【ラブライブ μ's物語 Vol.1】Can't stop lovin'you! ~花陽ちゃんへの愛が止まらない~   作:スターダイヤモンド

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やりたいことは その5 ~星の光と陽の光~

 

 

 

 

ホテルの部屋割は『ことりと海未』『真姫と希』『穂乃果、にこと絵里』…

 

 

 

そして、最後は…

 

 

 

花陽と凛は、窓から外を眺めている。

「うわぁ…」

「うひゃあ~…」

「凛ちゃん、綺麗だねぇ…」

「うん…」

頷く、凛。

 

それから2人は、しばらく黙ったままの時間を過ごした。

お互い、隣にいるだけで、穏やかな気持ちになる。

会話をしなくても、気まずくならないのは、それだけの年月を積み重ねてきた証しなのだろう。

 

時おり、緩やかに夜風が吹き抜けていく。

 

どれくらい経ったろうか…

 

「そろそろ…」

花陽が凛に声を掛ける。

「うん、ちょっと冷えてきたね…」

「風邪、引いちゃうといけないから…」

そう言って、花陽が窓を閉めた。

「かよちん…」

「なぁに?…凛ちゃん」

「2人きりで過ごす夜って、久し振りだね…」

「そうだね…」

「しかも、それがニューヨーク…」

「うん…」

「凛ね…今、この1年間を振り替えってたんだ!」

「花陽もだよ」

「これまでの15年間がなんだったんだろう…って言うくらい、中身の濃い1年だった」

「そうだね…」

「本当に…本当に…かよちん、ありがとう!凛をここまで来させてくれて、感謝してもしきれないにゃ」

「違うよ、凛ちゃん!出発の時も言ったけど、それは凛ちゃんが頑張ったから…」

「違くないよ!…かよちんは昔から、自分の気持ちを隠して、ずっと凛に合わせてくれてた。いつも、優しく見守ってくれてた」

「凛ちゃ…」

「最後まで聴いて!」

「う、うん…わかった…」

「凛は…ずっとかよちんに憧れてたんだ…」

「えっ?」

「だって、かよちんは凛にない『女の子の部分』を、全部持ってるんだもん!」

「?」

「頭が良くて、気遣いができて…可愛くて…おっぱいだって、おしりだって、ちっちゃい頃は凛と同じでペッタンコだったのに、いつの間にか、こんなにエッチな身体付きになってるし…」

凛はそう言うと、花陽に抱きついた。

「凛ちゃん…」

「う~ん、やっぱり、かよちんをギュッとすると気持ちいいにゃ~」

「あ、ありがとう…」

「それでね…凛、途中から、かよちんを誰にも渡したくない!…って思ったの。凛が独り占めしたい!…って思ったの」

「…うん…」

「でもね、本当は…かよちんがいなくなったら、凛、ひとりぼっちになっちゃうんじゃないか…って、それが怖かったんだ。だから…」

凛はそこまで言うと、喋るのをやめた。

 

凛に抱き締められていた花陽は、逆に凛を抱き締めた。

 

「次は、花陽の番だね」

「かよちん…」

「花陽こそ、凛ちゃんがいなければ、ひとりぼっちだったよ。元気な凛ちゃんがいつも側にいてくれたから、花陽はここまでやってこれた。花陽は別に、凛ちゃんのいいなりになってたわけじゃないよ…自分で決断できなかったことに対する、責任逃れをしてただけなんだよ」

「かよちん…」

「だから、凛ちゃん!そんなことは気にしちゃイヤだよ!」

「やっぱり、かよちんは優しいにゃ~!凛はかよちんが大好きにゃ~!」

凛は猫のように、花陽の身体に顔を擦り寄せた。

 

「でもね…」

と凛は言葉を続けた。

 

「かよちんは凛と違って、悪口言わないし、人を幸せにする力があるから、大丈夫だよ」

「え~…花陽にそんな力はないよ。人見知りだし…」

「あるよ!かよちんの笑顔を見て、幸せにならない人はいないにゃ!だって、凛がそう思うんだから、間違いないにゃ!」

「ありがとう。凛ちゃんにそう言ってもらえるのが、一番うれしいよ」

「ねぇ、かよちん!」

「?」

「かよちんにとって、凛はどういう存在?」

 

