【ラブライブ μ's物語 Vol.1】Can't stop lovin'you! ~花陽ちゃんへの愛が止まらない~   作:スターダイヤモンド

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やりたいことは その6 ~眠らせて~

 

 

 

 

 

翌朝…。

 

「おっはようにゃ~」

「おはようございま~す」

ホテルのロビーに降りてきた絵里を出向かえたのは、凛と花陽。

「おはよう…あなたたちだけ?」

「時間前ですから」

「凛はまだ眠いけど、かよちんに起こされたにゃ!」

「えへへへ…お腹空いちゃって…。ちょっと先にカフェでモーニングしちゃいました」

「にこちゃんと穂乃果ちゃんは?」

「私が起こしたから、もう降りてくると思うけど…あ、来たわ…って、なに、朝から言い合いしてるのかしら」

 

「だいたい、アンタは寝相悪すぎるのよ!どうして絵里を越えて、アタシのとこまでくるのよ!」

「え~と…それは…」

「おまけに、蹴るわ殴るわ…アタシに恨みでもあるの?」

「ないよ。あるわけないじゃん!」

 

「朝から、なに揉めてるにゃ?」

「穂乃果の寝相が悪過ぎて、アタシは寝不足なのよ!寝惚けて『なんで、にこちゃんがいるの?』とか言うし!!」

「たははは…」

「そう言えば、穂乃果ちゃん、合宿の時も、とんでもないとこで寝てたよね」

「うん、花陽ちゃん、あの時は崖の上にいた…。普段、家で寝てる時は、そんなことないんだけど…」

「あり得ないでしょ!」

「よしてよ、寝不足で体調不良だなんて」

絵里がクスッと笑って言った。

「逆にあの状況で熟睡してる、アンタが凄いわ」

「そ、そう?」

「でも、絵里ちゃんだって寝言…」

「穂乃果!それは黙っててあげなさいよ」

「えっ!?寝言?私、なにを言ってたの?」

「えへへ…」

「まさか、絵里があんなことを…ね…」

「うん、あんなことを…」

「えっ?えっ?ちょっと、なぁに~?」

「いや、いや…」

「凛も聴きたいにゃ!」

「じゃあ、またあとで」

「うん、約束にゃ!」

「ちょっとぉ~」

 

「えりち、朝からどうしたん?」

「ホント、騒がしいわよ…」

「希、真姫!おはよう!…えっと…こっちの話は置いておいて…それより、そっちは良く寝れた?」

「ウチはバッチリ!」

「わ、私も…」

 

…って、寝る前に希がおかしなことを言うから、気になって熟睡できなかったけど…

 

「それより、海未とことりは?」

真姫は自分のことを悟られないよう、話をすり替えた。

「それが…まだなのよね」

と絵里。

「珍しいはね。いつも集合時間の30分前には来るような人が」

「でも、真姫ちゃん。出発の時も一番遅かったにゃ!」

「そういえば、そうね…」

 

 

 

そして、待つこと5分…。

 

 

 

「おはようございます…」

海未とことりは、集合時間ギリギリに現れた。

「海未ちゃん、ことりちゃん、おはよう!って…なんか元気ないね」

穂乃果は2人の顔を見る。

「そ、そうですか?」

「う、うん…そんなこと…ねぇ?」

「は、はい」

 

「?」

 

 

 

…海未ちゃんがトランプで勝てなくて、朝までしてたとは…言えないよね…

 

…ことりには悪いことをしてしまいました…

…ですが、今晩こそは!…

 

 

 

「海未ちゃん、顔が険しいけど、なにかあった?」

穂乃果は再び、海未に問い掛けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ニューヨークにも、こんな自然豊かなところがあるのね」

「大都会の真ん中に、こ~んなに大きな公園があるなんて…素敵だね」

にこの言葉を受けたことりが、周りをグルッと見渡して、楽しそうに微笑む。

「う~ん…気持ちいい…」

花陽はグッと身体を伸ばしたあと、大きく深呼吸をした。

「テンション上がるにゃ!」

「凛ちゃん、嬉しそうだね」

「だって、かよちん!絶好のランニング日和にゃ!自然と身体が動いちゃうにゃ!」

「結構走ってる人がいるんだねぇ」

と穂乃果。

「東京で言ったら、駒沢公園みたいな感じやないかな?」

「あぁ、なるほど!…って、行ったことないけど」

「もう、いつまで話してるの?気持ちはわかるけど、早くスタートしないと。これから、あちこち行くんでしょ?」

「そうね、真姫の言う通りね。じゃあ、行きましょうか…って、海未は?」

絵里が、姿の見えない海未を探す。

「あ、いた!」

見つけたのは、ことり。

海未は大きな木の陰に隠れていた。

「海未ちゃ~ん…大丈夫だよ~!」

手招きをする、ことり、

それを見て、海未が恐る恐る近づいてくる。

「ことり!…信じても…よいのですね…」

「そんな風にしてると、逆に海未ちゃんが不審者に思われちゃうよ」

「!」

「そういうこと。さぁ、行くわよ!」

絵里はいつものように、パン!と手を叩いた。

「出発にゃ~!にゃにゃんがにゃ~!」

弾かれたように、凛が飛び出す。

「うふっ、凛ちゃん元気やねぇ…」

 

