【ラブライブ μ's物語 Vol.1】Can't stop lovin'you! ~花陽ちゃんへの愛が止まらない~   作:スターダイヤモンド

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先輩禁止! その7 ~ライバル参上?~

 

 

 

「利き米コンテスト」当日…。

 

 

 

会場では、整理券を求める参加希望者で、長蛇の列が出来ていた。

 

マイクの調子を確認する関係者。

まだイベントスペースの設営が終わっていないのか、右往左往しているスタッフ。

何が行われるのかと、立ち止まり、写真撮影をする外国人旅行者。

 

そんなザワザワした空気の中『最後尾』のプラカードを持つ男性に駆け寄る数人の少女たちがいた。

 

μ'sのメンバーである。

 

「まだ間に合いますか!?」

息を切らせながら、穂乃果が訊いた。

男性は「多分…」とだけ答えた。

 

「だいたい、穂乃果が寝坊などするから…」

「わかってるよ。だからそれは謝ったじゃん」

「開き直りですか!」

「海未!穂乃果!いい加減にしなさい!」

「ほらぁ…絵里ちゃんに怒られたぁ…」

悪びれる様子のない穂乃果に、悔しさを滲ませる海未。

「なんで、私まで怒られるんですか…」

と呟いたあと、ひとつ溜め息を吐(つ)いた。

 

「じゃあ、私たちは邪魔になっちゃうから、あっちにいるね」

ことりが列から離れた方向を指差した。

「そうね。出ないんだから、一緒に並ぶ必要はないものね」

真姫が同意し、ことりと絵里の3人は、その場から離れた。

 

μ'sのメンバーは希、にこ、凛、花陽、穂乃果、海未の順に並んだ。

彼女たちの後ろにも人は集まってきたが、どう贔屓目に見ても前の方ではない。

 

「予備予選って、何名までの受付やったっけ?」

「確か150人だったかと…はい、150人です」

花陽がスマホの画面で確認して答えた。

「なら、花陽ちゃんはウチの前に並んだ方がいいね。ざっと見たところ、結構ギリギリな感じがするんよ」

「そうですね。花陽が出られないとなると本末転倒ですからね。念のため、少しでも前の方が」

「うん、希ちゃんと海未ちゃんの言う通りにゃ!」

「あ、ありがとう…」

そう言うと花陽は、凛に押し出されるようにして、希の前へと歩を進めた。

 

そうこうしているうちに、列が少しずつ前に進み始め、整理券をもらった参加希望者が、ひとり、ふたりとメンバーの横を通り過ぎていく。

 

何人とすれ違っただろうか。

 

間が空かないように前の人の足元ばかりを気にして、行き交う人の様子など特に見てはいなかったのだが、何故かその一瞬だけ、花陽の視界に見覚えのある人影が映った。

 

「あっ!」

今のは…と、通り過ぎた人影の後ろ姿を、振り向き目で追う。

 

背が高く、髪の長い…少し大人びた少女…。

今日は見馴れた制服でもなく、ステージ衣装でもない。

黒のジャケットと黒のデニムのパンツ…と、いつもとは真逆の格好。

それでも花陽が『彼女』だと気が付いたのは、天性のアイドル受信アンテナスキルの高さなのか。

 

花陽の声に反応したのか、同時にその少女も立ち止まり、キュッと靴を鳴らし『キレ』のあるターンを決めた。

 

「やっぱり!」

花陽の声に、慌ててその視線の先に目をやる、ほか5人。

「やはり、小泉さんか。似ているとは思ったが…」

「げぇ!」

その姿を確認したにこは、オーバーアクションで驚き、そのままフリーズした。

 

その少女こそ、μ'sの目標であり、ライバルである『A-RISE』のひとり『統堂英玲奈』だった。

 

