【ラブライブ μ's物語 Vol.1】Can't stop lovin'you! ~花陽ちゃんへの愛が止まらない~   作:スターダイヤモンド

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今年度2度目の胃腸炎から、帰ってきました…。





やりたいことは その19 ~初めての共同作業~

 

 

 

 

 

「あら、可愛い衣装!」

未完成の状態でハンガーに吊るされた衣装を見て、あんじゅが言った。

「ありがとうございます!この辺は最後、仕上げして終わりなんですけど…」

ことりはその中の、半分くらいを指差す。

「テーマみたいなのはあるの?」

「今回のコンセプトは太陽なんです」

「太陽?」

「みんなで、明るく、楽しく…そんなことを考えてたら、ポカポカのお日さまの下でピクニックしてるイメージが浮かんできて…」

 

 

 

…花陽ちゃんと一緒に、芝生でお弁当を食べてる感じ…

…とは、あんじゅさんには言えないけど…

 

 

 

「合わせてみます?」

ことりはハンガーに掛かった一着を手に取ると、あんじゅの身体の前にかざした。

「ふふん…悪くないわね!」

鏡に写った自分の姿を見て、彼女はそう呟いた。

「とても似合ってると思います」

「ありがとう」

「急な話だったので、前にデザインしておいたものから、流用したんですけど」

「うふっ…お互い強引な相棒を持つ者同士…大変ね…」

「あはっ…ことりは慣れました。慣れた…っていうより、もう当たり前なので」

「一緒ね。ツバサには振り回されることが多いけど、そういう仲間がいるからこそ、新しい発見があったり、前に進めたりする」

「はい、同感です。…ところで、あんじゅさんは、衣装担当だったんですか?」

「うちは特に決まってないわ。『アリもの』に、ちょっと手を加えるくらいだし。だからμ'sがこうやってイチから衣装を作ることに、いつも感心してたの」

「昔から好きだったんです、こういうの」

「羨ましいわね。私にもそんな才能が欲しいわ」

「えへっ!」

「それで私は何をしたらいいかしら?」

「えっ?はい、それじゃあ…ここをミシン掛けしてもらってもいいですか?流れ作業になりますけど」

「わかったわ」

「できます?」

「それくらいはね!」

「では、お願いします」

ことりはニッコリと微笑んだ。

 

 

 

 

 

音楽室で真姫がピアノを奏でるのを、穂乃果とツバサが並んで聴いている。

 

流れてきたのは、疾走感溢れるアップテンポの曲。

淀みなく、彼女の指が鍵盤の上を滑っていく。

 

 

 

「とてもメロディアスで、耳馴染みがいい曲ね…」

「あ、ありがとう…何かアイデアがあれば言って」

「そうね…。じゃあ、遠慮なく言わせてもらうわ。少し速すぎるんじゃないかしら。私たちだけが踊るなら充分だと思うけど…百人単位となると、もう少し落とした方が合わせやすいんじゃない?」

「あっ…そ、そうね」

「これくらいはどう?」

ツバサが、真姫の隣に立ち、鍵盤を叩きだした。

「へぇ…ツバサさん、ピアノできるんだ…」

と穂乃果。

「多少はね…」

ツバサは軽くウインクをして返事をした。

 

 

 

その様子を廊下から覗いている、怪しい人影…。

 

 

 

「にこっち、何してるん?」

「ひぃぃ!な、なんでもないわよ!」

「衣装は?」

「ことりとあんじゅがイチャイチャしてるから…ちょっと抜けてきたのよ…」

「イチャイチャって…」

「そ、それより…この前、聴いた真姫の曲を歌うんじゃないの?面倒くさいとかいいながら、新しい曲作ってるし…わけわかんない!」

「ウチも言ったんやけど、あの曲はμ'sの…9人で歌う曲だからって」

「なによ、それ…」

「きっと真姫ちゃんなりに、想いとか…そういうのがあるんやない?」

「ふ~ん…」

「あ、連弾してるやん。ツバサさんて、ピアノできるんやね…」

「…」

 

 

 

…どうしてかしら、イライラするわ…

…これって…ジェラシー?…

…ジェラシー?…

…どっちに?…

…真姫ちゃんに?…

…ツバサさんに?…

…それとも…その両方に?…

 

 

 

「ちょっと、の、希!」

「ん?」

「勝手に変なナレーション付けないでくれる?」

「図星やろ?」

「もう、いいわ!衣装作るのに戻る!アンタも作詞担当でしょ!油売ってないで、サッサと作業しなさいよ!!」

にこはふてくされて、その場を去って行った。

 

 

 

…ふふふ…女心は複雑やなぁ…

 

 

 

 

 

「これは私が歌詞を募集して、全国から届いたフレーズだ」

英玲奈は持参したPCの画面を、海未に見せる。

「こんなにあるのですか!?」

「参加出来なかったチームも多いからな。せめて言葉だけでも…ということじゃないかな」

「ええ、気持ちはわかります。…責任重大ですね…」

「みんなの思いが籠っている」

「これまで、自分たちの為に詩を書いてきましたから、みんなの為に…っいうのは初めてで…」

「同じことだ。μ'sがこれまでやってきたことを、みんなに伝えればいい。私はそう思う」

「私たちがやってきたこと…なるほど、そうですね!」

「どんな感じ?」

「希、どこに行っていたのですか?」

「ちょっとね…あ、そうそう、曲調はミディアムテンポになりそうやから、そんなに言葉は詰め込めんと思うよ」

「そうなのですか」

「それなら、よりシンプルな詞にした方が良いようだな…」

 

 

 

 

「ことりちゃん、にこちゃん、あんじゅさん、花陽も合流します!」

「花陽ちゃん!」

「今日のところは、とりあえず、一段落した感じなので」

「これで、いつものメンバーになったわね」

「プラス、あんじゅさん!」

「花陽ちゃん、あんじゅさん、すごく上手なんだよ」

「うふふ…これくらいわね」

「これからも、なにかあったら、お願いしちゃおうかな?」

「なるほど!これが伝説のミナリンスキーの微笑みか…。女の私でもドキッとさせられる…」

「あんじゅさんも充分色っぽいと思いますが…」

「小泉さんなら、わかるでしょ?A-RISEにはやわらかさが足りない」

「皆さん、クールでスタイリッシュですから」

「だから、南さんや小泉さんのようなファニーなメンバーが加われば、また一段とレベルアップするんじゃないかと思ってるんだけど」

「ぬわんで、そこに、にこがいないのよ!!」

「あっ!…も、もちろん、小悪魔枠は別だもの…」

「そうよね!そりゃ、そうよ…あっはっはっ…」

 

 

 

…にこちゃん、単純過ぎます…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、衣装作りは応援に駆けつけたMutant Girlsの4人も合流して、急ピッチで進められていった。

 

 

 

 

 

~つづく~


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