【ラブライブ μ's物語 Vol.1】Can't stop lovin'you! ~花陽ちゃんへの愛が止まらない~   作:スターダイヤモンド

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ラブライブ!の1ヶ月は、60日くらいあるんじゃないか…と改めて思う今日このごろ…。





やりたいことは その14 ~嬉しい悲鳴~

 

 

 

 

 

ことりのスマホが鳴った。

それは穂乃果の部屋で、μ'sのメンバーが最後のライブを行う決意を固めた瞬間だった。

 

 

 

「もしもし?お母さん?」

 

 

 

「!」

メンバーに緊張が走る。

 

 

 

「うん、穂乃果ちゃんち。えっ?今から?…訊いてみるけど…うん、わかった…はい…じゃあ…」

 

 

 

 

「お母さん?」

「理事長?」

それぞれ口にした呼び方は違うが、もちろん同一人物を表す。

 

 

 

「うん、お母さんから…。でも理事長としての電話だった」

「?」

「なにかありましたか?」

「う~ん…穂乃果ちゃん、花陽ちゃん、今からうちに来れる?」

「今から?」

「ことりちゃんち?」

「詳しくはその時に話したい…って…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お邪魔しま~す」

「失礼します…」

 

ことりが穂乃果と花陽を、自分の住むマンションへ連れて行き、リビングに通した。

 

そこに待っていたのは…自宅にいるのにも関わらず『いつものように』スーツを身に纏った、ことりの母。

 

「穂乃果ちゃん、小泉さん、今晩は。ごめんなさいね、お呼びだてしちゃって…」

「ご無沙汰してます!」

穂乃果はそう言って、ペコリと頭を下げた。

 

 

 

…ご無沙汰?…

 

…毎日とは言わないまでも、学校で頻繁に顔を合わせているよね?…

 

 

 

花陽も…ことりとその母も…穂乃果の言葉に耳を疑った。

それを察してか、穂乃果が弁明する。

 

「あ、いや、ことりちゃんの家に来たの久しぶりで…。だから『ことりちゃんのお母さん』として会うのも久しぶりたがら…」

「あ~…そういうこと!?」

3人は一様に納得した。

「花陽ちゃんは、結構来てるよね?」

「はい、衣装作りのお手伝いで何回か…」

「ほらね!穂乃果はホントに久しぶりなんだよ」

「そうだね…なにかあると、集まるのは穂乃果ちゃんの部屋だもんね。さっきもそうだったし」

ことりの言葉を受け

「いつも、お邪魔しちゃって…。穂乃果ちゃんのお母さんにも、ちゃんとご挨拶に行かなきゃ…って思ってるんだけど」

と母親として謝辞を述べた。

「いえいえ、広いだけが取り柄の部屋なんで」

「あら、それが一番なんじゃない?うちなんて、狭くて、呼ぼうにも呼べないもの…あ、良かったら、召し上がって」

「あ、はい!では、遠慮なく!」

「い、いただきます…」

2人はそう勧められて、出されたお茶菓子を口にする。

 

それから少しの間、ことり親子と穂乃果…そして花陽は、他愛のない会話をして時間を過ごした。

 

ここで花陽は『理事長』ではなく『ことりの母』としての顔を、初めて見ることになった。

 

 

 

…理事長さんも、普通のお母さんなんですね…

 

 

 

和やかに話す3人を見て、花陽はそんなことを思った。

 

 

 

 

 

どれくらい経ったろうか。

 

 

 

 

 

「それはそうと…お母さん…話って?」

ひとしきり談笑したあと、ことりが母に尋ねた。

「そうね!その為に来てもらったんだものね」

その瞬間、顔は『母のそれ』から『理事長のそれ』になった。

 

 

 

「単刀直入に言うわね…。音ノ木坂のスクールアイドル…μ'sを続けてもらうことはできないかしら?」

 

 

 

「μ'sを続ける?」

思わぬ言葉に、ことりも驚いたようだった。

 

…いや、生徒会長の穂乃果、新しく部長になった花陽が呼ばれた時点で、なにかあるとは思っていたが…まさか理事長直々に、そんな要請をされるとは想像だにしていなかったのだ。

 

 

 

「スクールアイドルとして圧倒的な人気を誇るA-LISEとμ's…。ドームでの大会を実現させるには、どうしてもあなたたちの力が必要なんだと、大会関係者はみんなそう思っているわ」

「お母さん…」

「出発前にも同じようなことを言ったけど…μ'sには今回のライブの成功を受け、その声が一層高まっているの」

「確かに、ここまで人気が出ちゃうと…っていうのはわかりますけど…」

花陽は、ことりと穂乃果の顔を見て、同意を求めた。

頷く2人。

「3年生が卒業して、スクールアイドルを続けるのが難しいのであれば、別の形でも構わないわ」

「別の形?」

「とにかく、今の熱を冷まさないためにも、みんな、μ'sには続けてほしいと思っている…」

「そんな…」

「無理に…とは言えないわ。でも、前向きに考えてほしいの…」

「お母さん…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ですが…困りましたね…」

 

