【ラブライブ μ's物語 Vol.1】Can't stop lovin'you! ~花陽ちゃんへの愛が止まらない~   作:スターダイヤモンド

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先輩禁止! その3 ~スカート捲(めく)り~

 

 

 

 

 

「凛ちゃん、ゴメンね。折角ラーメン食べに行こう…って言ってたのに、わざわざ家まで送ってもらっちゃって」

「気にすることないにゃ~。かよちんの身体の方が大事だから…。それに…」

「それに?」

「かよちんの部屋に来れたし…」

凛はニッコリと微笑んだ。

 

 

花陽の部屋。

 

ベッドに腰掛けているのは、この部屋の主。

キャスター付きの椅子に反対向きで座り、背もたれに頬杖しているのが、その幼馴染み。

 

2人がこのポジションで話をするのは、実に久々のことだった。

 

 

「そうだねぇ。μ'sが忙しくなって、なかなか、前みたいに行き来はできなくなってるもんね」

「何かあって集まるのは、たいてい穂乃果ちゃんの部屋だし」

「うん…」

「それに、かよちんは衣装作りの手伝いとかあって、一緒に帰ることも少なくなったし」

凛の声のトーンが少し落ちた。

「ん?怒ってる?」

「怒ってるわけないにゃ~!かよちんがμ'sで輝いてる姿を見れて、凛は凄く嬉しいよ。…でも…」

「でも?」

「たまには凛も構って欲しいにゃ~!!」

「うふふふ…そうだね。だけど花陽も、凛ちゃんがにこちゃんとか真姫ちゃんとかと仲良くしてるのを見ると、ホッとするんだよ」

「なんで?」

「だって、凛ちゃんは成り行きでμ'sに入ったようなものでしょ?凛ちゃんの居場所がなかったら、それは花陽の責任だもん」

「な~んだ、そんなことなら心配することないにゃ~!凛はかよちんが一緒に居てくれれば、それだけで幸せなんだから」

「うん、そうだよね…凛ちゃんはいつもそう言ってくれるよね。でも、やっぱり花陽はμ'sのメンバーと打ち解けてくれたことが嬉しいな」

「それは…かよちんが友達になる人に、悪い人はいないもん!」

「凛ちゃん…」

「実際、みんないい人ばっかりだし。凛はとっても楽しいよ!」

「にこちゃんといるときの凛ちゃんって、特に楽しそうだよね」

「そうかにゃ?」

「今までああいう凛ちゃんは見たことないよ」

「にこちゃんは、普段、先輩って感じがしないし、話しやすいってのはあるかな」

「波長が合うんだね」

「確かに…にこちゃんがいてくれて助かってる部分はあるかも。からかうと期待通りのリアクションしてくれるし」

「ふふふふ…真紀ちゃんも、にこちゃんのことは好きって言ってたよ。気を使わなくて済むみたい」

「凛たちに馴染んでるもんね。でも、μ'sで一番『先輩・後輩』に拘ってるんだにゃ」

「絵里ちゃんは『先輩禁止!』って言ったけど、花陽は多少の上下関係は必要だと思うんだけどなぁ」

「かよちんは、真面目過ぎるにゃ~」

「そうかな?」

「それより…」

「ん?」

「おしり…」

「ん?」

「かよちんの…」

「見るの?」

「かよちんにそんなことできるの、凛以外にいる?」

「それはそうだけど…」

「なら、早く横になるにゃ」

「本当に見るの?」

「凛じゃ…いや?」

「ううん、そうじゃないよ…。でも、やっぱり…恥ずかしい…」

「今更言うかにゃ?凛はかよちんの裸、何百回も見てるんだけど」

「それは、小さい時から一緒にお風呂に入ってたし」

「今でも入るにゃ」

「その時は凛ちゃんも裸だから、お互い様だもん」

「だったら、凛も脱ぐにゃ!」

「えっ?」

 

今、凛ちゃんも脱ぐ…って言った?

