【ラブライブ μ's物語 Vol.1】Can't stop lovin'you! ~花陽ちゃんへの愛が止まらない~ 作:スターダイヤモンド
やりたいことは(みんなが大好き編)最終話です。
…というか、この作品の最終話です…。
「…こうした先輩たちのお陰で、ラブライブはドームで行われるようになったのです」
新入部員に対する雪穂のレクチャーが終わった。
「なにか質問ある人?」
横にいる亜里沙が問い掛けるが、なかなか手は挙がらない。
「ここで恥ずかしいなんて思ってたら、人前で歌うことなんてできないよ?」
雪穂は悪戯っぽく笑った。
「じゃ…じゃあ…あの…」
20人ほどいる新入部員のうち、ひとりが恐る恐る手を挙げる。
「はい、どうぞ」
「μ'sだった先輩たちは今、どうしてるんですか?」
「そうねぇ…」
「にこ先輩は調理師の専門学校を卒業したあと、ミュージカル俳優を目指して、劇団に入ったみたい」
「希先輩はツアー会社に入社して、パワースポットを巡るツアーとかの企画・営業で活躍中」
「絵里先輩…私のお姉ちゃんは大学で通訳になるため、猛勉強してるって」
「穂乃果先輩は…私のお姉ちゃんは…とりあえず大学には進んだ。けど、まだその先は決まってないみたい。呑気というかなんというか…」
「ことり先輩は美大に進んだよ。やっぱりデザイナーになるんじゃないかな?」
「海未先輩は大学で古典を学んでる。文学者になるのかな?」
「真姫先輩は、この春から医大生」
「そりゃ…ね?」
「うん。…で、凛先輩はスポーツのインストラクターになるって、専門学校に進学したよ」
「そして花陽先輩は…」
「まさか花陽がアメリカに行くなんて思いませんでした」
「ことりもだよ」
「えへへ…」
「映像クリエーターだよ。本当にスゴいよね」
「いや、穂乃果ちゃん…まだなったワケじゃなくて、その為の勉強に行くんだから」
「頑張ってくださいね」
「うん、海未ちゃん、ありがとう!」
「お!間に合った!すまんな、ツバサとあんじゅはどうしてもスケジュールが合わなくて」
「英玲奈さん!この度は色々ありがとうございました」
「別に…礼を言われるようなことはしていない。小泉さんが過去に作ったスクールアイドルのPVを、私のプロデュースしてくれてるディレクターに紹介しただけだ」
「それを気に入られて、こんなにトントン拍子に話が決まっちゃうんだもん!やっぱ、持つべきものは友だねぇ」
「いやいや、高坂さん…小泉さんの実力とセンスの賜物だよ」
「いえいえ、皆さんあっての花陽ですから」
「そういう謙虚なところは、昔から変わらないですね。穂乃果とは大違いです」
「海未ちゃん…」
「他のメンバーは来ないのか?」
「この平日に時間取れるのは、大学生くらいだからねぇ」
「真姫ちゃんと凛ちゃんは、入学式が重なっちゃったし」
「絵里ちゃんが来るって言ってたんだけど…」
「あ、ことり…あれではないですか?」
「そうだ!絵里ちゃ~ん!!こっちだよ~」
「ごめんなさい…出掛けに急用が入っちゃって…」
「もう!遅いよ」
「なんで穂乃果が怒るのよ…」
「あはは…」
「花陽…2年間、亜里沙を面倒みてくれてありがとう!」
「花陽は大したことはしてませんよ」
「いえ、あなたが部長として、生徒会長として、部と学校を守り、発展させてくれたことに対して、本当に感謝しているわ」
「大袈裟ですって…」
「これ、希から預かってきたの」
「御守り?…」
「それと、こっちは…にこから」
「これは…」
「矢澤シスターズからのお手紙だって」
「うわ…」
「すごく寂しがってたみたい。もう、遊んでもらえないんじゃないかって」
「そうだよね。花陽ちゃん、慕われたもんね…。穂乃果なんて相手もしてもらえないのに」
「穂乃果は子供相手にも、すぐムキになるから嫌われるんです」
