【ラブライブ μ's物語 Vol.1】Can't stop lovin'you! ~花陽ちゃんへの愛が止まらない~   作:スターダイヤモンド

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ともだち その6 ~それぞれのアフター5~

 

 

 

 

 

「はい、今日はここまでです」

海未が時計を見て、練習の終わりを告げる。

「では、にこから今日の締めの言葉を…」

エッヘン!と咳払いしてから、にこが話し始めた。

 

「予選のライブ撮影まであと1週間を切ったわ。正直、すべてが未完成だし、ギリギリの勝負だけど…にこは…とにかく勝ちたい。ただの想い出にはしたくないの。だからみんなには、中途半端な気持ちでは臨んで欲しくない…」

にこのいつになく真剣な言葉に、一同息を飲む。

「わかってるわね、真姫」

「わ、わかってるわよ…なんで私が名指しされるのよ、意味わかんない」

「さっきも言ったけど、くれぐれも穂乃果の二の舞には絶対にならないでよね。μ'sは9人揃ってなきゃ、意味がないんだから…。何かあったらこのアタシに相談しなさいよ!」

「にこちゃん、先輩みたいにゃ…」

「みたいじゃなくて、先輩なの!まぁ…そういうこと。はい、以上、解散!」

「お疲れ様でした!」

一同、礼をして今日の練習は終わった。

 

「…花陽…」

真姫が帰り支度を始めた花陽を呼び止めた。

しかし、声が小さかったため花陽は気付かない。

もう一度、名前を呼ぼうとしたが

「か~よちん!ラーメン食べに行こう!」

と凛が先に声を掛けてしまった。

「ごめんね。今日はこれから、ことりちゃんの衣装作りのお手伝いがあるの」

「そっか…それは仕方ないにゃ」

「ラーメン食べにいくなら、付き合ってあげてもいいわよ」

残念…とガックリうなだれる凛の前に、そう言って仁王立ちする、にこ。

「穂乃果ちゃん、ラーメン…」

「ごめん、今日はちょっと、お店の手伝いしなくちゃいけなくて…」

「穂乃果ちゃんも手伝いにゃ…」

「アタシが付き合ってあげるわよ」

スーッと凛の正面に顔を突き出す、にこ。

「希ちゃん…」

「ウチも今日はえりちと…」

「海未ちゃんは?」

「私も今日は…」

「ア~タ~シ~が行くって、言ってるでしょう~」

 

無言でにこを見つめる凛。

一呼吸置いてから出たのは、次の言葉だった。

 

「そうしたら真姫ちゃ…」

「まだスルー!?」

にこはその場に倒れこんだ。

その頭を撫でながら凛が言う。

「はぁ…。そうまで言うなら連れてってあげるにゃ」

「…なに…この敗北感…」

その様子を一同、ニヤニヤしながら見ていた。

 

凛ちゃんの『にこっち弄(いじ)り』の徹底ぶりは見事なもんやね…とひとり感心する希。

 

「それじゃあ、行っくにゃ~」

「真姫、アンタも行くわよ」

にこがスクッと立ち上がり、強引に真姫の腕を引っ張る。

「ヴェ~!わ、私はいいわよ!」

「いいから付き合いなさいよ。じゃないと『支払い』が…じゃない、えっと『賑わい』がないじゃない!」

「なにそれ、意味わかんないんだけど」

「いいから、行くわよ!凛!」

「はいにゃ!」

真姫の両脇を、凛とにこが抱え込む。

そして、ほぼ無抵抗の状態で、そのまま真姫は連れ去られて行った。

 

「拉致…やね」

と希。

「拉致…ですね」

海未が返答する。

「それにしても恐るべきコンビネーションです」

「さっきの弄り倒し方といい、凛ちゃん、にこっちのこと、相当好きやね」

「こういうのを相性というのでしょうか」

「2人で川に飛び込んで、身体を暖めあった仲やしね」

「希はどうしてすぐに、そういうことを言うのですか!!破廉恥です!」

海未は顔を真っ赤にして怒る。

「ウチは別に、裸で抱き締めあったとは言うてへんよ。想像しすぎなんやない?」

「…もういいです…」

海未は俯(うつむ)きながら歩き出し、先に中へ入ってしまった。

「海未ちゃん!待ってよ!あ、お先に!!」

と穂乃果があとを追いかける。

 

「ありゃりゃ…海未ちゃんのアレは困ったもんやね…」

「今のは希が悪いわ」

「そうなんやろか…なら、あとで謝っとく」

「謝る話でもないと思うけど…。それより心配なのは真姫よね…花陽、何か変わったことはなかった?」

「はい、特には…」

「そう…」

「でも、もし何かあっても、真姫ちゃん、自分から積極的に話す人ではないので…」

「えりち、実はさっき、ウチも凛ちゃんに同じこと訊いたんよ」

「それで?」

「花陽ちゃんと同じ答えやった」

「ごめんなさい…役に立たなくて…」

「ダメよ、変に責任感じたりしたら。別に花陽が悪いわけじゃないんだから」

「…はい」

「大丈夫だよ、きっと。だって、にこちゃんが一緒だもん」

「ことりちゃんの言う通りやね。にこっちはああ見えて、面倒見がいいからね。それに、理由がわからないまま、ウチらが悩んでても仕方ないやん」

「そうね…今日はにこに任せましょう」

「はい」

「ところで、そっちの進み具合はどう?」

「順調ですよ。花陽ちゃんが手伝ってくれるので、とても助かってます」

「そんな…いつも失敗ばかりしちゃって…」

「そんなことないよ。花陽ちゃんは折り紙とか得意だし、手先が器用だから、数をこなせばすぐ上手になるよ!」

ことりが、花陽の両手を握りしめて微笑む。

「は、はい!頑張ります!」

花陽は恥ずかしげに目を逸らして、そう答えた。

 

ん?今のことりちゃんと花陽ちゃんの表情は…

ひょっとして、ウチのライバルは凛ちゃんだけやないかもしれへん…

希は2人の様子に若干の嫉妬心がを芽生えた。

 

「私たちも手伝ってあげたいんだけど…」

「ウチも、えりちも裁縫はセンスの欠片(カケラ)もないからね」

「任せてくださいな!気持ちだけで結構ですよ。それじゃ、花陽ちゃん」

「あ、はい…では、お先に失礼します」

「ことり、花陽…お願いね」

「はい、頑張って可愛いのを作ります!」

ことりは満面の笑みで応え、花陽と2人、屋上をあとにした。

 

 

 

 

 

~つづく~


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