【ラブライブ μ's物語 Vol.1】Can't stop lovin'you! ~花陽ちゃんへの愛が止まらない~   作:スターダイヤモンド

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やりたいことは その13 ~お姉さんの言葉~

 

 

 

 

「μ'sの次のライブは、いつやるの…ってことですよね?」

絵里の問い掛けに、そう答えたのは雪穂だった。

 

「正解!」

「なんで雪穂が答えるのよ!お姉ちゃんだってわかってたんだから!」

「はいはい、負け惜しみ言わない!」

にこに注意された穂乃果は、プゥ~と膨れてソッポを向いた。

「穂乃…」

それを見て海未がなにか言おうとしたが、花陽との約束を思い出し、自制する。

「実は『雪穂のお姉ちゃんって、μ'sだよね!次はいつライブやるの?』みたいな質問が結構多くて…。でも、私の口から『μ'sは解散しちゃうんだよ…』なんて言えないし…」

「あれ?でもさ、μ'sは解散するって、みんな知らないんだっけ?」

「はい。公(おおやけ)には、なにも発表しておりませんので」

「だけど、だとしても…穂乃果たち、スクールアイドルなんだよ。絵里ちゃんたちが3年生だって、みんな知ってるじゃん!」

「多分、見ている人にとっては、私たちがスクールアイドルか、そうじゃないか…ってことはあまり関係ないんじゃない?」

「真姫ちゃんの言う通りです。実際、学校を卒業しても、趣味でアイドル活動を続けている人はいるし…A-RISEみたいに、本当にプロになっちゃう人たちだって…」

花陽は、そう言ったあと海未の顔を見た。

「実はその件で、この間、花陽から相談を受けていたんです。いつ、どのタイミングで、μ'sが解散したことを伝えるべきなのか…って」

「その時は新入生歓迎会がベストかな…って言ってたんですけど、この状況だと、早めにアナウンスした方が…」

「そうやね…」

「なんか…もったいないね…」

「穂乃果…」

「せっかくみんなに認めてもらえたのに…」

「穂乃果ちゃん…」

「あ、ごめん!ごめん!穂乃果、こんなに注目されたこと、今まで一度もないからさ…」

 

 

 

「…」

 

 

 

 

穂乃果の気持ちもわからないでもない。

未練がないと言えばウソになる。

だが、すでに解散は決めたこと。

 

その葛藤が、メンバーを無言にさせた。

 

 

 

「ライブ…」

「えっ?」

「やるしかないんやない?」

「希ちゃん…」

「ライブ…ですか?」

「そう、みんなの前でもう一度ライブをやって、ちゃんと終わることを伝える。ライブに成功して注目されてる今、それが一番なんやないかな?」

「解散ライブ…」

穂乃果がポツリと呟く。

「それに…ちょうど、ふさわしい曲もあるみたいやし…ね、真姫ちゃん!」

「えっ!?」

「ちょっと、希…」

「いいやん、隠さなくても…。実は真姫ちゃん、新しい曲を作ってたんよ!…μ'sの新曲…」

 

 

 

「!!」

 

 

 

「新曲!?」

「本当なの?」

「でも、解散するのにどうして?」

にこ、絵里、ことりが矢継ぎ早に質問をする。

「希にも言ったけど…別にこういうことを想定してたわけじゃ…。スクールアイドルは続けるんだし、曲は作っておくに越したことはないじゃない」

「そうだね」

穂乃果が…納得…と頷く。

「だけどタイトルは『桔梗(仮)』って書いてあったやん」

「な!…それも見てたの?…」

「ききょう?それって、どういう意味?」

「肺に穴が開くことにゃ、」

「それは『気胸』でしょ!」

「さすが真姫ちゃん!医者の娘だけあるにゃ!」

「ふふふ…穂乃果ちゃん、凛ちゃん…花言葉って知ってる?」

希が2人に問い掛ける。

「それは知ってるけど…」

「桔梗の花言葉までは…」

「桔梗の花言葉は…honesty(正直、誠実)、 obedience(従順)…そして…endless love(永遠の愛)、the return of a friend is desired(友の帰りを願う)…なんやって!」

「永遠の愛…」

「友の帰りを願う?」

と絵里とにこ。

「それってまさか」

「アタシたちのこと?」

「…と訊いてるけど、どうなんやろか?」

「ノーコメント!想像に任せるわ」

真姫の顔は赤い。

 

 

 

…まさか、あれを読み取るとは…

…これだから希は…

 