 

 

翌日、音ノ木坂に集まったμ'sのメンバー。

海未を始め、全員が当惑していた。

「うん、海未ちゃん。困ったことになっちゃったね… 。最後のライブの話をしていたところなのに…」

花陽の眉毛はいつもにも増して、ハの字の角度がきつくなっている。

「私は反対よ!ラブライブのおかげでここまで来られたのは確かだけど、そうまで義理立てする必要があるの?」

「真姫ちゃん…義理立て…とはズバッときたね…」

と言うものの、穂乃果は否定も反論もできなかった。

「でも、大会を成功に導くことができれば、スクールアイドルはもっと大きく羽ばたける」

「ニューヨークに行ったのも、その為やしね…」

「待ってよ!その役割は果たしたじゃない!…絵里も希も…ちゃんと終わりにしようって…μ'sは3年生の卒業と同時に終わりにしよう…って決めたんじゃないの!?」

「真姫の言う通りよ!ちゃんと終わらせる…って決めたんなら、終わらせないと…違う?」

「にこ…」

「違わない…違わないんやけど、2人やって、気持ち、揺れてるやろ?」

「うっ…」

「にこっち…いいの?続ければドームのステージに立て…」

「もちろん立ちたいわよ!…けど…私たちは決めたんじゃない。9人みんなで話し合って…。あの時の決心を簡単には変えられない!わかるでしょ?」

「にこっち…」

「でも、にこちゃん!もしμ'sを終わりにしちゃったらドーム大会はなくなっちゃうかもしれないよね…」

「凛たちが続けなかったせいで、そうなるのは…」

「花陽…凛…それは…そうだけど…」

にこは頭を抱えて、座り込む。

 

 

 

「穂乃果ちゃん…みんな…ごめんね…」

突然謝ったのは…ことりだった。

 

 

 

「こ、ことりちゃん?」

「ことり?」

「どうしたん?急に」

「お母さんが、あんなこと言わなければ、みんな、こんなに悩まなくも済んだのに…」

「ことり、それは違います。苦しかったと思いますよ…お母さんとして…理事長として…このことを伝えるのは…」

「海未ちゃん…」

「そうやね。学校を代表する立場やから、それはそれで仕方ないんやない?どのみち、大会関係者から話が来たんやろうから…。誰から聴かされても同じやったと思うよ」

「希ちゃん…」

「そうにゃ!μ'sがスターになった証しにゃ!」

「凛ちゃん…」

「こういうのを『贅沢な悩み』って言うんだよ…ね?かよちん」

「う、うん…そうだね」

「部長はどうしたいの?」

「へっ?わ、私?」

「アンタしかいないでしょ?」

「はぁ…難問ですぅ…。にこちゃんたちが卒業しないのが、一番いいんだけど…」

「穂乃果みたいなことを言わないでください!」

「う、海未ちゃん…また、そういうことを…」

「部長として言わせて頂くなら、スクールアイドルμ'sは解散します。それでも、どうしても…というなら6人でやるしかないと思います。ただし、その場合でもμ'sの名前は使いません」

「かよちん…」

「私たちが…スクールアイドルしてではなく、9人で活動を続けられれば、話はまた別ですが…」

「それは…む…」

絵里はなにか言い掛けたが、途中で口をつぐんだ。

 

 

 

…絵里ちゃん?…

 

 

 

花陽は絵里の今の言葉に、この間と同じような違和感を覚えた。

 

 

 

「…穂乃果はどう思うの?」

だが絵里は、何事もなかったように穂乃果に話を振った。

 

 

 

「うん!わからない!」

 

 

 

「穂乃果…」

その開き直った回答に、苦笑いする絵里。

 

 

 

「だってさ、みんな正しいんだもん。歌うのは好きだし、続けたい。そしてμ'sを観たい、続けてほしいという人がいる。だったら、その期待には応えたい。私たちはいままで、そうしてきたんだから」

「…」

「だけどスクールアイドルに対する拘りもある。9人揃ってこそμ'sだという気持ちも強い…」

「…」

「ただ…」

「ただ?」

「ただ私たちが最高のパフォーマンスができないようなら…中途半端なステージになるくらいなら…続けるべきじゃないと思う」

 

 

 

「!!」

 

 

 

メンバー全員が、一瞬、頭を殴られたような衝撃を受けた。

 

 

 

…最高のパフォーマンス!?…

 

 

 

 

 

『全身全霊』

 

 

 

 

 

穂乃果の言葉に、自分たちが歌った詞の一部を想い浮かべた。

 

 

 

 

 

 

「もう一日だけ、個人個人で考えてみようよ!何をどうしたらいいのか…もう一日だけ…」

 

 

 

 

 

~つづく~

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