【ラブライブ μ's物語 Vol.1】Can't stop lovin'you! ~花陽ちゃんへの愛が止まらない~ 作:スターダイヤモンド
花陽は着替え終わると、テーブルに戻ってきた。
希はそれに気付くと、読んでいた雑誌を閉じ、花陽を迎えた。
「さっきすごい音がしたけど、大丈夫やった?」
「は、はい…」
「ん?膝どうしたん?擦りむいてるやん?」
「はははは…実はちょっと転んじゃいまして…」
「まったく、花陽ちゃんはドジやね…」
「恥ずかしい…」
「絆創膏、貼ってあげる」
「そんな、平気です。たいしたことないですから」
「アイドルが膝から血ぃ出してたら、みっともないやん!」
希は持っていたバックの小物入れから、絆創膏を取り出すと、花陽の膝に貼った。
「これで、よし!」
「すみません…」
「ウチができることなんて、これくらいしかないんよ」
…今はね…と続けようとしたが、その言葉はグッと飲み込んだ。
「えっと、ハナヨちゃん…って言ったっけ?お疲れ様。どうだった?やっぱり恥ずかった?…でも、すぐ終わったでしょ?」
サリナが、少し早足で2人のテーブルにやって来た。
「それで…ごめんね…。先に書いてもらえば良かったんだけど…データ登録するから、ここに名前と生年月日、あと…この太枠の部分に必要事項を記入してくれるかな?」
と、花陽にバインダーとペンを手渡す。
花陽は言われた通りに記入し、サリナにそれを戻した。
「はい、ありがとう。ホントごめんね、段取り悪くて…あと2、3分待ってて…」
ほどなくして、サリナが戻ってきた。
お待たせしました…と、空いているイスに腰をおろす。
「さっきの計測結果が出ました。これがそのデータね…」
と言いながら、2人に数枚の紙を見せた。
そこには数値のほか、人形(ひとかた)を模した画像が載っていた。
「ね、スゴいでしょ?あの計測器。実は身長、体重だけじゃなくて、花陽ちゃんの体型まで、3Dで取り込むことができるのよ」
その理屈はわからないが、恥ずかしがって目を瞑ってる20秒の間に、ボディラインを立体的にトレースしたらしい…ということを花陽は理解した。
「えっと、小泉花陽ちゃん、15歳」
「はい」
「若いなあ…。ノゾミィも、うちに初めてきたのは15歳?」
「私は…14歳だったかな?お母さんと一緒に…」
「そうだったわね…あれから4年も経つの?…私も歳を取るわけだ…って、それは置いといて…」
サリナは一呼吸置いて言葉を続けた。
「花陽ちゃん、身長156.3cm、体重50.4kg、体脂肪率26%」
「セーフ…」
花陽は自分の数値を見て、安堵の声をあげた。
「セーフ?」
と訊き返したのはサリナ。
「…だと思ってるんですけど…アウトですか?」
「ううん、ダイエットでもしてるのかな…と思って。色々な統計があるから一概には言えないんだけど…この会社のデータに依ると…156cmの女子の標準体重は…53.5kg。理想体重が51.1kgってなってるから、まったく問題ないんじゃない?」
「良かったですぅ」
「体脂肪率も26%なら…15歳だと…標準Aの上限値?うん、いいんじゃない?…むしろ、大きなお胸の分だけ重さが増してるのに、理想体重を下回ってるんだから、ナイスバディだと思うけど。…あ、もしかしたらダイエット…してる?」
「いえ…ダイエットはしてないですけど…毎日運動はしてます」
「なるほど」
「でも結構、ご飯食べるの我慢してるんじゃない?」
と希。
「えっ、あ…実は…少し…」
花陽は希の誘導尋問に引っ掛かった。
「味覚の秋だもんね?食べるな…って言う方が無理よ。育ち盛りだし」
(花陽の特殊な)事情を知らないサリナが同調する。
「そ、そうですよね!!と、特に今の時期はお米が…」
「花陽ちゃん!」
「あ…」
新米について熱く語りだしそうな花陽の気配に気付き、希がストップをかけた。
「?」
首を傾げたのはサリナ。
いえ、こっちの話です…と、希はその場を取り繕った。
「無理なダイエットは良くないから…これでいくと…モデル体重は…46.5kgらしいけど」
「46.5kg!?」
花陽と希の声がシンクロした。
「46.5kg…?そんなになったら、花陽はきっと…死んでます」
大袈裟よ…とサリナは笑ったが、希はあり得るかも…と思って苦笑した。
「さて、ここからが本題…スリーサイズの発表で~す!」
花陽がデータ用紙に目を落とす。
「バスト…トップ85.0cm、アンダー64.0cm」
「あ、やっぱり、大きくなってる…」
ウチのワシワシは正確やね…と希が小声で囁く。
「ウェストは59.5cm、ヒップ83.0cm」
「ウェストはたった5mmしか細くなってない…」
ショックです…と花陽。
「参考までに同じ身長の女子平均は、上から81cm、57cm、84cmだって」
「そうすると、やっぱり3cm大きくなったの?」
「は、はい…」
希の問に答えた花陽は、視線を自分の胸元にやった。
「ブラのサイズ、変わるんですか?」
「今は『D』?」
「はい」
「おめでとう!レベルアップだね!これからは『E』になるわよ」
サリナが親指を立て、花陽に微笑んだ。
「ちなみに私は『G』やけどね」
とドヤ顔の希。
「ノゾミィはデカ過ぎるの…」
そう言うとサリナは…2人の分を少しづつ分けて欲しいわ…と、自分の胸を見て嘆いた。
~つづく~