「海未ちゃんだって、なついてないじゃん」
「私は単に接し方がわからないだけで…」
「また、すぐにそうなっちゃうんだからぁ」
「あ…ことりちゃん、ゴメン」
「失礼しました」
「うふっ…やっぱり、みんなといると楽しいです」
「えへへ…」
「それで…いつ、帰ってくるの?」
「絵里ちゃん、これから行くんだよ?それなのにもう帰ってくるの話?」
「穂乃果、それはわかってるけど…」
「休みがもらえれば、帰ってきますよ。でもスタッフとして採用して頂きましたが、最初はそんな余裕ないかと…」
「そうね…」
「大丈夫です。心は繋がっていますから!」
「はい!」
「うん!」
「そうだよね!」
「わかってる!」
「では…そろそろ…」
「いってらっしゃい!」
「気を付けて下さい」
「遊びに行くからね!」
「仕事で会うかも知れないな…頑張れよ!」
「みんな応援してるから…」
「はい、ありがとうございます!…じゃあ…」
「行ってきます!!」
「あの…もうひとつ…訊いてもいいですか?」
「なんでも、どうぞ!」
「あの…私みたいな…背も低くて…気も弱くて…声もちっちゃくて…こんな私でもμ'sみたいになれますか?」
雪穂と亜里沙は一瞬、顔を見合わせたあと、彼女に向かって微笑んで言った。
「もちろんだよ!!」
やりたいことは
~完~
Can't stop lovin'you!
~花陽ちゃんへの愛が止まらない~
参考曲(一部歌詞を引用/順不同)
僕らは今のなかで
きっと青春が聞こえる
それは僕たちの奇跡
どんなときもずっと
START:DASH
No brand girls
Dancing stars on me!
Kira-Kira Sensation!
愛してるばんざーい!
Wonderful Rush
Pure girls project
Cutie Panther
ほか
【作品について】
足掛け10ヶ月に渡り長々と連載させて頂きましたが、ようやく終了となりました。
これまで、ご愛読頂きありがとうございました。
ここまで長くなるとは思わなかった…というのが、正直な感想です。
後述しますが、後追いで得た知識の方が多く、どんどん話が膨らんでいった…という感じです。
自分なりに伏線を張りながら書いてきたので、なんとか回収しようと欲張った結果、伸びてしまったというのもあります。
色々勉強しながら、書かせてもらいました。
別作品ですが『穂乃果』を『穂乃香』と書いて、指摘されたことも、遠い昔のようです。
最初はもっとエロくしてやろう!と思ったんですが、結局はそうならなかったですね…。
希編では、17話のあとにエッチなシーンを書く予定にしてたのですが(一応、それぞれのエピソードに、そういう描写が挿入できるよう『余地』は残してあります)。
【ラブライブについて】
ラブライブ?
名前は知ってる、声優が紅白に出たんだよね…
…程度の認識しかなかった私。
それが…Eテレでの再放送(?)を『たまたま娘が観た』のをきっかけに、私がこんなにハマってしまうとは…夢にも思わなかったです。
そこから、ベストアルバムを買ったり、ライブ映像を観たりと、後追いで勉強(?)して、今に至る…です。
なので『歴』で言うと、本当にまだ1年足らずなんですね…。
もっと早くに知ってればなぁ…と多少の後悔はあります。
ええ、思いましたよ。
今、ラブライブ?…って。
でも16年になっても、ファイルライブがあったり、年末にはμ'sのインタビューが掲載された本が出たり、アーケードゲームまで登場したりして…
なんだ、まだ『進行中』なんじゃん!
…って、思ったりしてるわけで。
もう少しだけ、ラブライブの設定を借りて、書いてみたい作品があるのですが…
どうでしょうかね…
気が向いたら、やってみます。
では。