 

しまった!凛はなんかとんでもないことを、口走ったにゃ…

 

 

 

花陽と凛の時が止まった。

 

 

 

「…今『DIO』が現れて『ザ・ワールド』が発動したにゃ」

「?」

「と、とにかく恥ずかしがってないで、早く横になるにゃ~」

「う、うん…」

花陽は凛の言葉の勢いに押されて、ベッドに俯(うつぶ)せになった。

「それじゃ~見っるにゃ~」

凛はわざと大きな声を出して、ベッドに近寄る。

だがそこで躊躇…動きが止まった。

 

「かよちんは『スカート捲り』ってされたことある?」

「えっ!?また、随分と突然な…」

「思い出した!かよちんは小学校の時、よくやられてたにゃ!」

「そ、そうだっけ…」

 

う~ん、凛はされた記憶がない…。

まぁ、スカート履いてなかったから、当然だけど…。

当時の男子は、どんな気持ちでスカートを捲ってたのかにゃ…

 

「い、いくにゃ…」

 

にゃ~!!

なんかドキドキが止まらないにゃ~!

相手はかよちんだよ。

かよちんなのに…

かよちんだから?

 

「凛ちゃん?」

「なんでもないにゃ!」

 

こうなったら勢いで!

「にゃ~!!」

 

凛は震える手を花陽に覚(さと)られないよう、素早く制服のスカートを捲(めく)った。

 

花陽のふくよかな臀部は、高校になってから脚の太さを気にして履き始めた、黒のストッキングに覆われていた。

 

「う~ん、よくわからない…。かよちん、これ、ジャマにゃ」

そう言うが早いか、凛は花陽のストッキングに手を掛けた。

「わ、わ、待って!待って!」

花陽はすぐに凛の手を掴んだ。

「いくら凛ちゃんでも、それはマズイよ」

「ん?」

「あ、いや…他人(ひと)に脱がしてもらうものじゃ…」

「り、凛は平気だよ」

 

凛の嘘つき…

今、凛は勢いに任せて、とてもイケナイことをしようとしたにゃ~

これじゃ、希ちゃんになっちゃうにゃ…

 

「凛ちゃんが良くても、花陽がダメなの!やっぱり、これくらいは自分で脱ぐよ」

「ケチ!」

「そういう問題じゃないの!」

「…わかったにゃ…」

その言葉を聴いて、苦笑しながらストッキングを脱ぐ。

そして改めて、花陽は俯せになった。

「触らないでね…本当に恥ずかしいんだから…」

「わ、わかってるにゃ」

 

花陽は自らスカートを捲ると、ゆっくりショーツを股下まで下げた。

真っ白でふくよかな、臀部が現れる。

 

やっぱり、かよちんのおしりは色っぽいにゃ…

でも…

 

「かよちん、大変にゃ!」

「な、なに!?」

「打ったとこがアザになってるにゃ」

「ありゃりゃ…」

「これは相当痛いにゃ」

「う、うん。わかった、ありがとう。もう、いいよね」

花陽はショーツを元に戻した。

「このアザじゃ、座るのも大変そうだね。ちょうど当たるとこだもん」

「う~ん…様子見るしかないね。すぐは治らないだろうし」

「でも、かよちんのおしりで良かったにゃ」

「ん?」

「凛やにこちゃんだったら、お肉がないから尾骶骨(びていこつ)骨折だったかも…」

「どうせ花陽はデブですよ!」

「そんなこと言ってないにゃ!凛はかよちんみたいに、おっぱいも大きくならないし、女性らしい柔らかさもないし…正直、羨ましいって思ってるんだから」

「それは無い物ねだりだよ。花陽だって、凛ちゃんみたいキュッて締まったおしりがいいなって思ってるもん。それに凛ちゃん、食べても太らないし…」

「かよちんは、少し食べ過ぎにゃ」

「はい…」

「でも、凛は幸せそうにご飯を食べるかよちんが大好きにゃ~」

「花陽も、それを受け入れてくれる凛ちゃんが大好きだよ」

 

 

花陽の気持ちに嘘、偽りはない。

 

ただし…希との一件以来、凛が「好きだ」と言う度に「それはどういう好き?」と訊き返したくなる。

 

いつかそれを確認しなければ…

でもそれは、自分も凛に対しての回答が明確にならないと…

 

 

「そうそう、凛ちゃん」

「ん?」

「さっきの話だけどね…」

「さっきの話?」

「凛ちゃんは骨折なんかしないよ」

「ん?」

「だって、そもそも凛ちゃんは階段で転ばないし、仮に転んでも上手に受け身が取れそうだもん」

「う~ん…」

「どうかした?」

「凛もたまには、みんなに心配されてみたいにゃ~!!」

凛はベッドの上に飛び込むと駄々っ子の様に手足をバタバタさせた。

 

それを見て、花陽は優しく微笑んだ。

 

 

 

 

 

~つづく~


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