「…花陽ちゃん、花陽ちゃん…」

「どうしたの?ことりちゃん」

ランニングする花陽に、並走していることりが、小さな声で話し掛けてきた。

「…今日の夜…花陽ちゃんの部屋に行っていいかな?…」

「えっ?…別に構わないですけど…」

「…そのまま、寝てもいい?…」

「ええっ!?だって、ことりちゃん、ちゃんと枕、持ってきたんでしょ?」

「…うん、それはそうなんだけど…」

「…凛ちゃんに訊かないと…」

「…そうだね…じゃあ、あとで訊いてみる…」

そう言うとことりは、スピードを緩めて花陽から離れていった。

 

 

 

…今日は海未ちゃんから離れて、グッスリ寝たいの…

…花陽ちゃん、助けてね…

 

 

 

入れ替わるように花陽の横に来たのは、にこ。

「…花陽、そのままでいいから、耳だけ貸して!…」

「は、はい…」

「…今晩、そっちに泊まるから…」

「そっちに泊まる?」

「…アンタの部屋で寝かせて!って言ってるの!」

「ま、また?」

「また?」

「あ、いや…なんでもないです…。あ、花陽は別に構わないですけど…凛ちゃんが…」

「まぁ、そうね。わかったわ、あとで凛を説得するわ…」

にこは、そう言うと、少し速度を上げて前に行く。

 

 

 

…穂乃果と一緒だと、熟睡できないのよ…

…かといって、海未とことりの部屋じゃ居づらいし、真姫と希の部屋も気まずいし…

 

 

 

「…かよ…」

「?」

「…ちょっと、いい?…」

そう言って花陽の隣に並んだのは、真姫。

「…その呼びかた、久しぶりだね…」

「…だって、なかなか2人きりに『なれない』んだもの…」

 

真姫は花陽とプラネタリウムを観に『デート』をした日、2人きりの時に限り『かよ』と呼ぶと決めていた。

それは真姫が花陽を、親友と認めた証し。

だが、恥ずかしくて、メンバーの前で披露したことは、一度もない。

 

「どうしたの?」

「…あ、いや…その…今日、かよの部屋で寝てもいい?…」

「ま、真姫ちゃんも!!」

さすがに3度目とあって、花陽の声は大きくなった!

 

「?」

 

他のメンバーが花陽を見る。

 

「ちょっと、声が大きいわよ!っていうか、真姫ちゃん『も』ってなに?」

「あ、あぁ、ごめん。別に、深い意味は…えっと、花陽は構わないけど、凛ちゃんが…」

「わかってるわよ!あとで交渉するわ」

 

 

 

…希と一緒だと、色々ペースが狂うのよね…

…お陰でろくに、眠れなかったし…

 

 

 

「花陽ちゃん!」

声を掛けたのは希。

 

その声を聴いた花陽は

「の、希ちゃんまでぇ!?」

と飛び上がらんばかりの驚きよう。

 

「なんのこと?ウチはただ、もうちょっとペースあげた方がいいんやないかと思って、声掛けたんやけど」

「えっ!?あっ…」

確かに、考えごとをしながら走っていたせいか、先頭の凛との間がだいぶ開いている。

凛が飛ばし過ぎてるというのも、あるのだが。

「なんかあったん?」

「いえいえ…」

「それはそうと、今日、ウチ、凛ちゃんと部屋替わって貰おうかな?」

「な、なんと!?」

「ウチと一緒に、最後の夜を過ごさへん?」

「の、希ちゃん!」

「…なぁんてね!」

「…はぁ…」

「でも、半分は本気やけど」

「えっ!」

「まぁ、凛ちゃんがいいって言ってくれそうもないから、無理やとは思うけど」

「はぁ…」

 

 

 

…みんな昨日の夜、なにかあったのかな?…

…それとも、花陽がなにかしたのかな?…

 

 

 

 

 

「はい、じゃあ、ここでランニングは終了!…どうしたの?花陽。まだ、アップなのに、相当、疲れてるみたいだけど」

「はい、絵里ちゃん…アップなのに、なぜか、すごく疲れました…」

 

 

 

 

 

~つづく~


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