【ラブライブ μ's物語 Vol.1】Can't stop lovin'you! ~花陽ちゃんへの愛が止まらない~ 作:スターダイヤモンド
ホテルの部屋割は『ことりと海未』『真姫と希』『穂乃果、にこと絵里』…
そして、最後は…
花陽と凛は、窓から外を眺めている。
「うわぁ…」
「うひゃあ~…」
「凛ちゃん、綺麗だねぇ…」
「うん…」
頷く、凛。
それから2人は、しばらく黙ったままの時間を過ごした。
お互い、隣にいるだけで、穏やかな気持ちになる。
会話をしなくても、気まずくならないのは、それだけの年月を積み重ねてきた証しなのだろう。
時おり、緩やかに夜風が吹き抜けていく。
どれくらい経ったろうか…
「そろそろ…」
花陽が凛に声を掛ける。
「うん、ちょっと冷えてきたね…」
「風邪、引いちゃうといけないから…」
そう言って、花陽が窓を閉めた。
「かよちん…」
「なぁに?…凛ちゃん」
「2人きりで過ごす夜って、久し振りだね…」
「そうだね…」
「しかも、それがニューヨーク…」
「うん…」
「凛ね…今、この1年間を振り替えってたんだ!」
「花陽もだよ」
「これまでの15年間がなんだったんだろう…って言うくらい、中身の濃い1年だった」
「そうだね…」
「本当に…本当に…かよちん、ありがとう!凛をここまで来させてくれて、感謝してもしきれないにゃ」
「違うよ、凛ちゃん!出発の時も言ったけど、それは凛ちゃんが頑張ったから…」
「違くないよ!…かよちんは昔から、自分の気持ちを隠して、ずっと凛に合わせてくれてた。いつも、優しく見守ってくれてた」
「凛ちゃ…」
「最後まで聴いて!」
「う、うん…わかった…」
「凛は…ずっとかよちんに憧れてたんだ…」
「えっ?」
「だって、かよちんは凛にない『女の子の部分』を、全部持ってるんだもん!」
「?」
「頭が良くて、気遣いができて…可愛くて…おっぱいだって、おしりだって、ちっちゃい頃は凛と同じでペッタンコだったのに、いつの間にか、こんなにエッチな身体付きになってるし…」
凛はそう言うと、花陽に抱きついた。
「凛ちゃん…」
「う~ん、やっぱり、かよちんをギュッとすると気持ちいいにゃ~」
「あ、ありがとう…」
「それでね…凛、途中から、かよちんを誰にも渡したくない!…って思ったの。凛が独り占めしたい!…って思ったの」
「…うん…」
「でもね、本当は…かよちんがいなくなったら、凛、ひとりぼっちになっちゃうんじゃないか…って、それが怖かったんだ。だから…」
凛はそこまで言うと、喋るのをやめた。
凛に抱き締められていた花陽は、逆に凛を抱き締めた。
「次は、花陽の番だね」
「かよちん…」
「花陽こそ、凛ちゃんがいなければ、ひとりぼっちだったよ。元気な凛ちゃんがいつも側にいてくれたから、花陽はここまでやってこれた。花陽は別に、凛ちゃんのいいなりになってたわけじゃないよ…自分で決断できなかったことに対する、責任逃れをしてただけなんだよ」
「かよちん…」
「だから、凛ちゃん!そんなことは気にしちゃイヤだよ!」
「やっぱり、かよちんは優しいにゃ~!凛はかよちんが大好きにゃ~!」
凛は猫のように、花陽の身体に顔を擦り寄せた。
「でもね…」
と凛は言葉を続けた。
「かよちんは凛と違って、悪口言わないし、人を幸せにする力があるから、大丈夫だよ」
「え~…花陽にそんな力はないよ。人見知りだし…」
「あるよ!かよちんの笑顔を見て、幸せにならない人はいないにゃ!だって、凛がそう思うんだから、間違いないにゃ!」
