【ラブライブ μ's物語 Vol.1】Can't stop lovin'you! ~花陽ちゃんへの愛が止まらない~   作:スターダイヤモンド

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新しいわたし その15 ~戦友~

 

 

 

 

 

「ウチはえりちのこと『戦友』やと思ってるんよ…」

 

「戦友…ですか?…」

花陽にとって、またも想定外の言葉が飛び出してきた。

 

「そう、戦友…」

「親友ではなくて…ですか?」

「初めてえりちに会ったとき、ウチと似た性格やな…いつも独りで寂しいそうで…この娘となら仲良くなれるんやないかと思ったんよ。…それで、何とか興味もってもらおうと、関西弁で話しかけたりして…」

「その話は誰かから聴いたことがあります」

「余談やけどね…ウチ、小さい頃、少しだけ大阪にいたんよ」

「それは初耳です」

「だから、本気出せば、もう少し『まともな大阪弁』を喋ることができるんよ。ただ、こっちの生活が長くなって、ほぼ封印状態やったから、だいぶ怪しくなってるかも…やけど」

「だから学校以外では…」

「そう。生粋の関西人ではないからね、中途半端やと恥ずかしいやろ?」

「花陽はむしろ標準語で話す希ちゃんの方が、違和感ありましたけどね」

「そうかも知れんね…」

「…それで絵里ちゃんとの話は?」

「そうやった。横道に逸れたね」

そう言うと希は…ごめん、ノドが乾いた…と、水を口にした。

 

「えりちは最初『変なヤツ』…って思ってたみたい…。でも、ウチがあんまりしつこくするから、渋々、話を聴くようなった…って。これは、あとから本人に聴いた話なんやけどね」

「そこから今に至るんですよね」

「結構、紆余曲折もあったんよ、ここまで来るには」

「でも、お互い、凄い信頼関係で結ばれてると思いますよ」

「そこなんよ!」

「えっ?」

「さっき、ウチはえりちのこと、戦友って言ったやん」

「はい」

「ウチは転勤が多くて、その度に引っ越ししてたから…花陽ちゃんや凛ちゃん、もしくは穂乃果ちゃんたち3人みたいに、昔からの友人っていないんよ。…正直、仲良くなっても、また転校になっちゃうなら、そんなのいらない!って思ってたんよ」

 

希の告白に、花陽は相槌が打てなかった。

 

「でも、この学校に来て、ひとり暮らしを始めて、もう引っ越さなくても良くなったときに、やっぱり、友達が欲しくなったんよね…そこにいたのが、絢瀬絵里やった」

「そこで、さっきの話に戻るんですね」

「えりちも帰国子女やったこともあってか、または性格的なものなのか…クラスでは孤高の存在やったから…ウチと同じ『匂い』を感じたんよ…。この娘なら解り合えるんやないかって…」

「予想的中ですね」

「そうやね。つい、この間まではそう思ってた…」

「えっ?この間までは?」

花陽は今日、何度、希の言葉を聞き返したろう。

次々と予想だにしないワードが飛び出してくる。

「今、過去形で言いました?」

希は軽く頷いた。

 

「知り合って2年半…ウチもえりちも色んな話をしたし、色んな相談もした。一緒に買い物もしたし、お互いの家に泊まったりもする。趣味は合わないし性格も真逆やけど、ウチにとってえりち以外の友人はいないんよ」

「それを親友って言うんじゃないんですか?」

「そう言い切れる自信がないんやね…」

「どうしてですか?」

「えりちがウチのことをどう思ってたか、それがわからないんよ」

「そんな…絵里ちゃんだって、きっとそう思ってますよ。そんなの、誰がどう見たって…」

 

 

 

「でも、えりちは…ウチの前で泣いたことは一度もないんよ…」

 

 

「えっ!?」

またも花陽は同じ疑問符を口にした。

 

 

 

「えりちは…ウチの前で泣いたことがないんよ。ウチも彼女も、色んな苦しみとか悩みとかあったんよ。その度に相談したし、相談に乗った。そうやって、お互い苦難を乗り越えてきたつもりやったんやけどなぁ…。それがえりちの芯の強さであり、ウチに対する優しさやったんかも知れないんやけど…」

「きっとそうですよ」

「それは、痛いほどわかってるんよ。わかってるんやけど…」

「わかってるんやけど?」

花陽は希の口調に合わせて訊き返しす。

希は先程の水を、もう一口飲んだ。

 

「えりちがμ'sに入るときに、感情を爆発させたことがあったやん…あの瞬間、ウチの役割は終わったような気がしたんよ」

「役割?」

「ウチは、結局、えりちの心を解放してあげることは出来なかった…」

「どういうことですか?」

「さっきも言ったやん。えりちは、ウチの前では泣いたことがなかった…って。本来はもっともっと前に、ウチがそうさせてあげたかったんやけど…それを成し遂げたのはμ'sのメンバーやった」

「そんなことないですよ」

「じゃあ、花陽ちゃんに訊くよ。相手に自分の弱さを見せられない、見せたくない…それは信頼されてない…って、ことなんやないやろか?心を許さない間柄…それを親友って言えるんやろか?」

「…絵里ちゃんがどう思ってるか、訊いたことはありますか?」

「ふふふ…さっきと逆やね」

「そうですね」

「…その質問に対する答えは、花陽ちゃんの時と同じやと思う」

「…そう言われると…返す言葉がないです…」

「ただ、花陽ちゃんと違うのは、ウチはもう割りきってる…ってことやね」

「割りきってる?」

「そう。そこで導きだしたのが、ウチにとって、えりちは戦友だった…ってこと」

「戦友…」

「何と戦ってたのか…って問われれば、答えに窮するけどね…。まぁ、強いて言えば、孤独とかプライドとか、素直になれない自分自身と戦ってたんやろうね。それを2人で励まし合いながら、支え合いながら、共に戦ってきた…って感じやね」

「奥が深いです…」

「でも、その戦いは終わったんよ」

「終わった?」

「えりちも、にこっちと同様にμ'sに入って、過去の呪縛から解き放たれたやろ。正直、あんなにイキイキとして踊る姿は、ウチ、想像できんかったもん」

「輝いてますよね」

「ウチ、知らない間に『友達になりたい』から『友達になってあげなきゃ』ってスタンスでえりちのこと、見てたんやと思う。偉そうにね…。でも、もう、それは必要なくなったんよ、きっと。だって、えりちは自分自身の居場所を見つけたんやから」

 

希の言葉には清々しさと、少しの寂しさが同居していた…。

 

 

 

 

 

~つづく~

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