【ラブライブ μ's物語 Vol.1】Can't stop lovin'you! ~花陽ちゃんへの愛が止まらない~   作:スターダイヤモンド

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ともだち その8 ~海未と穂むらのお饅頭~

 

 

 

 

「へぇ、真姫ちゃんから、穂乃果とことりちゃんとは『どういう関係』か…って訊かれたの?」

「はい」

「それで海未ちゃんは何て答えたの?」

「幼馴染み…そう答えました」

「それだけ?」

穂乃果は着ていた割烹着を脱ぎながら、海未の前に座った。

「親友…だとも言いました」

海未はピンと背筋を伸ばし、正座をしている。

 

 

ここは、穂乃果の部屋。

今朝、母親から店番を頼まれていた穂乃果。

練習を終え、家に帰ってから2時間あまり…たった今、その任務から解放されたところだった。

 

 

海未は家の用事を済ませ、それから『穂むら』に来た。

まだ穂乃果は店番中だったので、先に彼女の部屋で待っていた。

 

海未は思い出した。

μ's結成当初、穂乃果が店番で、海未ひとりが部屋で待つという、今と同じようなシチュエーション。

その時、振り付け練習からの流れで『ファンの声援に手を振って応える』という『イメージトレーニング』しているところを、まだ入部前の花陽に偶然目撃されるというアクシデントがあった。

半年過ぎても、あの時の恥ずかしさは忘れていない。

その為、今日は穂乃果の部屋にある本棚の整理をして、おとなしく待つことにした。

 

…順番に読んで、順番にしまっていけば、こうもバラバラにならないハズなのですが…

…いくらO型だからといって、あまりにも大雑把過ぎます…

 

…などと考えながら本を整理をしているうちに、穂乃果が店番を終え、部屋に入ってきたのだった。

 

 

穂乃果は学校からの帰り際、真姫の様子について概要は聴いていた。

だが詳細までは話している時間はなかった為、海未が穂むらに立ち寄ったというわけだ。

 

 

穂むらの饅頭とお茶を用意をしながら、海未に訊く。

「真姫ちゃんは、何でそんなこと言ったんだろうね」

「何か悩み事があるのは間違いないと思うのですが、あの質問とどう繋がるのか、それがわからないのです」

「そりゃ、真姫ちゃんにも悩みのひとつやふたつはあるんじゃない?」

「それはそうですが」

「具体的に相談されたわけじゃないんでしょ?だったら、放って置いてあげようよ」

「穂乃果は冷たいです」

「そんなことないよぅ。穂乃果だって心配はしてるよ。だけど、本人が気にしないで…って言ってるのに、周りが騒ぐのもどうかと思うよ」

「それは正論ですが…練習に支障が出るようなら、やはり問題かと」

すると穂乃果がいきなり爆弾を放った。

 

「海未ちゃんに、恋しちゃったのかな?」

 

「な、なんですか、急に!?」

海未は飲もうと手に取った湯呑みを、落としそうになった。

「だって、どうして『穂乃果とことりちゃんと付き合ってるのか』…って訊かれたんでしょ?それって、海未ちゃんのことに興味がある証拠でしょ?それはきっと、好きになったからだよ」

「と、友達として付き合ってる理由を訊かれただけで…」

「ことりちゃんも言ってたじゃん、これからの季節、一肌が恋しくなるって」

「短絡過ぎます」

「そうかなぁ」

「だとすると、なぜ私がなのでしょう…」

「作詞・作曲の仲…でしょ?」

「それなら花陽に対する…」

といい掛けて、途中でやめた。

「花陽ちゃん?」

「い、いえ、なにも…」

 

…真姫が花陽を意識しているのは間違いないと思うのですが…それを話すと穂乃果相手では収拾がつかなくなりそうです…

 

海未は寸前で思い留(とど)まった。

…と、同時に半歩遅れて、別の思考が押し出される。

 

「な、なんですって!真姫が私に恋をしたと言いましたか!?」

「今、それを訊き返す?」

「ダメです、ダメです。女子同士の先輩後輩の、道ならぬ恋などあってはなりません!」

「出た!恋愛拒否症候群!」

「勝手に変な病名を付けるのはやめてください!」

「だって、海未ちゃん、もう高2だよ」

「だからなんですか!高2であろうと、コーチであろうと同性同士などとは…」

「穂乃果はアリだと思うけどな」

「ええっ!穂乃果はアリなのですか!」

「たまたま好きになった人が女の人だった…ってことでしょ。別にいいんじゃないかな…」

 

…なんと、良いのですか!

そういうことは、もっと早く言ってください!

何年間、私が貴方の事を想い続けているかわかりますか!

ならば、今、ここで想いの丈をぶつけますよ!

…と海未の心の中。

 

「海未ちゃん?それは新しい小顔ダイエット?それとも『新しい顔芸』?」

辛うじて声は出ていなかったが、心の中のセリフに合わせ、口がパクパク動いていたようだ。

「そんなのではありません」

顔芸と言われても、まったく反論する余裕もない、海未。

「穂乃果、良く聴いてください。実は今まで隠していたことがあります…」

「突然!?」

海未は大きく深呼吸をした。

脚を崩していた穂乃果も、正座に座り直す。

 

恐らく穂乃果の部屋史上初、最大級の緊張感。

 

そんな中、海未の口が動いた

「す、す、好きです…」

「えっ?」

「好きです…私は…ほ、ほ…やっぱり言えない…」

「海未ちゃん!穂乃果をこんなにドキドキさせておいて、それはないよ。何が好きなの?」

「いや、やめましょう…」

「海未ちゃん!」

「忘れましょ…」

「海未ちゃん!」

「わ、わかりました。わかりました。言います、言います…」

海未は再び深呼吸すると、その後、声を絞り出すように言った。

 

「私は…ほ、ほ、穂むらのお饅頭が、大好きです!」

 

「知ってる…」

と穂乃果。

コント的にドベッ…とコケてみせた。

 

「お代わりが欲しいなら欲しいって、素直に言えばいいじゃん。いくらでも食べて。うちは売るほどあるんだから」

「はぁ、す、すみません、いただきます」

「その替わり…太るよ」

穂乃果はいつも海未に言われてるフレーズを、ここぞとばかりに、お返しした。

満足そうに笑っていると穂乃果と、対照的に肩を落としてうなだれる海未。

 

果たして…今日の時点での海未の想いの成就はならなかった…。

 

 

 

 

 

~つづく~

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