【ラブライブ μ's物語 Vol.1】Can't stop lovin'you! ~花陽ちゃんへの愛が止まらない~ 作:スターダイヤモンド
希編は一旦、完結です。
希が目覚めた時、隣に花陽はいなかった。
枕元に置いてあるスマホで時間を確認する。
「…まだ6時やん…」
希は眠い目を擦りながら、上半身を起こす。
起こしてから気付く。
「あ…裸のまんまで寝落ちしてしまったん…」
脱ぎ捨てたハズのルームウェアは、丁寧に畳まれ、部屋にある丸いローテーブルの上に置かれていた。
しかし、ショーツは見当たらない。
仕方なしに急ぎルームウェアだけを身に付けて、ダイニングキッチンへと移動する。
間仕切りを開けたとたん、芳しい匂いが漂ってきた。
そこに花陽の姿があった。
花陽はすでに昨日着ていたワンピースに着替えている。
「…おはよう」
「あ、希ちゃん、おはようございます!」
「ウチ、知らないうちに寝てしまったみたいで」
「花陽もです。気付いたら朝でした」
「ところで、何してるん?」
「朝食を作ってます」
「それは見ればわかるんやけど…なんか、めっちゃいい匂いやね」
「これですか?これは、ゴマ油で炒めたキャベツのお味噌汁です」
「美味しそう…」
「本当ですか?嬉しいです」
「これは…」
「明太子入りふわふわ卵焼きです」
「ふわふわ?」
「少し牛乳を加えて、フワッとさせてみました」
「これは?」
「キャベツの芯の海苔ハムチーズ巻きです」
「そして、ここに並んでるのは?」
「見ての通り、おにぎりです。希ちゃんちの炊飯器はちっちゃいから…。待ってて下さいね、もうすぐ3回目が炊けるので」
…一体、何個のおにぎりを作るつもりなんやろ…
心の中で呟いく希。
「どうしました?」
「いや…久しく、ご飯なんか作ってもらったことがないから、それだけでも感動なんやけど、この料理の充実ぶりは…」
「恐縮です。でも他人(ひと)の冷蔵庫を勝手に開けて言うのもなんですが、中身がスカスカで…これくらいしか出来ず、いささか不本意です」
「充分やって。朝から何品作るんよ…。それより、昨日の晩、明日は7時まで寝てようって言ったのに、何時から起きてるん?」
「まぁ、それはですね…花陽が先に早く起きただけなので気にしないでください。それよりも、希ちゃん、朝ご飯、ちゃんと食べないとダメですよ。いつもコーヒーか紅茶だけで、済ませてません?」
「ま、まぁ、そやね」
「食べることはすべての生活の基本ですから…」
「…」
「どうしました?」
「朝、起きたら、奥さんが朝ご飯を作ってくれてるみたいな…ウチ…今…新婚のダンナさんになった気分や…」
「はい?」
「花陽ちゃん、それ完璧に新妻やん」
「新妻…ですか?花陽にとっては、毎日のことですよ」
「こんなんされたら、ますます惚れちゃうやん」
希は花陽の背後に迫ると、そのまま抱きついた。
「わっ!わっ!ダメです、ダメです!そういうことは、また今度!」
「そ、そやね…」
希は慌てて、手を離して後退(あとずさ)りした。
「ん?また今度?」
「こ、言葉の綾です」
…残念…
希は少し落胆した。
「それより、ウチのパンツ知らん?」
「あ、借りたスウェットと一緒に洗濯中です…」
「なんと、そこまで!?」
「一宿一飯の恩義です」
「どこまで出来た娘なんやろ…」
「はい?」
「いや、別に…。それで花陽ちゃんのパンツは?」
「えっと…花陽のも濡れちゃったんですが、一緒には洗えないので、持って帰ります」
「なんで、一緒に洗ったら良かったんやない?」
「ここで洗ったら、希ちゃんに持ってきてもらわないと…じゃないですか」
「別にそれくらい…」
「でも、もしバレちゃったら大変ですから」
「そ、そやね。…じゃあ、今はノーパン?」
「安心して下さい、履いてますよ。昨日プレゼントしてもらったオレンジのを」
「そっか」
…ウチはまだ履いてないやけどね…
またも心の中で呟く希。
