【ラブライブ μ's物語 Vol.1】Can't stop lovin'you! ~花陽ちゃんへの愛が止まらない~   作:スターダイヤモンド

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新しいわたし その13 ~プレゼントの理由~

 

 

 

 

 

「ウチからのお礼。受け取ってや」

 

希が花陽に差し出したのは、新宿のランジェリーショップ『アンジェリーナ アンジェリーナ』の紙袋。

 

「これって…希ちゃんが買ったんじゃ…」

「中を開けてみて…ウチのじゃないんよ」

花陽が中を覗き込む。

「…」

「お店で、色、どっちにするか迷ってたやん。…で、これは惜しくも選ばれなかったオレンジ。ウチからのプレゼント」

「なんかピンクのも、ありますが…」

「それも可愛いやろ?そのピーチも色違いであったから。おまけやね」

「おまけ…って…。こ、こんな高価なもの…しかも、ふたつも受け取れません!」

「お金のことなら気にしないでいいんよ。割引してもらったし、ポイントも倍付けてもらったし」

「そういうことではありません。誕生日でも、クリスマスでもないのに、こんなことしてもらう理由がありません」

「言ったやん。ウチの『一番大事な人』への感謝の気持ちやって。モノで釣るつもりはないんやけどね」

「意味がわかりません」

「ふふふ…真姫ちゃんみたいなセリフやね」

「誤魔化さないでください!」

珍しく、花陽の口調には怒気が含まれている。

「ちゃんと説明して下さい!また、からかってるんですか?一番大事な人って、どういうことですか?絵里ちゃんの立場は?そもそも花陽がみんなを救ったって、なんですか!?…わけがわかりません…」

花陽は一気に捲し立てた。

「まぁ、落ち着いて」

 

はぁ…はぁ…はぁ…

 

花陽は取り乱して、呼吸が整わない。

希が水を汲んでコップを渡す。

花陽はグイッと一息に飲み干した。

 

「はぁ…はぁ…」

「少し、落ち着いた?」

「…はぁ…はぁ…はい…すみません…」

「いや、謝るのウチやね…。説明するから、ちゃんと聴いてくれる?」

「…はい…わかりました…」

 

希は花陽をベッドに座らせると、自分もその隣に座った。

 

「ウチが花陽ちゃんに感謝してること。これから説明しないと…やね」

花陽は無言で頷く。

「まずスクールアイドルを始めた穂乃果ちゃん、海未ちゃん、ことりちゃん…この3人は別格の存在」

「創始者ですからね」

「なんの因果やろうか…ウチ、その3人と関わってしまったんよね…。生徒会をしてなければ知らなかっただろうし、彼女たちが練習場所に神田明神を選ばなければ、きっと何も起きていなかった」

「…花陽も3人がいなければ、陸上部に入ってたかも知れません…」

「花陽ちゃん、知ってる?偶然も重なれば、それは必然なんよ。だからその時、これは『ウチの運命を左右する、大きな出来事や』って予感が走ったんよ」

「…予感ですか…」

「そう、予感。…でも、ウチは花陽ちゃんと違って、自分からそこには飛び込めなかったし、それができなかった。誰かに頼るしかなかった。ウチは卑怯者なんや」

「そんなこと誰も思ってないですよ!だって希ちゃんがバックアップしてくれてたからこそ、今のμ'sがあるんじゃないですか!それはみんな知ってます」

「他力本願…。自分に自信がなかったから、そうせざるを得なかっただけなんよ」

希は首を横に振って否定した。

「そして現れたのが、花陽ちゃん…」

「私…ですか…」

「あのファーストライブに、もし花陽ちゃんが来てくれなければ、この9人が揃うことは絶対になかった」

「花陽が来なくても、穂乃果ちゃんたちなら、スクールアイドルを続けていたと思います」

「そうやね…ウチもそう思う。そうなんやけど、やっぱり、次のプラスワンは、花陽ちゃんしかいなかったんや」

「花陽しか…ですか?」

「花陽ちゃんのプラスワンは、凛ちゃんと真姫ちゃんを併せて入部させるという、実は3倍の効果をもたらしたんよ」

「大袈裟です」

「そして、花陽ちゃんの存在は、孤独の縁にいた矢澤にこ…にこっちを救った」

「あれは穂乃果ちゃんたちのアイデアで、にこちゃんを先輩として敬意を表すれば、きっと受け入れてくれるって」

「それだけじゃ、にこっちは心を開かなかったと思うんよ。その中に同じ趣味を持つ花陽ちゃんがいたからこそ、初めてにこっちはOKを出した」

「そこまでのチカラ、花陽には…」

「ある!断言できる!」

「にこっちの一番の理解者は花陽ちゃんなんよ。ちゃんと先輩としてリスペクトしてるのは、花陽ちゃんだけなんやから」

「他の人たちも、決してそう思ってないわけじゃないと思いますけど…」

「花陽ちゃんがいなければ、アイドル論を巡って対立…にこっちが…もしくは、他のメンバーが退部。歴史は繰り返す…になっていたとこやん」

「そう…ですかね…」

「にこっちにそんな話しても、素直に認めんと思うけど。だから、にこっちに替わって、まずウチからお礼をさせて欲しいんや。μ'sにいてくれて、ありがとう」

希は花陽の隣で、座りながらだが、深々と頭を下げた。

 

「希ちゃん、にこちゃんのこと、大好きなんですね」

「μ'sで嫌いなメンバーなんておらんよ」

「そうじゃなくて…多分、メンバーの中で、にこちゃんを一番理解してるのは、希ちゃんです!」

「そこは、微妙なとこやね」

「どうしてですか?」

「それならば、もっと早く、にこっちを救ってあげられた…。結局、2年間、悩んで苦しんでいたにこっちに…何もしてあげられなかったんよ。ウチがμ'sに入ったのは…せめてもの罪ほろぼし…そんな部分も…ないわけやないんや…」

「希ちゃん…」

 

花陽は希の手をギュッと握りしめた。

「希ちゃんはやっぱり、卑怯者なんかじゃないですよ。だから…泣かないで下さい…」

 

気付けば、一筋の涙が希の頬を伝っていた…。

 

 

 

 

 

~つづく~

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