【ラブライブ μ's物語 Vol.1】Can't stop lovin'you! ~花陽ちゃんへの愛が止まらない~   作:スターダイヤモンド

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新しいわたし その14 ~凛ちゃんは恋人?~

 

 

 

 

 

希の脳裏に、にこが必死にビラを配り、部員を勧誘していた姿が甦る。

変わり者扱いされて、やがてクラスで孤立を深めていく様子は、自分自身とシンクロしていた。

ことあるごとに手を差しのべようとアプローチしてみるも、にこの闇は深く、絵里のように打ち解けることは出来なかった。

 

その闇に光を灯したのが穂乃果たちであり『アイドルオタク』という呪縛から解き放ったのが花陽である…と、希は語った。

 

「だから、そのことによってウチも救われたんよ」

「希ちゃんも?」

「そう、ウチも。いつか見たいと思ってたんやから…にこっちの『営業用』じゃない『心からの笑顔』」

と、戸棚の中のフォトスタンドを指差した。

「叶えてくれたんよ…花陽ちゃんが」

「それは、花陽だけじゃありません。みんなのチカラです…」

「うん、そうやね。そうなんやけど、やっぱり花陽ちゃんのチカラは大きいんよ」

「そう…なんですかね…」

「そうなんよ。そして、にこっちがみんなとひとつになってくれたことで、ウチもようやく決心できた。だから、えりちをも巻き込んで参加した。すべてが、繋がってるんよ」

「ピンと来ないです」

「そこがいいとこやと思う。花陽ちゃんは自然と、意識せずとも周りの人をプラスに導く…幸せにするチカラを持っているんやね。…真姫ちゃんにしても、にこっちの二の舞になっていた可能性、大やからね」

「凛ちゃんと真姫ちゃんに関しては、未だにこれで良かったのか、わかりません。凛ちゃんはああいう性格だから、自分のことは二の次なところがあるし、真姫ちゃんに至ってはお医者さんになる…っていう明確な意志があったのに、花陽が巻き込んでしまったのではないかと…」

「それは取り越し苦労やん」

希は花陽の話を途中で切った。

「凛ちゃんも真姫ちゃんも、きっかけはどうであれ、最終的には自ら参加した。そして、サボることなく歌にダンスに頑張り、あんなに素敵な笑顔をしている…それが答えなんやない?」

「…そうですね…」

花陽はその言葉を聴いて、心の隅にあったモヤモヤとしていたものが、消えていった気がした。

「…と、ここまでが花陽ちゃんに感謝、感謝の理由」

「色々な偶然が重なっただけです…」

「始めに言ったやろ。偶然も度重なれば、それは必然なんやって」

「…じゃあ、その…花陽が一番大事ってことについては?」

花陽は俯(うつむ)きながら、小さな声で訊いた。

 

 

 

「花陽ちゃんにとって、凛ちゃんはどういう存在?」

 

 

 

「えっ?」

その質問は想定外であった。

不意を突かれた花陽は、暫く沈黙した。

 

 

 

「どういう存在…ですか?」

苦し紛れに、質問の意味を訊き直してみる。

「そう。花陽ちゃんにとって、凛ちゃんはどういう存在?…お姉さん?妹?お母さん?先生?親友?それとも…彼氏?彼女?」

「随分と意地悪な、難しいことを訊きますね…」

花陽は当惑した。

 

 

 

凛との付き合いは長い。

小学校からの親友だ。

だが、気弱な花陽を励まして助けてくれたのは、いつも凛だった。

花陽は…どちらかというと、常に『引っ張ってもらっている』という意識が、心の片隅にはあった。

 

…自分に親友と呼べる資格があるのか…

 

凛には訊いたことがない。

凛はいつも自分のことを気遣ってくれるから、仮に『そうでなくても』親友だ…と答えるに違いない。

そして、そんなことで悩む花陽にた対して「こっちのかよちんも好きだにゃ~」と一笑するに違いない。

 

 

 

希に改めて問い正されて、花陽の心は揺れていた。

 

「とても、とても大切な…家族のような友人…です…」

やっとのことで絞り出した答えは、その一言だった…。

 

「友人…親友ではないんや?」

「それは…花陽はそう思ってるんですけど…そう思ってもらえてるかは、自信ないです…」

「そうなんや…。じゃあ、恋人と思ったことは?」

「こ、恋人ですか!?…そ、そんな、女の子同士で、そんな」

「別に、そんなに恥ずかしがることではないんよ。今は『LGBT』とか性同一性障害とかいう言葉も一般的になってきてるし、仮にそうであったとしても、なんもおかしくないやん」

「それはそうですが…凛ちゃんをそういう対象で見たことは…ないです」

と、言ってみたものの、それも今一つ自信がない。

そもそも、恋愛という経験がないのだ。

『好き』という感情はあっても、それが恋人たちの『それ』に相当するのか、花陽にはわからなかった。

 

「逆に凛ちゃんは、花陽ちゃんのこと、どう思ってるんやろ?

「えっ…」

「花陽ちゃんは『大切な家族のような友人』って言ったけど、凛ちゃんに訊いたら何て答えるんやろ?」

「それは…」

言葉に詰まる。

「いつかハッキリさせなきゃいけない日がくるんよ。だから『どっちに転んでも』受け入れる準備はしておかなきゃ…」

「『受け入れる』…ですか?」

「花陽ちゃんが『どっちを望んでるのか』わからないんやけど、凛ちゃんが親友と言っても、姉妹(きょうだい)と言っても…恋人と言っても…」

「恋人…」

「まずは受け入れてあげる。受け入れてから、お互いの気持ちを確認すればいいんよ」

「…すごく難しい話になりましたね…」

「でも、ウチの気持ちを伝えるには避けられ話なんよ…」

希は花陽の目を見つめた…。

 

 

 

 

 

~つづく~

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