【ラブライブ μ's物語 Vol.1】Can't stop lovin'you! ~花陽ちゃんへの愛が止まらない~   作:スターダイヤモンド

108 / 121
やりたいことは その8 ~フリーズ~

 

 

 

 

「さて、今日はなにを食べましょうか?」

 

ビルから夜景を見た9人は、そのままレストランに入り、メニューを眺めている。

夕食…というより、晩御飯に近い時間になっていた。

 

「お腹減ったにゃ!」

「ちょこちょこ食べてたんやけどね…」

「うひゃあ…どれも高そうだね?」

「そう?こんなものじゃない?」

「えっ!?あ、じゃあ、ここは真姫ちゃんのおごりということで…」

「なんで、そうなるのよ!」

「穂乃果ちゃん!いくら真姫ちゃんやからって、そんな集(たか)るようなことを言ったら…」

「そうですよ!これでは真姫との関係が、お金目当てと受け取られ兼ねません。そういった行為が、こちらに自覚はなくとも、イジメに繋がっていくのです!」

「う、うん…そうだね…真姫ちゃん、ごめん…」

「べ、別に私は気にしてないけど…。それより、さっきから、かよ…じゃない、花陽の様子が変なんだけど…」

「そういえば、ご飯だっていうのに、元気ないね…。花陽ちゃん、大丈夫?どこか具合悪い?」

ことりが心配して、声を掛ける。

しかし、返事はない。

よく見ると身体が小刻みに震えている。

「花陽…ちゃん?…」

「具合悪いのですか?」

「熱あるんやない?」

「かよちん?泣いてるの?」

「えっ?、花陽ちゃんが泣いてる?」

「希!アンタ、なんかしたでしょ!?」

「ウ、ウチ?ウチは『まだ』なにもしてないんやけど…」

「まだ?」

「いや、そこはスルーで…」

「そう言うにこちゃんこそ、かよちんに…」

「なんでアタシが、花陽を泣かさなきゃいけないのよ!」

「本当にどうしたのよ?多少の薬ならあるわよ」

「さすが真姫ちゃんにゃ!」

「まさか、ホームシック?」

絵里の質問に、花陽は小さく首を振った。

そして蚊の鳴くような声で呟いた。

 

 

…くまい…べたい…

 

 

 

「えっ?」

 

 

 

…くま…たべた…

 

 

 

「熊、食べた?」

「いやいや、穂乃果ちゃん!ここにきて『熊、食べた』とは言わないんやない…」

 

 

 

 

 

「白米が食べたいんですっ!!!」

 

 

 

 

 

花陽は、やおら立ち上がると大声で叫んだ。

その声に驚き、椅子からずり落ちる8人。

 

 

 

「は、白米?」

絵里が訊き直した。

「そう!こっちに来てからというもの、朝も昼も夜も…パン!パン!パン!!パン!!パン!!!白米が全然ないの!!!なぜ米国なのに、お米が食べられないんですか!?」

「うまい!座布団1枚」

「…穂乃果ちゃん…」

能天気に相槌を打つ、穂乃果に呆れることり。

「でも、昨日の付け合わせでライスが」

「白米は!付け合わせじゃなくて!主食!!海未ちゃんのクセに、そんなこともわからないんですか!!」 

「うぁ、ご、ごめんなさい!」

「海未が圧倒されてる…」

にこは初めて見る光景に目を疑った。

「ちょっと、凛…」

「真姫ちゃん…凛もこんなかよちん、初めてにゃ…」

「ううっ…あったかいお茶碗で、真っ白なご飯を食べたい…」

「取り敢えず、花陽ちゃん、これ食べて」

ことりが花陽の口元に、パンを運ぶ。

「はむっ…あ、このパン美味しい♪…でも、ダメなんです。花陽の『お米ーター』はゼロなんです!エンプティです!」

「お米ーター?」

「凛も初めて訊いたにゃ…」

「すごい白米へのこだわり…」

さすがの穂乃果も、少し顔がひきつっている。

「あれ?かよちん?」

「…」

「花陽?」

今の今まで、立ち上がって力説していた花陽の動きが、ピタリと止まった。

 

 

 

「かよちん…死んじゃった…」

とたんにポロポロと涙を流す凛…。

 

 

 

「凛!バカなこと言わないで!」

真姫が慌てて、花陽の胸に自分の顔を押し当てる。

 

 

 

…あ、花陽の胸…やわらかい…

…じゃない!…

…えっと…心臓!…動いてる!…

…脈!…ある!…

…呼吸!…問題なし!…

 

 

 

「大丈夫!生きてるわ!」

「ま、真姫ちゃん!」

「ただ、本当に燃料切れなのかも…」

「そんなことってあるのですか?」

「知らないわよ…仮死状態…というより、仮眠状態?」

「人工呼吸はせんでいいの?」

「いらない!」

「心臓マッサージは?」

「いらない!」

「…って、希ちゃん!それ、ワシワシの手つきにゃ!」

「バレたか…」

「実は尻尾が付いてて、それがスイッチになってるとか…」

「ドラえもんか!」

「電源ケーブルが付いてるとか…」

「エヴァか!」

「もう、穂乃果もにこちゃんも、ふざけてる場合じゃないでしょ!」

「…じゃあ、どうすればいいの?」

「応急処置として、ご飯を食べさせるしかないわ」

「コンビニがあればいいのですが…」

「真姫ちゃん、どこかいいところ知らんのん?」

「まぁ、知らなくはないけど…」

 

 

 

「ウチがおぶっていくん?」

「体格的に一番適任でしょ?」

「真姫ちゃん、かよちんはそんなに重くないにゃ!」

「そんなこと言ってないでしょ!それとも凛が運ぶ?」

「もちろんにゃ!」

「凛ちゃん、無理しなくていいんよ。よいしょ!じゃあ、いこうか…」

 

 

 

「お、お姫様抱っこ~!?」

 

 

 

 

 

「この街に、まさか、あのお店の支店があろうとは…」

「はい、穂乃果ちゃん!まさかまさかです!しかも、大盛り無料券が使えるなんて!」

「ダイエットの時、寄り道して良かったね!」

「人生、なにがどう転ぶかわからないねぇ…あ、おかわり!」

「よ、よく食べるわね…」

「あ、真姫ちゃん、花陽を救ってくれて、ありがとう」

「べ、別に…救ったなんて大袈裟よ」

「おかわり!」

「…って、本当にそう思ってる?」

「む?真姫ちゃん、今、なにか言った?」

「ううん、なんでもない」

 

 

 

…まぁ、いいわ…

…あなたが元気になってくれれば、それでいいの…

 

 

 

 

 

~つづく~

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。