【ラブライブ μ's物語 Vol.1】Can't stop lovin'you! ~花陽ちゃんへの愛が止まらない~   作:スターダイヤモンド

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すみません。
体調不良により、しばらくお休みしてました。






先輩禁止! その5 ~試食会~

 

 

 

 

 

「のわっ!」

部室のドアを開けたにこは、その瞬間、テーブルの上の光景を見て、思わず足を止めた。

「いい匂いやね」

逆に、続けて入ろうとした希は部屋に充満している『香り』に 感嘆の声をあげた。

「炊きたてですから」

部屋の奥で花陽は、満面の笑みでメンバーを向かえた。

「ハラショー!これ全部、花陽が?」

「当然です」

「圧巻ですね。さすがと言わざるを得ません」

海未もそう言うしかなかった。

 

屋上での練習を終えたμ'sのメンバー8人を部室で待ち受けていたのは、テーブルに並べられた数多くのおにぎり…と、その創造主・花陽だった。

 

「すごいね。お店みたい!」

「ことりちゃん、いいこと言った!」

「ん?」

「これからμ'sのライブをやるときは、花陽ちゃんのおにぎりも一緒に売ろうよ。完売間違いなしだよ!」

「そんなことだと思ったにゃ」

「だったら、自分のとこの饅頭でも売ったら?」

「おぉ!さすがにこちゃん!ナイスアイデア!ラブライブならぬ『穂むらイブ』だね」

「でも、それだとウチらには、お金入らんけどね」

「何を言ってるんですか!スクールアイドルが営利目的で活動をしたら、それはもはやアマチュアとは言えません」

「そっか…。でも、衣装とかお金掛かるし…持ち出しばかりだと…真姫ちゃんの負担が…」

「待ってよ!私の存在理由はスポンサー?」

「いやいや、それは…ちょっとは期待してるけど」

「くだらないことを言ってないで、早く席に着きなさいよ」

「珍しく真姫ちゃんが積極的なんだにゃ」

「べ、別に…そんなんじゃ…」

「真姫の言う通りね。せっかく花陽が準備してくれたんだがら、早速始めましょう!」

絵里がパンパンと手を叩いて、メンバーを椅子に座らせた。

 

「それでは…」

花陽は、いわゆる『お誕生日席』に陣取り、仕切り始めた。

「今日は、あまり練習に参加出来なかったから、その時間を利用して、ご飯を炊きました。今週末、利き米コンテストもあるし、少しでも参考になれば…」

「花陽ちゃん、前置きはいいから、早く食べようよ!」

「そうだね…」

花陽は苦笑いしつつ、その穂乃果に質問をぶつける

「ズバリ!『日本の代表的なお米』と言って思い付く銘柄は?」

「う~ん、やっぱ『コシヒカリ』かな」

「なるほど、なるほど。やはり、そうだよね…と、いうわけで、まずは炊きたての魚沼産コシヒカリを…」

と言うと、花陽はどこからか炊飯器を取り出し、しゃもじでご飯を小さな皿に盛り付け、メンバーに配膳した。

「まず、見てほしいのが、ツヤです」

「お米が光ってるにゃ」

「確かにピカピカやね」

それを聴いて満足そうな花陽。

言葉を続ける。

「そして、香り」

「これはもう、間違いなく美味しい匂いだよ。だから、早く食べようよ」

「穂乃果、うるさいですよ!」

海未が一喝する。

「まぁまぁ…では、食べてみてくださいな」

「いっただきまぁす!」

穂乃果が勢いよく口に運ぶ。

「穂乃果!もっと味わって食べてください」

「ごめん、海未ちゃん。…でも、お腹空いちゃってるから」

「穂乃果ちゃんらしいね」

相変わらずの会話に、ことりは目を細めた。

「コシヒカリはツヤ、香り、旨味、モチモチとした食感のどれもが平均的に優れていて…冷めても美味しいのが特殊なんです」

「だから、日本の代表格なんやね」

「はい!」

「花陽ちゃん、おかわり!」

「穂乃果!」

「大丈夫だよ、海未ちゃん。いっぱい炊いてあるから」

「そういう問題ではありません。礼儀作法が…」

「海未ちゃん、その話はあとにしようよ」

ことりが助け船を出す。

「ことりは穂乃果に甘過ぎます!」

この3人は何度このやりとりを繰り返してきたのだろうか…。

「穂乃果ちゃんの気持ちはわかるよ。美味しいもんねぇ。目の前のおにぎりも飾りじゃないから、あとで食べてくださいな。でも、次は違うお米で…。ヨイショ!っと…続いては…ジャ~ン!『あきたこまち』で~す」

花陽はもうひとつの炊飯器を手に取り、胸の前にかざした。

「えっ?炊飯器を2つも持ってきたの?」

と驚く絵里。

「今日は凛ちゃんに手伝ってもらいました」

「お米もあったから、重かったにゃ…」

「そこまでする?」

にこも呆れ顔。

「はい、どうぞ」

そんなことは意に介さないと、花陽は先程同様、小皿にご飯を盛り、配膳した。

「これも美味しいご飯だね」

と穂乃果。

「さっきのコシヒカリと比べて、どう違うでしょうか?」

「えっ?どう…って…両方とも、美味しいよ!」

「それじゃ、比較にならないでしょ!」

「真姫ちゃん、そんなに怒らなくても…」

「べ、別に…怒ってないわよ」

「それじゃ真姫ちゃんは?違いがわかるの?」

穂乃果はテーブルに乗りだし、目の前の真姫の顔を覗き込んだ。

「私はこっちの方が…表現が難しいけど…さっぱりしているように感じたわ」

「私も真姫と同意見です。コシヒカリよりモッチリしてるけど…それでいてしつこくないと言うか…」

「さすが真姫ちゃんと海未ちゃん。そう、あきたこまちは水分が多目で、粘り気があるんです。だから、おにぎりに最適なお米で…花陽のおにぎりは大抵これを使ってます」

「へぇ…ウチもお米はあきたこまちなんやけど…これほど美味しくない気がする…なんでやろ?」

「それは時間ですねぇ…」

「時間?」

「あきたこまちは、吸水性があまりよくないから、しっかり研いで、長めに水に浸すのがポイントなんです」

「なるほど…」

 

希は花陽が「自宅」で作った朝食のことを思い出していた。

同じ米を使って炊いている筈なのに、明らかに花陽のご飯は美味しかった。

あのときは色々と気が昂(たかぶ)っていた為、雰囲気によるものだと思っていたのだが…

 

「ちなみに、あきたこまちにも弱点はあって、お寿司とかチキンライスとか…調味料を加えるご飯は不向きなんです。」

花陽が付け加えた豆知識を聴いて

「一口にお米と言っても、奥が深いんやね」

しみじみ呟く希であった。

 

 

 

 

 

~つづく~


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