 

 

「えっ?」

 

 

 

…それは希と過ごした、あの夜に、問われた事…

…そして、それは花陽が凛に、一番訊きたかった事…

 

 

 

「ど、どうしたの?」

「えへへ…凛、かよちんにどう思われてるのかな…って。バカ…って思われてないかな?自分勝手って思われてないかな?…ちゃんと、友達って思ってくれてるかな…って、ときどき不安になるんだ」

「それは…むしろ、それは花陽の方が…」

「かよちんが?」

「前に訊かれたことがあるの…『花陽ちゃんにとって、凛ちゃんはどういう存在?』って」

「にゃ?」

「でも、ちゃんと答えられなかった」

「ぬ?」

「花陽にとって凛ちゃんは、ただの幼馴染みじゃない。とっても大切なお友逹…。だけど、そう思ってるのは花陽だけで、凛ちゃんはそう思ってないんじゃないかな…なんて。だから自信を持って『親友』って言えなかったの」

「凛と一緒にゃ…」

「でも、凛ちゃん、花陽のことをどう思ってるのか、訊く勇気がなくて…」

「う、うん…」

「凛ちゃん!」

「は、はい!?」

「花陽は凛ちゃんのこと、親友って言ってもいいの?」

「当たり前にゃ!凛だって、かよちん以上の友達はいないにゃ!例え、かよちんがみんなのものになっても、凛のかよちんに対する気持ちは変わらないにゃ!」

「えっ!?」

「凛は知ってるよ!μ'sのみんなが、かよちんが大好きだって!」

「ええっ?」

「真姫ちゃんは、にこちゃんとかよちんが好き。にこちゃんも、真姫ちゃんとかよちんが好き。ことりちゃんは、穂乃果ちゃんとかよちんが好き。希ちゃんは…絵里ちゃんとにこちゃんと…かよちんが好き。あと…雪穂ちゃんもにゃ!みんな、みんな、かよちんのことが大好きなんだって…」

「いや、えっと…」

「いいにゃ!かよちんが悪いわけじゃないんだから。っていうか、全然悪いことじゃないにゃ。凛はね、凛が大好きなかよちんが、みんなも好きになってくれて、嬉しくて仕方ないんだよ。だって、ずっと昔から、なんで、みんな、かよちんの良さをわかってくれないんだろう…って思ってたんだから…」

「凛ちゃん…」

「スクールアイドル始めて、キラキラと輝いてるかよちんが見れて…凛にも真姫ちゃんとか、にこちゃんとか、たくさんの大事な仲間に出会えた。最初はかよちんが、みんなと仲良くしてると『凛のかよちんだよ!盗らないで!』って思ったけど、今は違う。みんなが、好きになってくれて良かった!って、心から思ってるんだよ。そして、みんなから愛されてるかよちんを、親友に選んだ凛の目は正しかったんだ!って」

「…凛ちゃん…」

「だから、かよちんさえ良ければ、凛は、ただの親友じゃなくて『大親友』でいたいの!」

「…」

「ダメかにゃ?」

「ダメなわけないじゃない!ダメじゃないよ!そっか…親友じゃなくて、大親友なんだね!じゃあ、花陽は大大親友にするね」

「あ、ずるいにゃ!それじゃ、凛は大大大親友にするにゃ!」

「え~っ!そうしたら花陽は…」

「にゃははは…」

「えへへ…」

「かよちん…もっとギュッとして…」

「うん!」

「あったかいにゃ!」

「凛ちゃんの話を聴いてたら、恥ずかしくなっちゃって…汗かいちゃた」

「みんなに愛さてるかよちんにギュッってされてる凛は、世界一の幸せにものにゃ!」

「大袈裟だよ」

「このままチューしてほしいにゃ!」

「チュ、チュー?」

「ダメかにゃ?」

「…え、えっと…どうしようかな…」

「じゃあ、凛がするにゃ!」

 

 

 

…あっ!…

 

 

 

 

 

~つづく~


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