 

 

「真姫ちゃん!聴かせてよ!」

「あるんやろ?」

穂乃果と希にそう促され、真姫は渋々ポケットからプレーヤーを取り出した。

 

穂乃果がそれを受けとると、すかさずイヤホンを自分とことりの耳に差す。

 

 

 

「!」

 

 

 

「…優しい曲…」

「なんか、あったかい…」

 

 

 

「いいな~!凛も聴きたいにゃ!」

「アタシのソロはちゃんとあるんでしょうね!?」

「私も早く聴きたい!」

「お、えりちもやる気やね?」

「そ…そういうわけじゃないわよ…」

少し前のめりになったことに、照れたのは絵里。

「別に恥ずかしがらなくてもいいやん」

「そんなんじゃ…」

「ねぇ、海未ちゃん!これで作詞できる?」

「はい、もちろんです。私も書き貯めている詞はありますし…それに…」

「それに?」

「いつかまた、9人で歌えることを夢見ていましたので」

「μ'sの?」

「私も!」

「ことりもですか!?」

「向こうでも、ずっと衣装ばかり見てた!これ絵里ちゃんに似合うな…とか、にこちゃんはこんな感じかな…とか」

「うふふ…みんな考えることは同じってことやね。どう?やってみない?μ'sの最後を伝えるライブ」

 

 

 

「…」

 

 

 

「穂乃果?」

 

 

 

「あ…ごめん。あのさ、私、ニューヨークで道に迷ったとき、お姉さんに助けてもらった…って言ったでしょ?」

「幽霊の?」

「凛、そういうこと言わないで!」

絵里が険しい顔をする。

「あはは…ごめん、ごめん!…で、その…幽霊…じゃない、お姉さんがどうかしたの?」

「みんなとはぐれて、心細かったのもあるのかも知れないけど…廃校を阻止できて、ラブライブにも出れて、優勝までしちゃって…。そうしたら次の目標はなんだろう?…って思っちゃって。なんのためにニューヨークまで来たんだろう…って」

「燃え尽き症候群…やね」

「私たちは卒業するから『次』は考えていないけど、残る側は新たな目標…モチベーションというのかしら…そういうのは、当然、必要だもの」

「それでね…お姉さんに訊いてみたんだ。どうしてお姉さんは、ここで歌ってるのか?…って。あ、そうそう、お姉さんも、前は穂乃果たちみたいにグループで歌ってたんだって!…でも、色々あったらしくて…」

「そりゃあ、何年も、何十年もって続けられればいいけども…そう簡単にはいかないから…」

にこは自分の体験を思い出しながら、静かに言った。

「うん…。だけどね、お姉さんはそこで歌い続ける理由を、こう言ったんだ」

 

 

 

…簡単だったよ…

…今まで自分たちがなぜ歌ってきたのか…

…どうありたくて、何が好きだったのか…

…それを考えたら、答えはとても簡単だったよ…

 

 

 

「わかったような、わからないような…」

「うん、凛ちゃん!穂乃果もその時、そう思ったんだ。でも、その言葉…今、わかった気がする!」

「にゃ?」

 

 

 

「やっぱり、歌うことが好きなんだ!だから私たちの歌を聴いてほしい!!想いを伝えたい!」

 

 

 

「穂乃果!」

「穂乃果ちゃん!」

「お姉ちゃん!」

 

 

 

「うん!やってみよう!こんな素敵な曲があるんだったら、やらないともったいないよね!やろう!μ's最後のライブ!そして、みんなに伝えよう!…μ'sは…解散します…って…」

 

 

 

「異存はないですね?」

「まったく…仕方ないわねぇ!!」

「ふふふ…まだ、終わらないんやね!…って、えりち?…」

 

「えっ?」

考え事でもしていたのだろうか、一瞬、上の空状態だった絵里。

 

「絵里は反対なのですか?」

リアクションが薄かった絵里に、海未が尋ねる。

「そ、そんなこと、あるわけないじゃない!」

「だよねぇ!」

その言葉にホッとした表情の穂乃果。

 

 

 

「…練習…厳しくいくわよ!」

絵里の声に、全員が立ち上がる。

 

 

 

「いっくよ~!ラストライブに向かって、全力で走るよ!」

 

 

 

「オーッ!!」

 

 

 

 

 

だが、そんな中、花陽は絵里の様子に、少しだけ違和感を覚えていた…。

 

 

 

 

 

~つづく~

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