【ラブライブ μ's物語 Vol.1】Can't stop lovin'you! ~花陽ちゃんへの愛が止まらない~   作:スターダイヤモンド

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ともだち その14 ~まさかの目撃者~

 

 

 

 

「でも、良かった。いつもの真姫ちゃんに戻ったみたいで」

花陽は少しホッとした表情を見せた。

「そう?私は特に変わってないけど」

相変わらず、ぶっきらぼうに答える真姫。

「そういえば…真姫ちゃん、私に何か話があったんじゃ…」

「あ…別に…」

「さっきは花陽から話したんだから、次は真姫ちゃんの番だよ」

「…それは、また今度…」

「え~、ズルいよ」

「ズルいのは花陽でしょ」

「えっ?ズルいの?…花陽、やっぱり何かしたのかな…」

「やっぱり?」

「この間から何か避けられていたような…ことりちゃんと来た時もそうだったし…」

「あれは…予選前でナーバスになってただけ」

「でも、目を合わせてくれなかった…」

「誤解よ」

「悪いところがあったら言って欲しいの」

真姫の目を真っ直ぐ見て言った。

「…そうね…ハッキリさせないといけないかもね…」

その一言に、花陽は思わず息を飲んだ。

 

「まず、花陽に言わなくちゃいけないのは、私をμ'sに巻き込んでくれたお陰で、すごく迷惑してるってこと」

「そ、そうなんだ…。そうだよね…」

花陽はガックリと肩を落とした。

 

医者になるという明確な目標を持っていた真姫に、直接アプローチを掛けたのは穂乃果を始めとした2年生。

しかし、真姫のμ's入りには、花陽も大きく関わっていた。

それが少なからず、負い目ではあった。

希からは「もうそんな心配をするな」…と言われたが、やはり真姫の中では人生のターニングポイントだったのだろう。

花陽は顔を上げることが出来なかった。

 

「本当に迷惑なの。みんな自分のことで一生懸命なのに、バカみたいに人の心配までしちゃって…面倒な人ばかりで…」

「真姫ちゃん…そんな言い方は…」

「いつの間にか私も感化されて、ガラにも熱くなったりして…困ったものだわ」

「それって…」

花陽が少しだけ、顔を上げた。

「μ'sに入らなかったら、みんなでひとつに何かを創る喜びなんて、知らずに一生を過ごしたかも」

「真姫ちゃん…」

「感謝してるのよ、花陽には…」

「えっ?」

「何度も言わせないで…感謝してるの!」

そう言うわりには、口調がキツい。

「やっぱり、怒ってる…」

「だから、違うの!そうじゃなくて…」

そう言うと、真姫は深呼吸をした。

 

 

 

「…ありがとう…」

 

 

真姫の口から出てきた言葉に、花陽は耳を疑った。

「ありがとう?」

「だって、μ'sに入る最終的な要因は、あなただったんだから」

「良かった!」

花陽の顔がパッと華ぐ。

「結果的に真姫ちゃんを巻き込んだじゃったみたいで、ずっと気になってたから」

「今でも思うわよ。なんで私はダンスしてるの?…ピアノだけ弾いてちゃいけないの?…って」

「真姫ちゃん…」

「穂乃果たちに誘われて、曲作りはしたかもしれないけど、ステージに立つの想定外だったわ」

「でも、真姫ちゃんは歌も上手いし、綺麗だし、才能があったと思うよ」

「そこはね、その通りだけど…」

サラッと否定しないところが、真姫らしい。

花陽はクスッと笑った。

「あの日、花陽が生徒手帳を拾って届けてくれなければ、こうはなっていなかったもの」

「それを言うなら、真姫ちゃんが生徒手帳を落とさなければ…」

「うふふ…色んな偶然が重なったのね」

「希ちゃんが言ってたよ。偶然も重なれば、それは必然だって」

「希が?」

「…え~と…確か希ちゃん…だったような…」

花陽は指をすりすりしながら答えた。

希と交わした会話を披露してしまうと、色々ボロが出そうだ。

ここはあまり突っ込まれたくない。

「希なら、言いそうね…」

花陽の心配をよそに、真姫はあっさり同意した。

しかし、そのあとすぐに花陽の心臓が止まるような一言を放つ。

 

 

 

「花陽、この間、希とデートしてたでしょ?」

 

 

 

「な、な、なんと?デ、デートですとぉ!」

その驚き方に、逆に真姫が仰け反った。

「そ、そんなに驚くこと?」

「なんで真姫ちゃんが、それを…」

「偶然、見たの…新宿の本屋で。2人が同じ紙袋を持って店内を歩いているところを」

「そ、そう…。あの…でもデートと言うのは…」

「表現が適切ではなかったかしら」

「う、うん」

花陽は、真姫がどこまで真相を知っているのか気になったが、余計なことは話せないと思い、そこで言葉を切った。

「それを見てから、おかしくなったの」

「えっ?誰が?」

「私が…」

真姫の言葉を、花陽はすぐに理解出来なかった。

 

 

 

 

 

~つづく~


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