【ラブライブ μ's物語 Vol.1】Can't stop lovin'you! ~花陽ちゃんへの愛が止まらない~ 作:スターダイヤモンド
「おぉ?これは!?」
凛が、公園内にある野外ステージを発見する。
「コンサートとか開いたりするのかしら?」
と絵里。
「ちょっと上がってみる?」
「勝手に上がっていいのですか!?」
海未が心配して、希を制止した。
「大丈夫やない?『Keep out(関係者以外立ち入り禁止)』とは書いてないみたいやし」
そう言うと希は、脇にある階段からステージへと上がった。
8人もそのあとに続く。
「ライブは、ここを舞台にするのも悪くないかもね。なんとなく落ち着くし」
「えりち、落ち着くのはみんなと一緒だからやない?」
「そうかも」
「ねぇ…ちょっとだけ踊ってみない?」
「お!真姫ちゃん積極的だねぇ!」
「だって、穂乃果…ライブやるのに、踊れなかったら意味ないじゃない。広さとか確かめるのは大事でしょ?」
「うん、そうだね!じゃあ、フリとポジションの確認を兼ねて…」
穂乃果はそこまで言うと、凛の顔を見た。
「?」
「凛ちゃん、出番だよ!」
きょとんとしている凛に、花陽が声を掛ける。
「新リーダーは凛ちゃんでしょ?」
「…!…そうだったにゃ!忘れてた!ようし、リードは任せるにゃ~!」
9人は、このライブの為に海未と真姫が書き下ろした新曲を、通しでワンコーラス踊った。
パチパチパチパチ…
「わっ!お客さん?」
そう声をあげたのは穂乃果だったが、他のメンバーも同じように驚いてる。
彼女たちが夢中でダンスをしている間に、3人の女性が観覧していたのだ。
見てすぐに、日本人でないことはわかった。
「ガイジンさんにゃ…」
「ここじゃ、アンタが外国人なの!」
凛の呟きに、にこが突っ込む。
「サンキュー!サンキュー!」
期せずして起きた拍手に、臆面もなく穂乃果が礼を言う。
「ちょっと、穂乃果!軽はずみに話し掛けるのは…」
と海未。
しかし、ほぼ同時に
「Are you Japanese?」
とステージ下から質問が飛んだ。
「イエース、イエース!ウィ アー ジャパニーズ ハイスクール スチューデント!」
「Realy? high-school students?」
「イエース!」
ステージ下の3人は、お互い顔を見合わせ、少しざわついた。
そして、もう一度、ステージ上に顔を向ける。
その視線の先には、凛とにこがいた。
「えっ?穂乃果、おかしなことを言った?」
「スチューデント…やなくて、スチューデンツやったけどね」
希が笑って答える。
「Are you here for some performance?」
穂乃果が多少喋れると思ったのか、急に早口で話かけてきた。
「ん?え、あぁ…」
「何と言ってるのですか?」
「えへへ、海未ちゃん!どうやら怒ってはないみたい!」
「それは私にもわかります…」
「海未ちゃんがわからないのに、穂乃果わかるわけないじゃん!」
「あ、穂乃果!開き直りましたね!」
ニューヨークに来ても、この不毛なやりとりは変わらない。
しかし、そんな2人に助け船を出した人物がいた。
「Yes!」
「希ちゃん!?」
「We are school idols.We're colled "μ's"」
「School idols?」
「μ's?」
「Wow! Japan seems cool…」
その後、二言、三言(ふたこと、みこと)英語で会話を交わした希。
最後は
「See you!」
と言って、その場から立ち去る3人を見送った。
「の、希ちゃん、ありがとう!それでなんて言ってたの?」
「『打ったのはスライダーです。前の打席でやられてたので、狙ってました!逆風でしたが、みなさんの声援がスタンドまで運んでくれました!』」
「それじゃ、ヒーローインタビューにゃ…」
「適当に会話してたんですか!」
呆れる海未。
