【ラブライブ μ's物語 Vol.1】Can't stop lovin'you! ~花陽ちゃんへの愛が止まらない~   作:スターダイヤモンド

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やりたいことは その18 ~音ノ木坂に来訪者~

 

 

 

 

【Road to Akiba-Dome】

 

 

 

μ'sを中心としたビッグプロジェクトはそう銘打たれ、ドラスティックに動き始めた。

 

 

 

まずは理事長が、ラブライブの大会関係者へ、μ'sの活動は、これ以上継続しないことを告げた。

当然、それを惜しむ声はあったが、彼女たちの意思は固く、それを覆すことは不可能だと説明した。

 

その上で、今回のイベントの趣旨を説きを、全面協力を得ることに成功。

 

ステージは…アキバのメインストーリートを封鎖して行うこととなった。

 

 

 

A-RISEも、自分たちをマネージメントする事務所に参加を表明。

承認をもらい、μ'sと共に、このイベントとの「顔」として自ら引っ張っていくことを決意する。

 

 

 

μ'sは…当初、本大会や最終予選を戦ったチームに、イベントの参加を呼び掛けようと計画していた。

 

しかし、そこは急な話。

 

さすがに遠方のチームは、そう簡単には上京出来ないだろう…ということで、最終的には関東圏内のスクールアイドルに絞って交渉を進めた。

 

どこも興味はあるようだ。

それでも、ふたつ返事でOKするチームは少ない。

 

ドーム大会開催に対する熱意…温度差のようなものがある…それは仕方がないことだった。

 

 

 

その中で真っ先に手を上げたのは…

 

 

 

「もしもし?小泉さんですか?ご無沙汰しております…中目黒結奈です…」

 

 

 

ミュータントタート…いや『Mutant Girls(ミュータントガールズ)』だった。

 

 

 

「本当ですか?」

「はい、よろこんで!」

「ありがとうございます!」

「こちらこそ。μ'sとA-RISEと共演できるんですよ!?断る理由なんてありません!」

「そう言ってもらえると嬉しいです」

「私たちも、周りのスクールアイドルに声を掛けてみますね?…もっとも、みなさんとは、あまりに実力が違いすぎるので、尻込みしてしまうかも知れませんが…」

「いえ、それは違うんです!今回のライブは、パフォーマンスで優劣を競う訳じゃないんです。大事なのは、情熱なんです!日本中に、スクールアイドルがどれほど素晴らしいものなのか…それを知ってもらう為のイベントなんです!上手いか下手は関係なくて、歌うこと、踊ることが好きだ!っていう気持ちを届けてほしいんです!!なので…」

 

 

 

…こ、小泉さん!熱すぎます!…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「また1校、返信来ました!『参加します!人数は5人です。よろしくお願いします』…神奈川の『ハマのシルフィード』です」

花陽が部室のPCを見て叫ぶ。

「ハラショー!」

これで何回目だろうか…絵里は、その報告を聴く度に、そう口にした。

「かよちん、これで35組まできたにゃ!」

凛が「正」の字の替わりにホワイトボードに書いた猫のマークを数えて、花陽に伝えた。

「凛ちゃん、人数は?」

「えっと…今の5人を加えると…129人?」

「この勢いだと、150人を越えそうですね…」

「うん、海未ちゃん!すごいことになってきたね!」

ことりは、いつもと変わらぬ笑顔を見せた。

「衣装は大丈夫ですか?」

「♪ちゅんちゅん…」

付き合いの長い海未。

ことりの表情はそのままだが、一瞬で彼女の心理を悟った。

 

 

 

…さすがのことりでも、厳しそうですね…

…ですが、私は作詞もありますし…

 

 

 

「いやぁ、それにしても、初めは…道路を封鎖?…そこまでする?…って思ってたけど…」

「はい、この人数で踊れるステージなどありませんからね…」

「想像以上のイベントになっちゃったね」

 

 

「あら、穂乃果さん、園田さん…スクールアイドル界のツートップが出るのよ!これくらい集まって当然じゃないかしら?」

 

 

 

「えっ!?」

「ツ、ツバサさん!?」

 

 

 

