【ラブライブ μ's物語 Vol.1】Can't stop lovin'you! ~花陽ちゃんへの愛が止まらない~   作:スターダイヤモンド

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希編は一旦、完結です。





新しいわたし その18 ~一宿一飯の恩義?~

 

 

 

 

希が目覚めた時、隣に花陽はいなかった。

枕元に置いてあるスマホで時間を確認する。

「…まだ6時やん…」

希は眠い目を擦りながら、上半身を起こす。

起こしてから気付く。

「あ…裸のまんまで寝落ちしてしまったん…」

脱ぎ捨てたハズのルームウェアは、丁寧に畳まれ、部屋にある丸いローテーブルの上に置かれていた。

しかし、ショーツは見当たらない。

仕方なしに急ぎルームウェアだけを身に付けて、ダイニングキッチンへと移動する。

間仕切りを開けたとたん、芳しい匂いが漂ってきた。

 

 

そこに花陽の姿があった。

 

 

花陽はすでに昨日着ていたワンピースに着替えている。

 

「…おはよう」

「あ、希ちゃん、おはようございます!」

「ウチ、知らないうちに寝てしまったみたいで」

「花陽もです。気付いたら朝でした」

「ところで、何してるん?」

「朝食を作ってます」

「それは見ればわかるんやけど…なんか、めっちゃいい匂いやね」

「これですか?これは、ゴマ油で炒めたキャベツのお味噌汁です」

「美味しそう…」

「本当ですか?嬉しいです」

「これは…」

「明太子入りふわふわ卵焼きです」

「ふわふわ?」

「少し牛乳を加えて、フワッとさせてみました」

「これは?」

「キャベツの芯の海苔ハムチーズ巻きです」

「そして、ここに並んでるのは?」

「見ての通り、おにぎりです。希ちゃんちの炊飯器はちっちゃいから…。待ってて下さいね、もうすぐ3回目が炊けるので」

 

…一体、何個のおにぎりを作るつもりなんやろ…

 

心の中で呟いく希。

 

「どうしました?」

「いや…久しく、ご飯なんか作ってもらったことがないから、それだけでも感動なんやけど、この料理の充実ぶりは…」

「恐縮です。でも他人(ひと)の冷蔵庫を勝手に開けて言うのもなんですが、中身がスカスカで…これくらいしか出来ず、いささか不本意です」

「充分やって。朝から何品作るんよ…。それより、昨日の晩、明日は7時まで寝てようって言ったのに、何時から起きてるん?」

「まぁ、それはですね…花陽が先に早く起きただけなので気にしないでください。それよりも、希ちゃん、朝ご飯、ちゃんと食べないとダメですよ。いつもコーヒーか紅茶だけで、済ませてません?」

「ま、まぁ、そやね」

「食べることはすべての生活の基本ですから…」

 

「…」

 

「どうしました?」

「朝、起きたら、奥さんが朝ご飯を作ってくれてるみたいな…ウチ…今…新婚のダンナさんになった気分や…」

「はい?」

「花陽ちゃん、それ完璧に新妻やん」

「新妻…ですか?花陽にとっては、毎日のことですよ」

「こんなんされたら、ますます惚れちゃうやん」

希は花陽の背後に迫ると、そのまま抱きついた。

「わっ!わっ!ダメです、ダメです!そういうことは、また今度!」

「そ、そやね…」

希は慌てて、手を離して後退(あとずさ)りした。

「ん?また今度?」

「こ、言葉の綾です」

 

…残念…

 

希は少し落胆した。

 

「それより、ウチのパンツ知らん?」

「あ、借りたスウェットと一緒に洗濯中です…」

「なんと、そこまで!?」

「一宿一飯の恩義です」

「どこまで出来た娘なんやろ…」

「はい?」

「いや、別に…。それで花陽ちゃんのパンツは?」

「えっと…花陽のも濡れちゃったんですが、一緒には洗えないので、持って帰ります」

「なんで、一緒に洗ったら良かったんやない?」

「ここで洗ったら、希ちゃんに持ってきてもらわないと…じゃないですか」

「別にそれくらい…」

「でも、もしバレちゃったら大変ですから」

「そ、そやね。…じゃあ、今はノーパン?」

「安心して下さい、履いてますよ。昨日プレゼントしてもらったオレンジのを」

「そっか」

 

…ウチはまだ履いてないやけどね…

 

またも心の中で呟く希。

 

