【ラブライブ μ's物語 Vol.1】Can't stop lovin'you! ~花陽ちゃんへの愛が止まらない~ 作:スターダイヤモンド
夏から秋への衣替えと言うと、全国的に10月という学校が多い。
しかし、音ノ木坂は9月からが衣替えである。
9月からだと、残暑が厳しい年は相当つらい。
今年がまさにその年だった。
制服の衣替えに併せて、μ'sのメンバーの練習着も秋仕様に変わった。
…と言っても、基本的にはそれほど大きな違いはなく、Tシャツの中に長袖のインナーを着込んだとか、レギンスの長さが変わったとか、その程度である。
いわばマイナーチェンジ。
穂乃果などは、色違いではあるが、相変わらず大きく『ほ』とプリントされたTシャツを着ており、凛に「それは穂乃果ちゃんの手作りにゃ!?」とツッコミを入れられていた。
しかし希は随分と印象が違う。
これまでは半袖のTシャツに、7分丈のパンツスタイルだった。
それが長袖のTシャツとショートパンツの『ヨガウェア』、オーバーニーのタイツにレッグウォーマーという、一歩間違えれば80年代のエアロビインストラクターか…というほどフルモデルチェンジをしていた。
そして、ここにもうひとりフルモデルチェンジしたメンバーが…。
真姫である。
頭部はそれまでのキャップからニット帽になり、Tシャツの上にはウインドブレーカーを着用、ボトムはフリル付きのレギンス…という仕様に変更されていた。
来週くらいからは一気に秋らしくなるらしいが、10月に入ったにも関わらず、まだ気温は高い。
海未はアップを始めると、すぐに汗ばんでしまった。
そこで、着ていたパーカーを脱ぎつつ
「真姫も、その格好では少し暑いのではないですか?」
と気遣い、声を掛けた。
しかし返ってきた答えは
「私は大丈夫だから…」
であった。
そもそも、夏場でも黒いキャップに黒いTシャツ、丈の長いボトムにブーツという、およそ暑さを無視した格好だった真姫。
暑さに強いのか、寒がりなのか、海未には判断がつかなかった。
その真姫が1人メンバーが足りないことに気付き
「花陽は?」
と一緒にランニングをしている海未に訊く。
「そういえばいませんね…。ですが、私も貴方と一緒に上がって来たので、理由まではわかりません」
「それはそうね…」
…そんなこと、当たり前じゃない…
…何を言ってるんだか…
真姫は走りながら呟いた。
その頃花陽は…
「はっくちょん!…うう…誰か私の噂をしてますかね?」
小さくクシャミをしたあと、目の前の2頭のアルパカに、そう話し掛けた。
真姫と海未はアップを終えると、先にストレッチをしていたメンバーと合流した。
ストレッチは二人一組で行われるが、特に組合せは固定はされていない。
その日のメンバーや、その時立っている場所でなんとなく決まる。
この日の組合せは、絵里と希、にこと凛、穂乃果とことり、そして遅れて来た海未と真姫となった。
「くしゅん!」
「希…本当に平気?…まさか裸で寝てたなんて言わないでしょうね?」
「えっ?」
…さすが、えりち…鋭い!…
一瞬ドキリとした希。
「そ、そんなこと、あるわけないやん」
「なら、いいけど。希は室内だと露出癖があるから」
「それじゃ、ウチ、変態やん」
希は苦笑した。
その会話を、にこと凛が耳を欹(そばだ)てて聞いている。
…なんだか、アダルトな話をしてるわね…
…確かに2人ともエッチにゃ~…
…希は普段、裸族なのかしら…
…絵里ちゃんは、それを知ってるにゃ?
2人のストレッチは完全に止まっている。
それを見て穂乃果が訊く。
「にこちゃん、凛ちゃん?どうかした?」
「えっ?いや、別に…」
「そうそう、何でもないにゃ~」
イチ、ニィ、サン、シィ…と誤魔化すように慌てて柔軟をする、にこと凛。
「にこと凛は、意外に仲が良いのですね」
「基本的に同じ部類の人種だから」
「真姫、そういう言い方は失礼かと思いますが」
「あ…ごめん…」
「あ、いえ、私こそ…」
海未も真姫も、打ち合わせ以外での会話はあまり続かない。
ほぼ無言でストレッチが続く。
「そう言えば、花陽はどうしたのです?」
間が持てなくなった訳でもないだろうが、海未が隣で柔軟をしていたことりに訊いた。
「花陽ちゃんは、アルパカさんのお世話をしてから来るので遅れる…って凛ちゃんが言ってたよ。ことりもアルパカさんの飼育委員になれば良かったな」
「…だそうですよ、真姫」
「何で、私に振るのよ」
「花陽がいないことを気にしてませんでしたか?」
「それは…ただ人数が足りていないから訊いただけで…。でも、体調不良とかでないなら問題ないわ。さぁ、練習を続けるわよ」
それを聴いた海未は…自分のことを棚に上げて…と心の中で呟いた。
~つづく~