「ハロー!」

「やぁ!」

 

 

 

「あんじゅさん!英玲奈さん!」

 

 

 

「ウチが買い出しから戻ってきたところに、偶然、校門の前であったんや」

「希ちゃん!」

「…助かったわ。学校まで来たものの、アポなしだったから、勝手に入るわけにもいかなくて…」

「それなら電話をくれれば…」

「それだとサプライズ訪問の意味がない…」

その言葉にμ'sのメンバーは、吹き出した。

「なに?なにがおかしいの?」

「いやいや…」

「別に…」

あんじゅと英玲奈も、口元を押さえて、笑うのを必死に堪えている。

「どこのチームにも、無鉄砲な人間はいるんやね…」

希の言葉に穂乃果はツバサを、ツバサは穂乃果を指差して、お互い笑った。

 

「そうそう、これは差し入れだ」

英玲奈が持っていた紙袋を手渡す。

「にゃ?これは…穂むらのお饅頭と違って、高いお菓子にゃ!」

「凛ちゃん、一言多いよ!」

「そうしたら、お茶にしますか?」

「花陽ちゃん?」

「私たちは遊びに来た訳じゃないんだけど…」

「今日は手伝いに来たのよ」

「まぁまぁ、そう言わずに…折角ですから、みんなでいただきましょうよ…。ここには日本茶しかないですけどねぇ」

花陽はそう笑って、立ち上がった。

「あ、小泉さん…て、手伝うよ」

「えっ?英玲奈さん?あ、いいですよ、座っててください」

「そうだよ、お客さんなんだからぁ」

穂乃果が、そう言うと

「ん?みんなは手伝わないのか?」

と英玲奈は言った。

「へっ?」

「あ、いいんです。これは花陽の役割なので…」

「かよちんが入れるお茶は、最高に美味しいにゃ!」

「いや、そういうことではなく…」

「まぁまぁ、いいんじゃない。任せておけば…」

「そうそう。まだチャンスはあるって…」

「…」

英玲奈はツバサとあんじゅにそう言われて、少しだけ不満そうな顔をした。

「なんのことにゃ?」

「ん?いや、こっちの話だ」

 

 

 

「?」

 

 

 

 

 

「ごちそうさまでしたぁ」

「美味しかったぁ」

「さぁ、では作業を続けましょうか!」

絵里が『いつものように』パンッ!と手を叩く。

そして気付く…。

「あ、ごめんなさい…いつものクセで…」

「私たちのことは気にしなくていい。普段通りに仕切ってくれてかまわない」

「そ、そう?えっと…それじゃあ、真姫と穂乃果は作曲、海未と希は作詞に戻って」

「穂乃果さんは曲を作るのか?」

「穂乃果?穂乃果は作れないよ。真姫ちゃんの曲を聴いて、アドバイスするだけ」

「アドバイスじゃなくて、要望でしょ?」

「えへへ…そうとも言うね…」

「うふふ…私も立ち会わせてもらって、いいかしら?」

「ツバサさんが?」

「べ、別にかまわないけど…」

「私も作詞の作業に同席させていただこうか」

「英玲奈さんが?」

「邪魔はしない」

「いえ、恐縮です。今回は自分たちだけの歌ではないので、第三者的な意見は参考になります」

「そうやね」

「では、お願いします。それから、ことりとにこは引き続き、衣装をお願い」

「あ、じゃあ、私も手伝うわ」

「あんじゅさん?」

「ひとりでも多い方がいいでしょ?」

「はい、助かります!」

「前から興味があったんだ!」

「衣装にですか?」

「衣装にも、あなたにも」

「!」

「なんてね…」

「あんじゅのそれは、冗談か本気か、私でもわからないのよね…」

ツバサは頭をポリポリと掻いた。

「えっと、私と凛は振り付けを考えるわ。それと花陽は…そのまま参加チームの取り纏めをお願い」

「はい!一段落したら衣装のお手伝いに入りますね」

「なるほど…そういう役割分担か…」

呟いたのは英玲奈。

「これだけの人材がいれば、それは強いわね…」

あんじゅは納得したように、頷いた。

 

 

 

 

 

~つづく~


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