【ラブライブ μ's物語 Vol.1】Can't stop lovin'you! ~花陽ちゃんへの愛が止まらない~ 作:スターダイヤモンド
「ウチなぁ…」
沈黙を破ったのは希だった。
互いが抱き締め合った時間は、ものの数十秒…。
それでも花陽にとっては、とてつもなく長い時間に感じられた。
「ウチなぁ…」
花陽が聴いていないと思ったのか、希が言い直す。
「聴いてますよ…」
「ウチ、花湯ちゃんが好きで好きで、たまらんのやけど」
「はい…」
「花湯ちゃんを『どうしたい』のかが、わからんのよ」
「?」
「とにかく一緒に居たい、とにかく一緒に居て欲しい…その気持ちに偽りはないんやけど…」
「…やけど?…」
「妹にしたいのか、恋人にしたいのか…もっと言うと彼氏にしたいのか彼女にしたいのか、それがブレブレやねん」
「彼氏?彼女?…ですか…」
「その時々によって『姉目線』やったり『男性目線』になったりするんよ』
「はぁ…」
「花湯ちゃんが困ってる顔を見ると、ウチが助けてあげなきゃって思うし、喜んでるとこを見れば、こんなかわいい娘が自分の彼女やったらええのになぁ…って思う。」
「照れますね…」
「花陽ちゃんには、ずっとピュアでいて欲しいと思うんやけど、その反面、日々の成長も楽しみにしてる」
「でも、海未ちゃんみたいなったら、花陽ちゃんは花湯ちゃんやなくなるしやな…あぁ、何言ってんやろ」
「嬉しいですよ。花湯はメンバーの中で、自分はお荷物だと思ってましたから」
「そんなん思ったらあかん。言うたやん、花湯ちゃんが1番の功労者やって」
「だから、今日、希ちゃんにその話をしてもらって、かなり勇気が出ましたよ。…それと…」
花陽は少し間を置いてから、言葉を続けた。
「凛ちゃん以外に、花陽のことを想ってくれてる人がいることを知って、とても幸せです」
「ウチも結果がどうであれ、自分の想いを伝えられて、めっちゃ、ホッとしてる。今はね…」
「今は?」
「そう、今、この瞬間は。これを伝えたことによって、色々このあとの方が大変やからね…」
「確かに…」
「もうひとつ、ついでにカミングアウトしてええ?」
「はい…」
「ウチなぁ、男性目線になった時は、滅茶苦茶エッチなことがしたくなるんよ」
「…エッチなこと?ワシワシ?」
「それ以上のこと…」
「のわっ!!」
「ウチ、変態なんやろか…」
「いやぁ…それは…」
凛を見ても何も感じないが、やはり希の胸の大きさを目の当たりにすれば、花湯だって時折、変な気分になる。
だから希の言葉を、無下に肯定も否定もできなかった。
「女子高あるある…ですよね」
「そういうことにしといてくれへん」
「はい」
花湯が微笑む。
「それや…その笑顔がウチを狂わせるんよ…あぁ、ホンマに可愛い!」
「えっと…今は『何目線』ですか…」
「完全に男性目線…」
「わっ…」
「…大丈夫、ギリギリのとこで耐えてるから…」
「は、花湯はどうしたら…」
「今はそのままでいて…」
「はい…」
花湯は、このベッドから逃げられないことを悟っている。
逃げるつもりもない。
むしろ自分を好いてくれた人に、報いてあげたい…そう思った。
しかし、何をしてあげればよいかわからない。
なので、言われたまま横になっているしかなかった。
「電気…消してもええ?」
「えっ?あ、はい…」
「うん、じゃあ消すね…」
希はリモコンで、部屋の灯りを落とした。
希の部屋は窓が2つあるが、それぞれ薄手の青いカーテンが付けられている。
そこから、うっすらと月明かりが漏れて、目が慣れれば、真っ暗闇というわけではない。
「えりちは暗いの苦手なんやねん。これくらいでも、怖いっていうのや」
「意外ですね」
「ああ見えて、可愛いとこもあるんよ」
「絵里ちゃんは充分可愛いですよ」
「性格の話」
「確かに最初は怖かったですけど…。やっぱり絵里ちゃんと比較しちゃいますか」
「ん?そんなんちゃうよ…。気ぃ悪くした?」
「いえいえ、仕方ないです。たぶん花陽も凛ちゃんと比べちゃいますから…」
「例えば?」
「胸の大きさとか?」
「むふふ…それは負けへんね」
そういうと希は、ルームウェアのボタンを外し始めた。
暗い部屋の中でも、何をしてるかはわかる。
「の、希ちゃん?」
「さっき、お風呂ん中で触れんかったやろ?ウチのおっぱい…」
「えっと、その…んっ!」
希は突然、自らの唇で花陽の唇を塞いだ。
それは、ほんの一瞬の出来事。
「堪忍してや、やっぱ、我慢でけへんかった…」
「…花陽の初めてのチューは、ミントの香りです…」
「さっき一緒に歯みがきしたからやん」
希はそう言うと、再び唇を重ねた。
2度目のキスは、さっきとは比較にならないほど長い時間だった。
~つづく~