよ!機内で寝るときのために…」
「あぁ、そうね。エコノミーだと、寝るの大変そうだもんね…」
「それって自慢?」
いつものように、にこが噛みつく。
「そういうつもりはないけれど…最低でもビジネスクラスしか乗ったことがないから…ちょっと…エコノミー症候群も心配だし」
「そうやね。それは気を付けないといかんね」
「…で?穂乃果は?」
「穂乃果ちゃんは?」
「穂乃果さんは?」
亜里沙を含めた7人は同じ質問をした。
「穂乃果ですか?」
「まさか、本当に遅刻…」
「ううん、ことりたちより先に来ているハズだよ」
「ええ、展望デッキにいると連絡がありましたから…」
「あ…あそこにいるのが、穂乃果ちゃんじゃない?」
「あ、花陽ちゃん、みんな!」
「そろそろ、時間ですよ」
「うん、わかった…」
そう言った穂乃果だが、まだ、動かない。
ジッと空を眺めている。
「穂乃果ちゃん?」
「私たち、行くんだね。あの空へ!見たことのない世界へ!」
~つづく~