「うふふ…冗談やって!要約すると『私たちも近々、日本に行くのよ』『せっかく来たんだから、いろんなとこを見て、楽しんでいってね!』やって!」
「希ちゃん、すご~い!」
「ビックリですぅ!」
「さすが南極に行くだけのことあるにゃ…」
ことりが、花陽が、凛が希に尊敬の眼差しを向ける。
…お、花陽ちゃんへのアピール成功!…
…これで、今夜は…
この後に及んで、よからぬことを企む希。
だが、そんなことは顔に出さず
「うふふ…どう?海外も悪くないでしょ?」
と海未に同意を促す。
「もちろん、注意も必要だけど…ね?」
「希…絵里…えぇ、少しはそういうとこもあるようですね」
「まだ、疑ってるん?」
苦笑いの希。
「疑ってるっていえば、あの人たち、穂乃果が『高校生だよ!』って言ったのに、信じてなかったよね?」
「こっちの人に比べれば、日本人は若く見られるから…前にママがワインを飲もうとしたら、お店の人に『子供はダメだ!』って注意された…って、嬉しそうに言ってたわ」
「真姫ちゃん、それはさすがに、お店の人のお世辞にゃ~」
「本当にそうなの!」
「そっか!…じゃあ、穂乃果たち、何歳に見えたんだろう?」
…にこっちと凛は「小学生じゃないのか」って、しつこく訊かれたけど…黙ってたほうが良さそうやね…
「さぁて、練習、終わり!!目ぇ一杯遊ぶ…じゃなかった、ライブをする場所を探すぞ!」
穂乃果は海未の突き刺すような視線を感じて、途中で言い直した。
「わかっていますね!観光ではないのですよ」
「わ、わかってるよ…」
「凛、知ってるよ!ロケハンって言うんだよね?」
「えっと…ロケットハンバーガー?」
「さすが穂乃果ちゃん、そうくるとは思わんかった。正解はロケーションハンティングやね。撮影する場所を探すことやん」
「…だよね?…じゃあ、全力でロケハンに出発にゃ~!」
「穂乃果ちゃん、それは凛のセリフにゃ!」
そして、このあと9人は、一日かけてロケハンという名目の、ニューヨーク観光名所巡り…食事や買い物をして、それぞれが異国の地での旅を堪能した。
日が暮れる。
街に灯りが点(とも)ると、摩天楼は9人に新たな顔を見せた。
「うわぁぁっ!!…」
ビルの屋上からの景色に圧倒されて、彼女たちは暫し言葉を失う。
日本の…東京の『それ』とは、また違う世界。
こちらよりも電球色(オレンジ色の光)が多く使われているため、街全体が、暖かく柔らかでゴージャスな雰囲気になる。
「さすが…世界の中心…」
「綺麗よね…」
夜景をうっとりと眺める絵里と真姫の言葉に
「はい、素晴らしいです…」
と海未。
「これが本当の100万ドルの夜景…」
にこは、ラブライブ本戦前夜に呟いたセリフを、もう一度口にした。
…いや、にこっち、本当は『神戸の夜の電気代』が由来らしいんやけど…
…そんなん言ったら身も蓋もないから、ここは黙っておいてあげよう…
「学校の屋上と全然違うにゃ!」
「そ、そりゃそうやね…」
「それと較べるのはどうかと思うけど…。なんか『スノハレ』の照明を思い出しちゃった」
「あ、ことりちゃん!花陽も同じことを思いました!」
「ライブの時も、こんな景色が使えたら最高なんやけど…」
「はぁ…お昼に行ったとこも、あちこち、すごく良かったし…」
「なんか、どこもいい場所で迷っちゃうね」
「はい、ことりと花陽の言う通りです…」
「海未ちゃん?」
彼女の意外な言葉に、メンバー全員が顔を見る。
「そんなに、驚かないでください!…最初は見知らぬ土地で、自分たちらしいライブが出来るのか心配でしたが…ちょっと、怯え過ぎていたようです」
「♪恐がるクセは捨てちゃえ!とびきりの笑顔で…海未ちゃんが書いた詞やなかったっけ?」
「はい、その通りです…」
「そうだよ、海未ちゃんはエンジン掛かるのが、遅すぎるんだよ!」
「逆にアンタは、勝手に走っていっちゃうけどね!」
「にこちゃん…」
あははは…
~つづく~