そこに炊飯器が、炊き上がりを知らせるメロディーを鳴らす。
「あ、炊けましたね!食べましょう、一緒に」
「ありがとう、この状況で断る理由はないやね」
「では、お茶碗とお椀とお箸の用意をお願いします」
「う、うん」
…食べることになると、仕切り具合が違うわね…
「ほい、用意出来たよ」
「では、いただきましょう!」
「いただきます!」
「やっぱ、炊きたてのご飯は最高ですね~!」
「このお味噌汁、美味しい!。ゴマ油がいいアクセントになってるやん」
「朝、身体に熱を入れるのは、とても大事ですからね」
「この卵焼きも、ご飯に合う」
「困った時の明太子です。辛いのが苦手でなければ、重宝しますよ」
「このキャベツの芯を巻いたのも」
「芯はそのままだと固いので、湯がいて繊(せん)切りにしてます」
「にこっちの料理の上手さは知ってたけど、花陽ちゃんも負けてないやん!」
「ありがとうございます!!」
「将来、花陽ちゃんのダンナさんになる人は、ホント幸せやね。ウチも料理覚えようかな?」
「ぜひ、ぜひ!です」
「それとも、ウチが花陽ちゃんのダンナさんになろうかな?」
「あっ…」
「ふふふ…半分冗談、半分本気」
「あんなことをしておいて、冗談では済まされませんよ」
「じゃあ、本気でいいん?」
「えっと…それはそれで困るような、困らないような…」
「くれぐれも、昨日今日のことは、みんなには内緒やからね」
「とてもじゃないけど、言えないですから」
「ひとり暮らししてることも」
「はい」
「これは、いつかバレるかも…やけど、今は余計な心配させる訳にはいかないから」
「そうですね。それは大丈夫です」
「ウチからあんな事しといてなんやけど、今まで通りに接して欲しい…」
「もちろんです」
「最大の難敵は凛ちゃんやね」
「鋭いですからね…。でも、凛ちゃんなら、きっとわかってくれると思いますよ」
「なら、いいけど。ごめんなぁ、ウチのわがままで、こんなんなって」
「いえ、いえ。確かに予想外のことがいっぱいありましたが、希ちゃんがどんな想いでμ'sを支えてくれていたかもわかりましたし、花陽への気持ちも単純に嬉しかったですし、内容の濃い1日でした」
「ありがとう、そう言ってくれると、ウチも救わるわ」
「どういたしまして」
「残りの半年間、ウチはμ'sの為に全力を尽くす」
「はい、花陽も」
「活動が終わって、なお花陽ちゃんへの気持ちが冷めていなかったら、その時は改めて告白する」
「はい」
「でも、それまでの間に何が起きても、お互い恨みっこなしやから」
「はい」
「じゃあ、約束」
希と花陽は目と目を合わせ、視線で握手を交わした。
食事を終えると、花陽は身仕度を整え、自宅に戻っていった。
花陽とは、数時間後、再び、顔を合わせる。
果たして、何事も無かったように接することなど出来るんだろうか。
他のメンバーを騙している…という疚しさは消せないかも知れない。
希の脳裡に一抹の不安が残る。
そして、それと同時に、後悔していることがもうひとつ。
…ウチとしたことが、花陽ちゃんの入浴シーンとベッドシーンを、ビデオに撮るの忘れてしもうた…
キンコ~ン!
そんな邪推をしていると絵里からLINEが入った。
…さすが、えりち…
…わかってるって、せぇへんよ、そんなことは…
《熱中症に注意!》
相変わらず、必要最低限のなんの飾りっ気のない文章。
…えりちらしいね…
《えりちも気を付けてな。朝ご飯、しっかり食べないといかんよ》
希はそう返信した。
空を見上げると、今日の暑さを想像させるには充分な、雲ひとつない晴天。
しかし、今はまだ、風が涼しく吹いており、適度な心地よさがある。
明日で9月も終わる。
季節は確実に秋を迎えようとしていた…。
新しいわたし
~完~
いかがでしたでしょうか?
もっとエロくしようかと思いましたが、それはまたの機会と致します。
次は誰が花陽ちゃんにアプローチするんでしょうね…。
ご意見、ご感想をお待ちしております。