【ラブライブ μ's物語 Vol.1】Can't stop lovin'you! ~花陽ちゃんへの愛が止まらない~ 作:スターダイヤモンド
今年度2度目の胃腸炎から、帰ってきました…。
「あら、可愛い衣装!」
未完成の状態でハンガーに吊るされた衣装を見て、あんじゅが言った。
「ありがとうございます!この辺は最後、仕上げして終わりなんですけど…」
ことりはその中の、半分くらいを指差す。
「テーマみたいなのはあるの?」
「今回のコンセプトは太陽なんです」
「太陽?」
「みんなで、明るく、楽しく…そんなことを考えてたら、ポカポカのお日さまの下でピクニックしてるイメージが浮かんできて…」
…花陽ちゃんと一緒に、芝生でお弁当を食べてる感じ…
…とは、あんじゅさんには言えないけど…
「合わせてみます?」
ことりはハンガーに掛かった一着を手に取ると、あんじゅの身体の前にかざした。
「ふふん…悪くないわね!」
鏡に写った自分の姿を見て、彼女はそう呟いた。
「とても似合ってると思います」
「ありがとう」
「急な話だったので、前にデザインしておいたものから、流用したんですけど」
「うふっ…お互い強引な相棒を持つ者同士…大変ね…」
「あはっ…ことりは慣れました。慣れた…っていうより、もう当たり前なので」
「一緒ね。ツバサには振り回されることが多いけど、そういう仲間がいるからこそ、新しい発見があったり、前に進めたりする」
「はい、同感です。…ところで、あんじゅさんは、衣装担当だったんですか?」
「うちは特に決まってないわ。『アリもの』に、ちょっと手を加えるくらいだし。だからμ'sがこうやってイチから衣装を作ることに、いつも感心してたの」
「昔から好きだったんです、こういうの」
「羨ましいわね。私にもそんな才能が欲しいわ」
「えへっ!」
「それで私は何をしたらいいかしら?」
「えっ?はい、それじゃあ…ここをミシン掛けしてもらってもいいですか?流れ作業になりますけど」
「わかったわ」
「できます?」
「それくらいはね!」
「では、お願いします」
ことりはニッコリと微笑んだ。
音楽室で真姫がピアノを奏でるのを、穂乃果とツバサが並んで聴いている。
流れてきたのは、疾走感溢れるアップテンポの曲。
淀みなく、彼女の指が鍵盤の上を滑っていく。
「とてもメロディアスで、耳馴染みがいい曲ね…」
「あ、ありがとう…何かアイデアがあれば言って」
「そうね…。じゃあ、遠慮なく言わせてもらうわ。少し速すぎるんじゃないかしら。私たちだけが踊るなら充分だと思うけど…百人単位となると、もう少し落とした方が合わせやすいんじゃない?」
「あっ…そ、そうね」
「これくらいはどう?」
ツバサが、真姫の隣に立ち、鍵盤を叩きだした。
「へぇ…ツバサさん、ピアノできるんだ…」
と穂乃果。
「多少はね…」
ツバサは軽くウインクをして返事をした。
その様子を廊下から覗いている、怪しい人影…。
「にこっち、何してるん?」
「ひぃぃ!な、なんでもないわよ!」
「衣装は?」
「ことりとあんじゅがイチャイチャしてるから…ちょっと抜けてきたのよ…」
「イチャイチャって…」
「そ、それより…この前、聴いた真姫の曲を歌うんじゃないの?面倒くさいとかいいながら、新しい曲作ってるし…わけわかんない!」
「ウチも言ったんやけど、あの曲はμ'sの…9人で歌う曲だからって」
「なによ、それ…」
「きっと真姫ちゃんなりに、想いとか…そういうのがあるんやない?」
「ふ~ん…」
「あ、連弾してるやん。ツバサさんて、ピアノできるんやね…」
「…」
…どうしてかしら、イライラするわ…
…これって…ジェラシー?…
…ジェラシー?…
…どっちに?…
…真姫ちゃんに?…
…ツバサさんに?…
…それとも…その両方に?…
「ちょっと、の、希!」
「ん?」
「勝手に変なナレーション付けないでくれる?」
「図星やろ?」
「もう、いいわ!衣装作るのに戻る!アンタも作詞担当でしょ!油売ってないで、サッサと作業しなさいよ!!」
にこはふてくされて、その場を去って行った。
…ふふふ…女心は複雑やなぁ…
「これは私が歌詞を募集して、全国から届いたフレーズだ」
英玲奈は持参したPCの画面を、海未に見せる。
「こんなにあるのですか!?」
「参加出来なかったチームも多いからな。せめて言葉だけでも…ということじゃないかな」
「ええ、気持ちはわかります。…責任重大ですね…」
「みんなの思いが籠っている」
「これまで、自分たちの為に詩を書いてきましたから、みんなの為に…っいうのは初めてで…」
「同じことだ。μ'sがこれまでやってきたことを、みんなに伝えればいい。私はそう思う」
「私たちがやってきたこと…なるほど、そうですね!」
「どんな感じ?」
「希、どこに行っていたのですか?」
「ちょっとね…あ、そうそう、曲調はミディアムテンポになりそうやから、そんなに言葉は詰め込めんと思うよ」
「そうなのですか」
「それなら、よりシンプルな詞にした方が良いようだな…」
「ことりちゃん、にこちゃん、あんじゅさん、花陽も合流します!」
「花陽ちゃん!」
「今日のところは、とりあえず、一段落した感じなので」
「これで、いつものメンバーになったわね」
「プラス、あんじゅさん!」
「花陽ちゃん、あんじゅさん、すごく上手なんだよ」
「うふふ…これくらいわね」
「これからも、なにかあったら、お願いしちゃおうかな?」
「なるほど!これが伝説のミナリンスキーの微笑みか…。女の私でもドキッとさせられる…」
「あんじゅさんも充分色っぽいと思いますが…」
「小泉さんなら、わかるでしょ?A-RISEにはやわらかさが足りない」
「皆さん、クールでスタイリッシュですから」
「だから、南さんや小泉さんのようなファニーなメンバーが加われば、また一段とレベルアップするんじゃないかと思ってるんだけど」
「ぬわんで、そこに、にこがいないのよ!!」
「あっ!…も、もちろん、小悪魔枠は別だもの…」
「そうよね!そりゃ、そうよ…あっはっはっ…」
…にこちゃん、単純過ぎます…
その後、衣装作りは応援に駆けつけたMutant Girlsの4人も合流して、急ピッチで進められていった。
~つづく~