そこに炊飯器が、炊き上がりを知らせるメロディーを鳴らす。

「あ、炊けましたね!食べましょう、一緒に」

「ありがとう、この状況で断る理由はないやね」

「では、お茶碗とお椀とお箸の用意をお願いします」

「う、うん」

 

…食べることになると、仕切り具合が違うわね…

 

「ほい、用意出来たよ」

「では、いただきましょう!」

「いただきます!」

「やっぱ、炊きたてのご飯は最高ですね~!」

「このお味噌汁、美味しい!。ゴマ油がいいアクセントになってるやん」

「朝、身体に熱を入れるのは、とても大事ですからね」

「この卵焼きも、ご飯に合う」

「困った時の明太子です。辛いのが苦手でなければ、重宝しますよ」

「このキャベツの芯を巻いたのも」

「芯はそのままだと固いので、湯がいて繊(せん)切りにしてます」

「にこっちの料理の上手さは知ってたけど、花陽ちゃんも負けてないやん!」

「ありがとうございます!!」

「将来、花陽ちゃんのダンナさんになる人は、ホント幸せやね。ウチも料理覚えようかな?」

「ぜひ、ぜひ!です」

「それとも、ウチが花陽ちゃんのダンナさんになろうかな?」

「あっ…」

「ふふふ…半分冗談、半分本気」

「あんなことをしておいて、冗談では済まされませんよ」

「じゃあ、本気でいいん?」

「えっと…それはそれで困るような、困らないような…」

「くれぐれも、昨日今日のことは、みんなには内緒やからね」

「とてもじゃないけど、言えないですから」

「ひとり暮らししてることも」

「はい」

「これは、いつかバレるかも…やけど、今は余計な心配させる訳にはいかないから」

「そうですね。それは大丈夫です」

「ウチからあんな事しといてなんやけど、今まで通りに接して欲しい…」

「もちろんです」

「最大の難敵は凛ちゃんやね」

「鋭いですからね…。でも、凛ちゃんなら、きっとわかってくれると思いますよ」

「なら、いいけど。ごめんなぁ、ウチのわがままで、こんなんなって」

「いえ、いえ。確かに予想外のことがいっぱいありましたが、希ちゃんがどんな想いでμ'sを支えてくれていたかもわかりましたし、花陽への気持ちも単純に嬉しかったですし、内容の濃い1日でした」

「ありがとう、そう言ってくれると、ウチも救わるわ」

「どういたしまして」

「残りの半年間、ウチはμ'sの為に全力を尽くす」

「はい、花陽も」

「活動が終わって、なお花陽ちゃんへの気持ちが冷めていなかったら、その時は改めて告白する」

「はい」

「でも、それまでの間に何が起きても、お互い恨みっこなしやから」

「はい」

「じゃあ、約束」

希と花陽は目と目を合わせ、視線で握手を交わした。

 

 

 

 

 

食事を終えると、花陽は身仕度を整え、自宅に戻っていった。

 

花陽とは、数時間後、再び、顔を合わせる。

果たして、何事も無かったように接することなど出来るんだろうか。

他のメンバーを騙している…という疚しさは消せないかも知れない。

希の脳裡に一抹の不安が残る。

 

そして、それと同時に、後悔していることがもうひとつ。

 

 

 

 

 

…ウチとしたことが、花陽ちゃんの入浴シーンとベッドシーンを、ビデオに撮るの忘れてしもうた…

 

 

 

 

 

キンコ~ン!

 

そんな邪推をしていると絵里からLINEが入った。

 

…さすが、えりち…

…わかってるって、せぇへんよ、そんなことは…

 

《熱中症に注意!》

 

相変わらず、必要最低限のなんの飾りっ気のない文章。

 

…えりちらしいね…

 

《えりちも気を付けてな。朝ご飯、しっかり食べないといかんよ》

 

希はそう返信した。

 

 

 

 

 

空を見上げると、今日の暑さを想像させるには充分な、雲ひとつない晴天。

 

しかし、今はまだ、風が涼しく吹いており、適度な心地よさがある。

 

明日で9月も終わる。

季節は確実に秋を迎えようとしていた…。

 

 

 

 

 

新しいわたし

~完~







いかがでしたでしょうか?
もっとエロくしようかと思いましたが、それはまたの機会と致します。

次は誰が花陽ちゃんにアプローチするんでしょうね…。

ご意見、ご感想をお待ちしております。


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