【ラブライブ μ's物語 Vol.1】Can't stop lovin'you! ~花陽ちゃんへの愛が止まらない~   作:スターダイヤモンド

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ともだち その7 ~ラーメン屋~

 

 

 

 

「今日はここのお店にゃ」

凛とにこ、そして無理矢理連れてこられた真姫…の3人が、ラーメン屋にやって来た。

「初めてのお店?」

「かよちんとはよく来るにゃ。確か真姫ちゃんも1回…」

「そういえば、来たわね…」

「いらっしゃいませ~!!3名様?空いてるお席へどうぞ!」

店員の威勢の良い大きな声が店内に響き、3人はテーブル席に座った。

 

メニューを見ながらにこが訊く。

「凛、ここのお薦めは?」

「それは断然、牡蠣味噌ラーメン!この秋の新作にゃ~」

「一杯、千円!?た、高いじゃない…もっと、普通のはないの?」

「醤油ラーメンで750円だけど」

「そ、それでいいわ…」

「真姫ちゃんは?」

「私は…トマトラーメンでいいわ」

「この間もそれだったにゃ」

「何、トマトラーメンって?」

「トマトソースがベースになってるスープのラーメンにゃ」

「それは…スパゲッティって言わない?」

「スパゲッティって…にこちゃん…」

「なによ!?」

「せめてそれを言うならスープパスタじゃない?」

「べ、別に、そこはどうでもいいでしょ!」

「ひょっとして、にこちゃんって、パンツのこと、未だにズボンとか言ったりしてない?」

「アタシを誰だと思ってるの?μ'sのファッションリーダーにこ様よ!そんなわけないじゃない」

「ファッションリーダー…って」

といいながら、フフフと笑う真姫。

…なによ、意外に元気じゃない…心配して損したわ…と、にこは思った。

 

「お待たせしましたぁ、ご注文はお決まりですか?」

若い男の店員が、3人に声を掛ける。

「牡蠣味噌ラーメン!大盛りで」

「えっと、醤油ラーメン」

「トマトラーメン」

「はい、ありがとうございます…牡蠣味噌大盛り、醤油、トマラー入りましたぁ!!」

店員が厨房に向かって叫ぶと、奥から「ありあ~す!」の声。

恐らく「ありがとうございます」と言っているのであろう。

店員が下がろうとした時に

「あっ!あとライス大盛り!」

凛が慌てて追加注文をした。

「ライス大盛り…はい、ありがとうございます」

店員はオーダーを端末に打ち直して、テーブルを離れた。

 

「ちょっと、ライス大盛りって…誰が食べるのよ」

「誰ってかよちんに決まっ…あれ?いない…。にゃにゃ~!つい、いつものクセで頼んじゃった」

「いつものクセって、凛も花陽もどんな食生活してるのよ」

「私はだいぶ慣れたけどね…」

「ふ~ん」

「な、なによ…」

「いや、なんだかんだで真姫も仲良くやってるじゃない…ってね」

「ま、まあね…。1年組(こっち)はにこちゃんもいるしね」

「だから、アタシは3年だって」

「でも、誰に訊いても違和感ない…って絶対言うにゃ~」

「確かに」

「まぁ、アンタたちといる方が楽だけどね」

 

「お待たせしました。牡蠣味噌ラーメン、大盛りのお客様!」

「にぁ~!」

「醤油ラーメン」

「はい」

「じゃあ、最後トマトラーメンですね。ライス大盛りは…」

「空いてるとこに置いといてほしいにゃ」

「はい、では…って、なんだキミは『にゃ~』のお姉ちゃんか!」

「は、はい…。えっと、凛のことを覚えてくれてるんですか?」

「何回か、来てくれてるよね。もう1人の娘と一緒に」

「は、はい」

「今日は?良く食べるお姉ちゃん」

「えっと…都合が悪くて」

「そう。残念だな…」

「残念?」

「いや、こっちのことです。あ、延びちゃいますね。失礼しました…以上でご注文はお揃いで…はい、では、ごゆっくりどうぞ」

店員は伝票をテーブルに置くと、一礼して次の接客へと移っていった。

 

「いっただっきま~す!」

「凛のは土手鍋みたいだね」

「プリプリの牡蠣がいっぱいにゃ~」

凛は目をキラキラさせて、目の前のラーメンに挑む。

レンゲにスープを掬(すく)い、口へと運ぶ。

「あぁ、これは美味しいにゃ~!うん、絶対かよちんにもお薦めにゃ。ご飯が進むこと間違いなしにゃ!」

「あの娘はラーメン食べに来ても、ご飯が主食なわけ?」

苦笑する、にこ。

「にこちゃんも一口飲んでみる?」

「えっ?いいの?それじゃ…。うん、なかなか美味しいじゃない」

にこはスープを飲み込むと、もう一度手を伸ばした。

そして凛の牡蠣を掬うと、パクリと口に…

「にゃ~!凛の牡蠣!」

「いいじゃない、1個くらい…あら、イケるわね…」

「まったく…」

真姫が溜め息をひとつ吐(つ)いた。

「なによ?」

「やってることが、子供だなって」

「な…真姫だって、子供じゃない!」

「どうして私が?」

「だって…」

と言うと、にこはプププと口を押さえて、ひとり思い出し笑いを始めた。

 

その様子にピンときたのは凛。

…あれは、真姫ちゃんの『暖炉事件』を思い出してるにゃ…

 

前回の合宿で発覚した事実。

それは真姫が未だにサンタクロースの存在を信じており、毎年、父の言いつけ通りに別荘の暖炉を綺麗にしている…ということ。

サンタが煙突から入ってきて、煤(すす)で汚れないように。

 

メンバー一同、真姫のこの発言を聴いた時、時間が止まった。

そして次の瞬間、にこが『真実』を暴露しようとしたが、凛と穂乃果が「それを話すのは重罪だよ」と必死に食い止め、取り敢えず、その場は事なきを得た。

これを真姫以外のメンバーは『暖炉事件』と呼んでいるのだ。

 

「にこちゃんも真姫ちゃんも、早く食べないと、延びちゃうにゃ~」

凛は前回と同様、にこの悪魔のささやきから真姫を守るため、必死に話題を変えようとした。

 

 

 

 

 

~つづく~


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