「統堂英玲奈さん!どうしてここに?」

「高坂さん、公衆の面前でフルネームで呼ぶのはどうかと…英玲奈でいい」

「あ、すみません」

「それより『どうしてここに?』とは、随分な言いようだな。ここは私の庭だ。逆に私から言わせれば、何故、μ'sがここに?…ということになる」

「あははは…そうですよねぇ。私たちは見ての通り、利き米コンテストに参加しようと思って…。ちょっと来るのが遅れちゃって焦ってるんですけどね」

穂乃果はその場で駆け足をして、おどけてみせた。

「あなた方も出るのか?」

英玲奈は少し『意外』という口調で、訊き返した。

しかし、表情は変わらない。

「…と、言うと…英玲奈さんも出られるのですか」

「実は…内緒なんだが、あとでサプライズライブを行うことになっている」

「さすが地元のスーパーアイドル!」

「にこちゃん、ゴマすり感が凄いにゃ」

「…ということは、コンテストに参加するわけではないのですね?」

海未が何気なく問い掛けた。

「いや、参加する」

「えっ!?」

英玲奈の答えに、6人が同時に声をあげた。

「他の2人も…ですか?」

「いや、私だけだ。『あんじゅ』は別として『ツバサ』は味音痴が酷く、参加するに値しない」

「へぇ、そうなんですか。私なんか、まったく自信ないですけど」

「そういう前向きな姿勢が、μ'sのリーダーたる由縁ではないかと、個人的には思っている」

「あ、ありがとうございます」

面と向かって誉められて、赤面する穂乃果。

 

その時…ちょっと、前、進んでよ!…と、後ろから野次が飛んで、気付いた。

英玲奈と話しているうちに、花陽と前の人との間隔が空いていた。

慌ててその間を詰める。

 

「では、後(のち)ほど。健闘を祈る」

そう言うと英玲奈は軽く手を上げ、その場から離れた。

 

「なんか、絵里ちゃんと海未ちゃんと真姫ちゃんを足して3で割ったみたいな人だにゃ」

「口調はあれやど…性格はサッパリしてそうやね」

「花陽!なんとしても勝ちなさいよ!」

「む?にこちゃん?」

「いい?これは最終予選に向けての前哨戦なのよ。ここで叩いておいて、心理的に優位に立つのよ!」

「それは関係ないと思うよ…」

「何を言うかと思えば…」

と、呆れ顔の海未。

「なによう、これでも部長として、どうしたらラブライブの本選に出場できるか、常に考えてるんだから」

「それにしても、このコンテストは関係ないと…」

「まぁまぁ、そのへんにせんと。ほら、もうすぐ順番やん」

希の言う通り、あと数人で整理券を受け取るところまで進んできた。

「この分なら、みんな貰えそうやね」

 

そして花陽の順番。

「このあと、8時に…あそこに並んでる椅子の…同じ番号の席に座って待っててください。その時間にいなければ、失格ですので、時間厳守でお願いします」

係員がそう言って整理券を手渡した。

「はい、ありがとうございます…私は…146番…ぴゃあ!ギリギリだねぇ」

花陽は自分の券をまじまじと見つめた。

そして気付いた。

「あれ?私が146番…ってことは…」

 

 

 

「何故、私が…」

崩れ落ちたのは6人の中で一番後ろに並んでいた海未。

 

 

 

「こういう役割は、にこのハズです。何故、私の前でおしまいなのですか」

「いや、海未ちゃんも、そこそこオチ担当やと思うよ」

「い…いつから私はそのようなポジションに…。それより穂乃果!その150と書かれた整理券を私に譲りなさい。元はと言えば、あなたの寝坊から始まった話。それがなければ、余裕で参加できたのです!」

「海未ちゃん、こればかりは運ということで」

「悪魔ですか!あなたは悪魔ですか!」

「海未ちゃんだって、普段、穂乃果には悪魔みたいに怖いよ!」

「それはあなたがだらしないからです!」

「海未ちゃん!」

「ことりは邪魔しないでください!」

「海未!」

「真姫もです!」

「海未!」

「絵里も!…絵里?…」

「周りに迷惑だから…」

海未が周囲を見回すと、通行人を含め、かなりの視線が自分に集まっているのがわかった。

「あ…」

「まったくもう、相変わらず穂乃果のことになると、熱くなるんだから。もう少し冷静になりなさいよ」

「すみません…お恥ずかしい限りで…」

年下の真姫に諭され、言葉を失う海未。

「ここは大人しく引き下がって、5人を見守りましょう」

「はい」

 

こうして海未は、絵里、ことり、真姫と供に応援にまわることになった。

 

 

 

 

 

~つづく~

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