「ありがとう。凛ちゃんにそう言ってもらえるのが、一番うれしいよ」
「ねぇ、かよちん!」
「?」
「かよちんにとって、凛はどういう存在?」
「えっ?」
…それは希と過ごした、あの夜に、問われた事…
…そして、それは花陽が凛に、一番訊きたかった事…
「ど、どうしたの?」
「えへへ…凛、かよちんにどう思われてるのかな…って。バカ…って思われてないかな?自分勝手って思われてないかな?…ちゃんと、友達って思ってくれてるかな…って、ときどき不安になるんだ」
「それは…むしろ、それは花陽の方が…」
「かよちんが?」
「前に訊かれたことがあるの…『花陽ちゃんにとって、凛ちゃんはどういう存在?』って」
「にゃ?」
「でも、ちゃんと答えられなかった」
「ぬ?」
「花陽にとって凛ちゃんは、ただの幼馴染みじゃない。とっても大切なお友逹…。だけど、そう思ってるのは花陽だけで、凛ちゃんはそう思ってないんじゃないかな…なんて。だから自信を持って『親友』って言えなかったの」
「凛と一緒にゃ…」
「でも、凛ちゃん、花陽のことをどう思ってるのか、訊く勇気がなくて…」
「う、うん…」
「凛ちゃん!」
「は、はい!?」
「花陽は凛ちゃんのこと、親友って言ってもいいの?」
「当たり前にゃ!凛だって、かよちん以上の友達はいないにゃ!例え、かよちんがみんなのものになっても、凛のかよちんに対する気持ちは変わらないにゃ!」
「えっ!?」
「凛は知ってるよ!μ'sのみんなが、かよちんが大好きだって!」
「ええっ?」
「真姫ちゃんは、にこちゃんとかよちんが好き。にこちゃんも、真姫ちゃんとかよちんが好き。ことりちゃんは、穂乃果ちゃんとかよちんが好き。希ちゃんは…絵里ちゃんとにこちゃんと…かよちんが好き。あと…雪穂ちゃんもにゃ!みんな、みんな、かよちんのことが大好きなんだって…」
「いや、えっと…」
「いいにゃ!かよちんが悪いわけじゃないんだから。っていうか、全然悪いことじゃないにゃ。凛はね、凛が大好きなかよちんが、みんなも好きになってくれて、嬉しくて仕方ないんだよ。だって、ずっと昔から、なんで、みんな、かよちんの良さをわかってくれないんだろう…って思ってたんだから…」
「凛ちゃん…」
「スクールアイドル始めて、キラキラと輝いてるかよちんが見れて…凛にも真姫ちゃんとか、にこちゃんとか、たくさんの大事な仲間に出会えた。最初はかよちんが、みんなと仲良くしてると『凛のかよちんだよ!盗らないで!』って思ったけど、今は違う。みんなが、好きになってくれて良かった!って、心から思ってるんだよ。そして、みんなから愛されてるかよちんを、親友に選んだ凛の目は正しかったんだ!って」
「…凛ちゃん…」
「だから、かよちんさえ良ければ、凛は、ただの親友じゃなくて『大親友』でいたいの!」
「…」
「ダメかにゃ?」
「ダメなわけないじゃない!ダメじゃないよ!そっか…親友じゃなくて、大親友なんだね!じゃあ、花陽は大大親友にするね」
「あ、ずるいにゃ!それじゃ、凛は大大大親友にするにゃ!」
「え~っ!そうしたら花陽は…」
「にゃははは…」
「えへへ…」
「かよちん…もっとギュッとして…」
「うん!」
「あったかいにゃ!」
「凛ちゃんの話を聴いてたら、恥ずかしくなっちゃって…汗かいちゃた」
「みんなに愛さてるかよちんにギュッってされてる凛は、世界一の幸せにものにゃ!」
「大袈裟だよ」
「このままチューしてほしいにゃ!」
「チュ、チュー?」
「ダメかにゃ?」
「…え、えっと…どうしようかな…」
「じゃあ、凛がするにゃ!」
…あっ!…
~つづく~